2005年12月05日

「集める」ゲーム性と「育てる」ゲーム性・その2

ところであなたがやっているネットゲーム、この二つ以外の楽しみはありますか。


今回長文。
その1、及び万里の続き。その1ではゲームの「集める」楽しみと「育てる」楽しみについて。万里ではフィールドコンバットと「集める」ことの面倒さについて書いた。

そして今回のテーマはネットゲーである。

以下、既出話だったら大変申し訳ない。ネットゲーって結構色んな人に語り尽くされてる気もして、この話もけっこー既出感があるが、まあいいや。気にせず書く。

「集める」「育てる」の雄といえば、なんといってもネットゲームだろう。およそ著名なネットゲームを見回すに、この二つの要素と無縁なネットゲームというのは、少なくとも国内においては殆ど皆無なのではないか。

例えば某11番目の有名RPGであるとか、某北欧っぽい名前のネットゲームであるとか、無論私が今やっている大航海時代Onlineにしても、ゲームの中核はほぼ「集める」及び「育てる」から構成されている。

要素としてはこんな感じだ。

・レベル上げ(育てる)
・お金稼ぎ(集める)
・スキル育成(育てる・集める)
・レアアイテム取得(集める)

その他諸々、ゲームによる。


例えば私は11番目の有名RPGをやったことがないので、分析としては聞きかじりになってしまうが、外野から聞いている限りゲーム時間の多くは「育てる」ことに注力される様だ。他、大概の有名ネットRPGはゲームの中核が戦闘と経験値稼ぎだったりしており、レベリングゲ−ムとか奇怪な用語が生まれたりしている。

勿論これ以外のコミュニケーションや仲間付き合いなども重要な中毒要素の一つなのだろうが、ネットゲームと「集める」「育てる」要素が切っても切れない関係にあることはどうも確からしい。

何でだろう、という辺りをちょっと考えてみたい。


・集める・育てるの魅惑。

実のところ話は簡単だ。最近の多くのRPGがそうである様に、この二つの要素は開発者にとって非常に魅力的な要素を幾つも備えているんである。

まず一つは中毒性だ。

前回も書いた通り、収集と育成というものは、農耕民族に対して(なのかどうかは知らないが)魔的な吸引力を秘めている。育てれば育てる程楽しい、集めれば集める程楽しい、というのは殆ど本能的な快感であったりするらしい。

例えば。お金は使うものだ、というのはまあ当然の観念である。が、こと「収集」という要素が加わる限り、話はそう単純にはならない。ネットゲーム中毒者に限らず、「お金は貯める為にある」という志向をもつ人のなんと多いことか。

ゲーム中の金銭やアイテムにしても、多くの人は「集めること」それ自体を自分で目的化し、集めたものを使うでもなく自分のステータス画面を眺めてニヤニヤしていたりする。集まれば集まる程楽しい、という快感は、説明するまでもなく誰しももっているものではなかろうか。

ゲームの目的を作ることに四苦八苦しないでも、「集める対象」だけ作っておけばプレイヤーが勝手に「集める」楽しみを見つけてくれる、というメリット。これは開発者にとって非常に大きい。

つまり、「本能的な快感による中毒性の高さ」「継続性の作りやすさ」これが一つ目のポイントだ。同時に、収集・育成という農耕民族的快感を背景にした、「費やした時間が決して無駄にはならない」という実感、あるいは錯覚も大きい気がする。


・戦場までは何人日?(パクリ)。


それとある程度同じ方向への延長線上に、「比較的開発が容易」というものがある。

およそゲーム開発の理想の形は何かというと、「ローコストハイリターン」である。テトリスの話と同じ様に、「仕組みを完成させてしまい、後はあまり手間をかけないでプレイヤーに遊び続けてもらう」という構造は開発者にとって非常においしい。

アイテムの追加やバランスの調整だけで、「集める」「育てる」快感に味をしめたプレイヤー達が遊び続けてくれる、これこそがネットゲームの一つの理想形だ(というか、大体のネットゲームはこれをやらないと採算に乗らない)。

「集める」対象を一つ設定するのに必要な労力はどれくらいか。レアアイテム一つ設定するのに、出現確率をちょいと設定するのに、果たして開発者は何人日を要求されるだろう。それ程大きな労力がかけられた訳ではない「レアアイテム」取得の為に、幾多のプレイヤー達が睡眠時間を削り取ってくれる。

これこそがネットゲーム開発最大の醍醐味であり、つまりネットゲームの一つのキモは「集める」「育てる」ことに価値を見出してくれるプレイヤーをどれだけ量産できるか、ということにかかってくる訳なのである。


・メリットとデメリットの魔術。

さてさて、「中毒性の高さ」及び「開発労力の相対的低さ」という要素をまずは挙げてきた。さて、三つ目はなんだろうか。

前回私は、「集める」「育てる」のデメリットとして「めんどーくさい」ことを挙げた。

めんどーくさい、というのは主に「費やす時間が長い」ということを意味している。レアアイテムを探して延々対象敵を探し求める時間、レベルを上げる為に延々敵を倒し続ける時間、これらはどちらもプレイヤーに多くの手間と時間を要求する。「育てる」「集める」の快感に目覚めたプレイヤーは、惜しげもなくその手間に時間を注ぎ込む。

誰でもわかる。このデメリットこそ、ネットゲームにおける「集める」「育てる」の最大のメリットだ。

全てはネットゲームの料金体系の話に収束する。

大抵のネットゲームは定額課金制である。長く遊んでもらえば長く遊んでもらえる程多くの利益が入る。

前述二つの理由から、「集める」「育てる」要素が充実していればいる程プレイヤーの熱意はあがる。プレイ時間も当然増える。

つまり、「定額課金制」という現在のネットゲームの構造に最適なのが「集める」「育てる」というゲーム性なのだ、ということ。

そして、場合によっては「「集める」「育てる」の潮流が定額課金制という理想的な形式を見出したんである」という言い方も出来るだろう。

まとめてみよう。


多くのネットゲームが「集める」「育てる」ゲーム性に特化している理由は、以下三つくらいある気がする。

・「集める」「育てる」の中毒性の高さと、それによる集客能力。

・「集める対象」を設定する労力が、その他の労力に比して比較的低い。

・「集める」「育てる」双方が、プレイ時間の長さを伴う。よって利益に結びつきやすい。


いいも悪いもない。現在のゲーム業界の潮流は、ネットゲームに限らず「集める」「育てる」に流れている。

集めるのも楽しいし育てるのも楽しい。開発者の手腕次第で、プレイヤーがこの二つに幾らでも酔えるというのはいーことだろう。ゲーム業界が盛んになり、開発者も儲かり、皆幸せになれるんだったら実に良いことだ。

ただ、余りにも「集める」「育てる」に業界が特化し過ぎるというのも、未だに8ビット機で遊び続けている身としては、なんともいえぬ違和感を禁じえなかったりする訳なのである。

以上、育てるネットゲー話、おしまい。



ところでバルト武装商船は一体いつレアレシピを落としやがりますか。バルト商船隊狩るの飽きたんですけど。

posted by しんざき at 21:37 | Comment(10) | TrackBack(0) | レトロでもないゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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この記事へのコメント
ネットゲーというよりはMMORPGですかね。

「集める」「育てる」が主流なのは、プレイヤーもそっちの方が楽だからじゃないですか? 時間をかけさえすれば、その分だけ強くなれる。集中してぐわーっとやらなくても、毎日ちまちまやってても強くなってける。
Age of Empireみたいなゲームだと、強さ弱さは完全にプレイヤー依存。強くなるには研究分析試行錯誤が必須です。物凄い魂のパワーを消費します。しかも何時間やっても弱い奴は弱いままだし、戦闘力が数字で表れるわけじゃないから、強くなったという実感も湧きづらい。互角のライバルがいないと、長続きしないと思うのです。
Posted by Zhao at 2005年12月06日 12:15
集める・育てることの魅惑は、Wizにはまった私も同感なのですな。
さらに言うならば、ボルタックの商品をコンプする喜びに加えて、それを孤独に楽しむのではなく、結果が他人に対して見えるという顕示欲を満たすことも、MMOの特性ではないでしょうか。

とはいえ、大航海時代の前にやってたUOは育てる要素も、集める要素も少なかったなぁ…。生活感というのが、魅力のMMOでしたぞ。
Posted by ロンダドール at 2005年12月06日 20:45
解約した携帯でいまだにWiz1やっててごめんなさい!
けど、村正の2本目が出たんですよー。聖なる鎧も出たんですよー・・・
(以下脱線につき省略)
Posted by napo at 2005年12月06日 20:54
今私はDSのどうぶつの森にハマったりしていますが、これも集める+育てるゲームですね。
アクションゲームとかは1回過ぎると終わっちゃうけど、確かにこれ系のゲームは長時間を必要として長く遊べる。

私はUOはまだやっていますが、最初は生き抜くゲームですが、1−2年たつと最終的には集めるゲームになってしまいます。
Posted by GOTY at 2005年12月07日 00:42
>Zhaoさん
>ネットゲーというよりはMMORPGですかね。
おっしゃる通りでございます。

>集める」「育てる」が主流なのは、プレイヤーもそっちの方が楽だからじゃないですか? 時間をかけさえすれば、その分だけ強くなれる。
>集中してぐわーっとやらなくても、毎日ちまちまやってても強くなってける。

それはあるでしょうね。私はどっちかというと開発者側のメリットの方に注目はしてますが。なんというか、集めたり育てたりする限りにおいては、あんまり小技が必要とされないとゆーか。

>ロンさん
>さらに言うならば、ボルタックの商品をコンプする喜びに加えて、それを孤独に楽しむのではなく、結果が他人に対して見えるという顕示欲を満たすことも、MMOの特性ではないでしょうか。

Wizardryは完結した世界ではありましたからねー。でもオンラインにするとあんまり面白くなさそうな予感もするのは何故なんだろう。

>UOは育てる要素も、集める要素も少なかったなぁ…。生活感というのが、魅力のMMOでしたぞ。

集める楽しみ方をする人も多かった、とも聞きますが。やっぱ長生きするには「それ以外」の部分も重要なんでしょうね。

>napoさん
>解約した携帯でいまだにWiz1やっててごめんなさい!
私のFC版Wiz3は、どうした具合か未だに電池が切れてないんですけどこれは一体何の呪いですか。

>Gotyさん
>アクションゲームとかは1回過ぎると終わっちゃうけど、確かにこれ系のゲームは長時間を必要として長く遊べる。

ただ、長く遊べるアクションゲームってのも結構ある筈なんですよね。忍者くんとか。
シンプルで奥が深いゲームって、今作りにくくなってるんじゃないかと思います。

Posted by しんざき at 2005年12月07日 02:03
こんにちは、しんざきさん^^
私も昔wizやりました、友達の部屋でnecのpc8801で。
初めて作った6人のなかでボーナス19もあるキャラがいて嬉しかったのを覚えてます。
その後wizは、FC→SFCと来て、現行はなぜかPS版だったりします。

>長く遊べるアクション
私にとっては、悪魔城ドラキュラシリーズなんかが、ソレに当たります。
特にFCの悪魔城伝説なんかは、今でも思い出したようにプレイしてます「コントローラーを通じ指先で楽しむ古典落語」みたいな感じになってますw

ちょっとお題の主旨に沿った話も。
私のハマったネットゲーだとセガのファンタシースターオンライン(PSO)なんかがあります、育て、集める、RPGなんですが、アクションの要素が強く、素晴らしく感情移入出来るゲームでしたが、それだけに高いクオリティでいつまでも飽きさせないような開発は難しかったと見え、シリーズシナリオ3くらいまで出ていましたが竜頭蛇尾的に収束してしまったようです。

そこで特筆したいのが磐梯のガンダムネットワークオペレーション2(GNO2)です。
これは1stガンダムの一年戦争を再現した戦術級のオンラインシミュレーションで、現実時間で3ヶ月程かけてプレイします。
そして終戦を迎えたサーバのプレイヤーは、レベル1に戻され再び開戦を迎えます。
育てたキャラのスキルも、モビルスーツも全てリセットされ奪われて1から再出発となります。
この同じシナリオをひたすら繰り返すゲーム形式って、開発する側はかな〜り楽チンなんじゃないかなーなんて思ったりしますが・・・
それでも思考停止して「次のクールも頑張ろう!」などと言って猿のようにプレーしてる自分は阿呆なのでしょうか??

PSOもGNO2も、全然MMOじゃありませんでしたね、申し訳ないm( _ _ )m
Posted by あーく at 2005年12月08日 03:42
あ、GNO。
あれは中毒性高いですね。私は1しかやったことないんですけど。
ポイントは、やはり区切りがついている点?
このクールが終わったらやめようと思っていても、クール終了する頃にはあーくさんが仰る通り「次のクールも頑張ろう」。そしてエンドレス。
Posted by Zhao at 2005年12月08日 19:18
>あーくさん
>私にとっては、悪魔城ドラキュラシリーズなんかが、ソレに当たります。

アレは中毒性高いですねえ。私は初代ですけど、ついついあの音楽聴きたさにディスクを持ち出すこととか、結構ありました。
その他、迷宮組曲もかなり長いこと遊んでおります。

>そこで特筆したいのが磐梯のガンダムネットワークオペレーション2(GNO2)です。

ほほうう。それは私存じませんでした。
調べてみますです。

>ツァオ氏
>ポイントは、やはり区切りがついている点?
クールごとの感覚としては人狼に近い様な気がする。
Posted by しんざき at 2005年12月10日 18:44
半年以上ROMってましたが、初カキコさせてもらいます。

このエントリーはRPGの本質を言い表していると思います。
読んだ当時、すーっと長年の疑問が氷解して気持ちになりました。
ただ、この記事を読んだ当時にも気になり、
今もってますますしんざきさんのお考えをお伺いしたいことがあります。

RMTに関して、しんざきさんはどうお考えでしょうか?
実は、最近MMORPGでちょっとした話題になっていまして。
(よろしかったらリンク先をご覧ください。)
http://www.4gamer.net/specials/060426_rmt/060426_rmt_001.shtml

RMTは色んな角度から論じることができますし、
法的問題はこれから変わっていくでしょう。
ただ、どうも議論が噛み合っていない気がするのです。
上記のリンク先でも話されていますが、
RMTの本質と、それから派生する問題が一緒くたにされて
RMT即悪と断罪され過ぎのような気がするのです。
自分自身はRMTをしたことも、しようとも思わないのですが
別に他の人がやる分には構わないと思っています。
このエントリーの言葉を借りれば、RMT購入者は
ゲームの楽しみである「集める」と「育てる」を
自ら放棄しているように思えるからです。
もちろん、これに対しては反論が来るのですが
(RMTの結果としてゲームバランスが崩壊するため楽しめなくなる)
果たして、RMTはそれほどユーザの楽しみを奪ってしまうのでしょうか?

語るのはなかなか難しいと思いますが、
しんざきさんのされているゲームに絡めても、一般論としても
何でも構いませんので、いつかエントリーで取り上げて頂けたらと願っています。
Posted by おぞん at 2006年05月03日 23:28
>おぞんさん
旅先からこんにちは。コメントありがとうございます。
RMTですか。まだ取り上げてはいませんが、前から興味があるテーマではあります。
今ちょっと旅先なんで材料不足なんですが、また取り上げさせて頂きたいと思います。コメント欄で書くかも。

ただ、一感だけで書かせてもらうと、RMTに関して「楽しみから見た観点(RMTは楽しいのかどうか)」と「モラルから見た観点(RMTはよいことか悪いことか)」の2つに論点が分かれる訳で、後者に関してはメーカーの規定がどうなっているか、という一点以外に特に語ることもなさそうですので、おっしゃる通り前者の話になりそうですね。まあ、それに関しても最終的にやる人次第になってしまいそうですが…

ちょっと考えてみます。
Posted by しんざき at 2006年05月05日 05:34
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