2008年11月10日

レトロゲーム万里を往く その83 レイストーム

眼下に、世界があった。


それがどんなゲームであれ、「一語で魅力を表す」ということは大変に難しい。ゲームというのは様々なウリ、様々な魅力の集合体だ。全体として面白いゲームであれ、それほどでもないゲームであれ、あるゲームの魅力を表現するにはどこまでも言葉を尽くさなくてはならない。

ただ、ことレイストームというゲームにおいては、私はたった一つの言葉で、ゲームの中核部分の4割程度は説明出来るのではないかと思っている。

たった一つの言葉。それは、「圧倒的な視点コントロール」


レイストーム。縦スクロールシューティング。1996年、タイトーから業務用発売。翌1997年にはPS・SSにそれぞれ移植され、特にPS版はかなりの再現度と、アレンジバージョンである「エクストラモード」が好評を博した。特にフルアレンジされたBGMに関しては、それだけで単独のCD(ノイ・タンツ・ミックス)が売れてしまう程の恐ろしい完成度だった。ZUNTATAの黄金期だったと言っていいだろう。

フルポリゴンでありながらドットの細やかな表現と比して何の遜色もないグラフィックと、通常弾とは別に相手を攻撃することが出来る「ロックオンレーザー」が大きな特徴である。ゲームバランス、BGM、演出、世界観と、頭の先からつま先まで一級品オンリーで構成されているタイトルだが、私はこのゲームが名作である所以が「視点」にあると考えている。


レイストームというゲームの話は、それ単体では完結しない。まずは同じタイトー生まれの先達の話から始めるべきだろう。


・シューティングにおける、「見下ろす」という感覚。

縦スクロールシューティングと、横スクロールシューティングの間には、様々な厚さの壁がある。その一つ、縦シューでは味わうことが出来るが、横シューでは決して得ることが出来ないというものが、「見下ろす」という感覚である。

大半の縦シューは、基本的に「上から見下ろす」という画面構成で形作られている。プレイヤーは丁度自機や敵機の更に上に陣取っており、そこから自機や敵機の動き、更には背景画面である「地上」を見下ろしている、というのが多くの縦シューに共通する構図だ。

視点に限っていえば、縦シューのプレイヤーは神の位置にいる。こればっかりは、自機や敵機を横から眺める形である横シューではどうあがいても体感出来ない。


といっても、私が「今、自分は背景を見ているのではなく、遥か下方を見下ろしているんだ」という感覚を本当に体感出来たのは、かなり後になってからのことである。ゼビウスに、ツインビーに、究極タイガーに、イメージファイトに、私は様々な形で衝撃を受けたが、「自分が神の視点にいる」ことを必ずしも実感できた訳ではなかった。


私に関する限り、画面ではなく舞台を「見下ろしている」ということを初めて意識出来たのは、「ガンフロンティア」における出来事だった。

5面冒頭。遥か眼下に広がる敵機の大群は、まさに「軍勢」。その上空を飛び、敵の本拠である峡谷にたった一騎で突入する自機、流れるBGMは鳥肌が立つ程の悲壮感「ユンファオ」。殺す気純度100%の弾幕を潜り抜けた果てに、部下である筈の敵機を蹴散らしながら現れる5面ボスと、流れ出す1面BGM「砂漠の山嵐」。


(03:37くらいから)


5面→6面の展開と併せて、ゲーム史上に残る熱い展開だったと言うべきだろう。面構成だけで物語を表現し切った「ガンフロンティア」。STGで演出の話をするならば、やはりガンフロンティアというタイトルを外して語る訳にはいかない。


そして、_ガンフロンティアで表現されたあの眼下の大群を、ゲームと直結させたタイトルが言わずと知れた「レイフォース」である

レイフォースというゲームを、私は二つのキーワードで捉えている。一つは、「1ミリの狂いもなく統一された演出と世界観」。もう一つは、「「視点」という要素をゲームシステムに持ち込んだ、ロックオンレーザーというシステム」


ロックオンレーザーというのは、自機と同じ面に攻撃する通常のショットとは別に、「自機の下方」にいる敵機をロックオンし、そこに落ちていく誘導レーザーを発射出来るというシステムである。アフターバーナーにおけるミサイルでゼビウスの対地ブラスターを撃ったもの、と考えればそれ程外れない。

ガンフロンティアにおいては、飽くまで演出だった「眼下の敵」。レイフォースでは、遥か下方の敵が得点稼ぎのターゲットであり、突如上昇して攻撃してくる敵であり、世界を彩る劇団員でもあったのである。

ロックオンレーザーは、「様々に高さの違う敵」という要素と、「一度に複数の敵をロックオンレーザーで倒したらボーナス」という要素をSTGに持ち込んだ。この二つの要素は、プレイヤーにどの様な影響を与えたか。

一つは、「眼下に次々と現れる敵を追うことによって、ごく自然に「見下ろす気分」を味わうことが出来た」。もう一つは、「眼下の敵をどういう順番でロックオンし、どの様にまとめて撃墜するか、というパズル的要素を楽しむことが出来た」。この二点が、レイフォースを「通常の縦シュー」ではなくしているポイントである。


そして、レイフォースのエキスをそのまま受け継ぎ進化させた、生まれるべくして生まれた名作が私にとっての「レイストーム」である訳なのだ。


・レイストームが見せた「進化」。

レイフォースに比べてレイストームが進化した点は幾つかあるが、ゲームシステム的にはなんといっても

・対空レーザーの出現
・二号機(追尾型レーザー:レーザーを発射した後も引き続きロックオンが出来る)の登場


の二点が大きいだろう。

レイフォースにおけるロックオンレーザーの標的は、飽くまで「下」の敵に限られる。自分と同じレイヤーの敵は、今までのSTGと同じくショットでなぎ払わなくてはいけない。それに対し、「やろうと思えば全ての敵をロックオンレーザーで倒せる」様になったのがレイストームだ(実際にやるかどうかはまた別の話だが)。

レイフォースにおけるロックオンレーザーは、基本的に「ロックオンし終わった後」発射しなくてはいけない。その為、場面によっては「ただロックオンしているだけ」という動作が必要になることも多い。それに対し、「撃ってからロックオンを追加してもちゃんと反応してくれる」という要素を持ち込んだのがレイストームの二号機、追尾型レーザーだ。

「全ての敵をロックオン出来る」「動きながらロックオンレーザーを撃てる」という二つの進化は、ロックオンレーザーというシステムをレイフォース以上に輝かせた。眼下の敵を見下ろしてロックオンレーザーをトリガーする感覚に魅せられたプレイヤーは、それぞれのやり方でロックオンパターンの開発に打ち込み、各面でのロックオンボーナス稼ぎに取り憑かれることになる。


・TAITOシュー演出と、ZUNTATAサウンドの真髄。

まあ一言で言うと、「4面や7面の演出超絶かっこいい」という話なのだが。


私は冒頭で、「視点コントロール」という言葉を使った。私が知る限り、「プレイヤーの視点を操る」という点で、レイストーム程演出が卓絶しているゲームはそうざらにはないと思う。

例えば1面冒頭。画面奥から手前の方向に飛行する自機R-GRAY。一瞬後に、カメラがぐるっと旋回し、横スクロールの様な視点を経て通常の縦シュー視点に収まる。



ここだけ見るとほんの軽い演出だが、この直後から始まる「ロックオンレーザーによる「見下ろす」という感覚」と相俟って、レイストームはごくごく自然にプレイヤーの視線を「吸い込む」。ほんの一瞬前まで三人称の位置にいたプレイヤーは、カメラの旋回と「下方から上昇してくる敵機をロックオンする」という動作を経て、殆ど瞬間的に「見下ろす」という視点に遷移しているのである。

4面の演出は更に顕著だ。冒頭のカメラワーク(参照:youtube)の移動も然ることながら、この面では文字通り「遥か下方」の戦艦がロックオンターゲットとなり、攻撃を打ち上げてくる敵ともなる。スケールで言えば数キロから数十キロは離れているであろう戦艦を見下ろしながら、そこにレーザーを撃ち下ろし、あるいは撃ちあがってきたレーザーを紙一重でかわす。プレイヤーの視線を「高さ」「深さ」というレベルで縦横無尽に操る縦シューは、そうそうありふれたものではないと私は思う。


無論、レイストームの演出は三次元的なものばかりではない。1面と打って変わって涼やかな2面のBGM、3面で高速スクロールする背景の美しさと滝上をかすめながら始まるボス戦。4面の宇宙戦は2DSTGの枠を完全に飛び越えたものだったし、5面のラストで突如画面下方から踊り出るガイセリックには恐ろしい存在感があった。

6面7面と悲壮感を上増ししていくBGMに、立ち塞がる「アラリック」や「スパルタカス」。最終ボスで流れるBGM、余りにも重厚な「HEART LAND」と「INTOLERANCE」に至るまで、レイストームというゲームにはとことん「浮いた」演出がない。TAITOシューの世界観作りの一つの集大成だと言ってもいいだろう。



私に関する話をすれば。

私は元来横シューターである。これは別に横シューが上手いという意味ではなく、横シューよりも縦シューが遥かに下手っぴーであるということを意味する。3面中盤のドレイクどころか1ボスペンドラゴンのちょい太レーザーでも死にかねない、私の下手っぴーぷりは括目に値すると言えよう。

レイストームの難易度は、中盤以降遠慮会釈なく上昇する。4ボスゼノビアの浮遊機雷 + 高速レーザー、5面中盤の悪魔クレイジービット。アラリックのビット+ばら撒きの二重攻撃といい、ガンフロ5面を思い起こさせる7面道中の本気過ぎる弾幕といい、私の様な下手っぴーシューターを300回くらい挫折させてもおかしくない難易度である。

しかしそれでも挫折出来ず、幾度となくコインをつぎ込んだ理由は、やはりこのゲームの魔的な世界観、魔的な演出の魅力にあったと思う。極論を言えば、私は「INTOLERANCE」が流れるユグドラシル戦に辿りつく為に、このゲームを遊び続けていたと言ってもいい。

死に続ける内に少しずつ少しずつ学習させてくれる難易度も、どの場面場面を切り取っても見尽くせない世界観も全てひっくるめて、レイストームは疑いなく私にとっての「最強の縦シュー」である。



ということで、今回はこれくらいで。次回はもうちょっと前の時代に戻る予定。
posted by しんざき at 19:05 | Comment(8) | TrackBack(0) | レトロゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
レイストーム…レイフォース、そしてダライアス外伝と共に、俺にとっても記念碑的作品です。

グラフィック最高、サウンド最高、メカ最高…。あれから12年経ちますが、未だにこれを超えるビジュアルのシューティングに出逢った事はありません(あくまでも個人的意見です)。SHTの進化は止まってしまったのだろうか…orz

初めて見たのはゲーメストの10周年イベントの会場。皆がバーチャファイターの大会にばかり夢中になる中、プレイ画面をギラギラ目を輝かせながら見た記憶があるなぁ。あの衝撃は今でも忘れる事が出来ません。

ただレイストームは難度が相当高く、その割りに残機が一切増えなかったりと、マイナス面もあったのが本当に残念でなりません。

クォータービューによる3D視点は、演出的には最高だったのですが、逆に感覚的に弾が避け辛く感じてしまったりとか…。

故に最初の客付きは物凄かったのですが、高難度に挫折したのかあっとゆう間に客が離れていってしまい、その完成度の割にアーケードでは比較的短命に終わってしまった感があるのが心底残念でなりません。

そういえばサントラCDをマルゲ屋に買いに行ったりもしたなぁ…。近所のCD店に売ってなかったので静岡から新幹線で東京まで行って、すぐに帰って聞いたりもした(エェェ(´д`)ェェエ)

そんな自分のフェイバリット曲は、7面のBGM「slaughter hour」です。あの泣きのメロディが堪らない。…長文スマソorz
Posted by 通りすがりのQui-Qui at 2008年11月11日 06:04
うあー。この手のエントリには画面写真がホシー。(無茶を言う)
レイシリーズは、シューティングから遠ざかっていた自分をまた弾幕の海に返したヤツラです。
Posted by 島国大和 at 2008年11月11日 10:51
レイストームは俺をシューターへの道に進ませた1本です。当時高校生で金がなく、家で1面だけ完璧にパターン化してほぼ理論値MAXの96万点まで到達させたなぁ…。
Posted by tera at 2008年11月11日 11:22
>通りすがりのQui-Quiさん
>そんな自分のフェイバリット曲は、7面のBGM「slaughter hour」です。

slaughter hour私も大好きですよー。いやまあ、レイストームに嫌いな曲って存在しないんですが、6面7面と、後半になるにつれて悲壮感を増していくあの展開が最高ですよね。

>ただレイストームは難度が相当高く、その割りに残機が一切増えなかったりと、マイナス面もあったのが本当に残念でなりません。

難度についてはどんなもんか分かりませんが、残機のエクステンドはちょっと欲しかったですよね。開発者さん的には意図して外されている様なのですが。

>アーケードでは比較的短命に終わってしまった感があるのが心底残念でなりません。

そうなのですか。なんか自分がずーーっと続けているのであまり意識がありません。

>島国大和さん
>うあー。この手のエントリには画面写真がホシー。(無茶を言う)

うぐっ。いや、画面写真については色々考えているのですが、これがなかなか。今後考えていきたいと思います。

>teraさん
>家で1面だけ完璧にパターン化してほぼ理論値MAXの96万点まで到達させたなぁ…。

つまみ食い的にやりこんでも面白いゲームですよね。
Posted by しんざき at 2008年11月12日 09:38
出たときが中一くらいだったんですがそれはもうとんでもない衝撃だったですね。

エントリで触れられてる通りすさまじい3Dグラフィク、四面の背景や演出のかっこよさには本当に心奪われました。

そして音楽がまたすばらしい、コイン投入時とかプレイヤーセレクトとか時間いっぱい聴いてました。おかげでサントラ買っちゃいましたし。

自分がゲームの世界に深く足を踏み入れるきっかけとなった作品なので紹介していただいて嬉しい限りです。

あえて苦言を呈するとすれば難易度の高さ、というか知らなきゃほぼ即死な攻撃が多かったことでしょうか、あの演出をマニアしか楽しめないような形にしたのは宝の持ち腐れだよなぁと思います・・・
Posted by clugebb at 2008年11月16日 11:53
>clugebbさん
かなりやりこんだのでやり始めた頃の記憶が薄いですが、確かに即死攻撃は多かったですね。4面のレーザーとか。
ただ、それを克服してでも先が見たいという演出を用意した、というのも多分、開発者の意図の一環だったんだろうなあとも思います。
Posted by しんざき at 2008年11月19日 18:51
ガンフロンティアで高度を表現しているというとあと2面ですね。
序盤で上空から降下する輸送機と終盤で地上を滑走する中型攻撃機。
もっとも攻撃機の方は1機だけですし、普通は滑走中に撃破するので浮かび上がってくることはまずありませんが。

高度表現としては沙羅曼蛇6面の対空砲火よりゼロスフォース破壊の方が好きです。
Posted by Birdhead at 2008年11月29日 04:00
>Birdheadさん
ガンフロは全編、超絶職人芸な演出満載ですよね。

沙羅曼蛇は、ゲーセンでは6面まで辿り着けませんでしたすいません。
Posted by しんざき at 2008年12月01日 18:35
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