2009年05月28日

レトロゲーム万里を往く その87 大航海時代II

ピリー・レイス「いいか、小僧どもっ。重要なのは水より食料だ!食料だ!食料だ!水が飲みたきゃその辺で上陸して汲めっ!」

ジョアン「サー、イェッサー!!」

ピリー・レイス「いいか、一に歓待!二に歓待!三、四がなくて五に探索だっ!」

ジョアン「サー、イェッサー!!」

カタリーナ「…屋形船の訓練?」

(「フルメタル・キャラベル(民明書房刊)」より一部抜粋)


ヴェネツィアン・ガレアスで南極圏・北極圏まで、昼夜問わず余裕でおっかけてくるレイス兄弟の物凄さを、我々はもっと認識するべきだと思う。後世に語り継ぐべきだと思う。

アルゼンチン海盆の暴風の中でも、北氷洋の氷の中でもにっこり笑顔でガレーを漕ぎ切るバルバリア海賊の皆さん。氷山とかガレーの櫂でバキバキですよ多分。なんだあいつら。実は水夫の代わりにターミネーターでも乗せてるんじゃないか。


ということで、なんか大分間が空いてしまいましたが、一応前回の続き。私にとってのオフライン版大航海時代の完成形、「II」について書きたいと思う。


初代「大航海時代」では、実はゲームの軸は二本しかなかった。つまり、「交易」と「戦闘」である。

ゲームの基本は、「交易品を運んで金を貯め、でかい船を買って強い敵を倒す」であり、いわゆる「冒険要素」といえるものは、たまに依頼される「宝探し」というものに集約されていた。「宝の地図」を渡され、副官の助言の元、宝の地図に示された世界のどこかに財宝を探しにいくというもので、勿論これはこれで楽しかった訳なのだが。

そこに、「集落」「発見物」「地図作成」という要素を放り込んで、「冒険」という太い一本の柱を構築したのが、「大航海時代II」というゲームであり、私が一つの「完成形」だと考える所以でもある。

「冒険」「海戦」「交易」。この3つが揃ってこその大航海時代である、と私は思う訳なのである。


大航海時代II。1993年2月、光栄よりPC版発売。インターフェイスに若干の難こそあれ、複数の主人公キャラクターの導入、「冒険」「海戦」「交易」の三本柱の確立、それによって滅多矢鱈に高まった自由度、美麗なグラフィックと菅野よう子作曲の素晴らしいBGMなどなど、頭の先からつま先まで一級の完成度で、後のオンライン版まで続く大航海時代シリーズの礎となった。のち、SFC、メガドライブなどの家庭用にも移植され、インターフェイスも様々に改善されていった。

まずは関連URLを。

まず、ゲームの関連情報に関してはWikipediaにサマリーされている。
Wikipedia:大航海時代II

攻略情報についてはヤキトリ屋さんが白眉だろう。
ヤキトリ屋


まずはゲームの話に行こう。


・「冒険」要素がゲームにもたらした色々なもの。

つまるところ、ゲームの中に超巨大な「宝探し」要素が一つ丸ごと放り込まれた、と考えていいと思う。

このゲームにおいて、「安い港で買って高く売れる港で売る」交易と、「たくさん砲や水夫をつめる船をたくさん集める」海戦については、前作とそれ程大きくゲーム性が異なる訳ではない(一騎打ちは結構重要な要素だけど)。

だが、「II」では地図が作れる訳である。集落が見つけられる訳である。サーベルタイガーが、マンモスが、モアイが、水晶のドクロが発見出来る訳である。これが燃えずにいられようか。

このゲームにおける発見物探しは、大体以下の様な流れで行われる。

1.コレクターと契約。

2.船で世界各地を回る。ナイル川を上ったり、ヴェルデ岬で嵐にあったり。

3.集落を発見する。

4.集落に上陸して探索。この際、集落の原住民との友好度を上げる為に食料を食わせまくったり(冒頭でいうところの歓待)、発見したコモドオオトカゲにかまれて船員が減りまくったりする。

5.帰還してコレクターに報告。冒険名声とお金を得る。


という様な感じで。この際、母港から離れた遠い異境で、「集落を発見しました」の文字列を見ることにとにかく麻薬的な快感がある。「次は何が見つかるのか?」というごく単純な好奇心を、パンダからオーロラからタスマニアタイガーにいたるまで、バラエティ豊富すぎる発見物の数々が裏付けてくれていたといっていいだろう。

一つには、「雰囲気作り」の上手さというものがあると思う。例えば北海を遠く北上した氷の海。例えばアマゾン川の上流。船の行き来が殆どない孤独感と、それぞれの場面に合致したBGMが、「今自分は未開の土地にいるんだ」という雰囲気を盛り上げる。

いわば「冒険感」あっての発見物システムだとは思うのだが、そんな中でもまるでマッピーのご先祖さまの如くひたすらPCを追いかけてくるレイス兄弟だけは誰かなんとかしてください。シップ買ってきて撃退するぞコラ。


ちなみに、発見物は毎回全てが見つかる訳ではないので、目当ての発見物を見つけることが出来るかどうかはリアルラック次第でもある。はるばるイースター島まで出向いて集落が見つからなかった時には流石にがっくりときたものだが、それもまた「II」の醍醐味である。


それに加えて、1では基本的に「積荷がたくさんつめるかどうか」「水夫がたくさん乗せられるかどうか」の二軸だった船選びにも、「積荷はあまりつめないけれど、少人数で動かせて速い船」といった「冒険向けの船」なども出てきて、船選びのバリエーションが倍増したことも特筆すべきだろう。スループやピンネースの便利っぷりには恐ろしいものがあった一方、シップやバーグでカロネード砲を撃ちまくる楽しみや、序盤の軽ガレーの効率の良さ、ジーベックの恐るべき万能っぷりなどなど、船の新調はお金の使い道を迷いに迷わせまくってくれる場面でもあった。


・エルネストストーリーの浮きっぷりについて。

一人だけ他プレイヤーキャラとの絡みが一切ないのですが、これはパウラさえいればそれで俺のストーリー全ておっけーおーるおっけー、とそういうことですか。(スタッテンの存在抹消)

ということで、「II」ではプレイヤーキャラクターも6人に増え、ストーリー的な面も大幅に増強されている。

初期から優秀な部下を抱え、「初心者向き」という触れ込みだが、実際にプレイしてみると罠要素満載の主人公、ポルトガルのジョアン・フェレロ。

ジョアンを付けねらう女海賊、イスパニアのカタリーナ・エランツォ。

剣術がカタリーナ程高くないので一騎打ちで意外と苦労する軍人、イングランドのオットー・スピノーラ。

借金王にして冒険家、イタリア(というかジェノヴァ)のピエトロ・コンティー。

おそらくもっとも進行が簡単で、それでいてクリアは途方もなく面倒くさい、オスマンの商人アル・ヴェザス。

そして登場当初14歳の少女を世界各地に連れまわしつつ世界地図完成を目指す、ネーデルランドの大学講師エルネスト・ロペス。


この中では、「色々と優遇されているが、実はストーリー上強敵との戦闘が絶対に避けられない」ジョアンが最強の初心者殺しと言えるだろう。冒険船で中東にいった辺りでイベント戦に巻き込まれ、敢え無く紅海の露と消えた航海者が当時どれだけ存在したことか。一方、何も考えずに船だけ襲っていれば取り敢えずストーリーは進む軍人二人は、むしろ初心者向きという気がしないでもない。

そしてただひたすら美少女パウラと(あとたまにスタッテンと)の会話イベントだけでゲームが進行していくエルネスト。まさしく愛一本道。この辺り、後のアンジェリークなどをリリースする光栄女性チームの影をほのかに感じたりするのだが、これは私の気のせいだろうか。


これらの主人公キャラに加えて、脇を固める副官・航海士の面々も非常にバラエティ豊富になっており、「人材集めの楽しみ」「誰を使って何をするか、という自由度」といった遊びも相応に深くなっている。

こと人材集めについていえば、信長の野望・三国志の頃から、光栄にはブ厚い「人材雇用の楽しみをどう演出するか」というノウハウが溜まっていると私は思う。測量や会計といった様々なスキル、ゆうき・けんじゅつ・直感といった能力値にいたるまで、「こいつは使えるなー」「こいつはそれ程でもないなー」と人材情報画面をつらつらと眺める楽しさは、まさしく光栄歴代のシミュレーションゲームと同質のものだといえるだろう。

サブキャラとしては、港の彩りである「酒場娘」の好み・性格が様々に分かれており、好みのプレゼントを酒場娘に貢ぐことに血道をあげる航海者が随所に見られたことも挙げられるだろう。自慢話を延々喜んで聞いてくれる酒場娘もいれば、「ふうんすごいわね」の一言で済ませる冷淡な酒場娘もいた辺り、なかなかにシビアなゲームであったといえないこともない。



・聴けば聴く程「MOSLEM DANCE イスラムの踊り」(中近東の港の曲)が素晴らし過ぎるんですが

そして、いわずと知れた音楽・グラフィックの美麗さ。初代大航海時代に続いて、私は歴代光栄ゲーの中でもこのシリーズの曲が白眉だと思っているのだが、その他ジョアンのテーマ、カタリーナのテーマ、戦闘の曲から酒場の曲にいたるまで、一つとして「浮いた」曲がないのもこのゲームの品質を示している一要素だと私は思う。

初代三國志から信長、ジンギスカン、ロイヤルブラッドに至るまで、光栄ゲーの「時代背景・世界設定にマッチしたBGM」作りの腕前は、様々なゲームの中でも際立っていると私は思う。

一部のタイトルでは菅野よう子さんの才能が遺憾なく発揮されていることだろうが、菅野曲ってそういえばどの辺までなんだろう。今度調べてみる。


ともあれ、「発見物集め」「人材集め」といった要素は一面集めゲーの楽しみを包含しているということでもあり、前作から引き続く「海戦」「交易」の楽しさを「曲・世界観」の高度さがコーティングしている、この大航海時代IIは私にとって文句なく名作である。今遊んでも十二分に楽しめるステキゲーだと思うので、Windows版のまともなリメイクを切に期待する次第である。お願いです光栄さん、Windows95版のバイナリをそのまんま焼いて定番シリーズに出すのはもう勘弁してください。



とまあ、非常に長くなったので今回はこれくらいで。次回はまた時代をさかのぼり、FC初期のSTGについて書くことになろうかと思う。


posted by しんざき at 19:01 | Comment(6) | TrackBack(1) | レトロゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
初コメさせて頂きます。
自分はコンプティークに載ってた職人的なドットと世界観に魅了されながらも所持ハードがPC88だったためMD版の1、2をやってた口ですが(年がバレますね)、かなりハマりましたねー。ただ1シナリオが長いからカタリナとエルネストは未クリアだった気が。交易も戦闘も冒険もやってることは単純なのに脳汁でまくるんですよね。金貯めてヴェネガレ艦隊を揃えてハイレディンを沈めまくって、ハイレディンの艦隊がどんどん貧弱になっていくのを眺めるのは楽しかったなぁ。

そしてオンライン版でアテネ〜イスタンに行って絶望するのもお約束。2経験者は絶対やってると思う。
Posted by おーるどげーまー at 2009年05月30日 02:35
>おーるどげーまーさん
>交易も戦闘も冒険もやってることは単純なのに脳汁でまくるんですよね。
この頃のPCゲーの真髄ですね。

>そしてオンライン版でアテネ〜イスタンに行って絶望するのもお約束。2経験者は絶対やってると思う。

オンライン版はオフ版と交易のシステム自体根本的に違いますしねー。

イスタンにいってみたら変装度が足りなくてアレクまで戻る羽目になるのも定番。
Posted by しんざき at 2009年06月04日 13:26
初めて書き込みします。
(人狼系の記事で最初に着てから、長い事ROMはしていましたけれど)

で、白状します。
ジョアン編、冒険船で紅海のイベント戦闘に巻き込まれて海の藻屑にされました。
次にアルで始めたら、南アフリカだかどこかで嵐&レイスコンビの執拗な追撃で詰みました。
そんな私が最初にクリアしたシナリオはエルネスト編でした。
何をとち狂ったか、仲間の航海士の殆どを海賊で占めてましたが。

でも物凄く面白かったんですよね。
各国の戦艦隊沈めまくって、元軍人の航海士を軒並みヘッドハントしてみたり、
航海士を全員海賊でそろえた冒険家とかやってみたり。
時間を忘れてのめり込んでいた記憶があります。
Posted by crow at 2009年06月04日 20:51
>crowさん
楽しみ方が山とあるのがこのゲームのいいところですよねー。ちなみに、私も初クリアはエルネストでした。

ジョアン編は罠です。もう明らかに罠。
Posted by しんざき at 2009年06月19日 09:04
どうもはじめまして。
大航海時代Uとはえらく懐かしいネタですね。
私はX68000(ACE−HD)でやりました。

ちなみにウチでは、レイス兄弟は攻撃艦隊編成時の核となる戦力だったりします。

どうやってアレを部下にするか・・・ですが、結構単純です。
「20回以上叩きのめした後、本拠地であるアルジェの酒場でクダ巻いてる2人をスカウトする」
と、これだけです。

お金稼いで、ダブリンに投資、シップ級で固めた艦隊に兵員を満載して、可能な限りの高級装備に身を固めた艦隊でもってアルジェ前で張っていれば、相手は出航してくるので、間髪入れずに叩きのめしましょう。

な〜に、補給はアルジェの港でこまめにやってりゃ不自由ないですからw
Posted by 諸真者壱豪 at 2014年11月29日 01:59
はじめまして
私もこのゲーム大好きなんです
pc98でエルネスト、カタリーナ、ジョアンをクリアしたと思います
多分エルネストは3回やってると思う
最近またすごくプレイしたいという衝動にかられまして
ps版を購入いたしました^^
いや〜結構やり込んでいたと思うんですが
驚くほどプレイの仕方とか忘れちゃってますなあ
特産もボルドーのワインとイスタンブールの絨毯しか記憶に残ってません
(これは酷い;)
でもそのぶん新鮮にプレイを楽しめそうです
息子にもそのうちプレイしてもらいたいゲームですね
遊びながら地理を覚えられる 神ゲーム
Posted by at 2015年03月28日 12:58
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