2005年12月20日

レトロゲーム万里を往く その49 ツインビー


「いいかいジム、人生を優しく生きる為には、いくつかのコツがある。

外壁にマトックを使わないこと、
地図の空白部分にマロールで飛び込まないこと、
そして点滅ベルではなく赤ベルをとること、だ。」
〜レトロゲーム箴言集「ヒゲとYシャツと私(民明書房刊)より抜粋」

母さん、燃えろ!ツインビーのあの三人はどこにいってしまったのでしょうね?
〜レトロゲーム断章「小波の禁忌」より抜粋〜


コナミの話は難しい。

以前にも確か同じ様な書き出しをしたことがあった。けっきょく南極大冒険の時だったか。コナミのゲーム話をする時、私は常に、そのあまりの混沌っぷりに途方に暮れてしまうのである。
私の勝手な妄想なのだが、FC時代初期という昔から、コナミの内部には二つの流派があったのではあるまいか。つまり、魂斗羅とかファルシオンとか悪魔城とかを作る流派と、ぼくってウパとか夢ペンギンとかゴエモンとかを作る流派である。そして、実はこの二つの流派は不倶戴天の敵だったりするのではないか。

時折この二つの流派が「強敵(とも)よ・・・!」とかやったりする時に、(周りに多大な迷惑をかけつつ)ワイワイワールドとか極パロみたいなゲームが生まれるんではないか、と私はそんな妄想を繰り広げる訳である。そうでも考えないと、コナミゲーム潮流の極端な変遷にはどうにも納得のいく説明をつけられない。例えばセガの、「どこをどう丹念にひっくり返してみても同じ村の仲良し小学校」みたいな風情とはあまりに異質だ。

そして、斯様なコナミのカオスを象徴しているかの様なタイトルのひとつが、この「ツインビー」ではないかと私は思うのである。

「ツインビー」。縦スクロールシューティング。1986年1月4日、コナミより発売。アーケード版は、グラディウスに先駆けて「シューティング+パワーアップアイテム」という形式の草分けの一角であり、外見はポップでありながらなかなかにハードロックな難易度で名を馳せた名作である。

縦シューとしてのツインビーの個性は、大体三つくらいに箇条書き出来る。

・基本的にはゼビウスを踏襲した、対空と対地の打ち分けシステム。

・シューティングにおける二人同時プレイの導入と、それにまつわる色々。

・ベル。

つまりはベルに始まりベルに終わるのだ。スピードアップ、分身、ツインショット、バリアなどなど、ベルを用いたパワーアップシステムは、それまで「敵を撃って倒す」だったシューティングのゲーム性をものすごい勢いで奥深くした。

シューティングにおいて「自機が強くなる」ということは、つまり「敵も強く出来る」という意味で、開発者サイドにとってはゲームのメリハリに直結する。プレイヤーにとっては強くなった状態での爽快感が非常に高まる。これを丁度90度回転させた形で導入したのが勿論グラディウスで、この2作がシューティングにおける「パワーアップ」の有用性をはっきりと既定路線にした、と言っても問題はないだろう(細かく見ていくともうちょっと前にもパワーアップ要素はあったが)。

雲を打つと黄色いベルが飛び出てくる。ベルを何回か打つと色が変わる。色が変わったベルをとると様々にパワーアップする。黄色のままベルをとると得点が入り、落とさない様にとり続けていくと段々一個のベルの点数が上がっていく。

上の段落の内容が、そっくりそのままツインビーというゲームの6割以上を占めていることは間違いないことだろう。「ベル」という要素ひとつに、得点稼ぎとパワーアップという、シューティングの二大要素が丸々収まっている。雲とベルとパステル調のグラフィック、おとぎ話の様な姿をしたツインビーも、シューティングの革命児の一人だったのである。

また、一見ポップで女の子受けしそうなナリをしているツインビーの皮を一皮剥いてみると、そこにはどこまでもハードな難易度が横たわっていた。

まずベルを望みの色に変えるのからして難しい。白ベルのツインショットなどとってしまえば、ピタッと赤ベルで止めることなど至難の業である。青ベルを間違って5つもとってしまった日にゃあ、文字通り死ぬ程速くなった自機が遠慮会釈もなく敵弾に突っ込む。

敵の攻撃も割りとおっそろしく激しかった。今の様ないわゆる「弾避け」要素こそそれ程強くはないが、このゲーム、弾云々でなく敵がそのまま高速で突っ込んでくる。押し勝つ為には通常ショットでは火力が足りない。火力を補強しようとして分身+ツインショット(私のメイン装備だったのだが)などとってしまえばバリアがとれない。圧倒的火力に押しつぶされる感覚を至極身近に感じることの出来るゲームでもあった。

結局安定装備は「3WAY+バリア+スピード二速」というのが定説だった様だが、当時火力狂だった私は頑固に「分身+ツインショット+三速」を使い続け、1ボスを瞬殺出来る火力に酔いしれては敵弾の嵐に見舞われていたものだ。結果的に私はそれなりにこのゲームをやりこみ、得点稼ぎにもまあまあはまった。


ツインビーが後に辿った道はご存知の方も多いだろう。キャラクター展開の方法論についても、このゲームはひとつの先駆けであった様に思う。上述の妄想で言えば、ツインビーは「かわいい系流派」の暴走の先鞭に用いられた様にも思え、後に画面狭しとアニメチックなキャラクターが飛び回る「ツインビーヤッホー」などには少々首を傾げる部分もあったんだが、まあ怖いのであんまり踏み込むのはやめておこう。ただ、国民的アイドル化計画には正直ちょっとどうなんだと思った。

このキャラクター路線の延長上に某恋愛ゲームの草分けが存在したことは確かな様に思ったりもするのだが、まあとりあえずは「グインビーのパイロットはいつの間におっさんから天才赤ちゃんになった?」という疑問を提起しておくに留めておく。私も大人になった。


長くなったのでまとめておく。

・コナミの内部って実は内部抗争とか結構苛烈だったんじゃねえかという様な妄想(世紀末な感じ)。

・ツインビーはパワーアップ系シューティングの草分けであった。

・バリアをとった直後に押し寄せる敵軍が鬼畜です。

・そういえばポコポコ大魔王は一体どこにいった。


どうでもいいが、私がツインビーをやっている横で「それ、ツインビーみたいなゲーム?」とかのたまったうちの奥様、ちょっとそこ座れ。
posted by しんざき at 15:38 | Comment(14) | TrackBack(0) | レトロゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
このエントリーをはてなブックマークに追加
この記事へのコメント
うわ〜!これは懐かしいですよ〜!!!
やりまくったなあ。面白かったなあ。
弾に当たると腕が取れて、地上攻撃ができなくなったりするあたりが凝っていたようにも思うのです。

そして、オチがっ!(笑)
Posted by しょうた at 2005年12月20日 16:20
こんばんは。
燃えろツインビーといえば、最初にバリアを何回か張りなおすと何故か何回ミスしても自機が復活してくる謎の現象が。後にエミュでプレイした事もあるのですが再現しました。結果、一発クリア。私だけの現象だったのでしょうか……。ディスクシステムの正規版でも一発クリアだったので、「クソゲー」ともまた違う不条理な感覚を憶えた事を思い出します。
ツインビーといえば漫画家の吉崎観音氏が有名ですよね。ツインビーの同人から現在へ。氏を知った当時は「オフィシャルな人?」と不思議に思っておりました。
Posted by 汁粉善哉(しるこ) at 2005年12月20日 18:41
流派の話ちょっと面白いかも。
確かに思い返せば分類できなくもないと思ったり。
ツインビーはひたすらやりこんだなぁ。
4面だっけ、ボスのバリアを全部剥いでからちくちく倒すのが好きでしたよ。
Posted by GOTY at 2005年12月20日 21:39
大往生流です!
全ての流派は大往生流を源としているのです!
したがって近いうちに「出たなツインビーヤッホー!大往生!!」と言うタイトルが出たとしても不思議ではないのです!

以上「流派」に過剰反応した人のタワゴトでした。
Posted by napo at 2005年12月20日 22:59
ウィンビー国民的アイドル化計画をバカにするなーっ
Posted by おさかな at 2005年12月20日 23:35
こんばんは。

ツインビーは横スクロールのしか見た事ないとかのたまった
ウチのヨメも一緒にちょっとそこ座れ。

流派、良いですね。
エキサイティングベースボール班とがんペナ班ががっちり
手を組んでパワプロを(嘘

それでは、失礼しました。
Posted by USHIZO at 2005年12月21日 00:02
ツインビーとウィンビーの正式名称はきっと
新型超最強撲滅戦闘機 甲型乙型 とかいうと思う

もえろツインビーはスパイス戦役から結構立ってるので
子孫とかそれ系かと
赤ちゃんが成長してでも有り
Posted by めあ2 at 2005年12月21日 01:54
>しょうたさん
>そして、オチがっ!(笑)

うちの奥様はpop'n ツインビーしかやったことがなかったそうです。というか、この会話がツインビーを書くことを決めた経緯だったり。

小一時間言い聞かせておきましたので安心してください。

>汁粉善哉さん
>燃えろツインビーといえば、最初にバリアを何回か張りなおすと何故か何回ミスしても自機が復活してくる謎の現象が。

おお!?それは存じませんでした。大技林か何かには載ってませんでしたでしょうか。

>ツインビーといえば漫画家の吉崎観音氏が有名ですよね。

実は観音氏は、「ゲーメスト」上で連載されていたゲームしりとり(4コマ)がさり気に昔から好きだったんですが、ツインビーが出世作だったんですね。パステルか。


>GOTYさん
>確かに思い返せば分類できなくもないと思ったり。

分類というかなんとゆーか、私には沙羅曼蛇とXEXEXを同じメーカーが作ったということさえ既に信じられません。

>napoさん
>「出たなツインビーヤッホー!大往生!!」と言うタイトルが出たとしても不思議ではないのです!

大往生とつくと、どのゲームもこのゲームもなんかスゴげな弾幕ゲームになりそうな予感がします。個人的には「けっきょく南極大冒険・大往生」とか希望したいです。

Posted by しんざき at 2005年12月22日 12:05
>おさかなさん
お待ちしておりました(笑)
いや、違うんですよ。バカにしてる訳じゃぜんぜんないんですけど、なんとなく後の藤崎詩織がどーとかこーとかと被ります。イメージとして。

>USHIZOさん
>ツインビーは横スクロールのしか

えーと、それはアレですか、レインボーベルアドベンチャーとかパロディウスとかそーゆーアレでしょうか。

>エキサイティングベースボール班とがんペナ班ががっちり

実は私はさり気にガンペナ好きでした。人に言うと変態扱いされますが。


>めあ2さん
>新型超最強撲滅戦闘機 甲型乙型 とかいうと思う

それどこの蒼穹愚連隊?

>赤ちゃんが成長してでも有り
ショタお姉さん達の夢が壊れそうでアレです。
Posted by しんざき at 2005年12月22日 12:10
あのぅ・・・『蒼穹紅蓮隊』ですけど(笑)。
Posted by 水奈上大地22B at 2005年12月22日 16:33
>水奈上大地22Bさん
ああ、トレンドマイクロとマクロメディアを素で間違えるのが不倒城クオリティなんで、まあ気にしないでやってください。私は気にしてません。

Posted by しんざき at 2005年12月22日 18:18
しんざきさんコメントありがとうございます。
例の現象は裏技系の本はほとんど読まなかったもので正直裏が取れません。個人的な疑問だったもので……半端なコメントですいません。
>吉崎氏
これは当時(自分が中〜高校?)の時に友人から見せられた氏のツインビーの同人誌の事なのですが、余りの違和感の無さっぷりに私は目を白黒させておりました。これは推測ですがそこからメストに声をかけられて……なんて展開なのではないかと。あー、この辺も当時を知る人がいればorz
Posted by 汁粉善哉(しるこ) at 2005年12月22日 20:41
吉崎観音は確かにツインビー描いてたね。
懐かしい。
彼は私にとってはこがわみさき、漆原友紀
犬上すくねに告ぐローディスト作家の1人って認識だな。
Posted by N at 2005年12月23日 00:50
>汁粉さん
>ツインビーの同人誌の事なのですが、余りの違和感の無さっぷりに私は目を白黒させておりました。

既にしてオフィシャルの様な雰囲気をかもし出していたんですねえ。
同人作家の青田刈りって、漫画誌だと結構聞きますけどゲーム誌もなんかやってたんでしょうか。

>Nさん
ローディストって言葉を私が知らなかったのだが、奥様に聞いてみたらファンロードという単語が返ってきた。奥が深い。

Posted by しんざき at 2005年12月25日 18:48
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック