こちらを読んでちょっと考えたこと。
「インターネット人類補完計画」の果てに
色々なものを捨象して表現するなら、「味方がたくさん」いることで楽しめるネット世界と、「敵がたくさん」いることで楽しめるネット世界の境界がどこかにある、というかあった、んだろうと思う。
というか、前者のネット世界に「敵」成分が補充されて出来たのが今のWebではないかなー、などと言ってしまうとちょっと単純化し過ぎか。
「味方」「敵」の部分は、色んな言葉で言い換えることが出来る。例えば「味方」は、共感、賛同、仲間、友達、そんな言葉で言い換えることが可能だ。「敵」は、反感、反発、罵倒、最近で言うと炎上とか。
個人サイトの管理人やブロガーたちは、「誰かとわかりあう」ためにではなく、「自分が正義であること」を世界に証明するために、このネットという道具を使うようになり、この世界は揚げ足取りと水掛け論に満たされている。
何で揚げ足取りと水掛け論がこの世に存在するかというと、揚げ足をとることが面白いからなんだろう。多分。
人間は味方を欲しがる。が、時折味方以上に「敵」を欲しがる。敵とはつまり攻撃対象、罵倒する対象、怒りを向ける対象だ。攻撃することは気持ちいい。味方と一致団結して敵を攻撃することはもっと気持ちいい。
以前、人は何故、「読むと不快になる文章」をわざわざ読みたがるのか。で似た様なことを書いたかも知れないが、これは多分、「怒り」とか「嫌悪」みたいな感情を顕在化すること自体に対する気持ちよさなんだろう。例えば巨人嫌いな人が、何でわざわざ巨人贔屓の掲示板を見にいってそこに罵倒コメントを残すかというと、それが気持ちいいからである。朝日新聞嫌いの人のコミュニティーも、ペット嫌いの人のコミュニティーも、多分原動力は同じなんじゃなかろうか。戦争がなくならない理由も、まあ多分似た様なことなんだろう。
味方を攻撃することは(あまりおおっぴらには)出来ない。何かに怒る為には敵が必要だ。味方とわいわい盛り上がるのは楽しいが、特に日本的人間関係の多くの場面において、味方だらけの場面には「怒る」ことによるエンターテインメントが不足している。
昔は、ネットにいるだけで、すでに「仲間」だったのに、今のこの場所は「他人」だらけだ。
つまり、かつては「いる人の多くは味方」という状況に対して、不足した「敵」分が補充され、それによって楽しみを見出している人がたくさんいるのが(fujipon氏が認識するところの)今のWebなのかな、と私はそう感じたのである。
そして、ネット(例えばブログとか掲示板とか)の特性の一つに、「攻撃すること」が非常に楽しみやすい、というものがある、とも私は思う。匿名性とか、情報の蓄積とか、まあこれには色々理由がつけられるだろうが、取り敢えず省く。またその内気が向いたらなんか書くかも。でも語りつくされたテーマの様な気もするな。
私の感覚では、「いつでも探せば敵がいる」Webってのも結構面白いんじゃないかなーとは思うが、「みんなで融和する」ことを楽しみとしてネットをやっている人にとっては、相対的に住みにくいWebであるのは確かかも知れない。この問題に対しての解答がmixiにあるのか、といわれると、あるのかも知れない。ない様な気もする。私はmixiに関してはもうあんまよく分からん。
勿論かつてのniftyや草の根ネットに「敵」と「味方」は存在しなかったかっつーと全然んなこたぁない訳で、上記の話は結局は傾向論議に落ち着いてしまうんだろうなあとは思うが。一面、「敵を求めるネット社会」が2ちゃんで、「味方を求めるネット社会」がmixiとして住み分けされてるのかな、みたいな分類は例によって出来るだろう。それに意味があるのかどうかはともかく。
上記の様なことをつらつらと考えたんだが、別に私はfujiponさんの所感に文句をつける気は全くない。ことは感じ方の問題、好みの問題なのだ。
ただ、まあ、強いて「揚げ足取り」的なことを書くとすれば、
その一方で、ネットは、みんなが本当に期待していたものとは違う方向に向かってきているというのも、また事実なのだ
多分ネットは、(比較的な意味での)「みんな」が期待する方向に動いてきたし、今も動き続けている、様に思う。でなければ「炎上」も「祭」もWebには存在しないし、2ちゃんの隆盛もなかったんじゃなかろか。敵がいる状況が気持ちいい人と、味方が多い状況が気持ちいい人の、多分これはどうしようもない数の差である様な気がする。
前者の人も後者の人も両方幸せになれるその回答が、例えばSNSにあればいいなあとは思うんだが、そこから先は私にはよー分からん。
一応まとめを書いておこう。
・かつては「味方で一杯」だったWebが、今は「敵だらけ」になったと感じる人がいる様だ。
・その原因は、「敵」を求める人、「敵」がいることは楽しいと感じる人が普通に多いから、である様な気がする。
・ついでに、Webは極めて「敵」がいることによる楽しさを手軽に楽しみやすい場所である、様な気もする。
・「敵」を求める人が集まる場所として代表的なのが2ちゃん、「味方」を求める人が集まる場所として代表的なのがmixi、という気もする、が、最近もそうなの?
・皆が幸せになれるといいですね。
所感、以上。