レオン「ふー、ようやくサントドミンゴについた。さて、サンゴを積み込んでと。あれ?」
ロッコ「どうしやした、提督」
レオン「なんかサンゴ売ってないんだけど。ピーナッツ油なんて交易品あったっけ?」
ロッコ「隣のサンファンって港で売ってるそうですぜ、提督」
レオン「そんな港あったっけ?…って、なんで一桁しか買えないんだこれ。金も倉庫も足りてるぞ、こらオヤジ」
交易所店主「カテ4がいるっす」
レオン「カテ4?何それ」
交易所店主「仕入発注書っす。ちょっと前まではブーメランで購入量回復したけど、お上の手が入って厳しくなったっす」
レオン「だから何それ。ブーメラン?武器?」
交易所店主「カテ4集めはジャカルタの交易クエがオススメっす。セビリアまで往復することになるっすけど」
レオン「一体何の話をしてるんだあああっ!!」
(「オンライン浦島太郎物語(民明書房刊)」より一部抜粋)
PCゲーとコンシューマーの間に越えられない壁があった時代が、かつてあった。
PCを買う重要な動機が「ファミコンやスーファミでは出来ないゲームをしたい」だった時代があった。インターネットの隆盛など想像もしなかった時代、PCが本当に高級機だった時代、今のCPUクロック数の100分の1以下の性能のPCが今のハイエンドモデルの値段で売られていた時代、そしてPCでないと出来ないゲームがとても重要だった時代があった。
ファミコン時代にゲームを触っていた人の中には、「あー、パソコンのゲームやりたいなー」と思ったことがある人がかなりの数いる筈だ。当時、PCの美しいグラフィック、凄まじい音質、そして数々の「PCならでは」のタイトルは、一部のファミコン小僧達の羨望の的だった。
例えば、アドベンチャーゲーム。初期のデゼニランドやサラトマからジーザス、スナッチャー、ポリスノーツまで、真っ先にコンシューマーに取り込まれていったジャンルではあるが、そのグラフィックは後々まで崩れない牙城だった。
例えば、RPG。夢幻の心臓やウルティマ、ウィザードリィから、イース、ブランディッシュ、ソーサリアン、ザナドゥなどのファルコムシリーズ。ルナティックドーンも有名だろう。ファザナドゥの例を出すまでもなく、ファミコンで「そのまんま」のRPGを遊ぶことは極めて難しいことであり、当時のRPGの本場は間違いなくPC市場だった。
例えば、シミュレーション。ロードモナークやパワーモンガー、大戦略、あるいはパワードール。ポピュラスにもシムシティにも、パソコンでないと出来ない時代があった。RPGと並んで、PCゲーム市場の中核だったといっていいだろう。
例えば、ギャルゲーやエロゲー。草分けとなったのは多分「同級生」だろう。一時代を築いたプリンセスメーカーや、メルクリウスプリティなんてタイトルもあったと思う。
アーケードゲーム業界と並んで、PCゲーム業界がゲーム市場をリードしていた時代、英雄伝説やエメラルドドラゴンがコンシューマーに移植されれば大騒ぎされていた時代、もう遥か昔の話だ。
当時は日本ファルコムが、アートディンクが、マイクロキャビンが、システムソフトが、確かにゲーム業界を回す焦点の一角だったのである。
そしてそんな中でも、PC-コンシューマーという軸においておそらく最強の影響力を有していたのが光栄というメーカーであり、信長の野望であり、三國志であり、提督の決断であり、大航海時代だった訳なのである。
大航海時代。シミュレーションゲーム。1990年、光栄よりPC版が発売。当時の光栄は「リコエーションゲーム」と称していたと思う。極めて高い自由度を中核として、グラフィック、音楽、ゲームバランス、どれをとってもハイレベルなゲームだった。そして、おそらく、PCがコンシューマーゲーム機に対して絶対的な優位を保っていた最後の時代のゲームだった、ともいえるのではないだろうか。
PC-8800が最初のプラットフォームだった筈だが、おそらく最も売れたのは、後に光栄定番シリーズで復刻されたPC-98版だろう。翌年1991年3月にはファミコンにも移植され、92年に発売されたSFC版と並んで人気を博し、後の「大航海時代2」を経てシリーズとしての人気を磐石なものとした。現在稼動しているオンライン版は、信長と並んで光栄産MMOの代表格となっている筈である。
以下は、ゲームとしての大航海時代についての参照URLである。まずはWikipedia。
Wikipedia:大航海時代 (ゲーム)
SFC版だが、画面写真はこちらから参照出来る。
大航海時代(FC)
まずはゲームの話にいこう。
・世界地図教育用ソフト。(注:沿岸限定)
大航海時代は、16世紀初頭、ヨーロッパが世界各地に船を派遣していた時代を舞台にした船舶ゲームである。プレイヤーは船を駆ってリスボンから航海に発ち、貿易をしたり海戦をしたりポーカーをしたり酒場女を口説いたりカノン砲をぶっ放したりする。
ゲーム全体を通していえることは、自由度が極めて高いことだろう。ゲームは基本的には「金稼ぎ」「名声稼ぎ」を主軸として行われることになるのだが、その為に出来ることは実に多種多様だ。プレイヤーは港から港を飛び回って交易をしてもいいし、船を襲いまくって海賊と化してもいいし、ギルドで仕事を請け負ってあちらこちらの港で投資をしてもいいし、酒場でひたすらブラックジャックやポーカーに魂を燃やすという選択もある。
とはいえ、ゲームのメインが「交易」と「海戦」にあることは間違いなく、ゲームとしての面白さもそこらへんに詰まっている。
交易の基本は、安い交易品をたくさん仕入れて、高く買ってくれる別の港に運んで売ることである。このたった一文に、大航海時代というゲームのエキスが3割程度は含まれている。
ある港では安く買えて、よその港に持っていくと高く売れる交易品を探すこと。たくさんの交易品を積む為に、もっと大きな船を買うこと。このサイクルには麻薬的な楽しみがあった。例えば「ボルドーでワインを仕入れてリスボンで売り飛ばす」であるとか、「アフリカで象牙を仕入れてロンドンで売り飛ばす」といった様々な交易路を開拓する内に、プレイヤーは自然と地中海沿岸の地図を覚えこみ、アフリカや新大陸といった、更に遠くの港を目指すことを考える様になる。
近海の交易は安全、かつ短期間で収益を挙げることが出来るが、儲けの幅は小さい。遠方の港の特産品は、運んでくれば一気に儲けることが出来るが、ハイリスクである。
この辺の絶妙なバランスがこのゲームの肝の一つであり、コショウを求めて命をかけた当時の船乗り達の気分を味わわせてくれる、気がしないでもない。気のせいかも知れないが。
一方の海戦はというと、強い船に大砲や水夫をたくさん積んで、自分より弱い船を襲う、ただひたすらこれである。
戦闘自体は、大砲の射程を有効利用した船同士のドッグファイトという趣で、三國志や信長の海戦と大きくは変わらない。カルバリン砲やカノン砲を敵の背後からぶっ放すことに全力集中するのみであるが、やはりなんといっても「勝利後の積荷分捕り」がいかにも海賊海賊としていて超絶楽しい。襲い掛かってきた討伐艦隊を寡勢で返り討ちにする楽しみもあれば、戦闘力がそれ程高くない商船隊を片っ端から切り込み倒す楽しみもあり、交易と同じく最終的には「金を稼いでいい船に乗る」という目標に落ち着く。
船選びに関してはまた、様々に男の子回路をくすぐる要素が満載されている。交易向けの船、戦闘向けの船、移動用の船。食料や水を載せるスペースはどうするかといった工夫や、切り込みをするならやっぱりガレーだろといったこだわりから、カラックやジーベック、ガレオンや重ガレオンといった船種をそろえる楽しみまで、この奥深さは相当なものだ。何せ積荷の単位が「樽」なのである。冒険小説を読んで備蓄物資に萌える私の特殊な性癖はおいておくとしても、「船を扱う」という楽しさにはまっていた人もファンの中にはいただろう。この辺、メタルマックスの戦車システムとも通じるものがあると思う。
あんまり関係ないが、交易に関して言えば、私はこのゲームの影響で長いこと「リスボンの特産品は砂糖」だと勘違いしていた。マディラ諸島や砂糖キビプランテーションの歴史を知って初めてこの誤解は解かれることになるのだが、まあボルドーとかバレンシアとか、その辺の特産品は大体合っていた気がするからよしとしておこう。
・外洋の音楽が超好きなんですが。
縁者のPCにたまに触れさせてもらっていた私にとっては、大航海時代は「音や絵の違い」に初めて衝撃を受けたタイトルでもある。MS-DOSの5.0が、丁度Windows3.1に置き換わろうとしていた時代だったと思う。ファミコン版の出来だって決して悪いものではなかったが、PC版大航海時代のグラフィックや音質は、当時のファミコン小僧達の常識から外れていた。
三國志や信長と並んで、大航海時代シリーズの作曲は菅野よう子さんであることは有名だろうと思うが、中でも外洋の曲「喜望峰でダンス」などは今でも明瞭に曲調を思い出すことが出来る。武将風雲録の曲と並んで、私の中では光栄の幾多のゲームタイトルの中でも最高峰に「ハマリ曲」が多いシリーズである。ザベストオブ光栄Vol.2は、中古CD屋さんで見かけたら是非入手しておくべきだと提言しておきたい。
あんまり関係ないが、私の手元には「武将風雲録」のサントラもある。このゲームの曲も私は大変気にいっているのだが、最後のトラックに入っている「陽炎」というボーカル曲だけどうにも正体がよく分からない。なんでしょうアレ。いや、別にキライな曲じゃないんですけど。
更に余談だが、縁者がバイトをして買った当時のPCはコレだったと思う。PC-9821Ap2。当時としてはかなりハイスペックな部類だったろうとは思うが、66Mhzというクロック数に中古車が余裕で買える定価には瞠目する他ない。縁者もよく頑張ったなあとつくづく思う。
・今回は続きますよ。
その他、カルロータがどうとか王女様にまつわるイベントは色々とどうなんだとか、色々とこのゲームのネタは多い訳なのですが。
実のところ私の中では、大航海時代というゲームはこの時点では未完成だったと思っている。このゲームを完成させたのは、多分続編、「大航海時代2」だ。
ということでゲーム内個別の様々なネタについては、次回、「2」の回でまた書いていきたいと思う。多分2週間以内くらいには書く気がします。
参照:PCゲーに進化の余地はあるのだろうか。
あとFCの画像見て衝撃的な懐かしみを感じた私…FCのドット絵は今になってみると非常に感動する…泣けてくるぅぅ
最後にしんざきさんは喜望峰とでると即座にディアスと脳内変換されますか?私は中学生以来からずっとなんです…
そういや、パソコン買ったきっかけは銀英伝Wと、あと光栄のゲームは真っ先にパソコンで出ていたからだったなあ。
内蔵メモリ1MB1万円、という時代だったなあ。HDDなんて、340MBで4万円近くしたんだぜ……。(懐)
>有していたのが光栄というメーカーであり、信長の野望であり、
>三國志であり、提督の決断であり、大航海時代だった訳なのである。
すいません、そこにWining Postも入れてやってくださいくださいくだs
珊瑚ロンダリングでガレオン艦隊を揃えて
貿易より虐殺のほうで儲けていたら
二つ名つき海賊しか出なくなったところで
ある海賊の戦利品に何故か姫様がいたところでクリアー
小学生の頃なんでこんな感じのプレイでした
フロッピー2枚程度でしたよね すごいなあ
>あとFCの画像見て衝撃的な懐かしみを感じた私…FCのドット絵は今になってみると非常に感動する…泣けてくるぅぅ
ドット絵師が希少な存在になってしまった昨今、ますます存在感を増してますよね。
>喜望峰
一歩進んで補給港の名前が出てきます。
>しょうたさん
>大航海時代は3から始めてしかも3は最高ではないかと勝手に思ってそのまま過ぎている私です。
3も超絶良かったと思うんですけど、路線を決めたのは2なんじゃないかなあとか勝手に思ってます。
>NOBIEさん
あ、その他、水滸伝とか蒼き狼とかトップマネジメントとかロイヤルブラッドとか色々書き落としているのであまり心配しないでください。
>めあさん
なんかそれ程違和感ない進め方である様な気もする。