2010年08月05日

レトロゲーム万里を往く その97 高機動戦闘メカ ヴォルガードII

ウルトラマンとスーパーマンが戦った場合、実際の所は多分体格差でウルトラマンが勝つのではないか、などと私は想像するのだが。そういった他愛もない「どっちが強い?」遊びの中に、シューティングの自機で一番強いのどーれだ?というものがある。

判断材料?そんなものはない。ことは感覚の問題であり、強いて言えば適当な理由付けの説得力の大小である。例えば「ボムが強そう」という理由でダラ外シルバーホークやBATSUGUNの自機があがってもよかろうし、「当たり判定が小さい」という理由で首領蜂シリーズの自機があがってもいいだろうし、「フォースが無敵」という理由でR-9があがってもいいだろう。それ程真面目に考えるようなテーマでもない。


ただ、「シューティングの自機で一番頑丈そうなヤツ」というテーマで考えるとすれば、私は多分これを挙げる。そう、ヴォルガードIIを。


高機動戦闘メカ ヴォルガードII。横スクロールシューティング。1985年、デービーソフトよりファミコン版発売。前年、パソコン版で発売された「VOLGUARD」の移植作であり、「ディフェンダー」や「スクランブル」などの横スクロールSTGの草分けに続いて生まれた、横スクロールSTGの根っこの方に位置するタイトルでもある。

PC版ヴォルガードは「3機合体→ロボット変形」というロボットアニメの様な要素を取り入れて、おそらくパソコン向けSTGとしては初めてに近いヒット作だった筈だが、それを受けてファミコン向けに調整されたヴォルガードIIも、なかなか独特な要素を多く含んだ佳作だった。大ヒットとまではいかなかったものの、当時このゲームを所有していた小学生はそこまで希少な存在ではなかった記憶がある。

この時期、「フォーメーションZ」や「テグザー」「マグマックス」など、ロボット形態への変形を一つのウリにしたシューティングゲームが多く発売されているが、やはりその理由は「マクロス」などのロボットアニメに求めるべきなのだろう。「アニメをゲームに持ち込む」ことがゲームデザイナーのモチベーションの一つになっていたという推測は、そこまで無理筋ではないと思う。というか、ゲームの歴史に触れる上で「マンガやアニメからの影響」の話を避けて通ることは出来ない。また触れることもあるだろう。


簡単に参考ページを。

ゲームの情報自体は、Wikipediaにサマリーされている。

高機動戦闘メカ ヴォルガードII:Wikipedia

こちらからは画面スクリーンショットなども参照出来る。

高機動戦闘メカヴォルガード2

youtubeには動画もある。タイトル画面が非常にPCゲームっぽくて好感触。さり気なくBGMもいい出来だと思う。

ヴォルガード2:ファミコンゲーム


さて、ゲームの話をしよう。


・「体当たり」が基本テクニックの一つ、という異色。

私が思うFC版ヴォルガードIIの特徴は、率直にいって「ロボットへの変形」ではない。パワーアップシステムと、エネルギー管理という概念である。

ヴォルガードIIでは、自機に「エネルギー残量」という概念がある。エネルギーは弾をがんがん撃つと減り、敵をざくざく倒すと増える。エネルギーがある程度以上溜まった時に輸送機からの補給を受けると、自機はパワーアップする。弾が連射になったり、八方向になったり、レーザーが出るようになったり、バリアがついたりする。パワーアップはいずれも非常に爽快であり、段階によって変わるBGMも出色である。

「いかにエネルギーを溜めるか」「いかにエネルギーを溜めた状態で輸送機を呼ぶか(レーダーの破壊など、幾つかの条件がある)」「いかにエネルギーを節約するか」というのが、特に序盤、まだパワーアップ段階が低い内のプレイヤーの課題となる訳である。


さて、それはそうと、ヴォルガードIIにおいて自機は非常に頑丈である。画面右上には自機のダメージ量が記されており、00から始まるダメージが99に至るまでヴォルガードIIは墜ちない。その上、輸送機とのドッキングなど、ダメージを回復する手段も幾つかある。

この為、「まだショットが弱い内は、ショットをがんがん打っているとなかなかエネルギーがたまらないから、体当たりで雑魚敵を倒してエネルギーを溜める」という概念が、序盤の基本テクニックとして存在していたのである。後の数多くのSTGが「弾や敵に接触すること」をゲーム上のミス、ペナルティ対象として設定していたことから考えると、このゲーム性は極めて異色だ。「エネルギー管理とダメージ管理」という概念が、ヴォルガードIIというゲームを一つの実験作にしていた、と私は思う。


それはそうと、「ダメージ99を越えるまで自機が墜ちない」というのは、このゲームが簡単であるということを意味しない。

後の弾幕ゲーほどではないにせよ、このゲームの敵の攻撃は特に中盤以降かなりの激しさであり、白くて速い球を雨あられとばら撒いてくる敵や、接触すると物凄いダメージを普通に受ける敵が、次から次へと降りかかってくる。それを全て避けきるというのはなかなか無理の無理無理という状況であり、特に敵要塞「ズイガム・ボルド」戦などにおいては、「いかにダメージを押さえながらコアをぶち抜くか」というのが一つのテーマとして位置づけられていた。輸送機でのライフ回復のタイミングをまだかまだかと待ち続けながら、ダメージ量とにらめっこをするというのも、このゲーム独特の味の一つだったといえるだろう。



・パワーアップ形式の爽快感について。

ということで、このゲームの基本は「やられる前にやれ」な訳だが、「レーザー」や「バリア」「連射」などのパワーアップについては、プレイヤーの爽快感、破壊欲求を存分に満足させてくれる出来だったと思う。

なにせこのゲーム、「敵を倒してエネルギーを溜める」ことによる報酬効果が得点以上に高い。レーザーで10機くらいの敵をまとめてぶち抜いたり、自機の周りをぐるぐる回るバリアーで地上物をガンガンぶっ壊したりといった爽快感については、当時のお子様の心を掴むところ大であった。

レーザーを取得してから連射を取得する、通称「ハイパー連射」などについては、実は通常レーザーよりも強いといった要素もあり、「どの様にエネルギーを溜めて、どうパワーアップするか」というのをプレイヤーに考えさせる、良質なゲームデザインの礎になっていたと思う。



・ロボット形態とは何だったのか。

ごく一部にはロボット形態にならないと倒せない敵とかもいたのだが、正直あんまり意味なかったような気もしないではない。

ただ、ロボット形態で地上でじーっとしゃがんでいるとなかなかダメージを受けなかったりちょっとずつダメージを回復出来るといった要素もある為、終盤危なくなった時の緊急回避などにはそこそこ有効だったかも知れない。ただ、ウリであるロボット変形の基本が画面はじでしゃがんでじっとしていることというのはちょっとどうなんだ、という気も若干する。



・例によって破滅的なストーリーについて。

Wikipediaのストーリーを見て頂けば分かる通り、このゲームのストーリーも「支配下からの反撃」パターンであり、基本的に重い。以前もちらっと書いたが、どうもSTGには「重いストーリー」というものが一般に多いような気がする。「一体多という状況への説明付け」「ゲーム中ではストーリーを描写しにくいので説明書などで補完」といった要素が、こういった重いストーリー多発の要因になっている様に思う。



まとめてみると、ヴォルガードIIは「歴史に残る名作とまでは言わないが、様々な部分で実験的な特色を打ち出した、遊んでいて気持ちのいい佳作」というような評価になるのではないかと、私自身は思っている。


ということで、今回はこれくらいで。
posted by しんざき at 18:45 | Comment(0) | TrackBack(0) | レトロゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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