2005年12月06日

レトロゲーム万里を往く その48 パックランド

パック夫人の出産シーンを想像したくない。(予想:ナメック星人風)


私には20年来の疑問が二点ある。パックマンの一族は一体どの様に成長するのかということと、パックマンは果たして卵生なのか胎生なのか、ということである。

「パックマン」においては食いかけのピザみたいなナリをしていた黄色いアイツが、一体どんな修羅場を経て手足を得、帽子を得、果ては妻子まで手に入れていたのか。

男子三日会わざれば刮目して相対すべしとは言うが、たった4年の間に別の生き物チックに進化したパックマンもたいしたものだ。多分聖闘士の墓場かカリン塔辺りで修行していたに違いない。

パックランド。1985年11月21日、ナムコより発売。1980年に大ヒットを飛ばした「パックマン」の直系の子孫である。前年に発売された業務用の移植作であり、ジャンプアクションゲームの佳作としてナムコ歴代アクションゲーム群にその名を連ねている。「A・Bボタンで前後移動、十字キーでジャンプ」という操作方法が当時異色だった。

これは、元々の業務用が「前進・後退・ジャンプ」の3ボタンという、同じく異色の操作系をしていた為である。リブルラブル然り、イシターの復活やべラボーマン然り、思えばナムコ作品には元々画期的な操作法が多かった。(2レバーはクレイジークライマーのが先だったかも知れないが)

舞台の話をすれば、パックマン達が住む「パックランド」と妖精達が住む「フェアリーランド」などが世界観として設定されており、攻略本のイラストなどを見るにどーも某着ぐるみネズミランドをモチーフにした舞台の様だ。

ゲーム内容に関しては、いつも通りというかなんというか、OKINIIRI様の記事を参照して頂ければと思う。アーケード版の内容と共に、過不足のない解説をして下さっている。


・ナムコの真髄。

古来、ナムコといえばアクションゲームであり、アクションゲームと言えばナムコであった。ゼビウスがあり、ギャラクシアンがあり、ギャラガがあったとしても、やはりナムコの真髄はアクションにあったのである。

ファミコン時代、任天堂と同等以上に「操作感」というものにブ厚いセンスをもっていたメーカーというのは、多分ナムコをおいて他にないんではあるまいか。ナムコのアクションゲームは、例外なく「操作していて気持ちいい瞬間」を幾つも隠していた。ディグダグ然り、マッピー然り、ファミスタもワルキューレもドルアーガも皆その点は変わらない。

「遊んでいて気持ちいい」は遍く人気アクションゲームの必須要件である(たまに魔界村の様な例外もあるが)。遠藤氏や岩谷氏の様な異才の所有者が好き勝手に活躍出来る風土が、この辺のセンスを培ったんではないかと思える。


・パックランドの「操作感」

ジャンプに集約される。

この「パックランド」というゲームのエキスは、勿論「3ボタン」だったことにある。

アクションゲームのジャンプには二種類ある。「ジャンプした後の操作を受け付けるジャンプ」いわば待ったありジャンプと、「ジャンプした後の操作を受け付けないジャンプ」いわば待ったなしジャンプである。例えばスーパーマリオや迷宮組曲のジャンプは前者のものだし、魔界村やナッツ&ミルクのジャンプは後者のものになる訳だ。(エラソーに言っているが、昔ゲーメストでこの特集を読んだ様な覚えもある)

んで、パックランドは前者の「待ったありジャンプ」ゲームの先駆け、というか代表格にして到達点、「ジャンプ中に左右の制御が出来る」という操作感がとんでもネエ奥深さを生み出した、実はものすげえゲームなのである。

「前進」と「後退」がボタン制御になると何が起こるか。勿論答えは一つ、「連打によってスピードが調整出来る」。ただレバーの前後だけでは出来ないことが、ボタンなら出来た。このゲームの面白さは実の所全てがコレで、ジャンプ台でのジャンプで必死に飛距離を稼ぐ楽しさも、ホッパーに乗ったクライドの下をすばやく駆け抜けるスリルも、パワーエサをとって懐かしい音と共に大ジャンプで敵を食いまくる楽しさも、全部が全部「3ボタン」があって初めて成立するものだった。

この「3ボタン」をごくごく素直かつあっさりとファミコンに移植して見せた、そこにナムコの凄みがある。「十字ボタンでジャンプ」とだけ言ってしまえば、今からみればそれ程奇異な印象はないかも知れないが、当時としては相当の発想の転換が必要だった筈だ。その証拠に、ナムコは保険として「2コンでの操作方法(一般的なゲームと同じく、十字キーで左右進行、ボタンでジャンプ)」を用意しておかざるを得なかった。だが、シンプルイズベストとはよく言ったもので、「十字キーでジャンプ」という最も単純な移植策は、新鮮さもあって実にファミコンによく馴染んだ。ファミコン初期のジャンプアクションとして、多分最も完成度が高い作品の一つとなったことも、当然といえば当然なのだ。

また、新鮮さといえば「面数によってスクロール方向が逆になる」というのも当時はけっこー新鮮だった様に思う。勿論助けたフェアリーを送り届けて自宅に帰る途中の話なのだが、ここでの「魔法の靴による無制限ジャンプ」の楽しさも、このゲームの操作感ならではのご褒美だったろう。奥深い、かつ制限のある操作性と、その制限を取っ払うことによるご褒美を同時にゲームに持ち込んだ、この頃のナムコにはやはり舌を巻く他ない。


・7650点よ、伝説となれ。

ゲームの中核は大体上の様な話になると思うのだが、その他この「パックランド」というゲームには色々と当時のゲーム業界を象徴する要素がある。ヘルメットや花、風船などを始めとする様々な「隠しキャラ」なんかもそうだし、FC版になって導入された「ワープ」なんて要素も見逃せない。こういった隠しキャラだの隠しボーナスだのが一般的になったのも、ほぼこの前後の時期からであった様に思う。

特に各ステージ最後、音楽に合わせてジャンプすることによって得られる「7650ボーナス」。当時やたらと根を詰めてこれを練習していた様な覚えもあるが、結局未だに安定しない。音まで合わせてシミュレート出来るんだが。


「ホッパー」や「UFO」などの乗り物に乗って現れる、パックマンから引き続いて登場の敵群を含めて、遊び要素一杯のジャンプアクション王。パックランドは今遊んでも全く色褪せていない。「遊びをクリエイトする」の名に恥じず、初代の「パックマン」に勝るとも劣らない名作だったと言うべきだろう。


posted by しんざき at 21:48 | Comment(11) | TrackBack(1) | レトロゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
このエントリーをはてなブックマークに追加
この記事へのコメント
僕としては「ゲーセンで楽しかったゲーム」でした。
なんとなく、コントローラーを床に置いてボタンを叩きたいので、操作性に納得できませんでした。
PSのナムココレクション?だかに収録されていたので、子供向けコントローラー(でかいボタンがついている、教育用ソフト専用コントローラー)を改造して、ゲーセン感覚で出来ないものかと悩んでいましたが、子供のおもちゃを壊すわけにもいかないので、諦めました。
Posted by えっけん at 2005年12月06日 22:43
こんばんは。

ファミコンミニで移植してくれないかなぁ。
メトロクロスとかも。

それでは、単文失礼しました。
Posted by USHIZO at 2005年12月07日 01:15
>えっけんさん
実はかなりの度合い触発されて書いてます。

>なんとなく、コントローラーを床に置いてボタンを叩きたいので、操作性に納得できませんでした。

ゲーセンの重量感だけは、FC時代どーーっしっても自宅では実現出来ないモノでしたね。HORIのスティックとかFC本体と同額したりしてたし。

>子供向けコントローラー(でかいボタンがついている、教育用ソフト専用コントローラー)を改造して、ゲーセン感覚で出来ないものかと悩んでいましたが、子供のおもちゃを壊すわけにもいかないので、諦めました。

壊すというか、むしろチューンナップという方向性で。ざくっとやっちゃいましょう。是非。
Posted by しんざき at 2005年12月07日 02:06
男が…パックマン(men)
女が…パックマン(♀)と云う事でひとつ。
Posted by バブシカ at 2005年12月07日 04:10
細胞分裂説を支持してたんだが雄雌あるのなら
カエルと同じような成長過程をたどるんだろうな
ただし半胎生で卵が幼体として機能する
パックマンは実は育成ゲームだったのだw
Posted by めあ2 at 2005年12月07日 18:57
>バブシカさん
毎度引っ張ってしまって恐縮です。

>女が…パックマン(♀)と云う事でひとつ。
不思議だ、何かがおかしい。

>めあさん
>ただし半胎生で卵が幼体として機能する
それを克明に描写してたら売れなかったんじゃねえかという気がうっすらとします。
Posted by しんざき at 2005年12月10日 18:30
こんばんは。

ヨメに「パックランドって知ってっか?」と聞きました。
「パックマンじゃないの?」
「いやいや、パックマンにこう手足が生えててな…」
「(遮るように)それはバボちゃん」

ジェネレーションギャップorz

それでは、失礼しました。
Posted by USHIZO at 2005年12月13日 01:22
スー(紫色のモンスター)の頭に乗って移動出来るというのも、
今思うと一種の救済処置だったのかも知れませんね。
ゲームに慣れない序盤は得意気に多用してクリアしてました。
当時小学生……歳をとったなぁ。
Posted by DJ Joker at 2005年12月13日 11:21
>USHIZOさん
>「(遮るように)それはバボちゃん」

「謝れ!パチ夫くんに謝れ!(AA略)」って伝えておいて下さい。

>ジェネレーションギャップorz

私もたまに奥さんとのジェネレーションギャップを感じることがあります。同い年ですが。

>DJ Jokerさん
>スー(紫色のモンスター)の頭に乗って移動出来るというのも、
>今思うと一種の救済処置だったのかも知れませんね。

あれってFC版の要素でしたっけ?AC版ではそういえばやった覚えがないな。
スーに乗って屋根の上に飛び移り、さくさく進むのが私も好きでした。
Posted by しんざき at 2005年12月14日 16:16
今更書くのもどうかと思ったのですが

>ナムコのアクションゲームは、例外なく「操作していて気持ちいい瞬間」を幾つも隠していた。
これはPS1の「風のクロノア」に引き継がれていました。
心地よいBGMと共に。
(PS2版の2は1に比べるとイマイチだったかも)
もし未経験でしたら触ってみてください。
Posted by ななしさん at 2006年02月06日 21:00
>ななしさん
お返事遅れて失礼しました。

>これはPS1の「風のクロノア」に引き継がれていました。
>心地よいBGMと共に。

クロノア評判いいですねえ。いや、実はやったことないんですよ。
余裕が出たら中古ショップに走ります。
Posted by しんざき at 2006年02月12日 13:52
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック

ファミコンソフト パックランド
Excerpt: 2本の足で腕を振りながら進むパックマンが主人公。 ジャンプしてモンスターを避け、さまざまな世界を踏破し、 妖精を届けるためにフェアリー...
Weblog: ファミコンソフト一覧カタログ
Tracked: 2008-03-12 22:23