2008年06月25日

レトロゲーム万里を往く その79 バトルシティーと、「敗北条件」。

ゲーム業界で一番最初に成功したリメイクって、実はこれじゃないかと思うんだ。


まず最初に。もしかすると既存の議論の焼き直しになるかも知れないが、ゲームの「勝利条件」と「敗北条件」について考えてみる。


勝利条件というのは、読んで字の如く、「この条件を満たせばプレイヤーの勝ち(ゲームクリア)」という条件だ。例えば「インベーダーを全て倒す」とか「ステージ内のエサを全て食う」に始まり、「カイを救い出す」であるとか「ゾーマを倒す」であるとか「相手のライフをゼロにする」であるとか「金旋で全国統一する」であるとか、勝利条件というものは古今東西無数にある。

敗北条件というのは、読んで字の如く、「この条件を満たせばプレイヤーの負け(ゲームオーバー)」という条件だ。「自機が敵と接触する」や「タイムオーバー」に始まり、「プレイヤーのライフがゼロになる」とか「部屋に入った瞬間すっ飛んできたナイフに刺さる」であるとか「金旋が首を斬られる」であるとか、こちらも古今東西色々ある。


あらゆるゲームは、「勝利条件」と「敗北条件」の設定方法によって4つのパターンに分類出来る。

・勝利条件も敗北条件も両方あるゲーム:「ラスボス」が存在する様々なアクションゲーム、パズルゲーム、シューティングゲーム、格ゲー、またはゲームオーバーが存在するアドベンチャーゲームなど。

・勝利条件はあるが、敗北条件はないゲーム:ドラクエの様な、多くのRPG、戦略シミュレーション。「ゲームオーバー」という概念が存在しないゲーム。

・勝利条件はないが、敗北条件はあるゲーム:バルーンファイトやゼビウスなど、初期〜中期のループゲーム。「ゲームクリア」の概念が存在しないが、ゲームオーバーは存在するゲーム。

・勝利条件も敗北条件もないゲーム:環境シミュレーションなど。どうぶつの森とか。



この辺の話は、つきつめると万里が三回くらい書けそうだ。あまり前置きが長くなるとアレなので、取り敢えずこれくらいにしておこう。

ともあれ、こういった「敗北条件」の変遷の、一つの草分けになったタイトルが「タンクバタリアン」であり、この「バトルシティー」だったのではないかと、私はそんな風に思う訳である。

バトルシティー。固定画面型シューティングゲーム。1985年9月、ナムコからファミコン版が発売。このずっと前、1980年に業務用で発売された「タンクバタリアン」のリメイク作品であり、「ディグダグ」や「ドルアーガ」に続く、ナムコのキラータイトル群の一角でもあった。

この時期、ドンキーコングを始めとした「移植作品」というのは山ほどあったが、業務用のものを進化させた「リメイク作品」というのは、恐らくこれが初めてのタイトルだったのではないだろうか(Apple版のロードランナーを別にすればだが)。元々の底堅いゲーム性に加えて、グラフィックや効果音、2P対戦やマップエディット機能まで付加された完成度は、ファミコン初期〜中期の過密マーケットにおいても高い人気を獲得した。数あるナムコの佳作タイトルの中でも、その存在感は極めて大きい。


以下、参照URLを幾つか。

ゲーム自体については、例によってWikipediaが詳しい。
Wikipedia:バトルシティー

リメイク版の様だが、YouTubeで動画が参照出来る。
YouTube - バトルシティ(Famicom)

ちなみに、元祖「タンクバタリアン」については、こちらで画像が参照可能だ。
タンクバタリアン キャラクター図鑑


さて、ゲームの話にいこう。


・司令部という「敗北条件」の妙。

バトルシティというゲームは、戦車を駆るシューティングゲームであり、姿を変えたインベーダーである。

プレイヤーは、迷路上の固定マップを舞台に戦車を操り、画面下部に配置された「司令部」を守りながら次々に沸いてくる敵戦車を撃破していく。

一部の壁を撃ち崩すことによってマップが変化したりであるとか、連射アイテムがやたら爽快であることなどによって大きくイメージは変わっているが、ゲームの構成自体は「インベーダー」と大きな違いはない。攻めてくるのがインベーダーか、それとも戦車かという差があるだけだ。


じゃあ何が違うかというと、「司令部」の存在がものすげえ違う。


上記「敗北条件」の話に戻るが、ゲーム史の最初期においては、「敗北条件」の種類は多くなかった。「自機が攻撃を受ける」あるいは「タイムアウト」というものが代表的で、例えば敵が攻めてくるインベーダーだって、最終的にインベーダーの接触がゲームオーバーの引き金になっていたことに変わりはない。

そのバリエーションとして出現し始めたのが、「自機以外にも守る必要のあるキャラクターが要る」という敗北条件であり、例えば「キング&バルーン」であり、「タンクバタリアン」だったのだ。このゲームは、敗北条件多様化の草分けタイトルの一角なのである。


この「新たな敗北条件」が、凄い勢いでゲームを深くした。


「自分である程度変化させることが出来るマップ」と「司令部(固定陣地)」という二つの要素は強力だった。こちらから相手に攻め込むルート、相手がこちら側に攻めこんでくるルート、壁を削ることによるルートの確保・修正といった諸々の戦略・戦術に始まって、どこで敵を待ち伏せするか、どのタイミングで敵を倒しにいくかといった、数々の思考要素がいっぺんにゲームに加わったのである。恐らく、「敵のアルゴリズム」というものがプレイヤーに意識され始めたのも、この辺のタイトルが嚆矢なのではあるまいか。

司令部という「敗北条件」があることで、「攻め」「守り」という要素が明確になっていることも見逃せない。危険を承知で攻めにいくか、相手の攻撃をひたすら受け流して守備に徹するかといったバランスも、このタイトル以前にはあまり見られなかった要素だ。

「インベーダーに戦略要素を持ち込むとどうなるか」というテーマを、完璧な形でゲームにしたナムコのセンスは、つくづく物凄い。



・仁義なき2P戦(一部)。

ファミコン版の話をすれば、やはり2P同時プレイ、及び「マップエディット(好きな面構成を作成して遊ぶことが出来る)」による様々な遊びの記憶が濃い。マップのエディット機能というと、初期のハドソンが草分けだったと思うが、バトルシティーのエディット機能もハドソンのそれに劣るものではない。

壁を全部取っ払って西部劇一騎打ち状態を演出するも、逆に司令部の周囲をコンクリ壁でがちがちに固めて無敵モードを楽しむ(そして間違えて取得されるスコップ)も、プレイヤー次第で遊び方は無限に存在した。この辺、戦車をいじって遊ぶという「おもちゃ的感覚」は、任天堂のセンスに近い。

ちなみに2P戦では、味方の戦車に撃たれると一定時間動けなくなるというギミックも存在した為、アイスクライマー的仁義なき争いを演出することも可能だった。当時増え始めていた「2P対戦」の発展途上のタイトルとして、バトルシティーを捉えることも可能だろう。


私自身の話をすれば、どういう訳か「音」の記憶がみょーに強い。音といっても、ファミコン版で目立つ音といえばスタート直後のファンファーレやアイテムを取った時の効果音くらいしかない訳だが、どちらも妙に存在感があって耳から離れない。ドルアーガやマッピーに比べればBGMの存在感は薄いが、シンプルな効果音もこのゲームの味の一つかも知れない。



単純なゲームに見えて、中身は非常に奥深い。掘っても掘っても底が見えない、FC初期のナムコの名作と、「バトルシティー」は一言で言うとそんな風に総括出来ると思う。


大概長くなったので、今日はこの辺で。勝利条件・敗北条件についてはまた書くかも知れないが、なんか既出の様な気もするなあ。

次回は多分またタイトルものです。シミュレーションかも。


posted by しんざき at 17:24 | Comment(2) | TrackBack(0) | レトロゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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この記事へのコメント
バトルシティー!!!
バーチャルコンソールで遊べるようになるのをずっと待ってて、速攻プレイしましたよ!

でも、やっぱ友達と好き勝手マップ作ったりして遊ぶのが醍醐味の1つだったんだなあ、と一人寂しく遊んでて思ったのでした。面白いんだけどね。
Posted by しょうた at 2008年06月25日 22:10
>しょうたさん
>でも、やっぱ友達と好き勝手マップ作ったりして遊ぶのが醍醐味の1つだったんだなあ、と一人寂しく遊んでて思ったのでした。面白いんだけどね。

なら私と遊べばいいじゃない、ってやっぱWii買おーかなあ。

ところで久々にしょうたさんと飲みたい気分なのですが、最近は関東との往来の様子はいかがですか。
Posted by しんざき at 2008年06月27日 17:49
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