端的に言うと傑作。オーパーツとすら言える気がする。今の時代にこのゲームが発売されたのは、大げさに言えば奇跡だ。
以下、あまりネタバレを含めない程度に書く。
メタルマックスの味というものは、私にとっては「殺伐」という二文字で大きく表現出来る。ストーリーや展開の殺伐さ、ゲームバランスの殺伐さ、テキスト一行一行の殺伐さ、戦車いじりの殺伐さ、それらすべてがメタルマックスの面白さだ、と私は思う。
例えばメタルマックスでは、人の死が非常に軽い。ストーリー上割と目立つ位置にいるキャラが、そこまでもってまわった展開になることもなく、ごくあっさりと、さくさくと死ぬ。死ぬとそこには死体が残る。当たり前のことなのだが、「死」というものをここまで隠蔽しない描写というものは、近年なかなか稀だ。
当たり前だが、世界観も殺伐としている。出てくる街はどこもかしこも廃墟一歩手前、ダンジョンにはこれでもかこれでもかという程に「崩壊する前と後」という匂いが表現されている。そう、メタルマックスの世界は「一度滅びたけれど、まだしぶとく、またしたたかに生き続けている人たちの世界」なのだ。このサイバーパンクな世界観が健在だったことを、私は心から嬉しく思う。
また、メタルマックスのゲームバランスというものは昔からかなり極端だ。敵はちょっと歩くとざくざくと出てくる。戦車から降りるとまるで歯がたたない敵が、戦車に乗ってくるとあっさりとひき潰せたりする。「人間と戦車の戦力が一緒な訳がねえだろ」という、ごく端的で殺伐とした理念がそこには存在する。
メタルマックスの象徴である、「戦車いじり」という要素が全盛期そのままに健在であることにも触れるべきだろう。シャシーの改造段階が戻せないことには是非もあるだろうが、ゴテゴテと大砲やSEをくっつけて戦車の戦力をあげていくプラモ少年的な楽しみは、思わずいい武器を求めてゲームを何周もしてしまう程に魅力的である。レッドウルフを、ソイヤウォーカーをいじる為にこそ金は必要であり、賞金首狩りはその手段であり、目的でもある。この良循環の見事さはどうだろう。
勿論、こういった「殺伐」とした要素が、好みの分かれるものであることは承知している。好まない人もいるだろうし、受け付けない人もいるだろう。ただ、少なくとも「かつてメタルマックスというゲームが好きだった人」がこのゲームを買わない理由はない、と私は考える。これは三周ばかりプレイした私の一つの結論だ。
「頭の先からつまさきまでの「殺伐」とした味をそのままメタルマックス1や2から引き継いだ上で、しかもゲームとしてもちゃんと面白く、新しい」というゲームが今の時代に出たことを、私は一つの奇跡だとみなす。メタルマックスの新作を作るということは、それ自体が最難の冒険だった筈だ。そこを潜り抜けた宮岡氏をはじめとする製作者の皆さんには、心から「素晴らしいゲームをありがとう」という言葉をお贈りしたい。
2010年10月07日

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殺伐としてる割には、皆どこか活き活きしてるようでもあり。
今作は従来のハンター/メカニック/ソルジャーの三職以外にも魅力的なクラスばかりで、
とっかえひっかえしながらエネミーを狩り続けてます。
ところで。
超絶的な軽さと高い性能でバランスブレイカー一直線な「ひぼたん」シリーズは手に入れましたでしょうか。
自分は、落とすと言われている敵をこれでもかと言うくらい壊して回ってますが、3週目に入ってなお、戦果はゼロだったりします。
205ミリひぼたんだけ入手できました!
ひぼたんバルカンは未だに入手できておりません…
残念ながら自分は未だ戦果ゼロの状態です。
ひぼたんバルカンの為にユニコーンヘッドをどれだけ壊した事やら……。
ギガンテリオンから閃光迎撃神話をゲットできているので、防御面でそこそこ安定して狩れるようになっているのが救いですが……。
(その分、やたらと重いのがネックですけどね。メテオドライブ手に入れてなかったら、とっくに心が折れてただろうなあ……)