そもそも結婚なんてメリットデメリットでするものじゃないだろうとは思うけれど、確かに結婚をすることで得られるもの、結婚をすることで得にくくなるものがあるのは確かだろう。しかし、どうもWeb界隈では「不満・不幸・不平」の方が注目を集めやすい様で、いまひとつ評価が偏っている様な気がする。結婚で得られるいいこともたくさんあると思うのに、それが目に触れなくなってしまうのはとても勿体無いと思う。こういうスレとか見ていると特に。
その為、「結婚に何の不満も持っていない男性」という立ち位置で、「結婚をして何が変わったか」「何は変わってないのか」というのを個人的に書くエントリーというのもあっていいのではないか、と思った。
まあ、私の結婚自体5年以上前の話なので、あやふやになっている部分もあるかも知れないが。ただしこれは飽くまで私の場合であって、特に一般化するつもりはないということをご承知頂きたい。長文なのでお時間がない人は最後だけお読みください。
まず、前提。
この手の話題は多くの場合、「一緒に住む」ことの象徴としての結婚と、「形式」としての結婚がごっちゃに語られているような気がする。
Twitterで的確な言い方を見かけたので紹介する。
渡辺天和斎さんの発言
「結婚」とはざっくり分けて、結婚に関する実感の大半を占める「結婚生活」と、法律上の手続きやそれに付帯するさまざまな法的権利としての「婚姻」と、人によっては死ぬほどめんどくさい社交上の行事である「結婚式」の3つになると思います。で、例えば上記のスレの場合、「結婚生活」と「婚姻」の混同が著しい。
私自身、「一緒に住む」ことと、「形式として入籍する」ことは全然別のことだと思うので、一応それについては明示して書く。割とミもフタもない(しかも男性視点からの)書き方をすることになると思うが、気を悪くされた人がいたらすみません。
以下は、「結婚してから子供が生まれるまで」のお話で、まずは箇条書き。
○奥さんと一緒に住む(結婚生活)様になって変わったこと・変わっていないこと。
・自由に使えるお金が減ったかというと、全然そういうことはない。ただ、私も奥様も元々大してお金を使わない人間であるという事情もあるかも知れない。
・一人で過ごせる時間は確かに減ったかも知れない。ただ、一人で遊びたい時は普通にそうしていた様な気がする。
・一人で遠出は流石にやりにくくなった。
・友人と徹夜で飲む遊ぶ、といった機会も確かに減ったかも知れない。
・ゲームや趣味に費やす時間はそれ程変わらなかったと思う。奥様もゲームを嗜む為、子供が生まれるまでは対戦相手にそれ程困らなくなった。
・食生活はものすごく劇的に改善した。栄養も考えてくれるので随分健康な食生活になったと思う。
・家事は手分けする形だったので、(私は)随分楽になったと思う。今は奥様は働いていないのでかなりの分家事をやってもらっているが、なるべく手伝うようにはしている。
・くたびれた時には色々な面で支えてもらっている。精神的にも手伝い的にも。稀に病気になった時は奥様がいないと死んでいたかも知れないとか思う。
・家に帰らなきゃなあ、という目的意識が出来た。結果的に体は大事にするようになったと思う。
・遊びに行く先は協議制になった。その為、自分ひとり好きな場所、例えばゲーセンに行く機会は確かに減った。
・家に帰って誰かが待っていてくれる、というのはとてもいいものだと思う。ただし、これは基本的に私の方が帰りが遅かった為で、立場が変われば待つ待たれるは当然逆になる。
・誰かに常に必要とされている、誰かを常に必要としているということも、なんだかんだで精神の安定に寄与していると思う。
・人肌が寂しくなったらすぐくっつくことが出来る。
・食事や遊びの際のお金はほぼ二人分になる訳で、出費は増えたと思う。結婚当初は共働きだった為収入も増えたが。
・親戚付き合いは増えた。私は苦にならないが、これは人によるかも知れない。
○奥さんと婚姻したこと(結婚という「形式」の話)で変わったこと・変わってないこと。
・関係が固定したことで、(特に奥様にとって)精神的に安定した部分は多分あると思う。結局、婚姻なしでの付き合いというのは「いつかは別れるかも」という不安と切り離せないと思うので。
・周囲の理解とか協力は物凄く得られる様になった(結局これが「結婚」という制度の意味だと思う)
・「古い考えの人」との面倒なやり取りが一切なくなった。
・ミもフタもない言い方だが、それ程気が進まない機会・お誘いをお断りする理由に事欠かなくなった。
・手続きは面倒くさそうだった(特に奥様の)。苗字が変わることの面倒さが分かった。
・婚姻とはちょっと違う話だが、結婚式は面白かった。お金は若干かかったが、随分色んな人に協力してもらった。
以下は若干補足。
まず前提として、奥様とは結構長く付き合っていて、一緒にいて遠慮する・疲れるという要素は殆どなかったということは書いておくべきだと思う。特にプライベートな秘密といったこともなかった為、一緒に住むようになって気を使うこともさしてなかった。
あと、私は相当なゲーム好きだが、奥様がゲームに理解があること、元々フォルクローレという趣味を共有していた(現在でも夫婦共に演奏している)ということも上手くいった理由として存在すると思う。
○共同生活としての「結婚」について。
まず、使えるお金に関して。私と奥様は結婚当初共働きで、生活費は二人で割合を決めて毎月拠出し、あとのお金は個人の自由、という取り決めを当初行ったので、特段不自由を感じたことはない。よく小遣い制がどうとかで不満をもらしているのを聞くと、話し合ってお互い不満のないやり方を考えればいいのになあ、と思ったりする。
ただし、私も奥様も、あまりお金がかかる趣味とは無縁である、という事情は書いておく必要があるかも知れない。夫婦ともにブランドものとか高級品とか、そういうものに興味が一切ない。
一人で過ごす時間やプライベートな空間について。これは減った。「誰かと一緒に住んでいる」ということでまあ当然のことだと思うが、我々の場合、一人で過ごしたい時にはお互いにそういえば一人にしてあげる・もらえる様にしているし、夫婦はそれくらいのことは遠慮なく言える関係であるべきだと思う。
友人と飲んだり遊ぶ機会について。これは、特に新婚当初は、誘われる機会自体が若干減った。むしろ友人連中の方が遠慮した為で、自分から誘う機会はむしろ増えたかも知れない。
趣味については、私と奥様は共有している趣味が色々とあるので、その点遊ぶ際には退屈しなかったと思う。塊魂とか三国無双辺りは奥様も結構やっていた。
家事について。まだ共働きだった頃は、家事の分担が(私にとって)とても重要だったと思う。私は料理・炊事をとてつもなく苦手としている人間なので、料理が得意な奥様に任せて自分は掃除を担当する、といった分担を実施し、私自身はとても楽になった。実家暮らしだった奥様が楽になったかどうかは正直微妙である。問い合わせておく。
結婚に限らず、誰かと一緒にいる、という時一番重要なことは、不満を溜めないということではないかと思う。私の場合、かなり頻繁に、お互い何か不満なこととか、不安なことがあったら細かいことでも話してみましょうの会、的なものを開くことにしている。いいやり方なのかどうかは分からないが、まあ今のところ多分上手くいっているのだろう。
○形式としての「婚姻」について。
形式的に「結婚する」ことによって得られるものの多くは心理的なものだと思う。
まず一つは、立場が安定することによって得られる心理的な安定。これは多分、男性よりも女性の方が、あるいは親御さんの方が、得る部分が大きいものだと思う。なんだかんだで、女性は婚期というものをある程度意識するものだろうし、出産や育児に関する人生設計も必要である。
結婚しないままの交際というのは、「いつか別れるかも知れない」という不安を抱えたものではある。これについては、女性の側が不安であるならば男性が解消してあげるべきではあるまいか。逆のケースもあるかも知れないが。少なくとも、どちらかが年齢的に結婚したいと思っているのに、どっちつかずのまま付き合い続けるというのは些か不誠実な気がする。
親族、親御さんが安心する、という点も決して無視できない問題であると思う。一般論になるかどうかは分からないが、結局息子さん・娘さんが身を固めるというのは、親にとって嬉しいことである様だから。
あと、ぶっちゃけた話、会社では結婚していた方が色々とやりやすい気がする。これは会社にもよると思うので、飽くまで私の場合の話。
と、まあ、補足はこんな感じ。一応奥様にも見てもらったが、特に文句は出なかったのでそこまでひとりよがりな内容ではあるまいと思う。
結局のところ、お互いがお互いの欲する所や不満な所を伝え合うことが出来て、お互いがお互いに程よい関心を持っていることが出来れば、結婚というものはとてもいいものなんじゃないかなあ、と、私はそう思う。
子供が生まれた後の話とか、結婚生活に関するエントリーは以下を参照頂ければ。
関連:子供が生まれて変わったことを、掛け値なく本音で考えてみた。
結婚生活を割と愉快に過ごす為のたった一つのキーワード。
随分長くなったので、取り敢えずこの辺で。
なんというか、結婚しての実感が分かりすぎてうなずきっぱなしです。
しんざきさん夫妻の関係とうちの関係って似てるように見えるのでなおさら。
結婚して一番得られたものは、いろんな意味での安定ですね。
経済的にも、精神的にも、建前上でも。
それを脅かす波がもちろんあるわけですが、「戦友と一緒なら越えられるさ!」と思えます。
うん、戦友が一番的確な表現だな、私的には。
とはいえ、それは結婚以前の何年もの積み重ねでできたことですし、それ以前に結婚には向き不向きがありそうなので、他の人にどうこう言うつもりもないですが。
人に言うまでもない思いつきでも受け止めてくれる相手がいる。
結婚の醍醐味の一部がTwitterに取って代わられそうなのが、ちと怖いですね。
結婚が卑下されるのは日本人の『うちの女房はダメで』とか言う風習の様な気がしました。
やはり一人で生きて行くにはまだ辛い世の中なんで、支えあって行ける人がいる事は、本当に助かると思います。
これはもちろんあなたの手柄です。互いに理解し合える関係を構築してから結婚されたのですから。
ただし、負け犬と言われようが一言書くならば、女性側の結婚に対する要求の高さは恐ろしく、正直いって一般的な男性ではとてもついていけるものではありません。
結婚式では男性はオマケであり新婦が主役なのは当然のこととして、その後の「結婚生活」に対する要求も大変厳しいものです。その対価として出産>子育てという大仕事が女性側に待っていることは理解しつつも、多くの男性は結婚の話をしたとたんに女性側の要求の高さにビビりまくりというのが現状ではないかと。
引用させて頂きましてどーもです。
>それ以前に結婚には向き不向きがありそうなので、他の人にどうこう言うつもりもないですが。
多分、一言で言っちゃうとそれが「一般化できない理由」なんでしょうね。
>けいたさん
>結婚が卑下されるのは日本人の『うちの女房はダメで』とか言う風習の様な気がしました。
不幸や不満は表明するコストも低いし反応も大きいし、って感じで、コストリターンの関係で目だっている部分も大きいような気がします。
>通りすがりさん
>女性側の結婚に対する要求の高さは恐ろしく、正直いって一般的な男性ではとてもついていけるものではありません。
いまひとつわかりませんが、おっしゃる「要求の高さ」は「一般的なもの」なんでしょうか。
私自身は、一部のメディア以外ではそこまで「高い要求」を目にしないんですが。
SQL > select kaji, date from wife where date < (結婚した日付)
こんな感じのスクリプトで過去と現在の家事ステータスを比較すれば大丈夫ですかね? >問い合わせ違い
往々にして、妻の心中は、夫の知るところではないのですが…。私も新婚当時から妻のことを理解しているつもりでしたが、彼女は内心私への不満を積もらせていたこともよくありまして…。そうでないことを祈りますが、ゆめゆめ油断されませんよう(汗)
10年、20年経ってからこの記事を読み返されたときに、今の方があの頃よりももっと幸せだと思われたなら、それは本当に素敵なことでしょうね。
私は残念ながら、新婚の頃の幸せは無くしてしまいましたが。年上の上司の話など聞いていると、30年40年と連れ添うと、妻との関係もそれまでとは随分変わるのだということですので、まだまだ私も道半ばなのでしょう。
しんざきさんに、幸多からんことを。
ま、夫婦間のトラブルや不満は「解決方法があっても実践できない」人が多いんですよ。自分か相手か、それとも双方に知性が足りないと実践できない(正確には実践しにくい)んです。
私自身の話をすると、このスバラシイ空気が淀む(漢字アテル?)のでやめますが。