2011年08月31日

レトロゲーム万里を往く その104 スーパーマリオブラザーズにおける戦略論

クッパさんには戦略眼が決定的に欠けているのではないでしょうか。


ちょっとスーパーマリオブラザーズの話をしよう。

スーパーマリオブラザーズは、いうまでもなく、1985年に発売されたファミコンソフトである。任天堂が放った大名作でもあり、国内限定でも680万本を売り上げ、空前のヒットを巻き起こしたもの凄いゲームである。

このゲームのストーリーは以下のようになっている。
キノコ達の住む平和な王国に、ある日、強力な魔法を操る大ガメクッパの一族が侵略して来ました。おとなしいキノコ一族は、皆その魔力によって岩やレンガ、つくし等に姿を変えられてしまい、キノコ王国は亡びてしまったのです。
 このキノコ達の魔法を解き、よみがえらす事ができるのはキノコ王国のお姫様ピーチ姫だけ。彼女は今、大魔王クッパの手中にあります。
 マリオは、カメ一族を倒してピーチ姫を救出し、再び平和なキノコ王国を築くために立ち上がりました。
(ゲームの説明書様より引用)

さて。この時、マリオ・ルイージの戦略目標は単純明快である。彼らの最終目標はピーチ姫の救出であり、その行動指針は以下のような優先順になっていることが推測出来る。

1.クッパにさらわれたピーチ姫の救出
2.ブロックなどに変えられたキノコ王国住人の救出
3.(上記1,2を達成する手段として)クッパ及びカメ一族の撃破


実に明快。プロジェクト達成に最重要なのが「明確なゴール」であることは疑いなく、この点マリオ達の王女救出プロジェクトにおいて、目的の明確さについては文句のつけようがない。また、目的3が同時に1,2達成の手段になっていることを考えると、プロジェクトとしてのアウトラインも明快である。

強いて文句をつけるとすれば人月の規模感か。プロジェクトの規模の割にマリオとルイージしか実働メンバーがいないんですけどこの見積りどうなの、という一点に集約されると思うが、まあこれもマリオさんが、「亀をたくさん踏んでいるといつの間にか増殖している」という、一山いくらのチート人月単価の所有者であることを考えれば、そこまで重大な問題だとはいえないだろう。



翻って、カメ一族の方はどうか。純粋にストーリーから読み取る限り、クッパの当初の目標は、「キノコ王国を侵略する」ということである。プロジェクト達成ラインが明確ではないが、「キノコ王国は亡びてしまった」という記載からすると、当初の目的はほぼ達成出来ていると考えていいだろう。


問題なのはその後の対応である。これがもう、状況を克明に分析すればする程、眼を覆わんばかりの有様だ。

プロジェクトが達成出来た後は、その次の中長期目標を設定しなくてはならない。一般的に考えれば、侵略軍の新たな目標は「侵略した地域の維持」及び「新たな地域の侵略」となるのが妥当である。となると、「侵略した地域の維持」の為にも、リスク因子はなるべく排除しておきたいと考えるのが通常のプロジェクトマネージャーだ。

然るに、「このキノコ達の魔法を解き、よみがえらす事ができるのはキノコ王国のお姫様ピーチ姫だけ」と明言されている重要な戦略目標であるピーチ姫を、のーのーと手元に収監しておき、マリオやルイージが自軍の拠点を次から次へと失陥させている間も完全放置というのは、一体いかなる戦略的思考から行われた行動なのか。正直、この時点で既にプロジェクトマネージャーとしては犯罪的な錯誤をしていると考えざるを得ない。ステージ毎に偽クッパとか出して喜んでる場合じゃないだろう、と強く主張したい。

戦術的にも、戦力の逐次投入をして完全にマリオ・ルイージの各個撃破の対象となってしまっているのはありがちな話だから置いておくとしても、各城の守将の背後に毎回ご丁寧に橋を落とす為の斧を置いておくであるとか、マリオやルイージがパワーアップするキノコやファイアフラワーを自生するままに放置しておくといった、緊急時を想定した事前対応の不備がとにかく目立つ。コンティンジェンシープラン(緊急時対応計画)に重大な失陥があるのではないか。監査法人の外部監査を早急に受けることをオススメしたい。


本来クッパはどうするべきであったかというと、マリオ・ルイージと同様明確なプロジェクト達成指針を定め、それを達成する為のアウトラインを設定するべきだったのではないか、と私は思う。

カメ一族の目標優先順は、本来以下のようなものになるのではないか。


1.キノコ王国侵略状況の維持
2.カメ一族の戦力増強、及び温存(1の手段)
3.マリオ・ルイージの抹殺(1の為のリスク因子排除)



こうして考えると、クッパ勢力のとった戦略がいかにまずかったかがよく分かる。少なくとも、3が上手くいっていない時点で2の徹底、及び1の為のピーチ姫排除は必須要件だったと思うのだが、この点やはり「緊急時対応の規程がそもそも存在しなかった」と考えるのが妥当のように思え、カメ一族にはコンティンジェンシープランの設定を急ぐよう強く提言したい。


以上をまとめると、

・プロジェクト達成の為には、プロジェクトの目的とその達成に向けたアウトラインが必須。
・カメ一族には一次プロジェクト達成後の戦略眼、及びコンティンジェンシープランが欠けている。
・クッパは取り敢えず橋の後ろの斧をどうにかしろ。


というとてもどうでもいい結論が導き出せるわけである。よかったですね。>私

今日はこの辺で。
posted by しんざき at 17:37 | Comment(3) | TrackBack(0) | レトロゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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この記事へのコメント
 橋の後ろの斧は、ちゃんと戦略的な必要性を持って設置されていると思われます。

 防衛側の責任者が誰も「侵入者が乗った時点で橋を落とす」という、しごく単純な設計者の意図を理解してくれないだけで。
Posted by kanata at 2011年09月01日 02:47
>kanataさん
まったくおっしゃる通りです。その視点が抜けていました。

クッパ陣営にはBCP訓練が必要ですね。
Posted by しんざき at 2011年09月01日 09:22
待ってください、まず戦略上の問題認識については内的要因だけではなく、外的要因も考慮すべきです
その点において、マリオならびにルイージはまぎれもなく地上最強の魂斗羅部隊ですよね
一国を滅ぼすほどの勢力を、たかだか数時間、時には数分で殲滅する戦力ですよ!
ブラザーズにおける戦略において、クッパ陣営の手落ちがあったのは確かでしょうが、数分で全現場レベルの徹底改造など出来るわけはないでしょう
鎖は弱い所から破られるのがセキュリティの鉄則ですが、まさにマリオルイージの単体戦力はそれをやってのける存在です
つまり、2以降の陣営強化について、PCDAが正しく機能していたかどうかを語るべきなのです
Posted by Shrike at 2011年09月01日 20:45
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