2005年02月15日

オキャクサマのつつしみ

SEの端くれ、及びブロガーの端くれとしては身につまされる思いである。

何かというに、「むだづかいにっき」のえっけんさんの、こちらのエントリーの話だ。
スタッフブログって面白いよねー

私は今まで、スタッフブログというものにはあまり目を通したことがなかった。別に避けていたつもりもないのだが、やはり同業者としては何か、遠慮というか無意識的な敬遠でもあったのかも知れない。

で、読んでみてかなりの割合で身につまされた。
どのエントリーも似たり寄ったりと言えばそうなのだが、こちらの「アクセスカウントおよび一部表示の不具合について」などコメント数が多くて分かり易い。丁寧かつ暖かなコメントもあるにはあるが、下記の様ないい感じにフリーズドライな発言も並んでおり、心が希塩酸で洗われるような思いがある。

>ちらっと出たと思うと記事一覧で見ると消えてる どうなってんだ?

>アドバンスへ移れと言う嫌がらせですか?

>いったいどうしたんですか?真剣に他にうつるの考え始めました(泣)

冷たい。あまりに冷たい。寒風吹きすさぶオホーツク海の様な冷たさである。開発者の立場になって読んでみると割と凍え死にしそうだ。

さて、引用させて頂いたエントリーにおいてえっけんさんは、「教えてくん」の存在について指摘されている。
「教えてくん」に関してはえっけんさんも提示されている「脱!教えて君同盟」さんを見ていただければ一目瞭然であるが、要は調べれば簡単に分かる様なことでやたらと質問をする人々のことである。これについて詳しい説明や総括や罵倒を始めると、盛大に長くなるので今回は割愛する。

教えてくんは確かに問題だ。近頃小中学生などの若年ネットユーザーが増えていることもあり、FAQお読みになりやがりましたらいかがでしょうボケといいたくなる様な不可思議な質問が乱れ飛ぶ掲示板もあれば、一体何故この管理者さんはこんな質問に親切に答えているのだろうと思える様なブログもある。

だが、ことgooのスタッフブログに寄せられたコメントに話を限れば、問題の根っこはもう少し深いところにあるのではないかと思う。

まず、問題点を二つに絞ろう。「意識」の問題と「効果」の問題である。

gooのスタッフブログのフリーズドライ系コメントの場合、まず前提として「スタッフは無条件にユーザーの要望に答えなくてはいけない」という意識がどうも見受けられる様に思える。

そりゃまあ、ブログに運営上の問題がある場合、開発者しかそれを解決出来る人間はいないのだから、対応するのは当然といえば当然だ。ユーザーにせよ閲覧者にせよ大勢が迷惑を受ける訳ではあるし、有料形式をとっている場合はなおさらのこととは言える。そもそもスタッフブログというものは、ユーザーの要望を聞く為の場所だ、多少言葉が荒くなるのは障害があれば当然だ、という意見もあろう。

しかしまあ、スタッフだって大抵の場合人間であり、大抵の場合単なる雇われ人であり、大抵の場合障害に対して責任を持っている訳ではなく、そして大抵の場合1時間や2時間で障害を解決出来る程有能ではないのだ。

そういう疲れきった人達に対して、「いい加減愛想が尽きました。言いたくなかったんだけど、そろそろ本当に引越し先を考えます」などという声を浴びせて一体どうなるというのか。取り敢えず私が開発者であったなら、「俺の責任じゃねえんだよ、勝手にしろボケ」と考える。まあ口にはせんだろうが。少なくともそのコメントを読んで仕事の効率が上がる様なことは絶対にない、と断言出来る。

つまり、「こちらはユーザー、スタッフは私の要望を真剣に聞いて当然」という意識が見受けられる人がいる、ということが問題の一点。そして、それを「コメント」という形で書き込んでも、基本的にはマイナスの効果しかないということがもう一点。

そして、この二つのいずれにも、そして無論「教えてくん」問題にも、多かれ少なかれ全てに共通している根っこがある。「ボクハオキャクサマ」という感覚だ。

特にネットにおける人間関係に慣れていない人において、モニターの向こう側とこちら側にはかなりの厚さの障壁がある。言葉にしてしまえば簡単で、要は「運営側も同じ人間である」ということがいまひとつ実感として理解出来ないのだ。そういう人にとっては、掲示板は自分が困った時に自動で答えを教えてくれる便利なツールであり、ブログの運営者は自動で面白いことを書いてくれる不思議なAIであり、スタッフは別世界のロボット工学者達である。それに対して、自分達は飽くまで観客であり、お客様だ。モニターの向こう側に対して無意識的に高い位置に立っている人であれば、罵声も教えてくんもそれ程の違和感もなく書くことが出来るというものだ。

そういったことを考え合わせるに、大人かつSEとして、「ええとまあ、その、なんと申しましょうか、どちら様ももう幾分か穏便にですね、広い心と優しい気持ちで話し合いをといいますか、SEも人の子っつーか通常は人間以下の生活をしてる人が多いという事情をお汲み頂ければ、いやあ今日も良い天気でございますなあ」という様な無難な感じの結論にて本エントリーを閉じたいと思う次第である。

gooブログユーザーの皆様、及びスタッフの皆様、なんにせよお疲れ様です。
posted by しんざき at 18:27 | Comment(0) | TrackBack(0) | ネットの話やブログ論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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