2004年11月24日

レトロゲーム万里を往く その4 〜ハドソン帝国の陰謀〜

実際のところ陰謀と言える程のものであったか疑問だし、帝国があったかどうかも微妙なところではあるのだが。前回に続いて、何故発売当初、迷宮組曲がそれ程の話題にならなかったか、という話。

迷宮組曲のタイトル画面の連射機能、どことなく浮いているなーと思われたことはないだろうか。

http://www.hudson.co.jp/gamenavi/gamedb/index.cgi

このURLは、ハドソン公式ページのゲームデータベースのURLである。「プレステ」「プレステ2」等の表示の下、「その他のゲーム」の表記を、お前ファミコンのお蔭で大きくなったんちゃうんかと釈然としない老人的思いを抱きながらクリックして、FCのゲームを検索してみる。
迷宮組曲が発売された、1986年11月周辺のゲームを見てみよう。

ミッキーマウス 不思議の国の大冒険 アクション ファミコン 1987.03.06
ドラえもん アクション ファミコン 1986.12.13
迷宮組曲 アクション ファミコン 1986.11.13
高橋名人の冒険島 アクション ファミコン 1986.09.12
スターソルジャー シューティング ファミコン 1986.06.13
忍者ハットリくん アクション ファミコン 1986.03.05

実際のところ、話は簡単である。迷宮組曲の前ニ作、というよりはある一人の人物を、ハドソンが前面に押し出し過ぎたのだ。

言わずと知れた高橋名人である。

高橋名人は、元来ハドソンの営業社員であったのだが、チャンピオンシップロードランナーの店頭デモなどから「ゲーム名人」としてデビューし、後に「16連射」等の伝説から一躍子供達のカリスマとなった人物だ。

当時、ネット情報など当然一般人の手の届くものではなく、社会そのものがゲームというものをあまり正当に認知していない状況下で、子ども達がゲームの情報に触れる場は、数少ないゲーム雑誌と漫画雑誌であった。例えば「ファミリーコンピューターマガジン」であり、「週刊少年ジャンプ」であり、そして「コロコロコミック」だ。

具体的なタイアップがどの様に行われていたのか私は知らないのだが、コロコロは当時ハドソンと緊密な連携を示し、様々な企画の仕掛け人として機能していた。例えば「スターフォース」「スターソルジャー」「ヘクター'87」などのゲームを用いた、全国展開のゲーム大会である「キャラバン」。コロコロコミック誌上でキャラバンと高橋名人の存在を盛んに喧伝し、同時に漫画としてキャラバンネタを扱うという宣伝スタイルであったと記憶している。また、高橋名人を主人公にした漫画は言うに及ばず、高橋名人と、元々ハドソンとは無関係であった毛利名人の対決を描いた物凄い映画まで製作されている。

この映画に関してはこちらを見てもらう方が早い。縦横無尽に突っ込んでくださっている。この映画のキモはゲームとなんら関係のない特訓風景だと思うのだが、ここでは何故高橋名人が16連射ではなく普通のドリルで工事をしているのかに関して疑問を提起するのみに留めよう。
http://my.reset.jp/~mars/btg/document5/gameking1.htm
(「BLACK徒然草」様)

どうでもいいが、高橋名人が「キャラバン」以降やたらと「野生」というイメージをつけられているのは、そもそもこの毛利名人を「知性派」としてプッシュしたこととの対比からではないかと思うのだがどうだろうか。毛利名人は毛利名人で、元々は単なる「知性派」であったのが、高橋名人との対比からイメージが誇張されていく過程で「美形」「華麗」などとグレードアップしていき、

http://gk.cool.ne.jp/gallery/gHistorical.html
(一番上の画像、左下を参照)
(「ゲーム貴族」様

ここまでになってしまうということに少年誌の恐ろしさを痛感する。誰ですかこの光源氏は。

ともあれ、こういったパブリッシングに、連射とも高橋名人とも既存のキャラクターとも関連の薄い迷宮組曲は見事に置いていかれた。端的に言うと、周りが賑やか過ぎて目立たなかった。
コロコロコミックのみならず、「ファミマガ」などのその他ゲーム雑誌も、迷宮組曲の売りを今ひとつ紹介し切れなかったのではないか、という感がある。明らかな強みをもった「スターソルジャー」「高橋名人の冒険島(このゲーム、元々はセガの「ワンダーボーイ」の移植作で、セガとの裁判沙汰か何かがあった様に記憶しているのだが)」「ドラえもん」に対し、徒手空拳しゃぼん玉のみで闘うミロン。典型的な発売時期による悲劇だと言う他ない。
結果的に、迷宮組曲開発陣は無理矢理高橋名人との接点、つまりは「連射」というモチーフを自作に取り入れるしかなくなってしまったのではないか?つまり、タイトル画面の連射機能はゲーム本筋と何ら関係なく、後から付け加えられた哀しきモジュールなのではないかと私は推測するのである。

以上の文章とは何ら関係ないが、ネットで検索をしてみると、高橋名人のインタビューは結構あちこちで見受けられる。高橋名人狂騒曲の裏にあった、高橋利幸氏の素顔が垣間見られてどれも興味深い。URLを幾つか紹介しておこう。

http://www.vaio.sony.co.jp/Service/Game/Special/0402_meijin/

http://www.r25.jp/interview/20041014/page2.shtml

http://famicom20th.webcity.jp/tsubo_sp03.html
posted by しんざき at 15:44 | Comment(4) | TrackBack(1) | レトロゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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この記事へのコメント
高橋名人て、スーパーで働いていたんだ・・・。ドラマチックな人生ですね。ってかタフだ。
Posted by だむ at 2004年11月25日 02:28
リンク先のポスターに爆笑しそうになりました。
職場で見ちゃ駄目ですね。
Posted by いす at 2004年11月26日 12:10
>セガとの裁判沙汰
ハドソンが「独自作」と宣伝した為訴訟されたらしいですが、結局ハドソンが勝訴したそうで。
http://regage.hp.infoseek.co.jp/arcade/wonderboy.html
Posted by End at 2004年11月26日 14:10
>だむさん
昔は結構、こーゆーおおらかな人材採用が普通にあったっぽいけどね。今は営業部長らしいです。

>いすさん
あの辺の広告は、今でこそ突込みどころが多すぎて途方に暮れてしまうのですが、コロコロとか少年誌は今でもあんな感じなのかと。あと、画像下、ツインファミコンの広告に何の意味もセリフもなく顔だけ出ている高橋名人もちょっと気になります。

>Endさん
情報ありがとうございます。ああ、記憶違いじゃなかったですか。安心。
あの頃って著作権とかも曖昧でしたしね。
Posted by しんざき at 2004年11月26日 16:15
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