RPGに攻撃呪文は数多あり、その攻撃呪文には「系統」とか「属性」といったカテゴリーがあることが多い。これは、古くはD&Dの時代からの伝統である。
例えば電撃がピシャーーンと落ちる雷系の呪文であるとか。例えば炎がヒュゴォッと襲い掛かる炎熱系の呪文であるとか、呪文の属性にも色々ある。そして、属性呪文を使いこなすと、「炎に弱い」とか「氷に弱い」といったモンスターに大ダメージを与えられたりもする。
「雷」とか「炎」の呪文というのは分かりやすい。実に分かりやすい。雷がドカーンと落ちてくれば大抵の人は痛かったりしびれたり大怪我したりする。炎がどひゃあああと降りかかってくればそりゃ熱いし大やけどする。実に直感的である。
「風」系の呪文というのは若干怪しい。ただ風がぴゅーぴゅー吹いているだけなら、傘の骨が折れることこそあれダメージを受ける筋合いはないので、多くのRPGにおいて、「風系のダメージ」というものはいわゆる「かまいたち」のイメージに集約されている。風によって真空が発生してどうとかいうアレである。そもそも本当に風によって真空が発生するのかどうかという問題もさることながら、そもそもそれ物理ダメージじゃね?という疑問も捨てきれない。切れてんじゃん。切り傷じゃん。属性関係ないじゃん。
これをもうちょっとややこしくすると、標題のテーマとなる「冷気系」とか「地震系」の呪文の話になる。
例えば、ドラクエにおける「ヒャド」の説明書きを参照してみる。厳密に検証するなら各シリーズタイトルの取説を検証するところだが、面倒なので取り敢えず目に付いた検索結果をひいてしまおう。可能なら後程取説に当たって補足する。
ヒャド系の基本呪文。鋭い冷気で敵1体に約30ポイントのダメージ。(シリーズによってダメージ量に差異あり)はてなキーワード
「鋭い冷気」でダメージ、とある。これ自体ちょっとイメージしにくい。鋭い冷気って何?冷たいの?それでおおきづちにぶんなぐられるのよりダメージ食らうの?
それがヒャダルコになるとこうなる。
ヒャドより大きな氷の刃を呼び出して敵を攻撃する。
バトルロード2では、飛び上がって氷の刃を連続で放つタイプと氷の槍をつくって敵に向かって飛ばすタイプの2種類の唱え方がある。ドラクエ用語辞典
刃とか槍って、それ物理攻撃じゃね?冷気あんまり関係なくね?
ヒャドやヒャダルコに限らず、「冷気系」の呪文というのは、とかくダメージの根拠が曖昧なものが多いように思う。あっちでは「相手を凍りつかせてダメージ」とか。あっちでは「複数の氷塊が相手を押しつぶす」とか「氷柱が相手を貫く」とか。あっちでは「吹雪を起こして敵を引き裂く」とか。これ、シリーズごとどころか、シリーズ内のナンバータイトル同士ですら設定が食い違ったりすることがある。
要は、冷気系呪文というものは「寒さでダメージなんだか物理的ダメージなんだかよくわからん」属性だ、と思うのである。
これは、「大地/地震系」の呪文にも同様のことがいえる。ただ「地震が起きました」だけだと「どうやってダメージ受けたの?転んだの?」という話になってとても困る。なので「地割れに飲み込む」であるとか「土塊/巨岩をぶつける」であるとか、時には「重力で押しつぶす」といった設定になりがちな訳だが、それやっぱり物理ダメージじゃん、と思ったり思わなかったりする。
ことは「呪文のダメージのイメージ付け」という話に集約される。
思うに、冷気系の呪文のイメージ付けがこうもあやふやなのは、「日常生活で冷気の危険性を感じる機会が(火に比べると)少ないから」だったりするのではあるまいか。
雪山に行ったりすると当然冷気は凄く危ないわけだが、普通の人はあまり頻繁には雪山にいかないし、火傷に比べると凍傷になる機会は少ない(住んでる地域によっては話が別かも知れないが)。
そして、日常生活に限らず、実際そこまで「即効性」の冷気のイメージというものは挙げにくいような気がする。たまに絶対零度までいっちゃうようなチート呪文もあるが。
それに対して、火や感電といった危険は普段から一般的に転がっている危険でありイメージしやすく、しかも大抵即効性であり「戦闘」というものに馴染む。
こういった、日常生活に依拠した「ダメージの説得力」というものが、呪文のイメージ付加というものに重大な意味をもっていると私は思う訳である。説得力のあるダメージは、属性そのまんま。説得力が足りないダメージは、そのままだとなんだかよく分からないので、物理的ダメージのイメージを付加したりする。
つまり氷の槍とか氷の塊といった「物理的イメージの付加」は「説得力のドーピング」なのではないか。
ヒャドやブリザド、クエイクといった呪文の若干よく分からなさは、そういった「説得力」のせめぎ合いの結果生まれたものであるという推測は、あながち的外れでもないのではあるまいかと思う。
総括すると、世の中には「ダメージの説得力がある」属性と「ダメージの説得力が(あんまり)ない」属性、という二種類の属性があり、後者の属性呪文はいまいち設定が曖昧になりがちなのではないかという、とてもどうでもいい結論が導き出せるわけである。よかったですね。>私
一応まとめておく。
・冷気系の呪文の分かりにくいところは、「冷たさ」で攻撃しているものと「氷柱や雪嵐を吹き付ける」といった物理的なダメージで攻撃しているものが混在していることではないかと思う。どっちなんだよと思う。
・冷気系に限らず、ダメージ呪文の「属性」というものには、「分かりやすいもの」と「分かりにくいもの」があるような気がする。
・「どんな風にダメージを受けているか、イメージが湧きにくい呪文」には、説得力増強の為に物理攻撃のイメージが付加されたりすることが多いんじゃないだろうか。
・ティルトウェイトの説得力は異常。
ということで今回はこのくらいで。
あれも考え出すと疑問点が・・・
だけど攻撃の物理・魔法属性は、その過程が科学的な(科学で証明可能な)構成であるか否かで判断されると思います。だからMPを消費するメラやバギ等は発生を止められない以上物理的に防ぐことができない訳で。何言ってるか分かんなくなってきた。
以下駄文。
行動によって結果が出る。コレが因果ですね。人は頭で行動を何がしたいか決めて(判断して)実行します。行動には人体の一部又は複数を使います。物理攻撃なら本人が手を下して実行者となります。
魔法に関しては色々なゲームがありますので一概に決めつけるのは良くありませんが、「敵に直接・間接的に触れる」必要がないモノに集約されるかと思います。
その空間に存在しないモノ(火なり氷なり)を創造して敵にダメージを与える訳ですね。当然、全てを説明仕切れる訳ではありません。なので説明し易い所だけ説明して、『あとは勝手に想像して下さい』って事なんだと思います。
逆にそれが無い場合、プレイヤーの想像力(ないし個々人の脳内設定)にお任せ、と言う感が強くなりますが。
例えば女神転生では氷結属性の魔法(ないし特殊攻撃)には確率でFREEZE(氷結:凍り付いて行動不能、確率で回復)が付くので『冷気を吹き付けるタイプの攻撃』だと言うイメージができます。
(なお、女神転生は魔法の名前が独特なので、知らない人は名前から効果は想像し難いです)
まあ、属性と相性を言い出すと、女神転生はかなりシビアな部類に入るのでちょっとアレですが。
(素の相性が剣反射って、女神以外だとあんまり見た記憶が無かったり。
そんなヤツが、平気で封魔(魔法禁止)ゾーンで群れて現れた日にはもう……)
初めてやったメガテンは取説ナシの中古でファーストプレイは「ディア系=回復」以外使用(理解)しないでやってましたよ。
むしろ、直接被害にあったことない雷系よりは実感しやすい。
ただ、絵的には氷の刃で云々、とか氷漬けにされて云々ってなりがちなのは確かですね。
火あぶりはそれだけでダメージを喚起するけど、冷風吹きすさぶ、ってのはダメージを思い浮かべられないか。
物理ダメージでない、という観点から想像すると、その刃などのダメージというよりも、それらに触れたことによって不可避で発生する、凍傷、部位の凍結ってことが魔法的ダメージなんでしょうね。
これは絵的に表わしやすいかそうでないか、の差な気がしてきます。
「どうしてウィザードリィには雷撃系の呪文がないんだろう、画面栄えするのに」
という様な事を言っていたのを思い出しました。
確かに、ラカニト(知らない人のためにいうと敵を窒息させる呪文)の絵的な地味さは異常であった、ティルトウェイトよりも一段だけレベルが下なだけなのに。
なお個人的には、ティルトウェイトの説明を読むことにより、当初は特撮ヒーローものでよくある地面が爆発する程度のものが、原爆のイメージに変わり
「なんでパーティのキャラは無事なんだ?」
と逆に説得力が感じられなくなりました。
相手の体温を下げて病気に陥れる(臓器の機能を低下させる)というスタンドが有って、
冷気怖ええ!と思った覚えがあります。
というのはさておき、冷気によるダメージが実感しにくいのではなく、冷気によるダメージを表現しづらいのでは?
その点炎属性はラクですよ。紅蓮だか焦熱だか冥府の火炎だか単語に事欠きませんから。
一方で、液化窒素とか冷凍光線みたいな瞬間冷却的な設定にすると、ファンタジーでなくSFになってしまうので、使いづらい。
こういうジレンマがあると、妥協点として氷の刃的なものになっちゃうんだろうなあと思います。
洋ゲーのオブリビオンみたいなタイプのRPGならば「強烈な冷気で体力を奪っていく」というダメージの表現がやりやすいですが、ドラクエみたいに一瞬でダメージを出さないといけないゲームだと確かに冷気的な表現は難しいですね
でも、聖・闇については同感。精神攻撃みたいなものでしょうか?