2018年12月03日

「クックドゥを「手抜き」と考える頑迷な彼氏・夫」という構図について


こんな記事を読みました。

「家事の手抜き」や「家の味」について色々と自己定義して、妻に負担をかける夫の話、として読んだ人が多かったようで、随分ステレオタイプな夫だなーと私は感じました。女性のマイルールという形ではありますが、色々と毀誉褒貶のある中華料理の素についても触れられています。

まず先に前提として書いておきたいのですが、私は「家事の手抜き」というものは一切批判されるようなことではなく、むしろ家事なんて手を抜いてなんぼだと考えています。

家事にとられる時間は必要最低限であることが理想であり、私は家事の手を抜きたいし奥様にも可能な限り手を抜いてもらって、自分の時間に使って欲しいと思っており、その為の行動も色々としています。勿論夫婦間で手抜きの許容ラインは変わってきますので、そこは互いに相談しつつ、気になる分を気になる側が埋めればよかろうと思っています。

ただ、それとは全然違う問題として、「クックドゥは手抜き」という概念、それに伴う「クックドゥのような合わせ調味料を手抜きと考える頑迷な男性」という構図が一つのインターネットミーム、というか定番炎上ネタとして定着してきているなー、という印象があります。

「クックドゥのような合わせ調味料を手抜きと考える男性」を設定して、その不合理性を批判する、時には手ひどくやり込める、というお話を、web上では割と頻繁に観測するなあと。これはつまり、そういうお話に憤る人が多い、そういうお話がプチ炎上することが多いということでもあって、冒頭記事もその一つの変形ケースに該当すると考えて良いかと思います。

「炎上しやすいネタ」というものは学習されるものであって、今までは可視化されなかった実在のエピソードが、続々と可視化され始めます。で、それに伴って、架空のエピソードというのも後付けで発生するのが常です。そこから考えると、実在のケースに混じって、架空の「クックドゥを手抜きと批判する夫」というものも、おそらくそれなりの数存在するのだろう、と思います。これは仕方のないことです。

逆に、Web上の「クックドゥは手抜き」という情報を見て、「そうか、クックドゥは手抜きなのか」と学習し、それを家庭内に持ち込む夫、というのももしかすると存在するのかも知れません。面倒な話ではあります。

勿論、インターネットから離れた実生活でも、合わせ調味料を「手抜き」と考える人は存在するのでしょうし、それに罪悪感を感じる人も、それに批判的に接する人もいるのかも知れません。記憶頼りでちょっと引用が出来ないのですが、例えば「あなたにホの字」のような少女漫画でも、主人公が軽い自己卑下として「料理はクックドゥ…ずるい?」といった発言をちょこちょこしている描写があったと記憶しています。つまり、インターネット以前から合わせ調味料を「手抜き」と考える概念自体は存在した、ということです。

私自身は、クックドゥのような合わせ調味料を「手抜き」と考える人を実際に観測したことが一度もないのですが、当然のことながら、私の観測範囲は大して広くもなく、実在性も架空性も証明することは不可能です。

この「クックドゥを手抜きと批判する夫」という概念、インターネット上では一体どの辺で定着したのでしょうか。

インターネットミームとしての「「クックドゥは手抜き」と主張する旦那・彼氏」という概念については、ある程度追っかけることは可能だろうと考え、軽く調べてみました。

私が確認できた限り、web上で最も古い「クックドゥに対する批判的なテキスト」は、予想通り2ch上に存在しました。これです。


1 : 困った時の名無しさん[] 投稿日:02/03/22 21:27
クックドゥの中華調味料ってなんであんなに添加物だらけなんでしょう。
豆板醤も甜麺醤も雑味だらけで少ない調味料で仕上げたい時には使えたもんじゃない。
舌がざりざりして後味悪すぎるし、
本格中華とか言ってんならもちっとマシな調味料作ってほしいです。
で、よろしかったら皆様の懇意にしてる調味料メーカー(中華に限らず)
教えてくださいな。

5 : 困った時の名無しさん[] 投稿日:02/03/23 00:51
調味料に頼ってるドキュンがクソスレたてんな! クックドゥシリーズのメニューなんざ
そこら辺の料理本読んで添加物なくても作れるモノばかりじゃねーか。
 それもしないクソ1は添加物だらけの調味料食って、味覚障害、胃がん発症して逝ってよし。


2002年のスレッドです。ざっと読んだ感じ、この時点では「合わせ調味料に含まれている食品添加物や化学調味料に対する批判」が話のメインであって、クックドゥによって省ける家事の手間についての批判的な議論は見受けられません。ただ、食品添加物に対する批判的なスタンスは、1980年代から非常に広範なネタであり続けたので、この「添加物に対する素朴な警戒感」がクックドゥのような合わせ調味料自体に対する嫌悪感に繋がっている可能性は当然あります。関係ないけどスレ後半に突然登場する山崎渉が懐かしすぎる。


53 : 山崎渉[(^^)] 投稿日:03/05/28 15:28
     ∧_∧
ピュ.ー (  ^^ ) <これからも僕を応援して下さいね(^^)。
  =〔~∪ ̄ ̄〕
  = ◎――◎                      山崎渉


もう少し時代を下ると、こういうテキストが発見出来ます。

2010年のインターエデュ。

【1755608】回鍋肉・海老チリをCOOKDOで作るのは手抜きでしょうか

回鍋肉は豆板ジャン等いろいろ中華みそが必要なため、COOKDOを使っています。夫はCOOKDOは手抜きだから、そんなもので作るくらいなら
華せい楼で買ってきたほうがましとまで言い放ちました。


ここで、クックドゥを「手抜き」という言葉と同じ文脈に出す表現と、「クックドゥを手抜きと考える夫との衝突」というミームが登場しました。色々調べてみたのですが、観測出来た限りでは、この2010年という日付はインターネット上におけるこのテーマのタイムスタンプとしてはそれなりに早い方であるように見受けられます。ただし、この時点ではまだ、この話題が広範囲にバズる様子は見られません。

ちなみに、「批判する側の声」に注目してみると、ある時点までは「同じ主婦の立場から、クックドゥのような手抜きを批判する」というような文脈の方が多くみられ、実際に「クックドゥを手抜きとして批判している男性」本人がweb上で観測されるケースは多くありません。下記は前者の例。2012年のYahoo!知恵袋です。


Twitter上でのミームとしては、2013年に「彼氏・夫とのクックドゥをめぐる衝突」がバズっているケースが発見出来ます。これ以前でも、「クックドゥと手抜きを紐づけている発言」は複数発見出来たのですが、「頑迷な彼氏・夫」のエピソード形式で大規模にRTされているものは、これ以前だと発見出来ませんでした。

ちなみに、上記のツイートは2016年のこちらのツイートをきっかけに再度注目され、様々なサイトに取り上げられて広範囲で再燃焼し始めます。

こちらのツイート、RT数はそれ程でもないんですが、まとめサイト等複数のサイトで取り上げられており、Google検索結果にかなり広範な足跡を残しています。おそらく、「Cookdoに対して批判的に接する男性」の発言としての、ある種のモデルケースとして捕捉された面があるのでしょう。これがどうも、web上におけるこのテーマの一つの転機になっているような嫌いがあります。


これ以降、「「クックドゥは手抜き」と主張する旦那・彼氏」というエピソードは定期的に発生するようになり、割と広範な炎上をするケースも増えていることを考えると、「旦那・彼氏側」の本人が出現して注目された2016年を、「「クックドゥは手抜き」と主張する旦那・彼氏」ミームの一つのマイルストーンとして考えることも出来そうに思います。


ということで、ざーっとですが、webにおける「クックドゥを手抜きだと批判する夫・彼氏」という構図について追いかけてみました。

個人的な意見としては、冒頭書いた通り「家事は手間を省いてなんぼ」だと思っておりますので、合わせ調味料だろうがなんだろうが、手間を省ける側面があるのであればガンガン使っていくべきだと考えておりまして、それに伴う罪悪感みたいなものがもし存在するのであれば、可能な限り払拭していって頂きたいなあと考えること大な訳です。

世間の家庭人の皆さまが、可能な限り楽に家事に接することが出来ることを願って止みません。

今日書きたいことはそれくらいです。

posted by しんざき at 07:00 | Comment(15) | 雑文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
このエントリーをはてなブックマークに追加