(6/30 09:05 末尾に追記あり)
この記事を見ました。
記事から読み取れる流れとしては、
・車椅子の男性が飛行機に搭乗しようとした
・往路では、当初「歩けない人は乗れない」と言われ、同行者のサポートで搭乗した
・復路では、「同行者の手伝いのもと、自力で階段昇降をできる」という条件でないと搭乗出来ない、と言われた
・男性は車いすを降り、空港職員に制止されたが腕の力を使って自力でタラップを登った
ということで、この点についてのバニラ・エアの対応が批判されている、という流れのようです。
この男性の個人webページも別途展開されていた為、拝見しました。こちらです。
上記ページで、今回の件についての男性視点の記録も確認できます。以前から、車いすで世界各国を旅行する、という記録をつけられているようで、それに伴って講演なども行われているようです。
こちらを見ていると、上記報道よりもうちょっと細かい情報も書かれており、ちょっと印象が異なります。
何点か引用してみます。
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2日後の奄美空港。チェックインカウンターで空港の車いすに乗り替えて欲しいと言われる。
設備はないのはわかっているので、同行者に階段を担いでもらうのには自分の車いすが簡単。できるなら自分のを使いたいと返答。すると15分ぐらい待たされて、ようやく回答が。往路に車いすを担いで降りたのは違反とのこと。
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飛行機に乗れないのは翌日の仕事にも差し支えるし、非常に困る。なんとか飛行機に乗らないといけない。「同行者のお手伝いのもと、階段昇降をできるなら」という条件で、ようやく搭乗が認められる。搭乗タラップの前、同行者が車いすを持ちあげて乗ろうとしたら、ダメ!と静止。仕方ないので、階段に座って、一段一段、這って登ろうとすると、それもダメだと言ってくる。無視して上っていくしかない。でないと大阪へ戻れない。同行者は私の足首をもってお手伝い。途中でキャビン・アテンダントが手伝うと駆け下りてきた。
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上記を見ると、
・空港からは、当初空港の車いすを利用して欲しいという要請があり、男性はこれを拒否している
・タラップを登っている途中、キャビン・アテンダントは手伝いに入っている
という経緯は確かなようで、その点朝日の報道はちょっと情報不足であるように思います。つまり、航空会社側が何の事前要請も行わず、乗る段になって急に「ダメ」といった、と読めるような書き方がされている。
勿論、奄美空港におけるバニラエアがバリアフリーに対する配慮に欠けている(どちらかというと空港設備の問題のように思いますが)、という問題については提起されて然るべきですが、朝日の報道の
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同5日、今度は関空行きの便に搭乗する際、バニラ・エアから業務委託されている空港職員に「往路で車いすを担いで(タラップを)下りたのは(同社の規則)違反だった」と言われた。その後、「同行者の手伝いのもと、自力で階段昇降をできるなら搭乗できる」と説明された。同行者が往路と同様に車いすごと担ごうとしたが、空港職員が制止。木島さんは車いすを降り、階段を背にして17段のタラップの一番下の段に座り、腕の力を使って一段ずつずり上がった。空港職員が「それもだめです」と言ったが、3〜4分かけて上り切ったという。
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という記載は、ちょっと「頑迷な企業側が杓子定規の対応を行い、何のサポートも行わなかった」というような構図に寄せすぎであるような気がするのです。朝日新聞は非常に頻繁にこういう手法を使われるんですが、バニラエアが何の事前対応も(その場の対応も)行わなかった、というように読める内容は流石にどうかと思わないでもないです。
まあ勿論、奄美空港の施設不備に対してバニラエアが適切な対応をとってこなかったというのは事実でしょうし、そこは批判されて然るべきなんですけどね。
あと、この車いすの男性がバリアフリーという側面での不利益を被ったということは確かだろうと思い、そこについて疑問点はないのですが、webページを拝見していると何点か気になるところはありました。
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バニラ航空のホームページを見てみます。奄美空港施設要件にともない、おからだが不自由なお客様/車椅子ご希望のお客様の安全確保およびSTEP利用時の不意の事故を未然に防ぐために、お客様ご自身またはお連れのお客様の補助を得てSTEPを昇降いただけるかの事前確認が必要となります。上記記載によると、奄美空港だけが問題のようです。
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これは上記Webページ上の記載であって、バニラエアは「事前確認」を要請しているんですよね。事前確認があれば対応方法も検討出来るし、柔軟な対応も可能になる。企業としては事前に確認して欲しいというのはまあ、無理からぬところだと思うんですが。
ただ、この方、以前にANAでも同じような体験をされているようです。
これは2002年の話のようで、これについても朝日新聞記事の
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多くの空港を利用してきたが、連絡なく車いすで行ったり、施設の整っていない空港だったりしても「歩けないことを理由に搭乗を拒否されることはなかった」と話す。
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という記述と食い違っていることがやや気になるのですが、まあそれは細かい話で、上記リンク中にはこういう記載があります。
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規定を超えた大きな車椅子や電動車椅子がある場合は、航空会社に伝えるべきだと思うが、私の場合は、アイルチェアー(機内用小さい車椅子)の用意だけである。現場レベルの対応で十分と考えているから事前連絡は必要ないと考えている。実際に、乗ることの多い 伊丹−羽田 では、普通の乗客のように利用してます。
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つまりこの方は、ポリシーというかスタンスとして、「小さい車いすの場合は事前連絡は行わない」という方針をとられているようなんですね。それに基づいて、今回の件でも事前連絡をされなかった、ということなのではないかと推察致します。
確かに、「車いすを使っているからといって、いちいち面倒な調整や事前確認を行わないといけないという不利益を被るのは適切でない」ということであれば、それは論点としては理解できるのですが、企業側として「事前に一言言っておいてね」というメッセージを明確に発しているのに、それをご自分のポリシーとして無視されている、というように見えます。
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2017年6月3日(土) バニラ航空、関空−奄美 チェックインカウンター。階段の搭乗タラップの写真を見せられ、歩けますか?と聞かれ、歩けませんと返答したら「乗れません」の一言。昇降車などの設備がないのは理解できるが、担いだりのお手伝いはないみたい。同行者が5人いるので「同行者の手伝いのもと乗降する」というので説得して搭乗しました。
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当日その場で、初めて車いすの確認をされている、という状況のように読めます。
航空会社側としては、「事前に知っていれば、柔軟な対応が出来る」といっている訳です。それに対して、「事前に知らなくても現場レベルで十分な対応をしろ」というのは、聊か航空会社側に酷な話なのではないかと思いました。言ってみれば、見えているトラブルをわざわざ踏みにいかれているように見えるんですね。
いや勿論、本来であれば「車いすを利用されている方でも、利用されていない人と同じ条件で搭乗することが出来る」というのが理想ではありますし、それが出来てる航空会社もちゃんとあるんでしょうけど。ただ、格安の航空運賃を設定しているバニラエアにそれを求めるのは、サービス的に無理があったりはしないかと。
勿論、バリアフリーについては対応を進めていって然るべきですし、奄美空港及びバニラエアについてその対応に不足の部分があった、という点も確かだとは思うんです。それについて今回問題提起された、ということも理解はできます。バニラエアがそれに対応して、一部は運用を改善した、というのも良い話ではあります。
ただ、今回の件が避けられなかった問題なのか、というと、避ける方法はあったように思うのです。それについて検討してみるのも意味はあるんじゃないでしょうか、ということと、あと朝日はちょっと経緯全部書かないで煽り過ぎなんじゃないですかコレ、と思ったので本記事を書いてみました。
今日書きたいことはそれくらいです。
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(追記:2017/06/30 09:05)
上記の記事について、一部訂正します。
私は、
「航空会社側としては、「事前に知っていれば、柔軟な対応が出来る」といっている訳です。」
と書いた訳ですが、もうちょっと情報を確認してみると、
「「関空−奄美線では、自力で歩けない車椅子のお客さまから事前に連絡があった際には搭乗をお断りしていた。」
ということのようですね。(参照:毎日新聞の記事)
つまり、「事前に告知していれば、スムーズに乗れていた筈」というのは私の勘違いによる誤謬でした。申し訳ございません。
以上、お詫びして訂正致します。