痛いニュース:“若者、新聞読まない…”朝日新聞に続き、毎日新聞・産経新聞も半期赤字転落 …「新聞の危機」いよいよ表面化
かなり強烈な違和感。痛いニュース、というか2chソースだから仕方ないといえばそうだが。
コメントの論調を見ていると、「捏造」だとか「内容の偏向」という話を持ち出す向きが支配的だ。つまり、基本的にはコンテンツの内容に原因を求めている。
ただこれ、どっちかというと新聞の収益構造を根本的に見直さなくちゃいけないねであるとか、バカみたいに色々やっている事業をちょっとは整理しなくちゃいけないね(参照:毎日新聞:社会に貢献する文化事業と楽しいスポーツ事業)という話であって、コンテンツの話は無関係ではないにせよ、むしろ二次的な話なんじゃないかと思った。
現在の形態の総合新聞が売れなくなるなんていうのはもうまるっきり既定路線なのであって、それに付随して広告収入もオンラインに絶賛流出中なのだから、多少コンテンツの改善をしたところで売り上げが好転する訳はない。皆が満足する「公正なコンテンツ」に変わったとして、じゃああなた新聞買いますか?という話でもある。
で、この辺が違和感。なんというか、「Webと新聞」の単純な対立構造を想定して、新聞の赤字を一概に「Webの勝利」みたいにとっている人がいる様に思うのだな。
「情報に偏向がない公正なWeb」「偏向かかりまくりの既存メディア」という構造を頭から信じている人が、たまにいる気がする。勿論これは純然たる勘違いであって、かなり上手いこと多面的な情報収集をしなければWebでもやっぱり偏向はかかりまくるし、Webを使っていれば自然とメディアリテラシーが身につく、というのも信仰以上のものではない。極端な話、「人が書く限り、情報は多かれ少なかれどこかで偏向する」のだ。あとはその度合いと、それをどう利用するか。その辺を我田引水の議論に持ち込みたがる人がいるのはちょっと困ったもんだと思った。
で、「じゃあ新聞どうしますか?」といわれると。どうなんでしょうね。どうにかなんのかなあ。色んな人がいろいろ考えていると思うのだけれど、目下明確な結論は出ていない気がする。
既存のインフラを使ってオンラインでどう稼ぐか、であるとか、経営規模をどうするかとか新聞の配布形態(代理店の問題とか)どうすんのとか、その辺がキーにはなってきそうな気がする。まあこちらについては、気がむいたらまた調べてみる。
毎日新聞の財務諸表を掲載されているサイトさんを見つけた。
参照:株式会社毎日新聞社 有価証券報告書 ‐ 第31期(平成19年4月1日 ‐ 平成20年3月31日) 要旨
ちなみに、アメリカの新聞の広告収入の動きについては、こちらで記事を拝見した。
参照:アメリカの新聞の凋落
2008年12月27日

この記事へのトラックバック
2008年を振り返って + 印象に残った記事選
Excerpt: photo credit: gadl 今年は年初に修士論文の口頭試問があり、その後引っ越してから今の会社に入社、研修期間の後は営業担当の一員として働いてきた年でした。年頭に自分が立てた目標は「.....
Weblog: o xein’, angellein...
Tracked: 2008-12-30 22:14
Webはそういった裏事情を知ることが出来る
それで、「情報に偏向がない公正なWeb」って言ってるのは、言葉通りの意味ではなく、ネットが持つ多様性を担保にした公正性というか、偏向是正可能性を暗に言ってるように思うのです。
「上手いこと多面的な情報収集をしなければWebでもやっぱり偏向がかかる」ってのは、もちろんそう思いますけれど。
あ、記事の内容的に別にケチつてる気はまったくないですよ。
新聞紙自体は割と便利だけど、高杉ますね。
継続的に再生紙を供給する仕組みが欲しい。
>ま。さん
>新聞は都合の悪い事は封印するからねー
>Webはそういった裏事情を知ることが出来る
んー、ただ、Webで知ることが出来る「裏事情」が本当に正しいものなのか、というのは慎重に考えなくてはいけないですよね。
あと、新聞が仮に都合の悪いことをじゃんじゃん流す様になったとして、売り上げが果たして好転するのかというと、多分焼け石に水なんじゃないかと思います。
>すさん
>ネットが持つ多様性を担保にした公正性というか、偏向是正可能性を暗に言ってるように思うのです。
そういう意味は確かにあるでしょうね。
ただ、「情報に偏向がない公正なWeb」という考え方をしている人が、Webの多様性を前提にした情報収集をしているのかどうか、という点で、ちょっと私は懐疑的です。
新聞社の収益構造や事業内容の見直しは確かに重要ですがこのご時勢に部数を伸ばしている日経を見る限り、コンテンツ内容はやはり重要だと思います。
何より新聞社自身が赤字の理由を部数低迷と決め付けている限りは(苦笑
ネットとの対立構造を作ってきたのも、どっちかというと新聞側が先。
縮小が規定路線であったとしても、じゃあ将来新聞がなくなるかと新聞社が思っているかはかなり疑わしい。少なくとも1年前の時点で2008年に赤字化などと予想した人はほぼいないと思う。
原因の一部が不況にあったとしても、不況なんかすげー前からずっとあったことで、アメリカ発の奴は本格的な日本への影響はむしろ来年から。
2008年の凋落はコンテンツに問題があったといわざるをえない。
むしろ昔なぜ新聞が売れていたかというと「新聞に書いてあることは正しい」という大前提が一般の人にあったわけで、それが崩れまくってしまった以上、売れる理由なんかないでしょうが。ネットが公正であるとは限らないって文句つけてもまったく見当違いな話だよ。
>blastyさん
>その対立構造を煽ってるのが他でもない新聞社ですからそのように言い返したくなるのも致し方ないのかも。
>ネットとの対立構造を作ってきたのも、どっちかというと新聞側が先。
んー、そうでしたっけ。まあ、私もどちらかというとWebに軸足を置いている人間ですから、どっちが先とか言う気はありませんが。
>このご時勢に部数を伸ばしている日経を見る限り、コンテンツ内容はやはり重要だと思います。
個人的には、「コンテンツがどれだけ改善されても、今の形態の総合新聞である限り、最終的に売り上げが好転することはない」と考えています。経済専門というブランディングを行っている日経の部数向上は、どっちかというとそれを裏付けている気がしますが。
>blastyさん
>赤字の原因を「若者が新聞を読まなくなった」と、新聞の売れ行きのせいにしたのは新聞社のほうであって、関連事業がどうたらと持ち出すのは適切ではない。
若年層への売れ行きが鈍っているのは事実なんじゃないですかね。ただ、「信頼出来る新聞」というイメージが健在だったとして、今の若年層が新聞とるかって言われると私は疑問なんで、結局コンテンツとか信頼度の話は二次的な問題なんじゃないかなあ、と思ってるんですけど。
偏向報道とかWebとの対立とかいった議論は頭が悪くなりたくないので無視するとして、ただ一つ言えるのは新聞は単なる収益事業ではないということ。文化事業にはオリジナルのコンテンツを生むというまた1つの目的があったとしても、そういった事業が様々な文化を育んできた訳で。例えそれを切り捨てれば黒字化が図れるとしても、そう簡単に決めていい問題ではないと思う。
その道の人のコメントはありがたい。君んとこは新聞屋さんとはまた事情が全然違いそうだけど、影響あるの?
>日経はまた別の理由があるので、同列には論じれないが。
日経の部数については勉強不足なので、その内教えてもらえると助かる。
>偏向報道とかWebとの対立とかいった議論は頭が悪くなりたくないので無視するとして、ただ一つ言えるのは新聞は単なる収益事業ではないということ。
おっしゃる通りで。ただ、時には排水溝について語ることが必要な時もあるかと。
>文化事業にはオリジナルのコンテンツを生むというまた1つの目的があったとしても、そういった事業が様々な文化を育んできた訳で。例えそれを切り捨てれば黒字化が図れるとしても、そう簡単に決めていい問題ではないと思う。
原則論としてはその通りだと思うけれど、現状既に文化育成の段階を過ぎて、あまり事業として意味を成していない、というかむしろ形骸化している部分が結構あるんじゃないかと思うのだが。
この機に色々見直した方がいい、っていう考えは変わらないなあ。
新聞はTVやネット上で情報ソースとして引用されることも多く、なんだかんだでそれなりに需要はあると思うので、やっぱり経営とかの全体的な見直しが必要なんでしょうね。