2004年11月25日

日中会談と靖国問題に関しての私見。

このブログのコンセプトは「混沌」であるからして(今決定)、レトロゲームやフォルクローレの話のみならず、私の容量の少ない脳細胞の中身が時折書き散らされることがある。たかがレトロゲームオタが読みかじりで知ったかぶりしてんじゃねーよと思われる向きもあろうが、笑って読み飛ばして頂ければ幸いである。

で、昼休みに中国の話。どうでもいい問題っちゃこれ以上なくどうでもいい問題なのだが。

ZAKZAKは情報ソースとして持ち出すには客観性に甚だ頼りない部分があるが、ちょっと見かけたので引用してみる。

安倍氏の発言は非常に正論ではあるのだが(岡田氏の言動は俎上に上げない)、実のところ、この件に関しては日本側で騒ぐ様なことではない。靖国批判で誰が一番困っているかというと、多分中国である。

靖国問題というのは、政治的には単なる取引条件というかカードであり、それ以上でも以下でもない。国内向けにはガス抜きの矛先の一つであるし、日本向けには首脳陣への圧力と内部分裂の道具、および道義問題の継続用のネタとして使えた。元々は日本の某新聞が騒ぎ始めただけの問題なのに、首相が参拝すれば国内の野党その他は一斉に騒ぐし、過去の歴史を叫んでおけば経済協力は引き出せるし、中国にとっては美味しい話であることこの上なかった。前の首相まではそれで通じた。

この辺の話は、私なんぞより余程詳しい人がネットでたくさん所論を書いている。幾つか挙げておこう。

田中およよNo2の日記
「A級戦犯」について分析をされている。私もこの辺の話は良く知らず、勉強になった。

かみぽこぽこ。
うわ、というべきか、全部言われてるというべきか、私の話が完全に「何を今さら」になってしまいそうなエントリーだが、トラックバックさせて頂いた。小泉首相がそこまでの計算をしているかどうかは分からないが、その他のご意見には同感である。これが知識の差か。コメントも参考になる。

靖国問題の不思議
宗教的な知識から、非常に興味深い視点で靖国問題を分析されている。

話を戻そう。
ところが、そのやり方がここに来ていきなり通じなくなってしまった。日本に、靖国問題に関しては暖簾に腕押しな首相が現れたからである。小泉首相がどこ吹く風で靖国参拝を行っていれば、中国としては当然批判せざるを得ない。外交カードを保持しつづける為には、それは当然の動きだ。ところが小泉首相は、幾ら靖国批判をしても一向にリアクションをしてくれない。のらりくらりと「言及する程の事ではないと思います」のみである。それに業を煮やして、「靖国問題が解決されない限り新幹線は買ってやらない」などと、経済関係に直接結びつける発言までしてしまった。

経済的国際関係というのは、つまりは貿易である。私の乏しい知識によると、貿易には基本原則というものがある。「輸入額が多い方が強い」という原則だ。要は買ってる額が多い方が立場は強い。

貿易統計は財務省のページから参照可能だ。例えば対中の2004年度の貿易総額累計額は、11月時点では
輸出:\5861766906000
輸入:\7372285987000
ということの様だ。えーと、これは兆か億か?多分兆だろうが数えるのが面倒なのでまあいいや。どうでもいいが、こういう検索ページはいつFireFoxに対応するのだろう。深刻な憤りを覚える。

上記のデータを一言でまとめると、要は日本は買っている立場である。日本と関係が悪くなると、どちらかというと中国の方がより困る。まあ、これは単純な数字の話で、実際には労働力とか安い部品の話とかで、相互依存は当然あるのだが、それも業界による。

ちょっとわき道にそれるが、管理人が所属しているシステム業界では、中国とのオフショア開発の必要性が叫ばれて久しい。中国のシステム開発企業に外注をして、共同でシステムを作り上げるということなのだが、これがどうも、言われている程開発費の削減にならないらしい。@ITに参考記事がある。
システム業界というのはちょっと特殊な世界だが、国民的気質の違いから、中国の労働力との軋轢が発生している事例っていうのは結構多いのではないか。良く知らないが。

話を戻す。そんな訳で、中国としてはとにかく日本と経済的関係が悪くなってしまっては困る。理想としては、歴史問題絡みでへこへこ経済協力をしてもらいつつ、経済関係自体は緊密であるのが一番ありがたい。でも靖国問題を出してしまった以上、それを解決しないで経済的に擦り寄っていく訳にもいかず、小泉首相が参拝をやめてくれないので引っ込める訳にもいかない。まあ、「靖国問題が解決しないと日中会談にも影響が・・・」などと脅しておきながら日中会談が開かれた時点で、正直面子は潰れ風味なのだが。そんな次第で、今回「靖国問題がメイン」などという前代未聞の日中会談になってしまったのではないか、と私は推測する訳である。

実際のところ靖国問題に関して、私は殆ど重要性を感じていなかったのだが、こうなってくると小泉首相の対応が見ものだ。現在は「何を言われても答えません」という態度の様で、中国側はそれをネタに早速問題の解決とみなそうとしているのが笑えるが、今後どうなっていくのかを生暖かい目で見守りたい。

以上、今回の日中会談に関する私見でした。
posted by しんざき at 13:06 | Comment(3) | TrackBack(1) | 無謀的世評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
このエントリーをはてなブックマークに追加
この記事へのコメント
トラックバック、ありがとうございます。
こちらもさせてもらいますね。

ではでは。
Posted by 田中およよNo2 at 2004年11月25日 23:16
日本の対中国輸出も電子部品とか鉄鋼、セメントなんかの高級素材が大半ですから、中国はそれを買わなくなったら輸出産業壊滅みたいな状況になっちゃうんですよね。

ところで新崎みことさんって、何か名前に見覚えがあるような・・・何かライターで署名記事書かれてたりしてます?
Posted by ハリぼん at 2004年11月27日 02:38
携帯から。
>はりぼんさん
コメントありがとうございます。経済的には、ホント日本に頼りっきりですねえ。これで反日ってのはどうなんだか。
うぐ。えーと、署名…は、だいぶ昔のゴーストライター時代には何度か書いたことがありますが、ここ数年はさっぱりです。意外なところで読まれてそうで怖い。
Posted by しんざき at 2004年11月27日 17:37
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック

A級戦犯ってなんだ?
Excerpt: 夏のニュースの風物詩ともいえる、靖国神社参拝の季節になってきました。かみぽこちゃんさんの5月26日の日記の感想と重なるけど、改めて書く。それは靖国神社の「A級戦犯」のことだ。微妙な問題であることは承知..
Weblog: 田中およよNo2の「なんだかなー」日記
Tracked: 2004-11-25 23:17