言いたいことを箇条書きで書くと、以下のようになる。
・何らかの目標の達成の為に「重要人物の拉致」という手段を取るならば、戦略目標を綿密に定めないとコストに見合わない。
・一般的に考えて、「重要人物の拉致」を何かの手段として行うとすれば、達成すべき目標は何かというと、「解放を前提に、取引材料として優位な条件を引き出す」か、「殺害を前提に相手の動きを抑え込む」のどちらかである筈である
・然るに、世の中の姫さらいヤー達の行動を見ていると、いまいち上記二点が達成出来ているとは思われず、むしろ場当たり的に姫をさらっているのではないかと思われる節がある
・世の中の魔王的な人はもう少し戦略眼を養うべきなのではないか
うむ。言いたいことは大体書いた気がするので、後はざっくばらんにいこう。
竜王に限らず、クッパでもミスターXでも雪草妖四郎でも大魔王ゴンディアスでも大体似たようなことがいえるのだが。
世の中には、とかく姫をさらいたがる大ボスが多い。
彼らはとにかく姫をさらう。取りあえず姫をさらう。情報商材的マニュアルで「1.まず姫をさらいます」とでも記載されてるんじゃないかといわんばかりの勢いで姫をさらってしまうのである。
然るに、彼らの中で「さらった姫」を何らかの戦略的目標達成の手段として有効利用出来ている人は、物凄く少数派である。
姫をさらったことがない方はもしかするとご存じないかも知れないが、「姫をさらう」という行為には案外コストがかかる。取りあえず姫を殺さない為の食費、姫を見張る為の人件費、姫を閉じ込めておくための居住スペースの管理費、姫をさらってくる際の人件費や交通費だってバカにならない。「人質をとる」というのは元来高コストな手段なのである。
コストがかかるのなら、有効に利用したいと考えるのが人情な筈である。そこから考えると、「返す代わりになにか要求する」であるとか、「殺害と引き換えに相手の行動を制限する」といった目的を設定し、タイムリミットを設けて状況を有利にするべきなのに、世の中のボスどもは主人公がめきめき進軍してくるのを殆どの場合のーのーと放置し、姫を救出されるに任せている。これは重大な戦略的錯誤なのではないか。
私が思うに、彼らには「コスト意識」及び「戦略的目標、及びそれを達成する為のマイルストーンの設定」という思考が足りない。私が経営コンサルタントならハリセンの二発三発でも頭に叩き込まなくてはならないところである。お前折角姫さらったんならもう少しなんとかせいや、と激しく突っ込みたい。
ちなみに、「姫をさらう」ということが手段ではなく目的である、という可能性も一応ないではないが、それにしたって多くのケースにおいて不備や誤謬が目立つ。
例えば竜王の場合、岩山の洞窟などという辺鄙なところにドラゴン一匹つけて放置している時点で、「さらったはいいけどどう利用すればいいかよくわかんねーや、マンドクセ」という雰囲気がアリアリと見える。人質戦略としては犯罪的な錯誤をしていると指摘することが出来、彼の戦略眼に大きな疑問を抱かざるを得ない。何らかのシンクタンクによるコンサルティングを至急お勧めしたい。
取りあえず今日はこの辺で。
2012年02月03日

この記事へのトラックバック
勇者に対する支援が貧弱なのも財源が自由に使えないようにされてる為だと思われます。
「魔王は絶望をすすり、憎しみを食らい、悲しみの涙で喉を潤すという」そうですからね。
姫を殺しても一時の悲しみは得られるでしょうが、幽閉し続けた方がより長く、より良質の憎悪を引き出せそうです。
(参照⇒「そもそも魔王とはなんなのか」 http://shirayuki.saiin.net/~crown/html/color2.html )
クッパはもっとシンプルで、確かピーチ姫を嫁にしたかったはず……
取り返される以前にフラれ続けているわけですし、これこそまさに無駄な軍事活動ではあるものと。
いつの間にか結婚目的になってったけど
そこに意味を持たすのは弱者の思考
1. 取引材料としての価値
→人類と魔物の生存競争であれば交渉はあり得ない。どちらかが滅ぶまでの戦いになる。
→交渉しないと入手できない要素が竜王に少ない。敵地奥の光の玉や姫を奪える実力差があるのにあえて交渉する必要がない。
2. 殺害を前提とした行動抑制の価値
→圧倒的な戦力差があるなら必要性は薄い。
3. 姫自体の価値
→Wikipediaに「征服後の妻の予定」とある。竜王の主観に限れば目的に成り得る。
→監禁コストについては、魔物を操れるなら人件費が不要で無視できる(ドラゴン1匹に果物調達役のドラキー数匹で十分)。
→管理が杜撰なのは姫の価値を低く見ているから。最悪、奪取されても世界征服が完遂すれば身柄の確保は容易である。
そして助けられなければならないから、管理はずさん
完全な計画通りだぜ
フラグ立てに成功したアイテムは、大体道具箱の底で埃を被るのが常であり、捨てようとしても「それをすてるなんてとんでもない!」と言われてしまってどうしようもないのでは。
まあ、姫を手元に置いておけば「勇者」は放っておいてもやってくるし、それを倒せばそれで世界征服に向けての重要なマイルストーンとなるイベントは達成できるわけですから、姫という存在自体は竜王にとっては大した価値はないのでしょう。
という意味で作られてるんじゃね
シンプルに考えようぜ