2009年09月04日

レトロゲーム万里を往く その90 ルーラとはなんだったのだろうか。

ドラクエ9をやって、ふと思ったこと。過去の話がメインになるので万里で書く。

今回のドラクエでは、通常の職業の人が通常覚える魔法としては「ルーラ」が存在しない。代わりに、シナリオ進行上のとあるポイントで、主人公が無条件に覚える。同じくイベントで習得する5とは違い、9のルーラのMP消費は0であり、必然的に今回のドラクエではルーラが使い放題である。町の中から外に出る時に使うことすら気軽に出来る。超便利。


で、ふと思った。「あー、ここまでもってきたのかあ」と。


ルーラとはそもそも何だったのか、ということについて考えてみたい。

ドラクエにおけるルーラとは移動呪文である。1の時はラダトームに、2では最後に復活の呪文を聞いた場所に、3以降では1度でも立ち寄ったことのある町に、主人公パーティを一瞬で運んでくれる。同一効果は「キメラのつばさ」でも得ることが出来るが、こちらは勿論買うなり取るなりしなければならない。

ルーラがゲーム性に与える影響は、要するに「プレイ時間の短縮」である。ある町からある町へ移動する、その「移動時間」を省略する。その間発生することが想定される敵との戦闘も省略する。「昔行った町」をプレイヤーの視野に入れ続けることによって、ゲーム世界を広く感じさせる、という効能もあるだろう。やはり、ルーラ後の選択画面に街がずらっと並ぶと世界が広く感じられるものだ。


ちょっとここで資料をひいてみよう。
ニコニコ大百科:各作品のルーラ
以下は上記URLからの引き写し。

ドラゴンクエスト
主人公(Lv13)
ドラゴンクエストII
サマルトリアの王子(Lv10)
ドラゴンクエストIII
勇者(Lv7)
魔法使い(Lv12)
ドラゴンクエストIV
勇者(Lv9)
ブライ(Lv10)
マーニャ(Lv9)
ドラゴンクエストV
主人公(イベント習得)
娘(最初から)
エビルマスター(Lv30)
キメラ(Lv24)
ネーレウス(Lv10)
ホークマン(Lv13)
プチターク(Lv40)
ドラゴンクエストVI
主人公(Lv8)
バーバラ(Lv8)
はぐれメタル(Lv5)
魔法使い(職業Lv3)
はぐれメタル(職業Lv4)
ドラゴンクエストVII
主人公(Lv8)
メルビン(最初から)
魔法使い(職業Lv3)
ドラゴンクエストVIII
主人公(ゆうきスキルLv1)
ククール(最初から)

インデントが汚い点は勘弁していただきたい。注目したいのは、キャラクターの横に書いてある「ルーラを覚えるレベル」だ。

主人公のレベルとゲームの進行は大体シンクロするものだ。そこから「ゲーム進行上のどの辺でルーラを覚えるのか」を考えると、大雑把にいって「大体序盤から中盤にゲームが遷移する辺り」という共通点が見て取れる。もう少しいってしまうと、(1はちょっと例外だが)「世界が広がる辺り」という表現が妥当だろう。

例えばドラクエIIの例で言えば、サマルトリアレベル10というのは、まあ大体ムーンペタのある大陸に移って、ムーンブルク王女を仲間にして、船のあるルプガナを目指そうか、という辺りのレベルと考えていい。ドラクエ3のレベル7というのは、アリアハン大陸を抜けてロマリアに辿り着けるか着けないか、という辺りだろう。ドラクエ4であれば船のあるコナンベリーが視界に入る頃だし(当然だが、低レベルクリアの方々のようなプレイは想定していない)5のルラフェンは言うまでもなく、結婚イベントで船が手に入る直前だ。

この辺は、当然のことながらゲームデザイン上の調整であり、勿論「狙って」やっているのだろうと推測出来る。

ドラクエにおける「世界の広げ方」の管理はかなり厳密である。最初移動出来るのは極めて限定された範囲(例えばアリアハンとかローレシアとか)で、徐々にプレイヤーをゲームに慣らしていき、その後「次の大陸」という形で一気に行動範囲が広がり、そして船が手に入ることによってほぼ世界全域が行動範囲に含まれる。ただしこれは飽くまで「徒歩の延長」としての話であって、ラーミアや気球のような「敵との戦闘をすっ飛ばしてどこでも移動出来る手段」が手に入るのは、一部の例外を除いてほぼゲームの最終盤なのだ。

逆の言い方をすれば、ドラクエでは「敵をすっ飛ばせる移動手段」が最後の最後まで手に入らない。この状態で世界をめぐると、「ただ世界を回る」だけでも非常に手間がかかる。折角世界が広がったのに、例えば昔行った街にふと立ち寄る為に、プレイヤーはわざわざキメラの翼を買わなくてはいけない。

そこでタイミングよく「ルーラ」という移動手段を得ることによって、プレイヤーは既存の行動範囲内であればほぼ制約なしに動き回ることが出来るようになる。広がった世界を十分に堪能できる。


そこから考えると、ドラクエにおけるルーラというものは、いわば「世界を広げる為のエクスキューズ」として動作している、といえるのではなかろうか。


9におけるルーラは、レベルとはまるで無関係に「世界が広がる直前(転職が可能になり、ツォの浜→サンマロウを経て船が手に入る)」で習得することが出来、しかもMP消費がないので非常に容易に「昔行った街」に立ち戻ることが出来る。「ルーラの思想」を更に推し進めるとこういう形になるのかあ、などと私は妄想する訳なのである。

ちなみに、9においては過去シリーズと異なり、セントシュタインという街が非常に重要というか、ある種の「ゲームの基盤」的な役割を果たしている。おそらくその辺のところも考慮されたゲームデザインなのだろうと思う。


話は変わる。

ドラクエと対比しやすい存在として、当然のことながらファイナルファンタジーがある。FFにはいわゆる「ルーラ」の様な移動呪文が存在しない。フィールドでセーブ出来るという事情もあるが、それ以上に大きいのが、FFにおける「敵と戦闘せずに移動出来る手段」の(ドラクエと比較しての)気安さ、豊富さである。

例えばFFIIにはチョコボがいる。飛行艇もある。FFIで飛行艇が手に入るリュカーン砂漠もゲーム全体から見れば中盤だし、IIIに至ってはゲーム序盤から飛行艇が手に入り、以後展開に沿って複数の飛行艇を乗り継いでいくことになる(暫くは色々と制約があったり乗れない時期があったりするが)。4でも5でも6でも、かなり早い段階から「敵をすっ飛ばして移動出来る手段」が手に入るのである。

その代わり、ファイナルファンタジーシリーズでは「ストーリーの展開の一環として」世界が広がる、という傾向が強い。例えばIIでは竜巻発生前と後で世界の様相がほぼ変わるといっていいし、3は浮遊大陸前と後、4は地底世界と月世界、5でも6でもストーリーの進行によって世界の様相がまるで変わる。


こうして考えると、ドラクエとファイナルファンタジーは、「世界の広げ方」というものについてかなり異なった思想をもって作られているのではないか、という結論が導けそうだ。こちらについてはまた改めて、もうちょっと具体的に考えてみる。

posted by しんざき at 17:27 | Comment(6) | TrackBack(2) | レトロゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
だらだらーっと考えたー

どっちも有名シリーズになってて、
ルーラだったり、チョコボだったりが
縛りになってはいるよねえ。
あ、でもFF10でチョコボがどうだったとか
全然知らないナ。

各作品における究極の移動法(最後に手に入るという意味ではない)は
ドラクエではルーラであり、補完する為のその他移動法。
FFだとまあ、飛空艇か。進化するけど大体。

現実世界に当てはめるのであれば、ドラクエは
電車などの公共交通機関を主とした感じ。
FFの場合は自転車>車という個人所有のもの。

電車の旅での世界の広がり方
車を手に入れた世界の広がり方

という感じで、過去の自分の世界の広がりを
思い出させる形になってきてはいるのかなーと。
あ、コレはもちろん大人にもウケる理由的な
ものなんだろうけど。
子供は単純に世界が広がったらうれしいわな。

基礎モデルが車か電車かってー感じで
思想自体はそんなに変わらないような気はしないでもナイ。
Posted by たまつさん at 2009年09月04日 20:45
Posted by さるたに at 2009年09月06日 13:02
いつでもゲームをやめられるように、だと思うのは俺だけか?
DQはルーラ先で復活の呪文なり教会なりじゃないとダメ
FFは基本フィールド上でセーブできるから
Posted by at 2009年09月09日 22:09
残り薬草の数とMPを気にしながら進んで、
ダンジョンを突破して必死に街まで帰る(特に昔の)ドラクエって、
小学生の「家に帰るまでが遠足です」なんだと思う
弁当と300円分の菓子と水筒かついで山に登って、
早々に食うもん飲むもん全部使い果たし、遊びすぎて体力もなくなり、
飢えと乾きに苦しみながら帰路につく羽目になっちゃうアホなガキが、
後悔しながら、(気分的には)命からがら家に帰り着いて、
「もしもリレミトとかルーラがあったらなあ」と思うような感じ

それに対してFFは、大学生的な旅行という感じがする
ドラマチックなイベントが主眼で、荷物も半ば無制限だし、
金銭的にも時間的にも余裕があるから、別に必死になって家に帰らなくてもいいし、
野宿なり車中泊なりすればいいと思ってるから、
帰るためのツールであるルーラが欲しいとは感じず、
むしろもっと高速に遠くに行ける手段(上位の被空挺)のほうが欲しくなる
Posted by tkb at 2009年09月10日 01:29
自分にとってルーラは街に帰るための手段だったなぁ。
死にかけで必死にイベントクリアした時の頼みの綱。
シリーズを重ねる毎に難易度下がって、ただの移動手段に
成り果てました。
Posted by Taku at 2009年09月10日 02:02
私もルーラの一番の存在価値は、「帰りを心配しなくていい」という、目標達成に100%力をつぎ込めるための備えではないかと思います。
ルーラがない状態で未踏の地を進むと、「帰り道を考えて、実力の半分くらい(余裕のある範囲)で活動」するという制限がつくのが、ルーラがあることで「行けるところまで行ってみよう」と、文字通り冒険できることが、一番の存在価値ではないでしょうか。

FFは、フィールド上でどこでもセーブできるので、ルーラがなくても冒険できるのだと思います。
Posted by Tam at 2009年12月27日 12:50
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Tracked: 2009-09-07 03:17

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