2009年06月01日

エロ小説需要の構造的変化について。

テーマがテーマなので一応折りたたむ。まあ、実際に18禁の内容が書かれたりリンクが貼られる訳ではないが。ネットによりレベルが格段に上がった
俺は衝撃を受けた。

俺が10年以上追い続けてきた18禁小説は、あっという間に時代遅れになってしまったのだ。

何度も読んできたお気に入りの本が、あっという間に陳腐化した。読み直すと「これはひどい」としか言えない。

更に言えば、何故か商業は取り残され、無料であるはずのネットの方が良質の18禁小説を生み出している。わざわざ金を払うのは、ネットの18禁小説の存在を知らないだけではないだろうか。
知人の編集さんに聞いた話。そんなに観測範囲が広い訳ではないので、業界全体に敷衍出来る内容だという保証は出来ない。そういう例もあるのか、程度で。

昔から、エロ文章は「最低限食いつなげる分野」として底辺の受け皿となってきた筈だが、昨今どうも、その受け皿が機能しにくくなっているという。その原因の一つに、上記エントリーで提示されている「Webのエロ文章」というものは確かにあるらしい。

一言で言うと、「最低限エロい文章が読めれば満足」という需要の層がWeb上のエロ文章に吸収されてしまい、そこで食いつないできた人達の文章が売れなくなっている、ということの様なのだ。

・かつてのエロ小説分野は、文章の質には一切関係なく、最低限の売り上げを見込むことが出来た。冗談なのかどうか知らないが、編集さんはこう表現する。「テンプレみたいなものがあって、固有名詞だけ入れ替えた様な内容でも、タイトルだけ付け替えればある程度売れた」

・その為、フリーのライターさんとか、普通に書いてもなかなか売れない人達が糊口をしのぐ為にエロ文章を書く、という受け皿的な分野になっていた。エロ小説とエログラビアを混ぜ合わせた様な雑誌は、かつて殆どが「他の分野で食えてない人」をかき集めて作られていた筈である。ちなみに、色んな大手出版社さんが、エロ雑誌その他を出版する下請けみたいな小さな出版社を抱えていた、らしい。

・私見だが、上記は「エロ小説を買う層の購買意欲が、一時的な強い欲求に支えられたものである」ことや、「エロ小説を立ち読みすることに対して心理的なハードルが存在する(お金を使わないで比較検討することが難しい)」ことなどに由来するのではないか、と思う。あまり根拠はないが。

・「必要とされているジャンルがごく限られたものである」といった事情もあるのかも知れないが、その辺はよく分からない。

・一言で言うと、エロ小説には「こまけぇこたぁいいんだよ!」的にお金を使ってくれる、ありがたい客層が固定客として存在した

・で、上記の様な、言ってしまえば「質はともかくとにかく読めればいい」といったレベルの需要はWeb上で悉く吸収されてしまう様になってしまった。Web上のエロ文章は玉石混淆だが、その点はかつてのエロ小説も似た様なものだ。

・つまり、「底辺の受け皿としては機能しなくなった」。食いつなげなくなったらエロ、というかつての常識は完全に破壊されたといえる。

・もうちょっとレベルの高い需要、及びそれに対する供給はあるのかも知れないが、最近は「稼げる程書ける人」というのはエロゲー業界とかに流れている様な気がする。同じくあまり根拠はないが。

箇条書きのつもりで書き始めたが、箇条書きになってないな。まあいいや。

で、現在のエロ小説のターゲットは「ハンドリング性(持ち歩けること)」及び「Webを日常的に使っていないおっさん」に集約されており、ごく一部に「ある程度ネームバリュー・文章力がある作家さんの購買層」が定着しているという。ここから何らかのブレイクスルーが発生する可能性もないではないが、個人的にはネガティブな予想を持っている。ハンドリング性が携帯電話に完全に吸収されたらいよいよやばいんじゃないのかなあ。最近の数字はよく知らんけど。

かつて「エロは不景気知らずの業界」だといわれていたが、最近そうでもなくなっている様な話をあちこちで聞く。「コモディティだと思っていたらそうでもなかったよ現象」というヤツだが、その原因の一旦にはWebの存在もあるのかも知れない。

エロ業界に、いい形でのブレイクスルーが発生することを願ってやまない。

ちなみに、「じゃあ食いつなげなくなったライターさんはどこへ行ったのか」という話は重くなりそうな予感がするのでまた今度。
posted by しんざき at 18:54 | Comment(6) | TrackBack(0) | 雑文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
このエントリーをはてなブックマークに追加
この記事へのコメント
そういえば最近読まなくなりました
フランス書院の鳳春紀さんを愛読してたけど、それももう数年前の話
Posted by くどう at 2009年06月01日 20:39
ライトノベルのエロ吸収(吸収って表現が合うかわからんけど)として、
二次元ドリーム系のがありますよね。
あの辺りは携帯分野も頑張ってて、会員になると月額固定で読めたりする。
掲載方式も、分割して週代わり掲載とか考えてるしね。
二次元ドリーム系の作家さんは、同人でも似た様な本を出したりしてて、
まぁなんつうかオヤジ商売がオタク商売になってる感じ。
Posted by まく at 2009年06月02日 12:38
二次元ドリーム文庫の文章は、フランス書院文庫の文章からパクッているものもあります。

(例:綺羅光とワルプルギスの淫夢)

確かに今はエロ商売が「オヤジ商売→オタク商売」になっているのではないかと。

フランス書院文庫の内容を絵だけ萌え絵にして売り出せば、それなりに売れてしまうのではないかと思いますし、実際その路線でも出ているレーベルもあるはずです(絵が微妙なものもあるのでいまいちな売れ行きかもしれませんけど)。
Posted by at 2009年06月02日 13:46
吉野純雄どこいったんだろ・・・
Posted by   at 2009年06月02日 22:19
自分の性癖にどれだけ近いかが大事なエロの分野では、自身の欲求や願望をストレートに形にしているネット小説と、その日を食いつなぐ為の量産テンプレート小説とでは、訴求力が違いますよね。

本来、商業とは文章力で差がつくものなんでしょうけど、しんざきさんがおっしゃっている通り、基本喰えない人の集まる分野でしたから、特定の作家以外レベルが低いんですよね。

ニッチなジャンルのカバーという点でも勝負になりませんし。

ただ、二次元ドリーム文庫の作家募集欄で、ストーリー展開でわがままを言うひとは要りません、と書いてあって爆笑したことがあります。
(例:ボクの○○ちゃんをそんな酷い目に合わせられません)

自分が書きたいものだけ書けば良い(お金を貰っているわけではないので当たり前ですが)ネット作家と違い、読者を満足させることを重視している商業作品にもほんとは頑張って欲しいんですが。
Posted by at 2009年06月03日 20:39
ちなみに、皆さんおっしゃっている「オヤジ商売がオタク商売に」という点は、それはそれで微妙に深いテーマなので多分今度書きます。

結論からすると、微妙に書いている人の出身層が違ってそうな感じです。
Posted by しんざき at 2009年06月04日 13:32
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック