2004年11月16日

レトロゲーム万里を往く その1 〜ゼビウス〜

犬の背中に乗って歩いたことはおありだろうか。

誰しもルーツというものがある。私の場合、ゲームに出会ったルーツというものは、犬の背中に揺られて歩いた記憶と共に存在する。当時、多分私は4、5歳であった。

セントバーナードだかゴールデンレトリバーだか分からぬが、その犬はとにかく大きく、更には毛が茶色でふさふさとしていた様な覚えがある。ちびガキとはいえ、散歩ついでに私を乗せて悠々と歩いていたのだから、当時既にそこそこの歳だったのかも知れぬ。名前は確か「らぐ」と言った。私の記憶の中ではもう一匹、「ぐら」という双子の大型犬が存在したことになっているが、これは何かしらの要因による単なる私の思い込みであるかも知れず、あるいは当時読んだ「ぐりとぐら」の記憶などが影響を及ぼしているのかも知れない。

その当時、私はラグを連れたお爺さんを知己に得て、頻繁に散歩に付き合わせてもらっていた。ふかふかした背中にしがみついて、のらくらと周囲の景色を眺めるのが好きであった。

その道のりに「つくい」があった。

つくいとは駄菓子屋の名前である。これが実は「津久井」という苗字のことなのだと悟ったのはつい二、三週間前のことであり、私の奥深くわだかまっていた「つくいとは何を意味する単語だろう」という疑問は二十年近くの休眠期間を経て、ついに終止符を打たれることとなったのだった。今世紀最大といってもいいショッキングな精神体験であった。

つくいでは老木の様に歳食ったおばあちゃん(当時の私にはそう見えた)が店番をしており、私が30円を手渡すと「ミニラーメン」を開けてくれた。頼むとお湯も入れてくれた。現在で言うところのベビースターラーメンなのだが、これが当時は絶品に思えたものだ。

その店先にあったのがゼビウスである。

ゼビウスというゲームに関しては、私如きが付け加えることはもう余りない。偉大なシューティングゲームの草分けであり、日本の7割以上の人々が記憶の原体験にゼビウスを持っているといっても過言ではなかろう。データ的には若干の過言かも知れないが。

私が当時、つくいでゼビウスをプレイしたのはほんの数回程である。プレイ料金は20円ばかりだったと記憶しているが、最長踏破記録はせいぜい1面のボザログラムまで程度であった筈だ。後はずっとミニラーメンを食べながら他人のプレイするゼビウスを見つめていたのだが、おそらく子供心にその方がコストパフォーマンスが遥かにいいと悟った故であろう。私がアンドアジェネシスと初めて対面するのはずっと後、ファミコン版のゼビウスを購入した後のことであった。だが、他人のプレイを眺め、時折誰も遊んでいない筐体のレバーをがちゃがちゃとするだけでも十二分に面白い程に、当時ゼビウスは魅力的であった。

私にとってのレトロゲームは懐古ではない。今現在でも私はFC本体でことあるごとに遊び続けているし、バブルボブルの腕前に関しては最近ようやくそこそこの物にまで進化したと自負している。ただ、レトロゲーム語りの最初の一回のみは、ルーツを振り返るという意味で懐古談に終始してしまった。長々しいエントリーで申し訳ない。

つくいは今はもう地上に存在しないし、おそらくはつくいのお婆ちゃんも、勿論ラグもこの世にはいない。私が犬の背中に乗って駄菓子屋に行くことはおそらく二度とない。
だが、私は今でもまだ、ゼビウスをプレイし続けている。
posted by しんざき at 14:00 | Comment(5) | TrackBack(0) | レトロゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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この記事へのコメント
バブルボブルって未だにプレイできるんですね。
私はディスクシステムでバブってたクチです。
Posted by いす at 2004年11月16日 19:56
コメントありがとうございます。ディスクシステム、様々に複雑な意味で懐かしいですね。
バブルボブルに関しては、PCの「Ultra2000 バブルボブル」
(旧作の廉価版移植)でもっぱら遊んでおります。
奇々怪界も血涙ものの出来なのでオススメです。
Posted by しんざき at 2004年11月16日 21:38
PCと聞いて(読んで?)PCエンジンかと思って驚いてしまいました。

>様々に複雑な意味で
複雑です。。。

奇々怪界はまりましたねぇ。
魔界村なんかも好きでした。
Posted by いす at 2004年11月17日 13:11
PCEはどっちかというとナムコが強いですね。ワルキューレとか
マーベルランドとかベラボーマンとか。

魔界村はアクションへたれな私にはちょっと荷が重かったですがorz
Posted by しんざき at 2004年11月17日 15:49
ときどき読みに来てしまう。
Posted by 、 at 2016年08月31日 06:16
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