2006年06月16日

レトロゲーム万里を往く その56 ファイナルファンタジーIII

「ペンは剣よりも強し、という。知性は常に暴力への勝利者となる。我らはまさにペンで戦い、頭脳で戦い、本によって戦うのだ」
「しかし先生、我らの力も時には及ばぬ時があります。書の力をもってしても抗し得ぬ強大な暴力に立ち向かう時、我らはどうするべきでしょう?」

学者はこともなげに一言、こう答えた。

「辞典を装備せよ。両手に」

〜レトロゲーム箴言集「ある学者集団の対話(ミシディア出版)」より抜粋 〜


本の角で殴られるととても痛い。少なくともミスリルソードより。(攻撃力32)

歌うと何故か敵がダメージを受ける吟遊詩人や、自分の頭よりもでかいベルで敵をぶっ叩く風水士も大概といえば大概だが、それも学者には及ぶまい。

何故彼らは、商売道具である筈の本や辞典でクラーケンをがんがん殴りつけるのか(しかも戦士より強い)。ワンピースのオハラも、FF的イメージの学者であったら海軍の一個小隊や二個小隊軽く撃退していただろう、と思うと残念でならない。

FFの旧作の紹介というのは様々な意味でやりにくいのだが、DSでの発売が控えている昨今、今書かないと時期を失しそうな気配がある。丁度FF5などのらくらとやっている最中であることもあり、まずは私が最も気に入っているタイトルである「3」についてつらつらと書いてみたいと思う。



ファイナルファンタジーIII。1990年4月、スクウェアより発売。「II」もかなりのものだったが、ドラクエに続くFCRPG二番手として明確に「FF」がプッシュされ始めたのが、確かこの3からだったのではないかと記憶している。ミリオンヒットとなったのも確か「3」が初ではなかったか。

IIを凌ぐ美しいグラフィック、「ジョブチェンジ」システムの導入、二重三重の新展開、実に遊び易いインターフェイス、FCゲームの粋ともいえる素晴らしいBGMなどなど、FCにおける「ファイナルファンタジー」の締めにふさわしい一作だったといえるだろう。ゲーム後半の高難易度が敷居の高さを指摘されるものの、ゲームバランスも全体としては極めて優れていた。

ゲームの中身の話からいこう。


・「顔が無かった」最後のFF。

映画でなかった最後のFF、といってもいいかも知れない。

ストーリーの話から始めるべきだろう。DS版の件もあり、一応ネタバレは避けるが。

FF3の主人公は、辺境の村ウルに住んでいた4人の少年である。その4人がクリスタルの洞窟に探検に出かけて、風のクリスタルを見つけるところから話は始まる。

この頃の多くのRPGと同じく、ストーリー的なバックボーンは殆どなく、また彼らが喋る機会も少ない。というか、少なくとも彼ら4人には、一人一人の個性づけというものは存在しなかった。個性はプレイヤーが入れてやらなくてはならなかった。

FFの全シリーズにおいて、主人公に全く個性づけがされていないタイトルというのは実は1と3だけである。2ですら、主人公一人一人に最低限の設定・言動があった。「Wizardry」や「D&D」の様な古典的RPGの色が残っていた作品は1と3のみである、という言い方も出来る。

FFシリーズに映画的な演出を意識した作りが多いことは有名だろう。映画的かそうでないかというのは、この場合「視聴する」か「演じる」かの違い、という意味を含んでいる。

4以降のシリーズにはプレイヤーが「演じる」というよりは「視聴する」形でのドラマが多く作りこまれているし、8以降はいっそうその傾向が顕著である。文字通り映画版のFFやアドベントチルドレンを見れば分かる通り、FFには映画を目指して作りこまれていた部分が当初から結構あったのだろうと思う。

某掲示板などでは極端に荒れる話題だったりするのだが、ストーリー的な意味で「ドラクエ」と「FF」を比較するとしたら、最大の違いは多分これだろう。程度の問題ではあるのだが、FFが「映画」を意識しているとしたら、ドラクエは多分「物語」を指向しているのだろうと思う。主役がプレイヤーであるか、それともバッツやセシルやロックであるかの違い、ともいえる。

まあこの辺は語り尽くされた話だろうし、同時に単なる「どっちが好きか」というだけの問題でもある。ここでは、「FF3は徹頭徹尾「主役はプレイヤー」だった最後のFFだった」と書くに留めておく。


ここから下ややネタバレ(ややだけど)。


・ロンダルキアかエウレカか。

いや、なんつーか、ぶっちゃけIIのパンデモニウムの方がきつくネ?

FF3の特色のひとつとして、「ラストダンジョンの異例の長さ」というものが挙げられることが結構ある。セーブポイントの一つもないまま延々長い迷宮を進んでいかなくてはいけなかったというのは確かであって、

クリスタルタワー → ストーリー上のボス → 闇の世界 → 中ボス4連戦 → ラスボス戦

というコースを必ず通る必要があったという点においては、かなりのハードさだったとはいえるだろう。ザンデで死ぬわ一回目闇の雲でエリクサー使いきるわ2ヘッドドラゴンに瞬殺されるわ。高橋名人的一日一時間の呪縛があった場合など、クリアには並々ならぬ労苦を要した筈だ。

ただ、私個人的にはこの行程をそこまでハードには感じなかったりする。IIIでは普通にプレイしていても主人公ズがそーとー強くなるという事情があり、事前にエウレカで最強武器群や「忍者」「賢者」などのオーバースペックジョブなど手に入れていると、スキュラやアーリマン辺りにもそれ程は手こずらなかった覚えがある。

この点、ある程度育て方を工夫しないと主人公がいつまでも貧弱な「FF2」の方がむしろしんどくはなかったか(まあ、育て方を一工夫すると死ぬ程強くなるのだが)。この辺り、「3」の成長バランスを私は非常に気に入っているのだが、むしろ途中の分裂モンスター達相手の方が面倒だったりもした。


賢者忍者の話が出たのでついでに言及すると、「ジョブシステム」というのもこの当時かなりプッシュされていた覚えがある。要は転職システムなのだが、アビリティポイントや各職業のバランスなど、まだ未成熟に思える点も多々あったとはいえ、主人公の能力から姿かたちまで自由自在にいじくって遊べるという点では、そーとー楽しめるシステムだったことは確かだろうと思う。

まあ、3単体で言えば「最後にゃ全員忍者賢者になってしまう」とか「魔剣士ほぼ必須」とか色々不満な点も言われたが。まあそれ以上に猫耳導師や本でガンガン敵を殴りつける学者など、ビジュアル的にも結構強烈な連中が多くて印象深い。役に立つか立たないかよく分かんない幻術師とか、言わずと知れたたまねぎ剣士など、3にしか存在しないジョブも結構あって趣深い。

このシステムは、5で育てゲーの要素を加え、よりシャープな形で戻ってくることになる。


・悠久の風めっちゃ好きですよ?

演出のお話。

上の方では「顔のない主人公」の話をした。主人公に個性がないといっても話の筋立てにはそーとー力が入っており、2と同じくサブキャラ群も魅力的なキャラクター揃いだった。デッシュやアルス王子、シドやエリアといった脇固めのお供キャラもさることながら、ウネやドーガの様な渋い脇役もいい味を出していた。

この辺りの名脇役が世界観をきっちり固めてくれるからこその演出だろう。個人的には、浮遊大陸を初めて飛び出した時、静かな音楽ともあいまって海上でしばらく呆然とした印象が強い。世界地図はRPGの命と言うが、その後の「ゲームは実はこれから」的な地図の広がりなど、まさにFF3の真骨頂ではなかったか。

第一世界、第二世界といった感じに「地図の変動」が起きるというのはその後のFFでも定番となったが、これがシリーズに初めて出てきたのも3だと言っていいと思う。

音楽の話にも触れない訳には行くまい。音楽は基本的に好みの問題になるので開き直ってしまうが、私はこのゲームの音楽全般が実に実に好きである。懐古人といわば言え。

FC3音という限界を逆に一つの武器として、恐ろしく一つ一つの音色の存在感を高めているのがこのゲームのBGMの特徴だと私は思う。FC時代のBGMにはたまにあることだが、今のCD音源の曲を「印象度」において遥かに上回っている曲すら珍しくない。まあ、私にとっての話だが。

無闇に格好いいクリスタルタワーやエウレカの音楽、澄んだ響きの「ウネとドーガのテーマ」などもさることながら、個人的にはなんといってもフィールド音楽である「悠久の風」。上下に動き回る弦らしき音と、静かな管楽器の響きからなるこの曲は、私にとって今でもFF全シリーズ中屈指のお気に入り曲である。

8月にはDSへの移植ということで音楽にも注目しているのだが、是非当時のメロディラインを再現して欲しいなあと私は期待している。どうなるんだろな。


さて、長くなったので今回はこれくらいで。

移植が間近ということで、敢えて参照URLは挙げないでおく。移植版の評判については既に色々出ている様だが、取り敢えず私は出来はどーあれ買わざるを得ない。発売された時FF3がどうなっているか、座して期待するのみである。

posted by しんざき at 00:50 | Comment(12) | TrackBack(0) | レトロゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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この記事へのコメント
FFの3はDQの3と対になってる印象がありますねえ。ド真ん中剛速球のシリーズ集大成というか。

…映画的/ロールプレイ的で言うと、FF3はど真ん中じゃないんだけど。どっちかと言うと「状況だけ用意されてるその中で遊ばせて頂く」てな箱庭ですか。そこが好きィ。

音楽で言うと、何度も聞くだけあって戦闘シーンのが好きで好きで。そういやイントロの「でででででででで」ってのはしばらくシリーズ共通だったんですよなあ。何作までだろう。
Posted by おやじノ介 at 2006年06月16日 12:41
こんばんはです。
FF3のラストダンジョンは俺もそれ程苦痛ではありませんでした。長いっちゃ長いですけど、しんどくなったら帰る、あきたら、疲れたら帰る、でいつのまにか楽勝になってました。WIZみたいに延々戦闘してレベル上げ、ジョブチェンジに楽しさを見出していたからかもしれません。
むしろDQのロンダルキア〜ラストまでみたいなえげつないしかけの多いダンジョンの方がしんどかった記憶があります。
FF2(FC版)は成長に一工夫、武器も一ひねりで楽々クリアしてしまって逆に味気無くなりました。
ゲームバランスって大切ですよね……
Posted by 汁粉善哉(しるこ) at 2006年06月16日 22:49
「つるさきさん(だっけ?)」も移植されるんでしょうか?
なんとなく気になります。
Posted by napo at 2006年06月16日 23:44
移植の際に、クリスタルタワーのデジョンで行ける謎の宿屋も再現してほしいですね。
あれがないとラストダンジョンの行程がさらに長くなってきつい思いをしたので。
Posted by ワンダラー at 2006年06月17日 15:18
>おやじの介さん
>ド真ん中剛速球のシリーズ集大成というか。

FF3にせよDQ3にせよ、「王道」って感じはしましたね。
どちらも「そこで一旦一段落」的な位置のゲームでしたしね。開発陣の気合も
違ったのかな。

>何作までだろう。

えーと、7は違った様な覚えが。今ぱっと6の通常戦闘の曲を思い出せないんですが、多分6までですかね?

>汁粉善哉さん
>むしろDQのロンダルキア〜ラストまでみたいなえげつないしかけの多いダンジョンの方がしんどかった記憶があります。

ロンダルキアは落とし穴さえなければ、なんとゆーか、だいぶ普通だった様な。あれが味ですけど。

>FF2(FC版)は成長に一工夫、武器も一ひねりで楽々クリアしてしまって逆に味気無くなりました。

ブラッドソードが凄いことになってた気がします。回避率重要でしたね。


>napoさん
む。つるさきさんって何でしたっけ?

>ワンダラーさん
>移植の際に、クリスタルタワーのデジョンで行ける謎の宿屋も再現してほしいですね。

ありましたね。エウレカの最深部でしたっけ。
そういえば2でもジェイドの最後に店があったな。
Posted by しんざき at 2006年06月20日 12:30
FC版ではどこだったかの宿屋に隠し部屋があって、FFスタッフにファンレターを出し続けた(らしい)つるさきさん(うろ憶え)と言う人がいるんですよ。

さすがにこれは移植されないんだろうなーと思いますね。
Posted by napo at 2006年06月22日 02:44
言いたいことを全部言われた!(笑)

基本的に店に売っている武器を装備できるジョブにチェンジしていけばよかったので、あまりジョブチェンジには迷わなかった記憶があります。あと最初は魔剣士にならずにクリアしたっけか……。

悠久の風めっちゃ好きですよ!(追従)
Posted by しょうた at 2006年06月22日 05:42
>napoさん
おお!情報ありがとうございます、というか、
そういえばFFって毎回開発者ネタがありましたね。

下の世界のサロニアかどっかでしたっけ?>隠し部屋

>しょうたさん
>悠久の風めっちゃ好きですよ!(追従)
同志っ!!(がしっ!

といいつつ追従が黒いという理由で吊られそうな予感です。私は知りません。

>あと最初は魔剣士にならずにクリアしたっけか……。

うわー。暗黒の洞窟がめっちゃキツそう。
Posted by しんざき at 2006年06月29日 20:27
こんにちは。

うぁー、懐かしい。中3の頃に受験もそっちのけでやってた記憶が。
ジョブチェンジは確かにそれほど悩まないですみましたね。
でも売ってる武器やストーリーの流れで、強制的に
チェンジしないと
いけないジョブがあったりしましたね。
それも味なんですが。

あとインビンシブル大好きでした。
DS版も楽しみですね。

それでは、失礼しました。
Posted by USHIZO at 2006年07月02日 15:47
>USHIZOさん
>でも売ってる武器やストーリーの流れで、強制的に
チェンジしないと
>いけないジョブがあったりしましたね。

魔剣士とか魔剣士とか魔剣士ですね。
暗黒の洞窟は魔剣士×4の力技で乗り切った覚えがあります。確か。
Posted by しんざき at 2006年07月11日 01:37
こんばんは。
任天堂のポイントでゲームウォッチの申し込みをしました。
2画面のドンキーコングが楽しみです。

今日近所のゲームショップに行ったのですが、
店頭でFF3のDS版の宣伝が…。

●ムービーが追加!

って大々的に宣伝してましたけどイラナクネ?

あと、主人公達4人の名前が最初から決まってるみたいですね。
FF3の「移植」ではなく「リメイク」だから仕方ないでしょうけど
この2点はちょっと私には抵抗あります。うーん。

それでは、失礼しました。
Posted by USHIZO at 2006年07月30日 22:08
>USHIZOさん
>って大々的に宣伝してましたけどイラナクネ?
>この2点はちょっと私には抵抗あります。うーん。

同感です。同感なのですが、取り敢えず発売されるまでは判断保留しとこう、と私自身は思っております。

ただ、あんまキャラを前面に押し出して欲しくはないですよねえ。
Posted by しんざき at 2006年08月03日 18:29
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