2008年12月03日

シューティングの凄さをわかっていない人が結構多い

シューティングっていうジャンルのコアって、操作系の単純さにあると思うんですよ。多分だけど。


シルバーガンみたいな例外もあるけれど、シューティングって大体は「ショット」と「ボンバー」とか「ショット」と「パワーアップ」の2ボタンだったりするし、増えても4ボタン以上になることは滅多にない。

多分横シュー含めて、今でも8割がたのタイトルは「2ボタン以内 + レバー」っていう操作系にあてはまるんじゃないかな。

アクションゲームやRPGはいうに及ばず、シミュレーションだのスポーツゲームだの、ありとあらゆるゲームジャンルが「操作系の多様化・複雑化」を含んだ方向でゲーム性の拡充を目指すという道を選んできたのに、シューティングっていう最古のジャンルが、30年近く前の操作系と大して変わらないものを保持し続けている。最新タイトルでも、やろうと思えばファミコンのコントローラーで遊べるのだ。

これは、「シューティングというジャンルは、入力系における工夫をそもそも必要としなかった」ということを示している、と私は考えている。

これ、言うのは簡単だけど結構とんでもなくもの凄いことだと思う。「進歩してない」のとは違う。操作性はともかく、入力系インターフェイスなんて本来単純であれば単純である程いいんだから。

「操作系が単純」という特徴をジャンルとしてもっているとどんないいことがあるかっていうと、

・タイトル間の敷居が物凄く低い。
・核になる部分が変わらないから、「何を楽しめばいいか」が分かりやすい。ブレない。
・テクニックの互換性が凄く高い。一つのタイトルで上手くなれば、その他の殆どのタイトルでも、ある程度まではそのテクニックが通用する。



つまり、ジャンル内での流動性が超絶高い。一本「好きなシューティング」がある人は、潜在的には他のあらゆるシューティングを楽しめる可能性があるのだ。


「ジャンル自体」の話をする時、シューティング程話が通りやすいジャンルって他にないと思う。アクションゲームっていったら「えーと、マリオとかストIIとか色々あるけど」ってなるし、スポーツゲームでも野球ゲームとサッカーゲームでは全然違う。でも、シューティングは「撃って敵を倒して、敵の弾を避ける」っていう、操作系のシンプルさに裏づけされた根本の部分が殆どあらゆるタイトルで共通している。

多分、「シューター」って言葉だけ妙に浮いてるっていうか、「アクションゲーマー」とか「パズルゲーマー」といった言葉よりもよく耳にする気がするのって、ここに原因があると思う。ジャンルが特性としてもっている、「撃って避ける」という最強のシンプルさ。それ、面白いの?っていうのは、人それぞれ、タイトルそれぞれの部分もあるのでまた別の話。超面白いけど。


で、ここから先は各論。

「操作系の多彩化と、それに伴うゲーム性拡充」に向かわなかったリソースがどこにいったかというと、例えば演出の充実とか、「「撃って避けて」をどう気持ち良くするか」の模索とか、それに伴って求められたドすげえ敵の攻撃とか、そっちの方にいった訳ですよね。

結果として、操作系とは別の部分で複雑化・高難度化したタイトルはあって、それに好き嫌いがあるのは仕方ないと思う。そういうタイトルを見て「面白くねえ」「ついていけねえ」と思った人も、当然中にはいると思う。

ただ、それは飽くまでタイトル毎の話しで、シューティングというジャンル自体は何も変わっていないし、「避けて撃つ」という遊びは1ミリグラムも面白さを失っていない。インベーダーどころか「スペースウォー!」の頃から変わっていないエッセンスを、表層だけ見て避けている人がいたら勿体無いなあ、と私は思ったりもする。


まあ結論としては、超絶面白いから皆シューティングやろうぜ、ということで。


なにをやるか迷ったら取り敢えずダライアス外伝をやるといいと思いますよ。ピラニアやシャコに苦戦したら助言はします。
posted by しんざき at 15:57 | Comment(14) | TrackBack(3) | レトロでもないゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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この記事へのコメント
30年経っても操作系がシンプルなのが凄い、というのは確かに頷けるところです。
しかしゲーム内容はひとつもシンプルでない。

この20年程の間に世に出たSTGが、新規ユーザを獲得しにくい原因はどこかというと、「難しすぎてすぐ死ぬから」などではなく、「プレイヤーへのフィードバックが解り辛い」ことではないでしょうか。
今のプレイがゲームの成功に繋がるのか、それとも失敗に繋がるのか、プレイしていてわからないのです。

ボタン押しっ放しにするだけで画面の半分ほども弾幕が張れるため、的を外すと次弾発射までの間に敵にやられる、といったインベーダー的な解り易いリスクが存在しない。
今敵に弾が何発当たっていて、あと何発で敵を倒せるのかも数えられない。
これでは弾を撃っている感じがしない。(これは私の感覚ですが)

アーケードゲームなら1コインALLが一応の目標ですが、それに向かうようプレイを継続させる要素が少なすぎる。
「スコア無視でまずクリアを目指す」段階では、画面情報を見ても今のプレイのどこが良くてどこがダメなのか、まるで解りません。せいぜいボムを抱え死にしました、という結果くらいのものです。
前のプレイより巧くなっているという実感が得られなければ、プレイヤーのやる気も長続きしないでしょう。

操作法が単純で本当に内容が解り易いならば、オンライン対戦麻雀などと同等に「ルールは知ってるから暇つぶしにはなるだろう」とコインを入れてもらえるゲームになるはずです。
どうすればもっと多くの人がSTGを楽しめるようになるんでしょう。
「新しく出たSTG、前よりも解り易くて面白いね」というのが理想ですが、今から「スターフォース」などに戻るには、もはや全員が記憶を失うくらいのことがないと無理ですし。
Posted by bison at 2008年12月04日 00:47
レースゲームもすごいような気がしました。
まぁ、車を動かすって実生活でもありうることですから、
まんま今回の話を流用できるわけではありませんが。
Posted by at 2008年12月04日 02:16
FPSを忘れないであげてっ
Posted by at 2008年12月04日 04:33
>bisonさん
>しかしゲーム内容はひとつもシンプルでない。
>「プレイヤーへのフィードバックが解り辛い」ことではないでしょうか。

んー、ちなみに、bisonさんは例えばどの辺りのタイトルをプレイされていますでしょうか。
シンプルでないゲームもフィードバックが解り辛いゲームも確かに色々あると思いますが、じっぱひとからげに出来る話じゃないと思うんですが。

>操作法が単純で本当に内容が解り易いならば、オンライン対戦麻雀などと同等に「ルールは知ってるから暇つぶしにはなるだろう」とコインを入れてもらえるゲームになるはずです。

「解りやすい」「シンプル」であることと「気軽に遊べる」ということは、関連性はあってもイコールではないと思います。

正直、昔の「解り易かった頃」のシューティングが、一般の人が気軽にコインを入れられるゲームだったっけ、といわれるとちょっと首を傾げてしまいますし。

個人的には、インカムを意識した作りをしなくてもいい場所でのアピールの仕方を考えた方が近道なんじゃないかなあ、とか思ったりもします。

>名無しさん
>レースゲームもすごいような気がしました。

レースゲームは一部で体感ゲームに流れ込んでいる部分がありますから、ジャンルとしての話はもうちょっと複雑になるかも知れないですね。でも操作系が直感的、って点はある意味共通していると思います。

>名無しさん
>FPSを忘れないであげてっ
忘れてないですよー。2割の中に計算しています。多分2割におさまりますよね?
Posted by しんざき at 2008年12月04日 09:01
そういう意味では知らないと死ねる「打ち返し弾」ってのは初心者殺しのメーカー画期的な発明だったのかも知れませんね。

「敵を撃つ」というのが前提だと思われてた時期に「敵を撃たない」という志向を盛り込んだわけですから。

ふとそんな事を思ったオールドシューターが通りますねw
Posted by ただの通りすがり at 2008年12月04日 15:15
現在のシューティングは、マニア以外から金を徴収するシステムになってないと思います。
じゃあそれをやめてビギナーから金を徴収するシステムになればいいのかといいますと、そのシステムを作るところから始めなければならず、大変です。
それこそ今さらポリゴンの綺麗な『バツグン』とか作って市場に投下しても、普通のやり方では売れないでしょうね。
Posted by a-kubota at 2008年12月04日 16:43
FPSに入ると思うけど、ガンシューティングも直感的で面白いかもしれません。

あとは、車+シューティングとか(ちょっと違うけど、チェイスH.Qみたいな)。
Posted by nanasi at 2008年12月04日 20:55
んーテクニックが他の作品にも通じるっていうのは当てはまらないと思いますねぇ。特に昨今の弾幕系。
STGはテクニックじゃなくて完全な覚えゲーですから。敵の出現パターンなんて早回しが可能な場面以外1フレームも変わりゃしませんからね。
パターン覚えていかにそれを高精度で再現するか、それに尽きます。まぁ同じ会社なら似たような場面で応用効いたりはしますけどね。
Posted by 通りすがり。 at 2008年12月04日 22:07
いつまでも 派手なゲームの かたわらに 置いてほしいな サンダークロス
Posted by at 2008年12月04日 23:21
敵の出現場所や弾が、多少ランダムになってる部分もあったりするゲームも結構ないっけ?
Posted by ao at 2008年12月05日 09:13
結構というか殆どそう。
というかランダム弾の無い弾幕シューなんて記憶にない。
昔流行った超高速弾は覚えてないとどうしようもなかったけど、最近の弾幕シューは初見でも大分イケるので楽だよ。
Posted by sage at 2008年12月05日 09:59
弾幕シューでランダム弾って撃ち返し以外そんなにない気がするんだが
だから初見でも結構いけると思ってたわ
Posted by at 2008年12月05日 18:52
実際にゲーム名を挙げたほうが良かったですかね。
「怒首領蜂大往生」以後のSTGに、前述のような不満を持ってまして。
それまではまだモチベーションがあったんですが、こりゃいよいよダメだと思ったのが大往生でした。歳の所為かも知れませんが。

弾幕系だけがSTGじゃないと思いたいところですが、実際のゲーセンはCAVEのSTGを入れたら、それ以上STGを入れるスペースがない。まぁこれはSTGの問題とはやや違ってきますけれど。

2周ENDでなく面単体でのスコアタを提案したSTGとして、オトメディウスには当初期待していたんですが…
Posted by bison at 2008年12月07日 01:19
現在高校生ですが、自分がSTGに本格的にのめり込みだしたのはCAVEの『虫姫さまふたり』からでした。
なので弾幕シューが昔のSTGに比べてプレイヤーにやる気を起こさせないかっていうと、そんなことはないんじゃないかなぁ、と。(あくまで自分の経験から思うことですが
ちなみにダライアス外伝を初めてやって最初に死んだ時に思ったのは「え?今何に当たったの?」でしたしSTGに疎い友人も「STGはどれが自分の弾でどれが敵の弾か分からない」とか言ってたので、STG全般に言えることとして、やはり初心者がやると何がどうなってるのか分からずじまいのまま死んでしまうという問題点はあるんじゃないかと思ったりしますね。

あとクリアに必要なのは記憶と技術が半々くらいだと思います
Posted by akt at 2008年12月07日 20:46
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