「ゲームセンターに明日はあるの?」様より。
STGゲーマーは、現在の「危機的状況」をもっと認識すべきだよ。
まず二点、ちょっと気になったこと。
弾幕系に限らず、STGはお客の回転効率も悪くインカムを稼ぎづらい。でも「インカムの稼げる」ようにしたものを現在のSTGゲーマーはボロクソに貶すのだな。細かいことだけど、「現在のSTGゲーマー」という言葉はちょっと一般化し過ぎな気がする。高難度ゲームが大好きな人もたくさんいるし、そういう人はそういう人で独自に声を挙げてると思いますけど。バトルガレッガやシルバーガン大好きな人とか。ちなみに私も大好きだ。
初見殺しでバンバン死んで、1面ボスでゲームオーバーになっても、それが「STGのあるべき姿」なんだよ。本当はね。エントリ主さんの立ち位置を考えれば当然だけど、それは「ゲーセンにとってのSTGのあるべき姿」であって、「STGのあるべき姿」ではないと思う。というか、「STGのあるべき姿」なんてものは本来存在しないと思う。
STGがゲーセンと不可分・一蓮托生のものであれば、それは勿論「ゲーセンにとってのSTGのあるべき姿」が凄く重要になってくるけれど。
で。この話は、まずざっくり二つのテーマに切り分けなくてはいけない。
・シューティングの「裾野を広げる」というのはどういうことか?低難度化はその手段として正しいのか?
・シューティングとゲーセンはどういう関係であるべきなのか?
上記エントリ主さんが言われている、言って見れば「ヌルSTGの増加によってゲーセンが被害をこうむっている」ことの直接的な原因は、メーカーがSTGというジャンルの裾野を広げようとして「難易度を抑える」という手段を選択したことだと思う(というか、「理不尽な死に方を抑える」という方向性が、結果的に低難度化に結びついた感じ)。今のSTGが「マニア向け」であることに危機感を感じる、という向きは、もう10年以上前からずーっと言われ続けている。それに対して、初心者さんでもヌルく遊んでもらえる様なゲームを作ることで、STG好きな人を増やそう、という動きなのだろう。多分だけど。
ゲームをヌルくすれば初心者さんは楽しくSTGを遊べるのか?そして、STG好きな人が結果として増えるのか?そうかも知れない。でも、その動きは、「ゲームセンターに明日はあるの?」様が書かれている通りゲーセンの都合とは矛盾する。当たり前だ、ゲームがヌルくなればヌルくなる程、入れてもらえるコインの数は減るのだから。
ゲーセンのことを考え、かつシューティングの裾野を広げようとするならば、「ヌルくする」以外の部分で未見の人を取り込む方法を考えなくてはならない。そして、多分その答えはたくさんある筈だ。
私自身は、前のエントリーで書いた通り、その方法は「直感的なインターフェイスを生かす」ことが最強の突破口だと思っている。「撃って避ける」という遊びの楽しさは普遍的なんだから、これをアピールする方法は必ずある筈だ。そして、実際の所、そういった試みは色々やられていて、効果が出ている部分も多分あると思う。それこそ弾幕に隠されて見えにくいけれど。
で、次のテーマのお話。
・シューティングとゲーセンはどういう関係であるべきなのか?
以前格ゲー「衰退」を考える。でも書いたが、格ゲーが初心者の入りにくいジャンルである理由は、「対戦台」がゲーセンにとってもメーカーにとってもメインステージだったからだと思う。ゲームは、ゲーセンを中心に回っていた。ゲーセンをゲームの起点と考えるなら、インカム重視の作りをしなくてはいけない。それは当然のことだ。
ゲーセンで遊んでもらう為のゲームを作る。ついでに、自宅で遊びたい人の為に家庭用も作る。飽くまで本線は、「ゲーセンで映える」「ゲーセンで皆にハマってもらえる」ゲームを作ること。
これが、数年前までの、格ゲーやSTGが「ゲーセン中心」に作られていた流れだ。特に家庭用ハードの性能が十分でなかった時代には、殆ど全てのタイトルがこの流れに当てはまっていた筈だ。
ただ、インカム重視で高難度のゲームを作ることが「裾野を狭める」ことと直結するのだとすれば(私は一概にはそうと限らないと思うが)、じゃあゲーセンは今まで通りでおいといて、裾野を広げるのはゲーセン以外の場所でやればいいんじゃね?という意見が、当然出るだろう。
ゲーセンでヌルいSTGがたくさん出るとゲーセンが困る。コンシューマーでなら誰にも迷惑はかからない。でも、コンシューマーのゲームは、「買ってもわらないと」遊んでもらえない。だから、シューティングを広める入り口としてゲーセンに頼らざるを得ない。
結局話はここに帰結するんじゃないかなー、と。
実際の所、コンシューマーで「STG好きでない人」にSTGをアピールする、遊んでもらう、買ってもらう、ということは可能なんだろうか。何か方法はあるんじゃないかな。最近のインフラ使えば色々ありそうな気はする。
ゲーセンには「見せ場」として高難度のゲーム・高難度のバージョンを供給し、家庭用では「入り口」として低難度のゲーム・低難度のバージョンを供給する。それは可能なんだろうか。多分可能なんだろうし、実際やっているタイトルもありそうな気がする。最適解なのかどうかは分からないけど。
まとめると、多分、シューティングというジャンルが進むべき方向は二つある。
・「低難易度化」「長く遊べる化」という以外の方法で、やったことがない人に遊んでもらう方法を模索する。
・ゲーセンではインカム重視のゲームを出すとして、同時にゲーセン以外の場所で初心者を取り込む方法を模索する。
そして、多分この辺の話は、既にゲームメーカーさんが気付いている部分でもあるだろう。色んな試みがずっととられ続けている筈だ。試行錯誤は今も続いていて、だからこそシューティングの新作が出続けている。
だから私は、その試みの結果を、まだ見ぬ名作の発売を待ちつつ、私が好きなシューティングを遊び続ける。そして、せめてささやかな試みとして、ここを読んでくれている人に呼びかけ続ける。
シューティングやろうぜ。面白いから。
関連:人間力が低い人の為のシューティング講座
シューティングの立ち位置を自分なりに考えると、脱衣麻雀コーナーが多少オープンになった感覚で見るのがいいのかな、とも思ったりしました。サン電子の「上海」の立ち位置にもよく似ているような気も。
ゲーセンがシューティングを置かなくなるのは、商売である以上仕方の無い事かも、と考えています。売れる、派手なもの、一見さん好みのものをメインに置きたくなる以上、実はシューティングはゲーセンから淘汰されるべき運命にもあったのかな、とも思いました。
ただ、ゲーセンからシューティングが無くなったところで、シューター魂は絶対に消えないですし、魂持った人達がもしかしたらシューティング絡みでゲーセンを盛り上げる可能性もありますので、それほど悲観的には見ていません。今のゲーセンのシューティングに対する扱いには、もはや諦めムードしか漂いませんが、それが本来あるべき姿なら受け入れる事も肝要だと思います。最近はXBOX360での盛り上がりが顕著ですので、そちらに移行されるという可能性もありそうですし。
このところのシューティングの激論を見ると逆に安心するようにもなりました。それだけシューティングに対して関心を持っているということでもありますので。
本当の恐怖は「無関心」にこそあると思います。
いかにこの、無関心の人間を惹き込むかが重要になってきそうですね。
> 「買ってもわらないと」遊んでもらえない。
体験版がダウンロードできるゲームも増えてきました。
コンシューマゲーム機がネット接続に対応したたまものです。
シューティングゲームを置いているゲームセンターが少ないですからね。
実際に僕の住んでる市にはありません。
でも、シューティングゲームをやっている人は結構います。
そんな事もあって、ゲームセンターの方を高難易度にするのは賛成です。
ゲームセンターで初めてやった時に長く続いて、戸惑ってしまった事もありますし。
やり甲斐のあるのがやりたいです。
ゲーセンにおけるSTGは、メインではないというのは確かなんですが各店ごとに立ち位置が微妙に違うな〜という感じな気がします。置いてあるところでは、設定で残機増や難易度低下を行って「長く遊べるようにしている」ところもありますし。そこらへんは店舗毎の経営も関わってると思いますが。
今STGがメインとなっているのは上でknagano氏がコメントしているように、ダウンロードコンテンツかもしれませんね〜。実際ゲームアーカイブスやXBOXLIVEでダウンロード上位にSTGをよく見ますし。
長文失礼いたしました。
>ゲーセンがシューティングを置かなくなるのは、商売である以上仕方の無い事かも、と考えています。
そうですね。私も正直、「じゃあゲーセンに置かない前提で考えた方が話が早いよな」とか思いました。
>このところのシューティングの激論を見ると逆に安心するようにもなりました。それだけシューティングに対して関心を持っているということでもありますので。
それは同感です。
>knaganoさん
>体験版がダウンロードできるゲームも増えてきました。
10年前には考えられなかったことですねえ。
私自身は、息子さんの月齢の関係上据え置き機が買えませんもので、あまり恩恵にはあずかれてないですが。
>kjaiznu さん
>僕は、入り口はコンシューマーな人の方が多いと思いますよ。
あー、上で私が書いたのは昔の話です。下手すると10年近く前のことなんじゃないかと。
昔は、「売り出しも調整も、まずゲーセンありき」という前提で作られるゲームが多かったと思いますですよ。多分アクションとシューティングは。対戦格闘なんて極端な例でしたね。
>置いてあるところでは、設定で残機増や難易度低下を行って「長く遊べるようにしている」ところもありますし。
実際、シューティングはインカム前提の作りになってないんじゃないか、というのは思うところですね。
>STGをアピールする、遊んでもらう、
>買ってもらう、ということは可能なんだろうか
「DS ケツイ デスレーベル」はSTG入門最適ソフトの代表格だと思いますよ。(体験談!)
DSケツイを購入した方々(SFGスキー)から好評 + STG初心者もオススメ という事で、購入・プレイしてみてSTGの魅力に気づきました。これは面白いですね。
現在は「おしえてIKDさん」の続き見たさで、モチベーションが維持されております。
「STGの、入り口として最適なタイトルって何だと思いますか」
みたいな質問をされたことがあったのですが、
ぼくはその際、『雷電DX(特に、練習コース)』と即答したことがございました。
ございましたと言うか、いまでもそう考えています。
なぜなら、当時たびたび考えていた、
「STGが生き残るためには若いピチピチの新規プレイヤーを手に入れるのがいいんだろうなぁ」
「“新作”なんてあやふやなモンには期待しないで考えるとして、」
「STG入門用タイトルにはどういうものがいいんだ」
という思案について、高い(内心、“ほぼ理想的”と考えていました)
レベルで回答していたタイトルだったからです。すなわち、
・基本的なゲームシステムが簡単であること、
・敵の攻撃の傾向がSTG特有の楽しさ「撃ってよける」が味わいやすい種類であること、
・難度曲線が緩やかの上に最終的にはそれなりに難しいこと、
・ここで得た攻略ノウハウが、他のタイトルにも流用しやすいこと、
・次に登る山が同タイトル内ですでに存在している(初級コースや上級コースなどの存在)こと、
・PS版が比較的求めやすいこと(出回りがやや弱いですが、相場は1500円以下でしょうか)。
・そして何より、遊んで面白いこと。
といった要素を備えていたからです。
まぁ、「派手な見た目(ダライアス外伝のビームなんかマジでイカス)」がなく一見地味、
そして、昔のゲームをピチピチな人が果たしてやりたいと思うのか、
という要素は痛いのですが。
Gダライアスでした。
雷電DXが入り口にいい、というのは同感です。なんというか、凄く「上手くなった気分」が味わいやすいタイトルですよね。
ちなみにダライアス外伝もビームはイカすと思います。