2008年09月12日

レトロゲームが大好きだけど、「今に比べて昔は良かった」とは全然思わない


今回、完全にひとり語り。ご容赦頂きたい。


私はレトロゲームが好きである。

ファミコンやスーパーファミコンやマークIIIやPCエンジンやメガドライブやF2やF3やバブルシステムのゲームが大好きである。古ぼけた旅館の一角にある半分ぶっ壊れた様なテーブル筐体や、デパートの屋上にひっそりと置いてある錆かけた体感ゲームが大好きである。

多分、一般的にいえば「懐古」の部類なんだろうと思う。私にとっては全然懐古じゃないんだけど。

ただ、何故だろうな。私は、「昔のゲームは楽しかった」という言い方には全然共感しないのだ。「今のゲームより昔のゲームの方が面白い」という言い方には近寄りたくもないのだ。今のゲームが好きじゃないからって、そこで昔のゲームを引き合いに出すなよこの野郎、とか思ってしまうのだ。


頭の中を漁ってみた。多分、理由が三つくらいある。

・面白いゲームも全然面白くないゲームも全部含めて「レトロゲームというジャンル」なのに、一概にそれが美化されることへの違和感。

・何かをけなす為のダシとして自分の好きなものが引き合いに出されることへの嫌悪感。

・「思い出」を抜きにして、純粋にゲームとしてレトロゲームを評価したい、評価して欲しいというマニア根性。



多分、私にとって、2000年以降より2000年以前の方が「ツボにハマるタイトル」が多かった、というのは事実なんだろうと思う。1980年台後半〜1990年台後半にかけて「子供」という生き物でいられたことは、私にとって物凄く幸運なことだったんだろう、と思う。

子供の頃遊んだゲームの方が、大人になってから遊ぶゲームよりも面白く思えることが多い、というのも理解している。


だが、あるいはそれ故に、私は「今のゲームをくさす為の比較対照物」としてレトロゲームが使われるのを嫌う。たいして遊びもせずにスペランカーやバンゲリングベイをクソゲーとして扱う、その様なレビューと同等か、あるいはそれ以上に「昔に比べて今は」という言説を嫌う。



今のゲームも昔のゲームも、同じ「ゲーム」という一ジャンルの構成員だから。

「全然面白くない今のゲーム」があった以上に、「全然面白くない昔のゲーム」も山ほどあったことを私は知っているから。「全然面白くない昔のゲーム」も、私が大好きなレトロゲームというジャンルの一部だから。「全然面白くない昔のゲーム」を思考から削除されたくないから。

「思い出フィルタ」なんてゲタをはかせなくても、レトロゲームは十分今のゲームと張り合えると私は思っているから。

私は今でもゲーム好きだから。昔のゲームが楽しかった様に、今のゲームもこれからずっと楽しめると思っているから。


うん、そういうことだな。これ書いてからなんとなくもやっとしていたけど、頭の中身を書き出したらすっきりした。


私にとって、「レトロゲーム」というのは一つのジャンルである。

私にとって、レトロゲームは1ミリグラムの美化の対象でもなく、1ナノグラムの卑下の対象でもない。私はこれからも、飽くまで「レトロ」という部分には依拠しない、「一つのジャンル」としてのレトロゲームについて書き続けたいと思う。

posted by しんざき at 16:43 | Comment(9) | TrackBack(1) | レトロゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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この記事へのコメント
ひとり語りにコメントするのも野暮かなあ、と思いつつ
コメント失礼します。
前回のエントリーでコメントさせていただいて、
丁寧にレスもいただけたのですが
ひとつだけモヤモヤする部分が抜けなくて。
「レトロゲーム」というジャンルとして見てるのは理解できたんですけど、
「しんざきさん自身はなんで最近発売されたゲームより
レトロゲームというジャンルをたくさん遊ぶのか」
ってとこがいまいちよくわかんないなぁ、と。

「好きな気持ちに理由なんてないぜ!」
とかいわれたらそれまでなんですけど、
ゲームがいっぱいある中で「レトロゲーム」を愛してるってのはつまるところ
「心は今よりも昔を選んでる」「今のゲームにノーをつきつけてる」ってことではないのかと。

比較論の好き嫌いとか、言い方はともかくとして、
もしよければ
「なぜレトロゲームを選んでしまうのか」を教えていただけたら
たぶん超スッキリする気がします。

なんかいろいろめんどくさいコメントで申し訳ないです(>_<)
Posted by みときち at 2008年09月13日 11:41
横槍を入れるようで申し訳ないが、
「楽しみ方」が見出せているかそうでないかの違いだと思うんだ。
2D派と3D派、あるいはドット派とポリゴン派で
意見が分かれる事がある。
それは互いの楽しみ方を理解していないか、
あるいは理解したくないかのどちらかなんじゃないかね。
Posted by dmdm at 2008年09月13日 13:22
>みときちさん
>「しんざきさん自身はなんで最近発売されたゲームより
レトロゲームというジャンルをたくさん遊ぶのか」

うちがレトロゲームブログなんでレトロゲームのことたくさん書いてますけど、最近のゲームも遊んでますよ。主に携帯機かゲーセンですけど。
据置ハードがなかなか増やせない理由は、単に赤ん坊がうちにいるからです。

まあ、レトロゲームで遊んでいる時間が今のゲームで遊んでいる時間より長いのは確かですので、それはそれとして。

>ゲームがいっぱいある中で「レトロゲーム」を愛してるってのはつまるところ「心は今よりも昔を選んでる」「今のゲームにノーをつきつけてる」ってことではないのかと。

上の文章をそのまま読むと、みときちさんは「レトロゲームが好き」と「今のゲームが嫌い」をイコールで結んでいらっしゃる様な気がするのですが、私にはむしろその方がよく分かりません。

>「レトロゲーム」というジャンルとして見てるのは理解できたんですけど、

こう書いて頂いているなら、「アクションゲームが好き」と「シミュレーションゲームが嫌い」が特にイコールではないことと同じ様に考えてもらう訳にはいかんでしょうか。
私はレトロゲームを今のゲームより長い時間遊んでいますが、それは単に一日が24時間しかないからなのです。是非36時間に増えて欲しいなあと思っています。

>「なぜレトロゲームを選んでしまうのか」を教えていただけたら

難しい質問ですね。私はシューティングゲームも大好きですが、シューティングゲームが好きな人は、何故シューティングゲームを選んでしまうのでしょうか。
「レトロゲーム」を選んでいるのではなく、「遊びたいタイトルを買ったらそれがレトロゲームの範疇だった」と言った方が近いと思います。それぞれのタイトルのどこを私が面白いと思ったのかは、私が書いている「万里を往く」に毎回長々と書いているつもりですので、良かったらそちらも読んでみて頂けると。

>dmdmさん
>2D派と3D派、あるいはドット派とポリゴン派で意見が分かれる事がある。

上の話にはあんまり関係ないですが、ドットとポリゴンの趨勢も色々と深いですよね。
私はドット大好き人間なんですが、最近のポリゴンは凄すぎてたまに実写にしか見えません。
Posted by しんざき at 2008年09月13日 21:05
丁寧なレス、どうもありがとうございます。

しんざきさんはバランス感覚に長けた方であるのは
毎日ブログをチェックしててよくわかります。
なので、前も書いてらっしゃいましたが
「どっちかに偏る感じ」が好きくないってのも理解してるつもりです。

ただ、スッキリしないのは
「今のゲームよりレトロゲームのほうがよく遊ぶ」
という面だけ見たら、「昔の方が面白かったよね」
って言ってるのと変わんないんじゃないのかなあと。
限られた時間の中で「遊びたいほう選べ」って言われたときに
レトロゲームを優先してしまうのなら
それって「昔のゲームのほうが面白いものが多い」ってことにはならないのかな、と。

理由を尋ねたのは、そこから出てくる理由って
「昔に比べて今は〜」って人が思い付いて語る理由と
ひょっとしたらそんなに変わらないからなのかな、と思ったからです。

「ツボにはまるものが多かった」と記事の中で書いてらっしゃいますが、
逆に言えば「ツボにはまるものが少ない」ってことで、
世で言われてる「最近のゲームは〜」ってのは
そこらへんの嘆きなんじゃないかな、なんて思ったもので。

いや、長々書いた上にとんちんかんな話だったらすいません。
Posted by みときち at 2008年09月13日 22:25
文章拝読させていただきました。
ついでに愚見を少々書かせていただきます。

私自身もどちらかというと所謂レトロゲーム好きな人間ですが、
「今のゲームより昔のゲームの方が面白い」という言い方は確かにあんまり使わない方だと思います。
しんざきさんほど的確な主張を持ってるわけではないんですが、
ただ単に、「ゲームを比較する」という行為自体はあんまり好きじゃないだけかもしれません。

ゲームに初めて触れるときは、いつも
「〜と比べて、このゲームは〜」じゃなく、
「このゲームの面白いところは〜」というところに着眼、もしくは探しています。

正直周りの批判や話題についていけないことがしばしばあるが、
派別とかに流されずに、ちゃんと自分自身の感覚でゲームを体験していける気もする。

いつも初心の気持ちで新しいゲームを迎えることが出来れば、
所謂現代のゲームの捨てがたい一面も見つかるんじゃないでしょうか?
私の場合は、
いつも初心に戻れるかどうかはともかく
根からゲーム好きなので、
最初から捨てる気はないけどね。(^_^)
Posted by どな at 2008年09月14日 05:04
久々にコメントさせていただきます(^^)

自分もレトロゲームのブログを運営しているのですが、便宜上レトロゲームとしているだけで新しい古いとかは区別していません。

これまで遊んだ事のなかった、または知らなかったレトロゲームは現在の自分にとって新作だとも思えますし。

結局ジャンル分けって現代病の一種なのではないかなとも考えます。

それでも自分はレトロゲームが好きなのですが、理由は簡単で「本来のゲーム性」がストレートに味わえるからだと思っています。
Posted by バブシカ at 2008年09月14日 06:42
>みときちさん
>「今のゲームよりレトロゲームのほうがよく遊ぶ」という面だけ見たら、「昔の方が面白かったよね」って言ってるのと変わんないんじゃないのかなあと。

私にとってレトロゲームは「一つのジャンル」なのですが、その前提は受け入れて頂けたでしょうか。
受け入れて頂けた場合、例えば「あるジャンル(例えばシューティングゲーム)を特に好んで遊ぶ人は、他のジャンルにダメ出しをしている」ということになるでしょうか。私はそう思わないのですが。

多分すれ違いは上の二点だと思います。これは考え方の問題なので、この二点が解決しないと、まあどっともならないかなあ、と。

>「昔に比べて今は〜」って人が思い付いて語る理由とひょっとしたらそんなに変わらないからなのかな、

そうですかね?


>どなさん
>所謂現代のゲームの捨てがたい一面も見つかるんじゃないでしょうか?

捨てがたい、というか、今のゲームってレベル高いゲーム凄く多いと思いますよ。
ただ、拡散っていうか、着眼点が多くなり過ぎてレベルの高さ、面白さが明確な言葉で表現しにくくなっているのかなあ、ってことはちょっと感じます。

>バブシカさん
お久しぶりですー。バブシカさんの詳細なレビューは、色々読み返してみても気付かされることが多くて面白いです。

「新作」「旧作」っていうのは相対的な問題ですよね。
Posted by しんざき at 2008年09月15日 17:57
初めて遊ぶゲームはすべて自分にとっては新作ゲームである。
もう言い切ることにしました。自信持ちましたので。
つうわけでリリース時期でゲームを分けるのは個人的にはピンと来ず、
一応そういう分類を口に出すのは周りに合わせてるだけ、なんですが、なんですが。なんですけれども。
すいませんこれから矛盾します。

つい思うんですよねー新しいやつつまんねぇって。

我ながら「こいつ最低だな」と思いますが、
なんでそういう頭悪いこと言い出すかというと、「面白かったあのゲームの記憶」を引き合いに出してるからだと思います。

その時の俺は、
いま遊んでるソレは確かにつまんないんだけど、
でもかつて遊んだ似たようなアレは面白かったな、
そういうふうに考えているんだと思います。

で、つまんないのは実際その「1タイトル」なんですが、
結局とか結果的にとかつまりは総じてとかそういう、
まとめてモノを言う言い方が超キモチイイので、
「最近遊んでつまんなかった某ゲーム」のみを抽出して
「新しいゲーム」はつまんねぇ、
「以前遊んで面白かった某ゲーム」のみを抽出して
「昔のゲーム」は面白かった
とか吐いているんだと思います。

当然、思慮のある発言ではありません。
あと、石は投げないでいただきたい!
Posted by じじ at 2008年09月17日 22:42
>じじさん
>「面白かったあのゲームの記憶」を引き合いに出してるからだと思います。

それ自体は悪いことじゃないと思いますよ。全然。
ただ、私自身はマニアなので、評価とそれは切り離したいなと思いますけど。

>まとめてモノを言う言い方が超キモチイイので、
一般化すると結論が凄く綺麗にまとまるんですよね。強烈な誘惑なんだろうと思います。
Posted by しんざき at 2008年09月18日 22:16
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