2017年07月07日

レトロゲーム万里を往く その138 キングオブキングス

めっっっちゃ面白かったんです。


「家庭用ゲームにおける戦術級ウォーシミュレーションの系譜」というのは、追っかけてみると割と面白いテーマです。ネクタリスとか戦闘国家とかアースライトとかファミコンウォーズとか、ああいうのですよね。

話をファミコンに限定すると、おそらく「ボコスカウォーズ(1985 アスキー)」が戦術ウォーシミュレーションの草分けに近いと思うんですが、勿論1987年11月には「ガチャポン戦士スクランブルウォーズ」が出てますし、1988年の8月にはファミコンウォーズが出ています。同じく87年11月の「宇宙船コスモキャリア」88年3月の「ナポレオン戦記」、あるいは同じく88年の「半熟英雄」あたりもその系譜のどこかに含めるべきなのかもしれません。まあコスモキャリアはちょっと毛色違いますけど。


おそらく、コンピューターゲームにおける戦術級ウォーSLGは、その多くがシステムソフトの「大戦略」の影響を受けていると思います。

ユニットの生産、マップの進軍、都市の占領、移動力の概念、兵種同士の相性。このあたり、「大戦略」がパッケージした要素というのは実に実に完成度が高かったですし、それを様々なゲームが取り入れていったのは当然の流れとも言えます。それをそのまんまファミコンに持ち込んだのがファミコンウォーズでしたし、「戦闘シーンをアクションに」という吹っ切れたアレンジを加えてガンダムゲーにしたのがガチャポン戦士でした。え?いや、すいませんボコスカウォーズは違うと思います。


で、「大戦略」をがっつりファンタジー世界観に持ち込んだゲームの一つが、「キングオブキングス」だったという訳です。

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キングオブキングス。ファンタジー風ウォーシミュレーションゲーム。1988年12月9日、アトラス開発、ナムコより発売。「最大4人での同時プレイ可能」という、特に対人戦に寄った宣伝を行い、当時もかなりの好評を博していたと思います。上記画像がタイトル画面なんですが、このタイトル画面のBGMが、透明感あって超いい曲です。

この当時、アトラスはまだ自社名義でのゲーム販売を行っておらず、「えりかとさとるの夢冒険」や「デジタルデビル物語女神転生」「女神転生II」もアトラス開発、ナムコ販売のタイトルでした。その流れなのか、キングオブキングスのキャラクターデザインも、女神転生で著名になった金子一馬氏が担当されています。(注:えりかとさとるの夢冒険も)

ちなみに、ジャレコ発売のバイオ戦士DANなんかもアトラス開発のゲームですよね。後の話になりますが、初めてアトラス名義で発売されたゲームはゲームボーイの「パズルボーイ」で、以降「チキチキマシン猛レース」や「真・女神転生」などなどがアトラスから送り出されることになります。


さて、ゲームの話をしましょう。


〇FC最高峰の「ウォーシミュレーション」

アトラス開発のゲームに「高難度、高品質」なものが多いことは、現在はほぼ定評を得ていると思いますが、実はその傾向はファミコン時代にすでに始まっていました。女神転生がそうでした。えりかとさとるの夢冒険がそうでした。そして、キングオブキングスももちろん、「高難度、高品質」の評価を欲しいままにする名作だったのです。


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キングオブキングスは、上記した通り、ファンタジー世界観の「大戦略」型ウォーシミュレーションです。プレイヤーは、一つの陣営の「キング」を操作し、お城でユニットを生産したり、ユニットを進軍させて街を占領させて収入を増やしたり、グリフォンやコカトライスを倒しまくってユニットのレベルを上げたり、うっかり相性の悪いユニットに不意打ちされて大事なユニット壊滅に悲鳴を上げたりします。

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戦闘画面はこんな感じ。弓ユニットのエルフはハーピーに対する相性がとても良いので、サクサク撃ち落とすことが出来ます。

ウォーシミュレーションとしてのキングオブキングスの特徴は、以下のような要素で表せると思います。

・ファンタジー世界観のユニットがバラエティ豊かに存在し、ユニットによっては特殊能力などもある
・ユニット間の強弱の相性がかなり大きい
・経験値とレベルの概念がある
・レベルが上がっても守備力自体は変わらない為、相性の悪い敵に先制攻撃されるとどんな強力ユニットでもいきなり大ピンチになる
・多人数プレイに対応しており、4人までの同時プレイが出来る
・CPUと戦うキャンペーンモードもある
・キングを倒せば勝ちなのだが、キングはかなり強く、「ファイター」や「ナイト」など一部のユニットでしか効果的な攻撃が出来ない
・ユニットごとに「食料」の概念があり、補給なしで移動出来る範囲が制限される
・BGMがめっちゃいい

これくらいです。

この中で、ウォーシミュレーションとして特に大きな要素は、「ユニット間の強弱の相性がかなり大きい」と、「レベルが上がっても守備力自体は変わらない」の二点だと思います。このゲーム、この二点がすごーーーく絶妙なんですよ。

キングオブキングスのユニットは、それぞれ強弱を設定されています。

たとえば、一番基本的な三すくみユニットのハーピー・エルフ・ゴブリン。エルフは弓キャラでハーピーに強く、ハーピーは空を飛べてゴブリンに強く、ゴブリンは頑強でエルフに強い。こういう相性差が、殆どのキャラに設定されているんですね。

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ユニットを雇う時に毎回お話することになるお城のおじさん。顔色が悪いです。

で、各ユニットは、戦闘を重ねるごとにレベルアップしていき、どんどん強くなっていきます。ナイトなんかはレベルがある程度上がると「シルバーナイト」「ドラゴンナイト」などにクラスチェンジしていき、そりゃもうドラゴンナイトまでいけば無双感が楽しめて非情に爽快感が強いわけなんですが。

ただ、これも「ビショップ」や「ドラゴンナイト」などの一部キャラを除いて、殆どのユニットには明確な「苦手ユニット」が設定されています。しかも、「レベルが上がっても守備力自体は変わらない」という要素がある為、どんなに鍛えたとしても、苦手ユニットに先制攻撃をされたら壊滅的な被害を受けることがあり得ます。

これによって何が起きるかというと、

・使い道がないユニットが存在しない
・どんなに強くなっても終盤ゲームがダレない

という二つの特長が発生するわけなんです。

とにかくこのゲーム、あらゆるユニットに使い道があるし、本当あらゆるユニットを使いこなさないと勝てないんですよ。ゲームバランス自体はかなりシビアで、特に敵のキングを落とす時には、かなり綿密に「攻撃を通す」やり方を考えないといけません。支配領域(ZOC)システムがあって、敵のユニットの横をすり抜けるということはできないので、「弱いけれどキングには強い」ファイターなんかを、なんとかキングまでたどり着かさなくてはいけないんですね。

そこで、手持ちのあらゆるユニットを動員して、最後まで倒しきる方法を考えないといけないわけです。

一般的なウォーシミュレーションだと、一部の強いユニットを集中運用していれば自然と勝てたり、終盤は戦力差が多くなりすぎてダレたりといったことがあまり珍しくないとおもうんですが、「キングオブキングス」はそういった問題と無縁です。手ごわい敵軍を倒す為に、最後の最後まで死力を尽くさないといけない。このバランス感覚は、キングオブキングスを「FC最高峰のウォーシミュレーション」と評してしまっても問題はないレベルのものだ、と私は考えています。

まずは、「ユニットの相性を軸にした絶妙なゲームバランスこそ、キングオブキングスというゲームの面白さの源泉だ」とまでは言ってしまっていいように思います。


〇その、素晴らしいユニットのバラエティよ。

「あらゆるユニットに使い道がある」と書きましたが、キングオブキングスのユニットは本当にバラエティ豊かで、「使い道がないユニット」が全くいません。

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都市が占領出来、キング攻略の切り札になる最弱ユニット「ファイター」。
クラスチェンジで天井知らずに強化されていく育成推奨ユニット「ナイト」。
三すくみの基本、「エルフ」「ハーピー」「ゴブリン」。ちなみに、この中でも「エルフは飛行ユニット全般に強い」「ハーピーは移動力が高い」などの特徴があります。
最強ユニットとはいかないが、苦手キャラが少なく、育成も出来る「リザードマン」。
補助魔法やユニットの召還が出来、育てば怖いものなしになる「モンク」や「ソーサラー」。
最強格だが苦手キャラも明確に存在する、「ドラゴン」「サーペント」「ワイバーン」。

遊軍として神出鬼没な活躍を見せる「グリフォン」やら、拠点防衛が得意な「ジャイアント」やら、とにかくキングオブキングスは「こいつどう使おう」「こいつどう育てよう」と思わせてくれるユニットであふれているのです。

収入を増やして強力なユニットが雇えた時の満足感、育成に成功した時の達成感、敵を蹴散らす爽快感、うっかり弱点ユニットに育成ユニットを倒される喪失感などなど、キングオブキングスは「ユニットの使いで」にあふれまくっています。

私自身は、ユニット間の相性や成長要素を含めて、「このゲームのユニットに個性づけをしたらファイアーエムブレムになる」と考えており、ある意味キングオブキングスはファイアーエムブレムの前身と言えると思っているのですが。ただ、「ユニットの使い分けによる楽しさ」という一点においては、キングオブキングスはファイアーエムブレムを上回っていると思うのです。


ちなみに、「FOOD(食糧)」の概念も重要な話で、中には「移動力が高いが食糧は少ないので、頻繁に街で補給しないといけない」といったユニットもいます(リザードマンとか)。どこでどうやって補給するか、ユニットごとに考えるというのもキングオブキングスの醍醐味の一つです。


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上記はシステムコマンド表。アタック表で、いつでも相性が確認出来る親切設計です。


こんな感じで超絶完成度の「キングオブキングス」なんですが、数少ない欠点が「現在の環境で遊ぶことが難しい」ことなんですよね。

PSの「ナムコアンソロジー2」にはアレンジ版とセットで収録されてはいるのですが、このアレンジ版がまた非常に出来がいい反面、PSVITAなどで遊ぶと頻繁にフリーズするという情報が出ています。どうも、PS2以降オミットされた描写機能が使われてるっぽいんですね。

このゲーム自体すげー面白いんで、是非ちゃんとVC化してもらって、最新機でも十分遊べる形にして欲しいところ大なのですが。取りあえず、キングオブキングスが「今遊んでも面白い」ソフトであることは間違いないと思いますので、今後の展開に期待しつつ、本項を閉じようかと思う次第です。


今日書きたいことはそれくらいです。
posted by しんざき at 07:00 | Comment(2) | TrackBack(0) | レトロゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする