「ぶ、ぶ、ぶ、ぶわーーーかめぇ!」
「これで勝ったと思うのねーーーーっ!?」
〜弁慶さん心の叫び 「ゲーメスト」より抜粋〜
明けましたねえ。
「万里を往く」も1年ちょっとがかりでようやく50回ということで。いや、万が一50回くらいで力尽きたら一回で約200里分ということにしてタイトルとの齟齬をさくっとごまかそうかと思っていたんですが、幸いレトロゲームのネタは尽きることもなく、私の予定タイトル一覧もネタ切れとは無縁でなによりです。ペース遅いけど。
ということで、今回はお正月記念というか、なんとなくめでたそうなタイトルということで、源平討魔伝で(えーー)
「源平討魔伝」。アクションゲーム。1986年10月、ナムコよりアーケード版発売。その翌年にはファミコンにも移植されるのだが、こちらは大分話が別なゲームになっていたので、今回は業務用の方で話を進めさせて頂きたいと思う。
「出世景清」という浄瑠璃をモチーフにしたゲームで、源平の合戦で戦没した「平景清」が地獄から蘇り、源頼朝を倒す為に壇ノ浦から鎌倉へと攻め上がる、という展開になっている。
当然敵方は源氏のお歴々で、義経もいれば弁慶もいる。展開は大きく分けて三種類に分かれており、特に「BIGモード」と呼ばれる横画面モードでは、画面の5分の1程を埋める大迫力のキャラクタが暴れ回り、プレイヤーの度肝を抜いたものである。
ゲームに関して、詳しくはこちらをご参照頂きたい。
Wikipedia
源平討魔伝 キャラクター図鑑
源平討魔伝はブルーチーズであり、ラーメン二郎であり、しょっつるである。
およそナムコのレトロゲームで、これ以上好みが分かれるゲームというものは少ないのではあるまいか。ナムコのゲーム、特にアクションゲームというものはその多くが「極めて高い完成度」「遊び易さとゲーム性の両立」といった綺麗な言葉を冠にもらっており、例えばデータイースト辺りのゲームが受ける評価とはだいぶ性格が異なる。アクションゲームの完成度の高さという話では、レトロゲーム時代のナムコは十二分に任天堂とタメを張れただろう。
言ってしまうと、源平は極めて遊びにくい。というよりは、入りにくい、というべきかも知れない。ラーメン二郎のラーメンが「ラーメンとは何か別のクイモノ」という評価を受けるが如く、この源平討魔伝というゲームはナムコの歴代ゲームの中でははっきりと異色である。
まず第一に、このゲームは「慣れるまで」と「慣れてから」の差が激しい。
パックランドにしてもマッピーにしてもバトルシティにしても、ナムコゲーの代表格に共通しているのは「入り易さ」である。全く知らない人が始めてもある程度は遊べるし、ある程度は進める。ゼビウスなんかその典型で、最初の30秒は絶対に死なない様にトーロイドが弾を打ってこなかったりする。初心者ののめりこみ易さというのは、ゲームの間口を広げる重要な要件の一つだ。
が、このゲームには「知らなきゃ死ぬ」という話がかなり多く、そのクリア条件は余りに複雑だ。初心者はそもそも剣力のタメ方など知らないし、岩をがりがりと切りつけてさっぱり敵に勝てなくなったりする。ルートを知らなければ三種の神器の取得など夢のまた夢。信濃にたどり着いても三首竜にボコられ、そもそもそれ以前に弁慶に勝てない。
三つのモードそれぞれの操作方法の複雑さもあいまって、この遊びにくさはなかなかのものだ。一方で、それまでのナムコゲーにはなかなか見られなかった「まじんはひまじん」だのといった遊び要素が随所に放り込まれていたりする。このゲームの好みが分かれる所以だ。
が。世にブルーチーズ好きの人が山の様にいるかの如く。世にラーメン二郎に通いつめる人があまりにも多いが如く、源平討魔伝には魔的な魅力と奥深さがある。それはある程度手馴れてからの剣力を溜め込む楽しさであり、余りにも美しい世界観であり、悄然としたエンディングであり、そして義経戦での余りにもかっこいいBGMである。
このゲームの何より「魅せる」点は、その桁違いのインパクトにある。ある程度手馴れ、このゲームの背景を見る余裕を得た人は、その純和風の書き込みに絶句し、弁慶の余りの大きさに戦慄したことだろう。義経がぴょんぴょんとトビはねながら「殺してしんぜよう!」と叫び、オープニングでは「諸行無常」の声が響く。和風ロックとでも言うべきその世界観があってこその源平であり、はまる人はスルメを噛むが如くこの世界観へとのめりこんでいったのである。
アクションそのものも流石はナムコ、間口こそ狭いものの慣れればどんどん面白くなる。「かぶと割り」だの「脛切り」だのを駆使できるBIGモードもさることながら、小キャラモードのジャンプアクションも上手くなればなるほどテンポ良く進める。考えながら操作すればそれだけプレイヤーが報われるシステム、これこそゲームの奥深さの象徴だろう。
私個人の話をすれば、このゲームはなんつってもBGMである。平面モードの張り切った戦闘音楽も悪くないのだが、やっぱり義経のBGMの恐るべき展開。エレキ風のBGMが上下に暴れ回る中、突如乱入してくる鋭い管楽器音。いやあ、あの音楽にはやられた。聴いたことがない方には、MIDIサイトを探し回っても一聴することをオススメしておく。
そして最後にたどり着くエンディング。いまさらネタバレを気にする様なゲームでもないだろうから書いてしまうと、頼朝を倒した直後平景清は地にくずおれ、冥界へと帰る。そして、寂漠たるBGMと共にスクロールする「源平」最後の一節。引用してみよう。
神様は死んだ
悪魔は去った
太古より巣食いし
狂える地虫の嬌声も
今は、はるか
郷愁の彼方へ消え去り
盛衰の於母影を
ただ君の切々たる胸中に
残すのみ
神も悪魔も 降立たぬ荒野に 我々はいる
故深谷正一氏に ささぐ。
まさに悄然。ナムコの二人の天才プログラマーにささげられた文句とも言われるこの一文は、レトロゲーム界の名文対象最右翼と言ってもいいであろう。
源平討魔伝というのは、つまるところこのエンディングを過不足なくプレイヤーの眼前に表示する為に作られたゲームではないかと、私はそう思うのである。
ちなみに、実を言うと私はファミコン版の源平も割りと好きだったりする。これについてはまた項を改めて書かせて頂く。なんとなくお待ち頂きたい。
ということで。昨年と同じくこれのどこが新年だっつーエントリーですが、今年もなんか適当によろしくお願いします。
去年の大河ドラマ義経でしたし。(笑)
というわけで、よろしくお願いします。
今度の東京村でこそ、語りながら飲みましょう♪
源平最高でしたね。
ベラボーマンやワンダーモモと合わせてPCエンジンで
遊びまくりました。
「殺してしんぜよう!」の時のかん高い「オッホホホ…」
が大好きでした。
だじゃればかり言っているのはだじゃれ。とか。
あの頃のナムコ最高です。
あー、源平遊びたくなってきました。
ナムコミュージアムでPSに移植されてましたっけ?
これからググッてきます。
それでは、失礼しました。
移植されてましたね。
近所のゲームショップに行きましたがありませんでした。
ローリングサンダー入りのとかメトロクロス入りのを
買おうかと思いましたが、ちょっと我慢な感じでした。
それでは、失礼しました。
対戦わいわいやると楽しすぎるよね。
戦闘シーンの音楽が大好きでしたよ。替え歌作って歌ってたし(笑)
しかし、しんざきさんの見事な文章を読んでムラムラと源平やりたくなっちゃったデス。
かぶと割り、に、脛切り?
剣聖伝や孔雀王(セガ、マークV)をクリアし
悪魔城伝説(FC)は、パートナーなしで全ルートクリアした私の魂に火をつけてくれそうなフレーズだっちゃw
>いや、年始にふさわしい、和風ゲームでいいと思いますよ。
問題は、源平の開発陣に次々病人が出たらしいということだ。縁起わるっ。
>今度の東京村でこそ、語りながら飲みましょう♪
ぜひぜひーー。今度はいけそうです。楽しみDEATHよ。
>おさかなさん
>源平やるためにX68000買った人は挙手(ぉ
オレニュージーランドストーリーとストライダー飛竜でしたw
>さぼりやさん
>読みながら月風魔伝と勘違いしていた事に気付く。
3Dダンジョンだけすっげぇ謎。>月風魔伝
>USHIZOさん
>ベラボーマンやワンダーモモと合わせてPCエンジンで遊びまくりました。
ベラボーもいきますよー。いや、PCエンジンってオレにとってはナムコゲーの為にある様なハードでした。オーダインとか。
ナムコミュージアムはvol4でしたね。ドラバスもステキ。
>GOTYさん
>戦闘シーンの音楽が大好きでしたよ。替え歌作って歌ってたし(笑)
今度歌詞をうpしてください。
家庭用の源平もその内いきます。
>あーくさん
>悪魔城伝説(FC)は、パートナーなしで全ルートクリアした私の魂に火をつけてくれそうなフレーズだっちゃw
おうΣ(・口・) アルカードなしでもいけるんですか?
あい、アルカードルートは、落下ブロックをかわして足場を作るパターンが必要なので、大変ですが、一応ラルフのみで行けます。
だからこそ
〇つれていく
〇つれていかない
などと訊ねてくるのでしょうね(笑)
>落下ブロックをかわして足場を作るパターンが必要なので、大変ですが、一応ラルフのみで行けます。
すげーー。私も挑戦してみます。
っつっても伝説はあんまりやりこんでおらんもんで、一かられんしゅーが必要ですが。
あの選択肢は罠かと思ってましたw
でも、すごくやってみたくなりました。
見事なレビューだと思います。
お褒めの言葉、ありがとうございます。源平はアクが強いけどいいゲームなので、気が向いたら遊んでみてください。