(追記)一応文末にまとめを書いておきました。お忙しい人は結論だけお読みください。
mixiでまたチェーン日記 善意が混乱招く
まず、大前提として重要なのが「mixiはとっくの昔に閉鎖環境ではなくなった」という認識だろう。
株も上場した現在、既に常識だったらどうしようと思いつつ一応書いておく。
・「mixiファイアウォール」の実質性。
かつてはmixiの「紹介のみでしか入れない」という防護壁はそれなりに機能していた、と私は思う。多分一年半くらい前までは。もう少し具体的に言うと、mixiの利用者数が100万とかその辺のオーダーを軽々と突破するくらいまでは(実際はもうちょっと前にファイアーウォール自体は崩壊していたと思うが)。
ただ、mixiの防護壁は当然ユーザーが増えれば増える程脆くなっていく訳で。一度ブログにコメントされただけでmixiに招待してしまう人だっているし、一度橋頭堡が出来てしまえば困った人たちの流入は止め様がない。mixiの管理体制にもはっきりとした限界がある(こんな事例を挙げておこう)。
mixiは現在より遥か以前の段階で、「リアルで知っている人同士が繋がって出来た友達の輪」だけの環境ではなくなったのだ。mixiにまつわるトラブルの話も最近しばしば聞く。既にmixiの「環境」自体は、一般的なwebと殆ど隔たりはないと理解するべきだろう(そりゃ2ちゃんとかとは全く違うだろうが)。
以上は当然といえば当然の前提。問題はここからだ。
・mixi達の防御力。
しんざきは幽霊ミクシィながら、一応mixiのアカウントをもっている。そして、mixi内部をつらつらと瞥見するところ、警戒心が緩い人の割合は一般的なWebと比較して相当多い様に思える。
しんざき自身の感覚としては、自分の写真や個人情報だけならまだしも、家族や子供の個人情報まで簡単に特定出来そうな内容を載せるのは、正直正気の沙汰ではないという気がするのだが、内部で警告する人はいないのだろうか。赤ちゃんの写真(背景つき)とか平気で載せてる人、それ危ないですよマジで。友達の友達は友達とは限らないんですよ哀しいことに。
ということで、mixiユーザーの警戒心の絶対量が薄いのは何故なのか、という話に当然なる。何でだろう。
勿論、「mixiから本格的にネットに入ったんで、一般的なwebの危険とか殆ど知らないですよ」という人も結構な率いるのだろう。それに加えて、しんざきの思うところ、以下二つの要素が結構大きい様な気がする。
1.「紹介制」という形骸と、マイミク・コミュニティという擬似的な「身内」という単位の存在
2.反応欲求の互助を基礎とした、情報の出し合いの誘引
1については、読んで字の如し。上では大前提としたが、一見まだ防護壁として健在である様に見える「紹介」制度と、画面上からは閉鎖された環境である様に見えるコミュニティー・マイミクなどといった「仲間内」が、心理的にはまだまだ大きいのだろう。
当然のことながら、上記の様な「防護壁」に現在あまり実質性はない。mixiの防護法は飽くまで「外から入ってこようとする困った人」に対するものなのであって、現状既に困った人はmixiに入った後なのである。
ひとつには、mixiの運営側が「mixi内部には困った人もいるかも知れませんよ」とはっきり警告しないことも悪いといえば悪い。例えばヤフオク辺りで「mixi」キーワードで検索してみるといい。ひどいもんだ。
Yahoo!オークション「mixi」
mixiのヘルプを見てみれば一応規約で禁止されていることは分かるが、こんなこたぁいちいち取り締まったって結局イタチごっこなんだろうし、600万ユーザーを運営だけで漏れなく管理するのは実際のところ不可能なんだろう。だからこそユーザー側で警戒意識を醸成する必要がある、とは以前のエントリーでも書いた。現状がどうなのかは知らんが。
どうでもいいが、「彼女いない歴26年男がミクシィ(mixi)利用12日で彼女が作れた技」(注:エントリー時点で残り8時間)て。ついでに入札価格11円て。どうなんだよ、色々な意味で。
・コメント互助の優位性。
で、話は2番の方に移行する。
以前のエントリーで、私はこんなことを書いた。
殆どの個人ブロガーの「ブログを書く目的」は、「書きたいという欲求」と「反応が欲しいという欲求」の二つに支えられている
反応欲求というのは私の勝手な造語だが、Web上で、というか無報酬で文章を発表する遍く人々は上記二つの欲求のどちらか、大抵両方を動機にもっている。例外はあまり多くないと思う。
ブログも2ちゃんも根本は同じで、自分が書いたことに反応が欲しいから書き込むし、反応がないと寂しいから時には自作自演に走る。ブログの「炎上」現象で、コメント欄で大騒ぎしている人が盛んにブログ主の反応を求めることも、根っこは同じなんじゃないかと思う。
私は、mixiが隆盛した大きな要因の一つが、反応欲求を満足させ得るインフラが非常に整っていたことだと認識している。とっくに既出だと思うけど一応。
mixiをやっている人なら誰でも分かると思うが、mixiは非常に「読者の反応」を引き出しやすい構造になっている。マイミクの日記が更新されるとすぐにそれが告知されるし、自分がコメントした日記は更に長時間経緯が告知され、自分のコメントに更に返事が来たのかどうかが一目瞭然である。
このインフラは、結果として「マイミクの日記には頻繁にコメントをする、そのお返しとして自分の日記にもマイミクのコメントをもらう」という互助態勢を醸成した。
その結果、mixiは発信すれば発信しただけ反応が返ってくるという、発信者にとっては非常に気持ちのいい場所として形成されていった。この結果が恐らく今の現状だ。
情報・コメントの提供はお互い様というか、どちらかが出せば自分も出すのが当然という雰囲気が存在する。結果的に、発信者の筆はどんどん言葉を紡ぎ、情報もするすると出ていく。時には個人が特定され得る情報や、あるいは先日起きた善意(に見える)チェーンメールの様な情報も、「筆が滑って」出てしまう。
「お互い様」の精神を基調に、システム自体が驚くべきスムーズさをもった「潤滑油」となっている訳だ。私はこのシステムにケチをつける気は毛頭ないし、SNSの隆盛を支えるこのデザインには驚嘆する他ないが、スムーズさの余り避けるべき情報まで流通してしまうことには、広く警戒を喚起する必要があると思う。
mixiの株式上場と共に社会的責任も当然ついて回る訳で。mixiはそろそろ、mixi内部での危険な情報開示やその他もろもろ困った状況について、本格的なユーザー指導を行っていく必要があるんではあるまいか。多分頑張ればまだ間に合う。mixi発祥の「取り返しがつかない事態」はまだ起きていない、多分。
と、最後は無難な結論にしてしまう私も私か。
以下は参照URLと関連エントリー。
mixiを悪用した「情報ねずみ講」、進行中
不倒城:mixiと2ちゃんの比較論
(10/5 15:51 追記)--------------------------------------------------
追記。
無難な結論、と書いた。
コメント頂いたのでもう少し踏み込んでみるが、実際の所、mixiにユーザー由来のトラブル防止を期待するのは「無理」かな、とは思う。
出来るもんならとっくにやっている、というか、少なくとも現状の「招待制」という形でユーザー招致をユーザーに任せるという形式では「予防」は出来やしないだろう。予防カードをそもそも運営は持っていないから。
10年以上前からあらゆるwebで証明されていることだ。運営に出来ることは削除とアク禁であり、その二つでトラブルを封じ込めることは出来ない。トラブルを未然に防止し得るのはユーザーだけであり、ユーザーの「防犯意識」が低い状態のままmixiは上場してしまった。
普通に考えると、今後mixiに関わる報道はますます増えるだろう。アタック25のアレとかも、多分上場がなかったらYahooのトップに晒されはしなかった。もうちょっとぶっちゃけると、多分mixi発祥の「洒落にならない事件」は既に起きているんじゃないかと思うんだが、今まではそれが社会的に注目されるに至らなかった。これからはそうもいかない。
結構危機的状況な訳であり、この状態でmixiがとり得る手は何があるかなー、というのはまたその内エントリーにしてみる。
一応本エントリーをまとめておくと、
・mixiは既にオープンの場と環境的に異ならない。一歩間違うと、下手なオープン環境より危険である。
・だが、mixi上の人には警戒心が緩い人が多い様に思う。
・原因の一つは、一見するとまだクローズな場の様に見えること、運営もクローズな場としてmixiを扱っていること、である気がする。
・もう一つの原因は、コメントが欲しい人達にとってmixiが非常に気持ちのいい環境である為、情報流通の自制が緩くなることである気がする。
・運営もユーザーも気をつけた方がいいんじゃね?
以上、追記でした。
足跡とか、いわゆるサイト運営なんぞで
結構気になってる部分なんかも揃ってるし
あとない機能ってなんだろうネ。
いったら増えそうだし。
っと、ポチポチコメント投稿しますねん。
少し話はズレますが、以前あった早大サークルでの組織的婦女暴行事件。
あの事件を聞いた時に私は、「あぁ、(被害者の)子たち、夜遊び慣れしてないな」と感じました。
加害者が全て悪く、被害者に非が無いのは当然のこととして、多少夜遊びの経験があって、夜の街で変な奴に追い回されたり、何度か便所等で薄気味の悪い行為を目撃したりの経験があれば、ある程度ああいう卑劣な行為への対策は取れたかもしれません。
だからといって、「危ない所ですから」と自ら言う酒場はそんなになく、やっぱり営業側としては「魅力的な場所ですよ」とはアピールしますよね。
同じ理由で、私は正直mixiが今後も毅然とした対応を取ることはそんな期待できないと思っています。現にY!オークションなどは、盗品売買の温床になっていることが以前から指摘されてますが、ちゃんとした対策を取っている話はそんなに聞きません。
盛り場ですと、「先輩・兄貴分」が後輩に一通りのリスクを指導するというシステムが一応はありましたが、ネット界ではまだそういう「教育のシステム」が確立していないですね。だから、以前からのトラブル例が、相も変わらず繰り返されている感はあります。昨今言われているような問題点は、すでにインターネット以前のパソコン通信初期から言われていた事ですし。
だからといって「経験者しか遊ぶ資格が無い」場になってしまったら、それはそれで酷くつまらないものになってしまいます。
ただ、やはり不特定多数と親密なコミュニケーションを形成出来る場所には、やはりリスクが付きまとうということを、利用者も提供側も、もっと肝に命じる必要はあるように思います。
今のところ「自己防衛」しか策がないのが問題のような気はします。といって、私が良い解決法を思い付くわけでなく、どうにも歯切れの悪い書き方になってしまいますが…。
それはそうとこんな事件があったそうで
http://www.zakzak.co.jp/gei/2006_10/g2006100305.html
ご存知でしょうか。正に「閉鎖環境ではなくなった」証明ですねえ。
コメントありがとうございます。
>結構気になってる部分なんかも揃ってるし
>あとない機能ってなんだろうネ。
ない機能とゆーか、株上場に伴ってどう収益を挙げるかってことが今求められてるから、その辺のシステムを今後開発してくるのでは。例えばアバター的なシステムとか。
>さいとう7さん
>同じ理由で、私は正直mixiが今後も毅然とした対応を取ることは
>そんな期待できないと思っています。
同感です。というか、mixiの運営に関しては以前の人工無能騒ぎの時に結構底が割れてしまったような。
ただ、ソフトバンクと違ってmixiには「mixi」という空間だけが商売道具な訳で。上場の影響で、今後問題が色々指摘される様になれば、何かしらの対策がとられる可能性はあるかも、と思っています。
>ネット界ではまだそういう「教育のシステム」が確立していないですね。
実はこれ、かなり前から興味がある分野なんですよね。その内ちゃんとしたシステムが確立されなきゃあかんだろう、と。ただその採算はどう成立させんのか、と。
>niizatoさん
>こんばんわ。分かります?いつも楽しく拝見しております(笑)。
いや分かりますも何も。見られていたのかっ。
>zakzakの記事
ああ、見ました見ました。まあ、これに関しては書いた人があまりにもアレ、ということもある気がしますが、本人は身内だけに見られるつもりで書いたんでしょうね。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0609/28/news039.html
の方が良いかと思います。
ご指摘ありがとうございます。リンク切れてましたね。
修正しました。
2chのニュース速報板で【洒落タマ】で探してみてください。
あー。見ました。
氷山の一角でしょうね。人死にが出ない話ならまだまあマシかな、と。
ああ、「ケツ毛バーガー」のことか。