飛び蹴りだけあれば勝てる・・・そんな風に思っていた時期が俺にもありました(バキ風に)
イーアルカンフーは飛び蹴りに始まり、飛び蹴りに終わる。このゲームは飛ぶ。とにかく飛ぶ。画面の端から端くらいまでは助走なしに普通に飛ぶ。おそらくリー(主人公の名前)の跳躍力は大体ドワイト・フィリップスの8割くらいはあるであろう。そして蹴るのだ。ケリが頭に当たると、相手の動きが一瞬止まる。そこでもう一度飛び蹴りだ。これがこのゲームの基本である。これは譲れない。
イーアルカンフーはコナミの作品で、1985年に発売されたアクションゲームである。
このゲームの何より恐ろしいところは、現在知られるいわゆる「対戦格闘」というジャンルのフォーマットを、既にほぼ完璧に作り上げていた点にある。
これに関しては画像を見て頂いた方が早い。その内断りなく凄い勢いで引っ込めるかも知れないが、取り敢えず以下の画面を見て頂きたい。
1985 KONAMI ALL RIGHTS RESERVED
どうであろうか。真ん中を挟んで左右に伸びる体力ゲージも、中心を挟んで対峙する2人のキャラクタも、上中下段の攻撃も、このゲームは既に全てを揃えている。後のいわゆる「スト2」シリーズなどから、KOFやサムスピなどの格闘ゲームにいたるまで、この基本的な構成はまったく変わっていないのだ。システム的に大きな違いがあるとすればガードの有無くらいであり、このキャラ達を今すぐリュウと対戦させてもそれほど違和感はないといっても過言ではないのだ。少しだけ過言かも知れないが。
このゲームはアーケード版からの移植である。アーケード版のイーアルカンフーは、ファミコン版よりも大分技数も敵の種類も多く、その分難易度もやや高めだったのだが、ファミコン版においてはキャラの動きはより単純に、また難易度自体もかなり下げられた。これが実にファミコンの環境に合致した名移植というべき移植バランスで、当時このゲームはかなりの人気を博した。現在でも時間が開くと暇つぶしにこのゲームをやる大人が見られる程である(私とか)
さて、いきなりゲームの背景の話からしてしまった。順番がえらい勢いで前後してしまったが、もう少し内容にも触れよう。
主人公のリー・ウーロンは、親が殺されたか何だか詳しくはさっぱり覚えていない理由によって、チャーハン一族を倒す為に「メンマの塔」に乗り込んだ、という様な割とシンプルというかもう少し詰めれば1,2行で書けそうなストーリーであったと記憶している。「バンゲリングベイ」のストーリーのあのものすごい壮大さを考えると、レトロゲームにおけるストーリーの占める比重というのはなかなか興味深いテーマであるが、まあそれはまたその内。
そしてメンマの塔において、リーは取り敢えず戦う。とにかく戦う。そりゃもうものすごい勢いで延々と戦ってしまうのである。このゲームは5面単位のループゲームであり、相手を5人倒せば一人目に戻る。エンディングというものは存在しない。闘う相手には棒術使いもいれば、火を吹くヤツやサイコクラッシャーアタック(多少違うが)を使うやつまでおり、こりゃもうやはりスト2だ。間違いない。ダルシムの腕が伸びるのはきっとカプコンのアレンジであろう。
この際リーが使う技も、ローキック、ハイキック、中段パンチ、足払いなどなど、およそ対戦格闘ゲームに存在する「通常技」というものは既に殆ど揃っている。この中では特に飛び蹴りが強い。一時期飛び蹴りのみで戦うという妙なプレイに挑戦したことがあるが、根気よくやれば15面くらいまでは普通にいけた。まあ実際は、飛び蹴りで飛び込んで相手がものすごい速さで逃げる(本当にいきなり加速する)ところにハイキックや中段パンチのコンビネーション、というのが大人の戦い方というものであろう。このゲーム、20面を越す辺りから敵の動きが洒落じゃなく速くなっていくのだが、基本の動きは皆同じなので慎重にやればエンドレスプレイは簡単である。
それにしても、このゲームの音楽はとにかく耳に残る。中華風のシンプルなメロディなのだが、オープニングからステージクリアまで、これ以上なくゲームにマッチしていて非常に完成度が高い。頭の中で流れ始めると、「アポゥアポゥ」というあの独特の掛け声までついてきて、その場で脳内イーアルカンフーしてしまう程だ。私などステージ5のウーくらいまでは脳内で普通にいける自信がある。社会人としてはちょっとどうかと思う自慢ではあるが、ゲームの完成度を物語る証左のひとつと言うべきだろう。
さて、いつも通り関連ページを挙げさせて頂く。
アーケード版のイーアルカンフーについては、こちらのページに詳しい。グラフィックは流石に美しい。
http://qtchicks.hp.infoseek.co.jp/konami_yiear.html
2005年01月05日
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イーアルカンフー
Excerpt: これもなかなかはまったゲームです。発売は1985年(ファミコン)ですね。メーカーはコナミだったんですね。ゲームソフト情報局のために情報を集めるまで知りませんでした。なんだ、だったらコナワイに登場させて..
Weblog: ヒットソング情報局のBlog
Tracked: 2005-12-14 19:59
こんな日付の記事にコメントするのもどうかと思いますが、イーアルカンフー懐かしすぎです。
当時「100面クリアすると外に出る」という衝撃的な噂に惑わされ、100面目指してひたすらやりこんだ記憶が。。。できませんでしたが。
コメントありがとうございます。
>こんな日付の記事にコメントするのもどうかと思いますが、イーアルカンフー懐かしすぎです。
ああ、元々扱っている内容自体が通常世界の時間流から取り残されたブログですので、記事の日付は特に気にしないでください。
>当時「100面クリアすると外に出る」という衝撃的な噂に惑わされ、
漫画誌系の情報には、色々トンデモなものがありましたね。コロコロとかボンボンとか、お前ら好き勝手描き過ぎやろと。