2009年12月15日

JRPG批判を見て、「小さいのが大きいのを倒す」って日本では昔からあるんじゃなかったかな、とか思いついた。

この前からの和製RPG批判の紹介を見て、「そういえば」と思いついたこと。
島国大和さんが書かれた記事から引用。

【島国大和】日本のRPGはもう駄目なのか?
「生きるか死ぬかの冒険に子供を参加させるのはおかしい」
「細身の美少年が大きい刀を振りまわすなんて無理がある」
「ターン制で,順番に攻撃するなんてリアリティがない」
「ハゲヒゲマッチョを少女がパンチで倒すなんて変だ」
「子供が数人で世界を救うのってどうなの?」
特にこの批判自体については私の意見はない。島国大和さんのおっしゃる通り、デフォルメの方向がどちらを向いているか、というだけの話だと思う。

ただ、「細身の美少年が肉弾戦でデカいヤツを倒す」という点に限っていえば、日本には昔から「小さいのが大きなのを倒す」という類の話が色々あるなーと連想した。

あまり詳細に調べていないが、例えば牛若丸と弁慶。

例えば一寸法師。まあこれはあまり肉弾戦という感じではないが。

桃太郎だって突き詰めれば「少年が真っ向勝負ででかい鬼を倒した話」だし、金太郎にも「怪力の少年」の伝説という側面がある。

たったこれだけのエピソードで概括する気はないが、「小さいのが大きいのを倒す」という逸話は、少なくとも日本では割と古来から好まれ/親しまれていた構図であるような気がする。


翻って海外、この場合西欧にそういう逸話はあるのか?といわれると、まあ全くない訳はなかろうと思うが、印象的には「小さな子は知恵を絞って、策略によって大きな敵を撃退しました」という話の方が多そうだなあという気はなんとなくする。

ちょっと、試しにグリム童話のサイトをひかせて頂く。

例えばヘンゼルとグレーテルは魔女退治の逸話だが、やっていることは不意打ちで魔女をかまどに押し込んだだけだし、そもそも魔女があまり「デカい敵」のカテゴリーにはない。

おやゆびこぞうの逸話は一寸法師と相似しているが、狼を退治するのはおやゆびこぞうの父親である。

みそさざいとクマのお話も同じく、ミソサザイがクマに勝つ方法は策略である。かしこいチビの仕立屋さんも同様。

グリム童話だけで「西洋」をまとめるのはどう考えても無茶だろうとは思うが、第一感では「小さな少年が正面からでかい敵を倒す」というお話は少ないような気がする。

一方、聖ジョージやジークフリートの逸話を見るまでもなく、西洋にはドラゴンスレイヤーの逸話が多い(キリスト教的な逸話も多いけど)。そこから考えると、西洋では「小さなのが大きいのを倒す」よりは「大きいのがもっとずっと大きいのを倒す」ことを好む文化があるのかなーとか思いついたりしたのだが、まあ日本にもスサノオの龍退治の話とかあるけどな。


まとめてみると。

・「少年や小兵がでかいのを倒す」という構図は日本では昔から馴染みがある気がする。
・もしかすると文化的に、「大きいのがもっとずっと大きいのを倒す」よりも「小さなのが大きいのを倒す」方を好む方向性みたいなものが、割と土着であるのかも。
・一方西洋の童話をみていると、あまり「小さなのが大きいのを倒す」逸話は支配的ではなさそう。ぱっと思いつく限りでは「大きいのがもっとずっと大きいのを倒す」方が多い気がする。
・これも文化的な差異の表れなのかなあ。ちゃんと調べればまた別の結論が出るかも知れないが。
・大きなのを倒すかどうかはともかくとして、「少年が世界を救う」的なテーマ自体は西洋でも別に珍しくない気がする。ハリーポッターとかもそんな感じだし。



というようなところで、思いついたことは以上。
posted by しんざき at 11:04 | Comment(13) | TrackBack(0) | 雑文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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この記事へのコメント
日本が特殊なのはたしかかもしれませんが、
そういう意外性が面白いと感じるのはヒューマン・ユニバーサルなものの気がしますね。

西洋でもダビデとゴリアテとかもろにそれですし。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B4%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%86
Posted by 木戸孝紀 at 2009年12月15日 11:44
歴史の逸話も「小が大を」エピソードが多いですよね。
信長の桶狭間とか、秀吉の成り上がりとか。
突き詰めれば聖徳太子の「日の出ずる国」に代表されるような小国が大国と対等に渡り合いたいという気持ちに表れるような気がします。
Posted by urunao at 2009年12月15日 13:24
柔よく剛を制すともよく言われますよね。

ヨーロッパとアメリカは別にわけたうえで、
個人的に考えてみたい話でとても興味深かったです。
Posted by at 2009年12月15日 13:45
ダビデとゴリアテ、アーサー王の少年時代、など海外でもありそうだけども。

ただ、「もっとずっと大きいもの」に関しては、日本では、倒すだとかそんな話じゃないって気がする。

ダイダラボッチだとか、天の邪鬼など(山を蹴飛ばして湖をだとかを作ったりする系。瓜子姫に出て来るようなトリッキー系統ではなくて)の”自然”ぐらいにデカイものには日本のお話では戦いを挑むことはない気がするね。

んーでも龍に挑んだりするか。
・・・・
Posted by at 2009年12月15日 16:11
小さいものが大きいものを倒す構造って、そういう昔話的なものもあるんでしょうけど、どことなくマンガ文化から来てるんじゃないかなぁ、って気がしてます。
マンガ、アニメ文化てのが、そもそも子供相手の娯楽というところから始まっている以上、主役は客層に合わせた世代になりがちですし。
その状態のまま昔の少年が今でもその頃の世代が主人公のマンガをよろこんで読んでいるのも事実なわけだし。(自分含む)
そういった世代を拾おうとしたジュヴナイルがあって、その土壌にRPGの世界観が構築されてる、というように感じてます。
ま、アニメ・マンガ・ジュヴナイル・RPGともに、非常に狭い範囲しか見てないで言ってますけどね(^^;
Posted by Kenz at 2009年12月15日 17:47
結局の所、結論は「こっちの方が面白い。そっちはつまらん。」と声を上げる人の大きさと人数の総和で決まる事だと思います。
個人的には、MW2やGOWみたいなのが数百万本も売れるような北米や英国の感覚の方がおかしいと思いますね。
ただ、声の大きさと市場規模でこちらが圧倒的に負けているというだけで、JRPG批判の根拠にはなり得ないでしょう。困ったことに、勝ち馬に乗ってJRPG批判に走る無責任な人達も日本には大勢いますけど。

海外の人達には、文句があるなら、日本人にもバカ受けするようなFPS・TPSを作ってごらんなさいな、としか言えません。日本で受け入れられない限り、「欧米人だけに受けてるジャンル」に過ぎず、マリオやWiifitのような存在は絶対になり得ないわけですからね。
当然日本のメーカーにも、文句があるなら海外でバカウケするJRPGを作ってみなさいよ、とも言えますけども。
Posted by 結局の所 at 2009年12月16日 01:27
 「小さい者が大きい者を倒す」のではなく、こういう構図・特に童話は「子どもが支配的な親を倒して自立する」というところから来ます。
 例えばドラゴンを倒す勇者の話でも、心理学的にはドラゴンは支配的な母親を象徴するわけです。

 また日本は縦社会ですので、上位の者を蹴落として自分がのし上がるシステムがそういう小さい者が大きい物を倒すというのが好まれるわけです。
Posted by 通りすがりの者 at 2009年12月16日 09:42
無双系ゲームはどうなんでしょうね
少なくともアジア圏では馬鹿ウケしたようですが欧米はどうなんだろう
あれも一人VS大多人数という、見方によっては小さい者と大きい者の戦いな訳ですが
Posted by 殺人パンダ at 2009年12月16日 16:38
「判官びいき」って言葉もありますしね。
日本には小さいもの、
弱いものを応援する文化があるんでしょう。
Posted by at 2009年12月16日 19:33
>「小さな子は知恵を絞って、策略によって大きな敵を撃退しました」
トゥイーティーとシルベスター、
ロードランナーとワイリーコヨーテ、
トムとジェリーですねわかります。
Posted by 餅 at 2009年12月19日 19:52
「小が大を頑張って倒す話」であれば、欧米人もカタルシスを覚えると思います。
FPSだって大体、小さな部隊が巨大な敵軍と戦うようなもんばかりですし。
しかし、爽快感があるのは小の側が知恵や工夫を凝らして真剣に勝ちをもぎとるからであって、
小が正面から大と殴り合って腕力勝負で勝ってしまうような展開は、
ここ15年くらいの日本での流行なだけなのではないでしょうか。

昔は日本のゲームも、敵に比べて身体が小さくてもそこそこ強そうな人物が
プレイヤーキャラになることが少なくなかったですけど、
近年は、一見して全然強そうに見えないオシャレな美男美女が圧倒的パワーを備えて、
滅茶苦茶強くて当たり前、という風潮になっていて、
そこに欧米人も違和感を感じているのではと思います。
Posted by tkb at 2009年12月21日 03:38
外国でも
ダビデとゴリアテあるじゃん

結局言いがかりなのではと思って
しまう
気にしないのが一番
Posted by at 2010年03月13日 21:20
一昔前のハリウッド映画とかGOWなんかはマッチョが怪物を倒す話ですね。
Posted by at 2010年06月01日 01:32
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