ふーむ。どれだけ客観的に読めるか、正直あまり自信はないが。
「R30」様より。元ネタと併読してみて、「炎上」というキーワードに反応してみる。このアレンジに関してはそれはそれで楽しく読ませて頂くとして、だ。
祭りの場を面白くするネット左巻きの剽軽
何故ネットでエラい勢いの論争が起きたり色んなブログが自爆したりしているか、について。半分は自戒。
右とか左という言葉が絡むから話がややこしくなるのだが、これは敢えて個人レベルの話に矮小化してしまってもいいんではないかと思う。というか、そもそも元ネタの方に関しても、わざわざ右とか左とかいう言葉を持ち出す意味がわからない。
自分がどんな思想をもつか、というのは別に大した問題ではない。それこそ思想の自由という奴で、どんな思想でも勝手にもてばいいんじゃん、というのが至極正しい。極左だろうが極右だろうが親米だろうが親中だろうが、思うだけなら誰も文句は言わない。
どちらかというと問題は、どれだけ「他の思想が許せない」か、ということである。
まあ私だって自分のブログで世評めいたものも書き散らしているので人のこたぁあんまり言えやしないが、個人が脳の中で何をどれだけこねくり回していようと、それだけなら誰にも迷惑をかけはしないのだ。迷惑は、その「自分の頭の中身」を、人に押し付けようとした時初めて生じる。
宗教に喩えるとわかり易い。
今更ごちゃごちゃ言うほどのことではないが、人間というものは大したもので、一度あることを心の底から信じるとそれに対して物凄い執着心を発揮する。一度宗教にはまるとなかなか抜け出せないのはそれが理由である。
で、その内「自分の思想を知らない人」「自分の思想に共鳴しない人」に対して、ある種の使命感というか焦りというか、そういうものを抱く様になる。啓蒙欲求という奴で、熱意を持って自分の信じているものを他人に知らしめたくなる訳である。宗教の場合は布教にあたるし、思想の場合はビラを配ったりブログに書いたりというのがこれにあたる(だからまあ、他人事の様に論評する資格自体私にはないわけだが)
これが嵩じると、自分の思想に共鳴しない人、あるいは自分が反対する思想の持ち主が許せなくなってきたりする。
この段階になって初めて迷惑が生じる。どっかの宗教の人間が違う宗教の人間に喧嘩を売って、ドンパチ始めたり毒ガス撒いたりしたらそりゃあ周囲の人間には迷惑だ。同じく、飲み会の度に天下国家を語られても周囲はそれなりに迷惑だろう。実生活でことあるごとに政治の話をする人は大抵の場合「空気読めない」というレッテルを貼られる訳で、ある程度自然に駆逐されるかも知れないが、ブログの場合は割とそれが普通に出来る。
いわゆる「炎上」という現象が起きるブログには、右とか左とか関係なく、この傾向が顕著に見える気がする。
ネットの世界は一部の場所を除いて案外行儀が良い。「炎上」という現象が起きる前には大抵の場合、ノックというか打診というか、割と丁寧な「反論」がコメント欄に投稿される。これに対して、そのブログの人間が過剰反応をすると途端に赤ランプが点灯する。例えばコメント削除とかは言うに及ばず、一方的なレッテリング(それこそ「右の人の攻撃が来ました」みたいな)や、わざわざエントリーを立ててバカにしたりとか、そういうものが起こると皆が面白がって寄ってくる。そんな構図に見える。
ブログの所持者が「自分に対する一方的な攻撃」とみなしているものは、実は大抵の場合「反撃」なのだ。そして本人は、自分の思想に反対するものに対する悪意が故に、滅多にそれに気付かない。相手に対する悪意に邪魔されて、相手に対する聴く耳を持てない、という危険な状態である。これ、対岸の火事のつもりになりがちだが、案外誰にでも起こりうる心理状態だと思う。
つまり、ブログで自分の思想について書くのだったら、右だろーが左だろーが、自分の中にどれだけ「自分に賛成しないものに対する悪意」が存在するかは認識しておいた方が無難ですよね、というのがまず一点。
そして、これはごくごくごく当たり前のことであるのだが、反論がきたらきちんとそれに対して答えられるだけの姿勢は培った上で書いた方がいいですよね、というのがもう一点。
これも左右関係なくあることだとは思うのだが、ブログというものは実に気持ちがいいもので、書いているといっぱしの物書きになった様な気分になれる。HPをもつよりも大分手軽に自分の文章が表明出来るが故の利点というか錯覚というか、まあそんなものではないかと思う。
故に、自分の中で明確な思想や論理が固まらない内に、ブログで様々な「断言」を行ってしまう人はかなり多い様に思える。
で、先ほどと同じく祭りとか炎上といったものが起きるもう一つの条件がこれだ。エントリーでは威勢のいいことを言っているのに、ちょっと突っ込まれるとてんで論理的な反論が出来ない、というのも一部の人に好まれる素材の様である。「脇が甘い」という言葉があるが、言ってしまえば軽挙の報いだ。
実例を挙げられる程のデータはもっていないのだが、これはおそらくいわゆる「右」的な方の中にも見られる現象なのではないかと思う。某巨大掲示板中で見かけられたとおぼしき主題を、割と控えめなアレンジを加えてご自分のブログにエントリーされる方など見ていると、なんというかなかなか微笑ましい。まあ、先日の某新聞社の人のブログなどそのレベルにすらちょっと到達していなかった訳だが。
私に関して言えば、まあ自分ではおよそ右とも左ともつかぬ、基本的には親米保守で少なくとも左ではないよな、でも牛肉輸入関連はちょっとばかりムカつくよな、とでも言う様な大変にだらしない思想姿勢の持ち主であるので、上記の様なくだくだしい話にはなべて自戒が含まれる。
ともあれ、ブログで自分の思考を表明するというのは、いかにうちの様な零細ブログであろうとも、いつ誰に読まれているかわからんのだということを自覚した上で、きちんと考えた上での発言をせねばならぬなあうんうん、と大変に面白み及び新鮮みのない結論で取り敢えず本エントリーを閉じる。
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ちょっと補足(03-08 19:00)
最初に、「わざわざ右とか左とかいう言葉を持ち出す意味がわからない」と書いた。
そもそもネット上のこの手の論争で、右とか左とか相手をレッテリングをしようとすること自体不毛というか、大抵の場合冷静な視点とはいえない場合が多いのではないかと思う。なんでかというと、「右」とか「左」という言葉自体、偏った思想の証左として元々あまり良いニュアンスをもっていない上、レッテリングをしようという場面ではより一層その傾向が強まる為だ。
具体的に言うと、意識的であるにせよないにせよ、「相手の思想は偏っている、相対的に自分が正しい」という文脈で使われる場合が極めて多い。つまり、どちらかというと思想の傾向としてではなく実態の欠けた「悪口」として用いられる。
議論に悪口を持ち込んではいけない。いや、実際悪口として用いるなら全く構わないのだが、少なくともこれを議論用語として用いているつもりなのであれば、自分の中の悪意に対する自覚が少々足りない。自分と反対の思想の持ち主がキライならきちんとキライと言うべきだ。
「ネット右翼」という口当たりのいい言葉に関しては、「若隠居の徒然日記」様が分かり易くまとめてくださっている。
ブログ時評におけるネット右翼論に疑問を呈する
実に明快。まあ、「ネット右翼」というレッテリングをされている人の中にも、相手を「サヨク」とレッテリングしている人がいるのかも知れないが。
2005年03月08日

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Tracked: 2005-09-20 09:02
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Tracked: 2005-09-20 09:18
祭りや炎上について、すごく冷静かつ的確に指摘されていて、納得いたしました。
私も思想的に右とか左とか無いと思いますし、個々の事象によって立場が微妙に変化するのが普通の思想ではないかと思います。
また、Blogで威勢のいいことを書くのも、それは別に問題ないですが、ツッコミが入ったら冷静に反論するか、自分の考えに誤りがあれば、謝って訂正をすればよいと思うのです。
意固地にならずに建設的に意見してバランスを保つことが肝要ではないかと思います。
コメントありがとうございます。
>個々の事象によって立場が微妙に変化するのが普通の思想ではないかと思います。
そうですね。そもそも、自分のことを右とか左とか自信をもって断言出来る人がこの世にどれだけいるかと。相手のことを断言出来る人はたくさんいるかも知れませんが。
>謝って訂正をすればよいと思うのです。
やはり世の中、嫌いな人に謝ることが物凄くイヤだ、という人は多そうですね。それも、「炎上」の一因ではないかと思います。
トラックバックさせていただきました。
> 故に、自分の中で明確な思想や論理が固まらない内に、ブログで様々な「断言」を行ってしまう人はかなり多い様に思える。
断言すると気持いいんでしょうね。「独断と偏見」とか「毒舌、辛口評論」と称して悪口や罵倒を書く人も多いようです。
私は臆病なので、戦う覚悟がなくてそれでも批判したい場合はなるべくネタ化してお笑いでごまかします。まあこれも、まじめな人から「笑い事じゃない!」と怒られるリスクを伴いますが、うかつに正面から突撃するよりはマシではないかと。
物事好き嫌いに落とし込むと見誤りますね。
自戒もこめて。
TBありがとうございます。
>「独断と偏見」とか「毒舌、辛口評論」と称して悪口や罵倒を書く人も多いようです。
そうですね。独断と偏見、って言葉は多分免罪符として使われてるんだと思うんですが、あまりかっこいい言葉じゃありませんよね。独断だろうが偏見だろうがあんたの意見だろ、堂々と書けよっていう。
>めあさん
毒リンゴですかイっ。
>nekoteさん
TBありがとうございます。
確かに好き嫌いが絡むと色々見えにくくなるんですが、でも基本的に好き嫌いがないと意見が成立しませんから。どれだけ自分を客観視出来るか、でしょうか。
現在炎上中のblogコメント欄に、貴blogのURLが貼られておりました。
この名前はそこでの捨てハンです。(申し訳無いです)
コメントをつける側としても耳が痛い内容です。
思想の違いというよりも、議論にすらならない事が不愉快で、ついつい書きこんでしまうのです。
どうやったら健全な議論になるのか、コメントをつける側も自戒と研鑚が必要だと改めて感じました。
先方の考えもあるのだから、書きこまない、気にしない、というのも一つの手ではありましょうが。
コメントありがとうございます。
>現在炎上中のblogコメント欄に、貴blogのURLが貼られておりました。
それは光栄ですけど、炎上中っていうのは色々なコメントが非公開にされちゃってるブログのことでしょうか?別のところかな。
>思想の違いというよりも、議論にすらならない事が不愉快で、ついつい書きこんでしまうのです。
いや、それはごく自然なことだし、仕方ないことだと思いますよ。むしろ、そういう感情がある程度ないとエントリーを書く気が起きなかったりしますし。
ただ、相手の視野がふさがってる分、自分は懐広く構えることが出来たらかっこいいんではないかなあ、という程度に思ったわけで。難しいですけどね。
>それは光栄ですけど、炎上中っていうのは色々なコメントが非公開にされちゃってるブログのことでしょうか?別のところかな。
別のところ(東大生)です。で、先ほど、河原で殴り合った後に和解するような、そんな終わり方をしたものですから、嬉しくなって報告にあがりました。
議論としては不満もあるのは事実ですが、
こんな炎上なら、すべてのblogが燃え上がれってなものです。(失敬)
もちろん、この先は判りませんが、ひとまずご報告まで。
乱文失礼。
>別のところ(東大生)です。で、先ほど、河原で殴り合った後に和解するような、
>そんな終わり方をしたものですから、嬉しくなって報告にあがりました。
教えてくださってありがとうございますー。東大生+ブログで検索してみたらあっさりと出てきました。いや、なんというか、エラいことになってたんですね。参加し損ねたぜチクショウ、とかいう邪心はかけらもありません、ええ。
全部は読んでないんですが、議論は収束したみたいですね。結局この手の議論に「建設的な収束」ってものはあるのかな?と思っていた矢先でしたので、ちょっと興味深く収束の仕方をみさせてもらいたいと思います。
やっぱり、自分が間違ってると思う意見に寛容になることほど難しいものはそうはないなあ、とは思う次第。
しかしなんとゆーか。そんなに東大生って身分を振りかざさんデモ、とはそもそもちょっと思いますね。これで迷惑する人も結構多そうだな。
ないですね。おっしゃってる通りだと思います。結局、他人の思想が許せない人同士が何言っても建設的な議論にはなりませんね。
コメントありがとうございます。むう。まあ、元々が「何が正しい」という正解がない議論になり勝ちな分野ですしね。
なにせ、思想ブログではないし、自分の意見を述べるようなブログでもないし、ただありのままの情報を伝えているだけですから。。
当の本人は、ベテランのアフィリエイターのくせに、アフィリエイト初心者を自称し、ブロガーに転身中。
「詐×だ。」「掲示板の入室にすぎない。詐×じゃない。」
これも一種の思想の相違と思われる(笑)
namicororin=サカモトユキタカ=namichance
当の本人は、ベテランのアフィリエイターのくせに、アフィリエイト初心者を自称し、ブロガーに転身中。
「詐×だ。」「掲示板の入室料にすぎない。詐×じゃない。」
これも一種の思想の相違と思われる(笑)
namicororin=サカモトユキタカ=namichance