2011年08月28日

レトロゲーム万里を往く その103 スプラッターハウス

実はナムコアクションにも二つの派閥があるんではないか、と私は思っている。


一つは、例えばマッピーやパックランド、ドラゴンバスターやワギャンランドなどを始めとした、王道系操作感重視アクションの派閥。こちらの派閥のゲームは、「初心者でも入りやすい敷居の低さ」とか「洗練された操作感」であるとか「素晴らしい完成度」であるとか、非常に綺麗な言葉を冠に抱いているタイトルが多い。

私はこちらの派閥のことを、「綺麗なナムコ」と呼んでいる。


もう一方が、例えば「オレサマハサソリベイダーダ」とかやらかしちゃうスターウォーズであるとか、妖怪道中期であるとか、言わずとしれたベラボーマンや源平討魔伝を擁する源平プロジェクトであるとか。アクが強く、敷居が高く、時折突拍子もない展開を情け容赦なく打ち出す、どう考えても万人向けとはいえないゲーム群だ。マインドシーカーがナムコの作品であることは今更挙げるまでもあるまい。ナムコは、決してお上品なだけのメーカーではないのである。

これらのタイトル群は、言ってみれば「綺麗じゃない方のナムコ」ということになるかも知れない。とはいえ、遊ぶ人を選ぶゲームが多いことは確かだが、それらのゲームはどうしようもなく魅力的だ。源平の、ベラボーの、あの底知れない世界観と爽快感は、遊ぶ人を捕らえて離さない。これらの「アクの強い方のナムコ」の魅力は、我々を引き付けてやまないのである。


「スプラッターハウス」も、そんな「アクの強い方のナムコ」の代表作の一つなのではないか、と私は思うのだ。


スプラッターハウス。横スクロールアクションゲーム。1988年、ナムコよりアーケード版発売。「13日の金曜日」をモチーフとするホラー映画テイストのジャンプアクションで、残虐性の強い描写も交えながら、底堅いゲーム性によって一部のファンから熱狂的な支持を得た。この背景には、当時スプラッター映画・ホラー映画がブームになっていたことが伏在している。

正直なところ好みが別れるゲームであることは間違いないが、ナムコ史の一角を占めるゲームであることも否定出来ない事実である。

PCエンジンを始めとする数々のゲーム機に移植されており、ファミコン版においては「わんぱくグラフィティ」などという凄まじいサブタイトルをつけられ、「これは本当にスプラッターハウスなのか?」と言わんばかりのSDアクションでファンの度肝を抜いた。見た目は可愛いがよくよくストーリーを追ってみるとこれが意外と鬱ゲーだったりもするのだが、まあそれはとりあえず置いとこう。


関連URLを挙げておく。

ゲーム自体についてはWikipediaに詳しい。

Wikipedia:スプラッターハウス

PSPで遊ぶことも出来る。画面写真、動画はこちらでご参照頂ければ。

PCエンジンアーカイブス


さて、ゲームの話にいこう。

(※今回の万里を往くでは、諸事情によって途中イメージ画像が挿入されますが、ゲームとは直接関係ありません)


・そこにあったのは、「ホラー映画」への徹底したオマージュ。

スプラッターハウスは、頭の先からつま先まで、先述した「ホラー映画」を徹底的に意識した作りになっている。ストーリーを追っかけてみると、物凄くオーソドックスなホラー映画をなぞっていることがよく分かる。諸事情によってイメージ画像つきでお送り致します。


まず、ゲームの背景。主人公のリックと恋人のジェニファーは、豪雨に追われ、見るからにおどろおどろしい感じの洋館の中に逃げ込む。


(注:画像は暗雲立ち込める丘の上に立つ洋館のイメージ映像です)


洋館で遭遇した怪物たちにジェニファーは連れ去られてしまい、自身も打ちのめされたリックは、絶望の中「ヘルマスク」の声を聞く。13日の金曜日のジェイソンがつけていたホッケーマスクに良く似たヘルマスクを身につけたリックは、ドーピングされるがごとく強靭な身体能力を得る。


(注:画像はドーピングのイメージ映像です)

そしてリックは、ジェニファーを助け出し屋敷から脱出する為、ヘルマスクの力を借りて悪夢の屋敷に挑む。


(注:画像は赤錆びたおどろおどろしい感じのダンジョンを探索するイメージ映像です)


洋館に逃げ込んだカップルが無事でいられる訳がない、というのがありとあらゆるB級ホラーのお約束であることはご理解いただけるであろう。一応バックストーリーでは「超心理学を専攻していたリックが、恋人のジェニファーと一緒に、超心理学の権威ウエスト博士の洋館を訪ねる」というものがあるのだが、そもそもそんな所に恋人を連れていくな、であるとか、オープニング画像を見る限りリックは最初からあの服装にスキンヘッドなんだけどどうなの、といった事情は勿論ある。とはいえ、これもホラー映画のお約束と考えれば些細な突っ込みであるといえよう。

この辺り、魔界村のオープニングで墓場デートをしゃれ込んでいた某騎士とお姫さまを彷彿とさせるところがある。魔界村のプリンセスが改造されていなかったことにはある種の疑問を感じざるを得ない。


その後の劇中は、お約束のように怒涛のホラー展開と鬱描写、最終的にはバッドエンドまっさかさま。一応ネタバレを考慮して詳細な描写は避けるが、鬱エンドの後に2、3と続編が出て微妙な展開を見せる、というところまでB級ホラーの展開をなぞっている点に関しては、ナムコの徹底っぷりに感嘆を禁じえない。



・一方ゲームの方はどうなのですか。

おどろおどろしい見た目とは裏腹に、結構基本をなぞっているというか、アクションとしてはむしろ王道を行っているのではないか、というのが私の印象である。

アクションゲームとしてのスプラッターハウスは、基本的にはスパルタンXの延長線上にある。主人公であるリックは、左右から迫ってくる敵をがんがん殴りつけたり、べしべしけり飛ばしたり、その辺に落ちている角材を拾ってめきょめきょとなぎ倒したりする。しゃがみキック連打が時折妙に安定行動になることはもとより、迂闊なジャンプは死を招くこと、地面に空いた穴が時として最強の障害であることなど含め、アクションゲームとしてのスプラッターハウスは意外な程シンプルだ。

ただ、敵のやられっぷりがいちいちグロいことであるとか(角材で敵を画面奥に叩きつけた時のグラフィックはなかなかにエグい)、「スライディング」という攻撃のテクニカルさ・強力さがアクセントになっていること、拾って使える武器の中には飛び道具も含まれていることなどが特色として挙げられるだろう。

スライディングについて言えば、「ジャンプの着地際に下とAを同時に押す」という操作の入力タイミングが相当にシビアで、使いこなすにはかなりの熟練が必要だった。とはいえそれに見合うだけの威力も十分であり、特にピギーマンなど一部のボスには、とある武器なしで活路を見出すにはスライディングに頼る他ない、という状況でもあった。

ボスについていえば、やはり個人的には上述の、3面ボスピギーマンの凶悪さが記憶に濃い。私がこのゲームをやり始めた頃は、ショットガンを2丁持っていけるということを知らず、一丁のショットガンを打ちつくした後に地獄をみたものであった。私はアクションゲーム下手っぴーであるので、今でもショットガンなしでピギーマンを倒す自信はこれっぽっちもない。夜道で遭いたくないボス敵ランキングを作れば、歴代アクションゲームの中でもかなり上位に入るであろう。


・音楽も流石のナムコでしたよ。

私は、ナムコ音楽の特徴は「統一感」なのではないかと考えている。どれか一曲物凄い曲が、というわけではないのだが、全体を通して非常に音楽がまとまっており、曲単位というより全体として印象に強く残る。オーダインも源平もワルキューレもそうだった。

スプラッターハウスもその点は多分に漏れず、ホラー映画テイストの序盤から、徐々に緊迫感を増していく5面6面、そしてどこか物悲しさを感じさせる最終面からラスボス・エンディングまでの展開は、やはり万人向けとはいえないものの、耳に残ること大であった。

効果音の印象度も相当なもので、特に「敵を撃破した時の音」はどれもこれも非常に印象的でとにかく耳に残る。ナタで敵をぶったぎる時のスコーンスコーンという音については、このゲームをやったことがある人なら大抵記憶に残るだろう。


「名作」などという言葉で一言で括ってしまうには無理があるかも知れないが、見過ごすことの出来ないナムコの佳作。一言でこのゲームをまとめると、そんな言葉になるのではないかと、私は思うのである。


ということで今日はこの辺で。


(このエントリーは、ブログ企画NoBorderに投稿したものです)
posted by しんざき at 23:17 | Comment(2) | TrackBack(0) | レトロゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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この記事へのコメント
ビギーマンというのですか、あの覆面。あれは本当に壁ボスでしたねぇ。
小学生自分、ショットガン2丁を持ち込んで、華麗に倒したニーチャン達を見て、感服したもんです。
(そして自分で試してみるものの、意外と避けられてしまい、撃沈。スライディングでの対処に気づくのは数年後。)

マインドシーカーやら、サソリベイダーについては、更に第三の側面のナムコさんによるものであると信じたい・・・。
Posted by zoujia at 2011年08月30日 14:59
去年くらいにPS3と360で3Dアクション版が出ましたよね
日本には売られなかったのかな?
Posted by at 2011年08月30日 20:54
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