以前と同じように、単なる私的記録として書き残しておく。
奥さんのお腹にいるのが二卵性双生児だということは、早くから分かっていた。このご時世正直不安もあったが、そろそろ二人目が欲しいな、と思った時に授かった命だ。出来ることを全力でやろう、と決めた。
五月頃から奥様のつわりがひどくなって、六月の初めくらいまで、一日中立てないような状態が続いた。息子さん共々、奥様の実家で預かってもらっていた。
この時期は私の仕事が忙しかったこともあり、息子さんには随分負担をかけたと思う。幼稚園にも通い始めた矢先だった。8月にリリースが終わってからは可能な限り遊んであげているが、それでも奥様は自分の体で手一杯なことが多く、甘えたいのに甘えられないことは随分多かったろう。本当に頑張ってくれたと思う。
9月10月は小康状態というところだったが、11月下旬、子宮口が若干開き気味ということで、奥様が管理入院になった。この時、子宮口の直径が3cmになっていたらしい。
今日明日産まれるという話ではなかったが、予定日は12月下旬だ。随分早い。何しろ双子なので、その内来るかもと予想はしていたが、やはりそれなりにしんどかった。奥様のお母さんが泊りがけで息子さんの世話をしにきてくれた。私の父母も、週末は息子さんをこういう時、頼ることの出来る身内がいるということについては、感謝の二文字以外の言葉がない。
12月7日くらいからはもう陣痛促進剤使っていいかも、という話を聞いた。とすると産まれるのは8日か9日辺りかなー、と勝手に見当をつけていた。
12月3日の0時過ぎ、出血が始まった、けど収まるかも、というメールが奥様から届いた。ボランティア演奏と後輩の結婚式の予定が入っている日だったのであややーと思い、何とか回避してもらえんものかと正直思ったが、4時頃陣痛が始まったという連絡がきた。一も二もなく家を飛び出してタクシーを捕まえた。
ボランティア演奏については、朝方主催の人にメールで詫びをいれた。なんとかするから奥さんのそばにいてやれ、といわれた。ありがたかった。
病院に着いた頃は、まだ奥様の陣痛はそこまで切迫した感じではなかった。分娩室は、一見するとホテルの一室という風情で、想像していたような手術室のイメージとはだいぶ違った。コーンスープを買ったり、奥様の汗を拭いたりして過ごした。経緯は順調らしかった。
それ程眠くはなかったが、後がキツいから寝ておけといわれて、一、二時間ソファーで休ませてもらった。その後、ぼちぼち産まれそうだと呼ばれた。
息子さんの時もそうだったが、分娩室で父親の具体的な仕事は殆どない。ただ、奥様の苦痛に共感して、それに耐えるのが自分の仕事だと思ったので、奥様の枕元で、たまに奥様の体をさすりながら大人しく座っていた。看護婦さんの人数は随分多く、それ程心配することもなさそうだと思った。それでも、奥様の口から漏れ聴こえてくる苦痛の声はそれなりに響いた。勿論、実際に苦痛を感じている奥様に比べれば何ほどのこともないし、血を見るのも私は平気だ。たまに手を握った。
7時55分、一人目が生まれて、すぐにぎゃーぎゃー泣き出した。女の子だった。一通り体を拭いてから抱っこさせてもらった。抱っこした時にはもう落ち着いていて、割とすぐに目は開いた。まだ明るいか暗いかしか分からない目で、辺りをきょろきょろ見回しているように見えた。
ようこそ世界へ。なるほど、Hello Worldってこういう時の言葉なのかな、と脈絡もなく思った。娘さん一号を抱いて、娘さん二号が出てくるのを見守ろう、と声をかけた。
二人目が生まれたのは8時13分。帝王切開も想定していたので、自然分娩だったのは本当に、奥さんも娘さんも頑張ったと思う。脂汗をかきながらもほっとしたような顔をしている奥様の汗を拭いて、髪の毛をなでた。ジュースを飲ませた。娘さんは二人とも元気なようだった。
親族には報告の電話をかけた。この時息子さんは、私の父母の家に泊まりにいっていたが、「赤ちゃん産まれたよー」といったら、「だれのあかちゃん?ぼくの?あかちゃんあるく?」などと寝ぼけたことを言っていた。明日じっくり言い聞かせてやろうと軽く決意した。
その後、二人揃って奥様の体にのぼり、初乳を飲んだ。娘さん一号は、なにやらすぐ気がそれるようで、おっぱいが口から外れてはぎゃーぎゃー泣いていた。娘さん二号は、一心不乱におっぱいを飲んでいた。どうも性格にも結構差があるようだ。
その後、奥様のお母さんもかけつけてくれて、赤ちゃんを追いかけて入院病棟に行った。産後病棟は、管理入院で入っていた産前病棟とは全く雰囲気が違っていて、あちらこちらから赤ちゃんの泣き声がした。妙に耳に心地よかった。あー、息子さんを育てた経験からか、赤ちゃんの泣き声が随分いい音に聴こえるようになったなー、と思った。
その後診察を受けて、若干低血糖である以外は二人とも至極健康、という話を聞いた。一人目2190g、二人目1990g。やはり体重は軽めなので、一二週間は入院することになるらしかった。午後遅くまで奥様に付き添って入院病棟にいて、その後後輩の結婚式にいって乾杯の音頭をとった。
これが、私の私的な、双子が生まれるに至るまでの顛末だ。いつか読み直す時の為に、淡々と書き残しておきたいと思う。
私は三児の父になった。父親としての自覚はあるつもりだが、自分がきちんと「父親」になれているかどうかは、まだ分からない。ただ、それでも、全力で父親になって、いつか三人とも、「生まれてきて良かった」と心から思えるような人生にしてあげられるよう、力を尽くしたいなあと私は思っている。
2011年12月03日

この記事へのトラックバック
わかります?
双子ちゃんおめでとうございます!
本当に大変だろうけど、きっと楽しいことも多いんでしょうね。
奥様はお疲れ様でした。
陣痛・出産はもちろん大変だったでしょうが、
管理入院もとてもとても辛かったんじゃないかと想像します。
本当にお疲れ様でした。
いつか息子さん娘さん達に会いたいなぁ。
自然分娩とは凄いね。
奥さんほんとお疲れさまでした。
娘は息子とまた違う可愛さがあるね。
しかし同時に二人は大変だねー。
おーご無沙汰してます!勿論分かります。お元気ですか。
管理入院、周囲はやきもきしてましたが、当人的にはそこまででもなかったみたいです。今は母乳育児の日々です。
良かったら是非是非あそびましょう。
>bariさん
おーありがとうー。大変だろうけれどやりがいもあるものと思ってがんばりますです
双子ちゃんと聞いて驚きました。
いろいろ大変でしょうがしんざきさんらしく頑張ってくださる事を期待します。
ブログの文章だからかもしれませんが、誕生に立ち会う父親とはこんなに冷静で
居られるものなのかーとぼんやり思いました。自分の場合はどうなるのか想像も付きませんね。
息子さんのお兄さんになりっぷりもこれから楽しみですね。
まずは奥様、娘さんsがご無事で何より!
一気に3児のパパになったのですにゃあ。
また是非息子さんともどもにお会いさせてくださいまし!
奥様にもよろしくお伝えくださいませ!
オイラも息子さんのお兄ちゃんライクな振る舞い記事楽しみにしてます♪
いつも楽しく拝見させていただいております
お子さまの無事なご出産、おめでとうございます
月並みな言い方ではありますが、生まれたお子さまが双子でらっしゃると喜びも倍ですね
ご家族のお幸せをこれからも是非ブログにてお聞かせください