2006年04月12日
レトロゲーム万里を往く その53 ジョイメカファイト
バーチャ5のロケテで見たけど、デュラルコマンド入力でカエンとジボルが使えるよ!使えるよ!
というくだらねえヨタを起点にした盛大なヨタ話を実は用意していたのだが、気がつけば四月馬鹿はさくっと終わり、花見の時期も過ぎ、既に四月は中旬である。
どうした具合かしばらく中断していた「万里を往く」は、新年度ということで心機一転、今回は「ファミコン業界の最終皇帝」ことジョイメカファイトから再開したいと思う。
ジョイメカファイト。1993年5月21日、任天堂より発売。ファミコンのロボットもの格闘ゲーム。開発はもしかするとHAL研だったかも知れない(自信ないが)。言ってみれば「ロックマン + ストII」の様な位置づけになると思うのだが、その完成度は極めて高く、ファミコン末期にありながら一部にかなりの好評を博した。
使用可能キャラ数は36。ファミコンの描写能力で対戦格闘をつくり上げるという目的の為、「関節部のグラフィックは全てぶっ飛ばして、「頭」「手」「足」「胴体」のみでキャラクターを作る」という、途方もなくシンプルかつ革命的な荒業が用いられており、そのゲーム性は極めて高い。
画面をみれば一目瞭然ということで、幾つか参照URLを挙げてみる。
ジョイメカファイトPAGE
時代と戦え!「ジョイメカファイト」 (1/2)
対戦格闘ゲームの歴史にニトロをぶち込んだ「ストII」の発売が1991年。その後、「餓狼伝説スペシャル」が既に世に出ていたとはいえ、36キャラ全てに個性があるという「ジョイメカファイト」の出来は、格ゲーの歴史から見てもある意味異端児だといえるだろう。
まずは歴史の話をしてみたい。
・ジョイメカファイト・歴史篇
ファミコン格ゲーの歴史は、アーバンチャンピオンに始まり、多分ジョイメカファイトに完成し、そして滅びた。
FCの格ゲー的ゲームって、代表的なもんだけ見れば、実は凄く綺麗な進化をしてきてるんじゃないかと思う。
アーバンチャンピオン(1 vs 1の基本フォーマット)
↓
イーアルカンフー(下段・中段・上段、体力ゲージ、各種通常技の登場)
↓
キン肉マン マッスルタッグマッチ(キャラ差の導入、ウォーズマンの無限コンボとか無理)
↓
カラテカ(一礼の導入、リングアウトの導入)
↓
六三四の剣(チーム制、必殺技の導入)
↓
ケルナグール(必殺技の強化、成長性の導入)
なんか違うものが混じってる気もするけどまあいいや。ぱっと思いつく限りこんな感じだ。ともあれ、こういった流れの最後の最後、93年に登場したのがジョイメカファイトな訳だ。
ジョイメカの時代背景をちょっと考えてみよう。
ジョイメカファイトの発売日は1993年5月。一方、ファミコンの後継機種であるスーパーファミコンが発売されたのは1990年11月21日であって、コンシューマー業界の主流は完全にSFCに移っていた。
この時期出ていたSFCの代表的ソフトというと、例えば「伝説のオウガバトル」や「スーパーボンバーマン」。ブレスオブファイアは1993年4月だし、METAL MAX2やモノポリーなどの底堅い佳作もざくざく発売されていた、まさにSFCの全盛期である。プレステなどの次世代機の影が見え始めた時期でもあり、旧世代のファミコンソフトが割り込む余地など、正直最初からなかった。
実際AV仕様ファミコン(いわゆるニューファミコン)が発売されたのが1993年の12月(参照:Wikipedia)、この時期ファミコンでは「過去の名作」タイトルが数多く発売されている。つまり、既にファミコンは「リバイバル」の対象だった、ということになる。
発売される前から「時代の孤児」となることが分かっていた哀しき名作、ジョイメカファイトのことをそう位置づけることも出来るかも知れない。
・で、どんなゲームだったんか。
凄かった。
いや、勿論対戦格闘としてみれば数々のアラはあるのだ。ハメはあるし、バランスはやばいし、キャラ差は途方もなくでかい。例えばホウオウ vs ボコボコ辺り、いわゆる「詰んでる」とか「10:0」って状態になるんじゃなかろか。ホウオウキャノン連射されたら何すればいいんだアレ。オールド対カエンとか勝てる気しねえ。
私が考える「ジョイメカファイトの凄さ」は、一言で言うと「おもちゃ的感覚の真骨頂」である。
私はよく、任天堂のゲームについて「おもちゃで遊んでいる的操作感の面白さ」と書くことがある。任天堂アクションのキモは操作感である。キャラを動かす、ただそれだけの面白さが、まるでおもちゃで遊んでいる様な根源的な楽しさをもっていたのだ。
ジョイメカファイトの面白さは、「人形遊び」あるいは「プラモ遊び」の楽しさだ、と思う。例えば子供がプラモや塩ビ人形を戦わせる遊びをすることがあるが、格闘ゲームにはある程度その延長線上の楽しさが含まれている。人形を動かして戦わせる遊び。
で、この楽しさを「頭・手・足・胴のパーツのみ」というキャラクターが増幅する。
「人体」に制限されるキャラクターでは絶対作れない様な技や動きを、ジョイメカファイトでは簡単に導入することが出来る。例えばガーボーグやジボルの様な特殊キャラの登場もその功績の一つだが、シェンロンの動きとかゴーストンの足払いとか、この辺の物凄いバリエーションは明らかにゲームとしてプラス要素だろう。
「動きの多彩さ、スムーズさ」という一点に絞れば、このゲームは格ゲー全体から見てもかなり上位に入っていると私は思う。
これらの要素を任天堂的職人芸(投げた時の操作感だとか、必殺技を当てた時の爽快感だとか)が仕上げた時、そこにジョイメカファイトの世界が完成した。
ファミコンというハードの制限すらプラス要素に変えてしまった、恐るべきゲームの出現だった訳だ。発売時期さえ良ければ、任天堂の数々の代表ゲームと同程度に売れても全くおかしくなかった、と今でも私は思っている。つくづく惜しいゲームだった。
・ロックマンとジョイメカの相似。
FCの代表的なシューティングアクションっていうとロックマンだと思うが、ジョイメカにはところどころロックマンを思い起こさせる部分がある。
・正義の博士と悪の博士(まあこれはアトムか)
・ボスロボットの存在とステージ選択
・元々主人公ロボが戦闘用じゃなかった
・敵を倒すと味方に、あるいは武器が使える様に
・恐るべき完成度のBGM
他にもまあ色々、ワルナッチ博士最終戦でUFO乗ってるよワイリーだよワイリー、みたいなことがある訳だが。基本的には、「ロックマンのボス戦だけを集めて格闘ゲームにしてみた」というテイストが元々ある様に思う。
強調してみたが、話はBGMだ。
ロックマンっていうと、FCの数ある作品中でも、BGMの完成度がトップクラスという定評があると思う。ことBGMに関してはジョイメカもロックマンに全く引けをとらず、特にステージ4の各BGMのマッチ具合たるや、これがFC末期のクオリティか!とうならせるものがあった。MIDIサイトででもご一聴頂くべきであろう。
長くなった。取り敢えず久々なので、この辺りで締めたいと思う。次回はジーザスの続きを書く予定となっております。一応。

この記事へのトラックバック
ジョイメカファイト
Excerpt: 久々の更新。これからも気が向いたら更新するかも。 昨日(今日?)は夜の11時ちょいごろに友達の家に遊びに行くことになった。酒を飲みながらゲームを始める。 そこで始めたゲームの名前は・..
Weblog: 自由を求めて彷徨い迷子
Tracked: 2006-04-30 18:27
ファミコンという限られた性能の中で格ゲーを作ったらジョイメカファイトのように部品部品だけで表現するしかなかったのかなと思ったり。
でもジョイメカファイトよりはアーバンチャンピオンのほうが燃えたことは確かだ!
>でもジョイメカファイトよりはアーバンチャンピオンのほうが燃えたことは確かだ!
アーバンチャンピオンもステキゲーでした。
ちなみに私はイーアルカンフーに燃える少年時代でした。今もやってますが。