どういう話かというと。
なんだか悪の組織のボスは、失敗した部下が「も、もう一度チャンスを…」とか言っても「無能者が!死ね!」とか言って粛清しちゃったりすることが割とあるけれど、勿論これは人材マネジメント上の重大な錯誤である。
人材は成功体験ではなく失敗体験からこそ育つものだ。人は必ず失敗をする。そして、失敗から人は様々なことを学ぶことが出来る。
・「何故失敗したか」ということによって、今後そのリスクをどう避けるかを学ぶことが出来る。
・失敗を最小限にとどめる方法を考えることによって、リスク管理の能力を高めることが出来る。
・失敗から状態を立て直すことによって精神的タフネスが向上する。
・失敗後、撤退戦を指揮することによって「状況の収束のさせ方」を学ぶことが出来る。
その他諸々、盛りだくさん。成功体験から学べることなんて、せいぜい「そういうやり方で上手くいくこともあった」くらいのものだ。失敗体験こそが人を育てる。失敗体験は貴重なナレッジである。失敗した部下こそ大切にしなくてはいけない。
つまり、粛清するならするで、「今回の失敗に関してナレッジ共有の為に組織全体に向けてレポートを書け!そして組織内wikiで共有しろ!その後粛清する予定になっております!」とかせめてそういう展開にしなくちゃいけない。八神庵風に言うと「レポートを書け!アップしろ!そして死ね!」とかそんな感じ。ただ、最後の「そして死ね!」は一旦隠しておかないと部下のモチベーション下がるかも知れないけど。
勿論、そもそも失敗経験を持った人材というもの自体が貴重なのであまり粛清してわざわざ部下を減らすのはお勧め出来ないんだけれど、大体の悪の組織は後から後から部下が湧いてくるのでその点はあまり問題ないのかも知れない。なんであんなに人材補充がスムーズなのかマジ不思議。派遣-正社員問題とかないんだろうか。「オレFFから派遣されてきて、通勤めっちゃ時間かかるんだけど給料安くてさー」とか。
話が逸れた。その点、例えばナウシカに出てきた皇弟ミラルパさんとかは偉い。チャルカがクシャナさんに大敗しても、責任取らせる為にきちんと司令官職は解任させつつも、ちゃんと有能な人材として働けるポジションに残してある。上司として立派な態度。僧会をさくっと粛清してクシャナさんに突っ込まれてたナムリスさんはもうちょっと弟を見習うべき。
ゾーマさんとかがその辺どうなのかはよくわかんないけど、まあ基本的にRPGの主人公って見敵必殺な人ばっかで、敵とみると逐一とどめ刺しちゃうからあんまり失敗体験が残らないのかも知れない。バラモスゾンビとか見てるとちゃんと失敗した人も生き返らせて頑張らせてあげてるのかも知れないけど。(ただしゾンビ化)
ということでむりやりまとめると、「上司にするならナムリスさんよりミラルパさんじゃね?」という割とどうでもいい結論が導き出せたわけである。良かったですね。>私
あんまり関係ないが、ナウシカの作中、実は一番上司としての適性がなさそうなのはナウシカなんじゃないかという気がしないでもない。この点についてはまたいずれ。
2010年04月21日

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チームワークをよくしないと勝てねんじゃね?という学習が出来ない組織は、しんざきさんの
「人材は成功体験ではなく失敗体験からこそ育つものだ」
で躓いているのでは?
だからレポートを燃やす同僚とは仲が悪いんですね…
上司というよりかはカリスマ社長向きでしょうか。
ナウシカネタ楽しみにしてます。
いかにも日本的な話ですが、旧日本軍は作戦に失敗した士官とかは口封じも兼ねて激戦地に飛ばして死なせていたから、同じ失敗を何度もしてたとか。
アメリカ軍は映画のブラックホークダウンなどを見ると分かるのですが、とにかく失敗した作戦の原因分析を徹底的にやるらしいですね。
だから結構、挽回のチャンスは与えられると聞いたことがあります。
良い悪いというよりは戦争慣れした連中の思考だよなと感心したことがあります。
懐かしい。全然関係ないけど格ゲーっていつからメーターゼロ相手に追い討ち導入されたんだろ。初期は今の鉄拳みたいに相手のメーター飛ばしたらすぐ終了でしたよね?
失敗体験なんて他所で通過してきたか、驚異的な悪運で失敗を回避し続けるか、要領よく他の同僚なり部下なりへ責任転嫁できるような連中だけが、悪の組織では生き残れるのでしょう。
このブラック企業が! って思ってましたね。
そもそも、悪の組織の人たちって人材育成って考え方あるんでしょうか。