大変面白かったです。
箇条書きでまとめていきます。ガンガンネタバレがありますので未読の方はご注意ください
・今回、ジェシカが主人公なだけあって、ジェシカに対する解像度が高まりまくる上に周辺キャラクターもいい味を出しまくっている、個人的に良シナリオでした
・アークナイツらしく、陰鬱ながらも最後にちょっと希望が見えるという味わい深いストーリーなんですが、源石とか人種差別の問題が殆ど顔を出さず、純粋に「金」「経済」の話であるところがアークナイツ内では異色と言えば異色かも
・ジェシカ、序盤〜中盤のムーヴについては、自分の個人的な資産で目についた人を救おうとするという、「お前それ結局その場しのぎになるだけで誰も幸せにならないやつじゃん……」という動き方で、周囲の人からも「それなら実家から金引っ張ってきて全員の借金チャラにしてみろや(要約)」みたいなことを言われてしまうんですが、これがちゃんとシナリオの方向性に沿っていて、ジェシカの世間知らずなお嬢様だけどそこから必死に脱却しようとしているところや、「実際誰も救われないどころかレオーネについては逆効果にすらなってしまう」というところが終盤の展開を引き立てているように思いました
・終盤で「やり直すことを恐れるな」って台詞があるんですが、つまりジェシカが「やり直す」物語なんですよね
・救えない人を、後から救おうとしても結局何も出来ない。だから最初からやり直して、悲劇が起きる前に寄り添い、守ろうとする。誤った選択かもしれない、自信なんて少しもないけれど、これがジェシカにとって初めての「自分での選択」だという舞台立ては、初期の初期から登場しているジェシカのキャラクターを深めるには素晴らしいシナリオだったと思います
・金庫の中を覗き込んで「お金に欲を感じるのは初めて」っていう時のジェシカの表情と、成長しても結局涙もろいところは変わらないという点も素晴らしい演出だったと思います
・ジェシカの実家富裕設定がここまでちゃんとシナリオに活かされるとはなあ
・「持てる者、持たざる者」「能力があるからどこでも生きていける者、そこでしか生きていけない者」の対比みたいなものがシナリオ中これでもかこれでもかと描かれていて、その壁を自分で破ろうとするのがジェシカ、という構図で理解することも出来ると思います
・今回の「なんかやたら強いおじさん・お爺ちゃん枠」であるところのウッドロウとの、本当の祖父・孫みたいなやり取りも、ジェシカがお爺ちゃん子であるという事実の提示ともに物語にハマっていたと思います
・終盤のクリフとのやり取りから決闘の流れは完全にクリント・イーストウッドでしたよね
・分かりやすい悪役・憎まれ役として銀行を提示してプレイヤーのストレスを溜めさせていたところ、終盤の展開がアクションクライムのザ・王道であるところの銀行強盗だというのも痛快でしたね。さすがクルビア、まさにアメリカ映画。
・シルヴィアが、「戦う力を持たなかったジェシカ」みたいなキャラクターで、理不尽さに抗するためについに立ち上がる、みたいな展開もとても良かった
・シルヴィアの記憶力、一般人の特殊スキルが作戦の重要な1ピースになる展開いいですよね
・ウッドロウ無双、かっこいいおじいちゃん過ぎる
・BSWの先輩の面々も大変良かった
・リスカム隊長、最初期に引いた★5で今でも思い入れがあるだけに、支店長に対して静かにブチ切れて命令拒否するシーンはめちゃくちゃ爽快だった
・融通が利かないようでいて、ちゃんと大切なところは外さないという、リスカム・フランカ組の描写好きです
・ローラも今回の脇役の中では出色の立ち位置で、単に職人肌のちゃきちゃき技術者かと思いきや、随所随所でジェシカのことをとても大事に思っているのが良くわかって良かった
・フランカさんももちろんいい味出してるんだけど、「この人は立ち位置や経歴的に、こういうダーティな仕事にももうちょっと慣れているのでは…?」とは思わないでもなかったので、反応の若さはちょっと気になった
・ヘレナさんは「お前のような老いぼれがいるか」の一言に尽きる
・全体を通してみるとジェシカが可愛かったです。
以上です。よろしくお願いします。
アークナイツのシナリオ・ストーリーはとても良いんですが、新規の方にお勧めするのがなかなか難しいのがネックですよね……孤星とか超好きなんだけど、シナリオを楽しむに至るまでの必要時間的コストが長すぎるという。