なんかいい加減飽きてきたネタではあるのだが。
森氏発言:ゲームで自閉症になる
おーおーおー。これはまたなんというか。偏見を作る過程を見た思いである。
この手の報道はエスカレートする。「ゲーム脳」という言葉の商品価値を維持する為に、燃料はどんどん投入される。多分今後もしばらくは同じ様な報道が続くだろう。
先日の「ゲーム脳」などの報道に関して・雑感に関連することだが、実際のところ、「ゲーム脳」という言葉に科学的根拠がないことや、学説という枠組みではそもそも成り立っていないことは、マスコミ関係者は皆知っている。少しでも著作を読めば大体分かることだ。
参考までに、以前「テレビで自閉症になる」という報道が流行った際の、協会関係者さんの見解はこちらにある。
>自閉症、ADHD及びLD(以下、これらをまとめて「自閉」と言います。)は
>いずれも原因不明で先天的な脳疾患に起因しており、後天的にTVやビデオ、
>まして>親の育て方によってそのような障害になるものではありません。
>その意味で、記事にある見解は、すでに否定されたものと言うしか
>ないのです。
こういうことらしい。というか、ちょっとでも自閉症について調べればどこにでも書いてあることなのだが、大丈夫なのか森氏。
だが、前回のエントリーでも触れた通り、メディア的に重要なのは「ゲーム脳」という言葉の商品性であって正確性や根拠の有無ではない。極端な話、どんな出鱈目でも受ければ勝ちなのである。その為、学術的な観点からマスコミの報道を批判することには実はあまり意味がない。上記リンクにある、朝日新聞からの回答、という様な答えが返ってくるだけである。
実際、心理学会や脳神経の方々からきちんと反論が出ていないのは、そもそも学説の形をしていないものにまともに反論をすること自体恥ずかしい、という意識がある為だ。五島勉氏の著作に史学者が文句を付けないのと同じ様な理由である。ただ、流石に今回のはあからさまに偏見を煽っている訳で、学会よりはむしろ児童相談などの実務に携わっている人から反論が出るかも知れないし、これは反論しておかなくてはならんだろう。
森氏に関してはもうなんというか割と手の打ち様がない感が漂っているので言及しないが、問題は出鱈目でも受けりゃ勝ちと考えるマスコミの体質なのであって、「ゲーム脳」という言葉が嫌いな人は、どちらかというとそっちを批判するべきではないかと思う。
2005年02月28日

この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック