2011年06月12日

レトロゲーム万里を往く その102 フィールドコンバット

間が空きました。

いつの間にやら冬が終わり、春も終わり、季節はもはや夏に片足突っ込んでおりますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。しんざきは元気ですがデスマに突入しかけています。

久々の万里は、ちょっと時代を下って、ジャレコの名作について書き連ねてみたいと思います。

以下平文。


「固定画面型シューティング」というジャンルは、正式なルーツ(Space War!みたいな)はともかくとして、業界的に見ればタイトーの「スペースインベーダー」がご先祖様になっているんじゃないかと思う。

インベーダーに始まったシューティングゲームは、一方では「シェリフ」のようなゲームを経由してアクションゲームの川に流れこみ、もう一方では「ギャラクシアン」や「ディフェンダー」のようなゲームを経て多種多様なスクロールSTG群を作り出す訳なのだが。


大多数のジャンルと同様、STGというジャンルも、進化の歴史の中で色んな実験作を生み出してきた、と思う。「こんなアイディア面白いんじゃないか」「こういう仕組みを導入すれば面白いんじゃないか」そんな開発者の思いが、意欲的な「試し」として結実するのが、ゲームにおける「実験」だ。

そういった大小様々な「実験」の中には、例えばムーンクレスタにおけるパワーアップやスクランブルにおける横スクロールのように、後後の大潮流を生み出した実験もあるし、データイーストの「サンダーストーム」のようにちょっと特殊な方向に進化したというか、ちょっと時代を間違えたんじゃないか感のある実験もあったわけなのだが。


私の中では、「フィールドコンバット」も、そんな大小さまざまな実験作の一つなのである。


フィールドコンバット。シューティングゲーム。1985年、ジャレコよりアーケード版発売。同1985年7月にはファミコン版も発売されており、こちらはバーチャルコンソールにも移植されている筈だ。

プレイヤーは、UFOのような形をした自機「ジェネシス-3」を操り、悪の天才科学者フォゾムとの戦いに挑む。一見すると「ゼビウスみたいな照準がついた、何の変哲もない手動スクロール縦シュー」なフィールドコンバットだが、その最大の特徴は「キャプチャービーム」である。

そう、このゲームにおいては、出てくる敵はキャプチャービームで捕獲することが出来るのだ。そして、任意に解放して、今度は自軍の仲間として使役することも出来るのだ。これが、STGとしてのフィールドコンバットにおける、唯一無二の特徴である。


残念ながらかつての私はアーケード版に触れることが出来なかったが、ファミコン版フィールドコンバットは相当やり込んだ記憶がある。BGMの出だしが「ワルキューレの騎行」という曲だ、などということは当時知らなかったが、妙に耳に残るBGMと共に、歩兵を捕まえたり戦車を捕まえたりヘリと激突して死んだりしていた。よくあることだった。


参考URLとして、例によってWikipediaを挙げておこう。

Wikipedia:フィールドコンバット

画面はYoutubeから見ることが出来る。このBGM、相当耳に残る。

フィールドコンバット for FC (1985)


さて、ゲームの話をしよう。


・それはおそらく、「キャプチャー」のルーツ。

私の認識が間違っているかも知れないが、多分フィールドコンバットは、「敵を捕まえて戦わせる」というシューティングゲームの草分け的な存在ではないかと思う。それ以前、「つかまった自機を取り戻してパワーアップする」というのはギャラガがやっていたが、捕まえてきた敵が勝手に動いて戦ってくれるというのは当時相当目新しかった記憶がある。

今でこそ「敵を仲間に」というのは珍しくもなんともないが、なにせゼビウスやスターフォースの時代だ。本来なら敵機はただひたすら撃ち落し得点を稼ぐだけの対象だった訳で、打ち落とすわけではなく、逃がす訳でもなく、「捕まえて味方にする」というのはとてつもない新機軸だったように、少なくとも当時の私には思えた。初めて敵歩兵をキャプチャーした瞬間はそりゃもう衝撃的であった。

なにせ打ち落とすより捕まえた方が得点は高いのだ。しかも捕まえた後フィールドに解き放って戦わせることすら出来るのだ。そりゃもう捕獲に走らないわけがあるまい。

結果的に、フィールドコンバットを遊んだお子様は敵をひたすらキャプチャーすることに励み、キャプチャービームを撃っている間は動けないという絶妙な条件が、「リターンを得る為にはリスクを経なければならない」という人生の基本則を教えてくれていることに気付く、という訳なのである。いやあ、フィールドコンバットまじ人生の先生ですね。死ぬ原因の8割くらいは「キャプチャー狙ってる間に敵弾に撃たれて死亡」だったんじゃあるまいか。



ただ、唯二の問題として、味方にした敵機があんまり賢くないということと、別に敵をキャプチャーしなくてもクリアには何の支障もないという点のみが、このゲームの画竜点睛を欠いていると私は思っている。

このゲームの目的というか、ステージクリアの条件は、奥にある4基の砲台を破壊してその奥に侵入すること、である。砲台を排除して隙間に侵入すると、敵の歩兵が一人、のこのこと歩いてきて白旗を振る。それでステージクリアである。

実のところ、他の敵を一匹も倒していなくても、奥の砲台を倒すことはそれ程難しくないし、むしろ敵を全部倒したり捕獲したりするより奥の砲台だけ狙った方が安全な場合すらある、というのは正直残念なところだ。どうせ「キャプチャー」という新機軸を盛り込んだのだから、いっそ捕まえた敵の力を借りなくてはクリア出来ないくらいの状況も作ってよかったのではないかと思うが、まあそれはそれ。砲台狙いに気付いた後もそこそこ楽しく遊べるというのは、流石ジャレコの底力、というべきなのだろう。


・「集めゲー」としてのフィールドコンバット。

これは以前も書いたことなのだが、私はファミコンにおける「集めゲー」の元祖が実はフィールドコンバットなんじゃないか、とか思ったりしているのだが、これに賛同する人はそれ程多くないと思うし、私もそこまで本気で考えているわけではない。気にしないでください。一応昔書いた記事にリンクしておく。

レトロゲーム万里を往く その45 「集める」ゲーム論

敵を捕まえまくって大軍団を編成、大軍団と大軍団の激突だ!!戦略的な要素もあるシューティングなんて滅多にねーぜ!!とか思うと実際フィールドコンバットってすげえ、と思うのだが、正直なところ敵も味方もそこまで賢くないし、解放した自機が的確に敵を排除していってくれるシーン、というのもあまり記憶にはない。この辺、あと一歩突き詰めれば本当の意味で「歴史的なゲーム」になっていたのではないかと思うと、一抹の残念さを感じたりもするのだが、まあ贅沢過ぎるというものであろう。

ここでは、「Gダライアス」のキャプチャーボールの遠い遠いご先祖様かも知れないよ!ジャレコ凄いね!とだけ書くに留めておく。

あとその、三國フィールドコンバットはどうなんだとほんの少しだけ思ったりしますけれど、自分でやってないので何もいえません。プレイした方、いかがでしたか。


尚、今回の記事は、orangewind師の「ゲイングランド」についての記事を読んで、「あ、初見の時ゴールデンアックスのキャラがフィールドコンバットやってるとか思ったなあ」と思い出した故のエントリーであることを申し添え、謹んでリンクを貼らせて頂く。

レトロゲームの煩悩 その4 ゲイングランド


と、復帰早々にだいぶ長くなったので、今日はこの辺で。次回はもうちょっと早めに書ければいいなあと思っております。多分タイトルものです。
posted by しんざき at 23:26 | Comment(2) | TrackBack(0) | レトロゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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この記事へのコメント
「別に敵をキャプチャーしなくてもクリアには何の支障もない」全くその通りで爆笑したw
Posted by niboc at 2011年06月13日 18:05
正直なところ、クリアだけ考えると「キャプチャーは罠」という以外の何者でもなかった気が
Posted by しんざき at 2011年06月17日 14:48
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