これ自体あまり一括して語れる話ではないとは思うが、各論にしにくいので敢えて十把一絡げにして書く。
何らかのWeb上のニュースを取り上げて、「何故これが報道されないんだ!」であるとか、「何故もっと大きな報道にならないんだ!」といった文言をWebで観測する機会は非常に多い。
かつ、上記文言から、特定の国家や団体に対する不公正な配慮を読み取って、そのままマスコミ叩きに移行するテキストも非常に多い。いわゆる黄金連携、定番コンボであり、ストIIで言えば大足払いキャンセル波動拳、バーチャで言えば肘→PK→流影脚である。なんだかよくわからないが。
確かに、本来周知されるべき事実が小さくしか扱われていなければ、メディアの報道姿勢や判断基準を疑うべき時なのかもしれないし、それは批判されるべきことなのかもしれない。
ただ、ここでちょっと冷静に考えないといけない。
1.それは本当に「報道されていない」のか、
2.それは本当に「もっと大きく報道されるべき」ことなのか、
3.もしもっと大きく報道されるべきことなのであれば、どの程度大きく報道されるべきなのか。
まず1についてなのだが。
「何故(新聞やテレビでは)報道されていないんだ!」というテキストを見て、ちょっと会社に置いてある新聞を漁ってみたらあっさりその記事が見つかる、というケースは、少なくとも私の観測範囲においてはかなり多い。大体5,6割くらいはそういうケースがある。
そもそもWebにおけるニュースというものは、その多くが新聞や通信社など、いわゆる既存メディアの取材をソースにしている訳で、「報道されていない」ものがWebに流れる際は、そのソースに疑問符がつく場合が割と多い。
やはり、既存の情報インフラというものは馬鹿にならないものだ。本当に「報道されていない」ものは、良く確認してみるとかなり前のニュースソースであったり、あるいは純然たる誤報だったりする。
なので、そのソースが確かなものなのであれば、実際にはちゃんとニュースとして報道されていたけれど、そもそも話者が気づいてないだけでした、というケースはそこそこあると思うのだ。
で。
「そもそも気づかない程度にしか報道されていないということが問題」という向きは勿論あるだろう。ニュースの扱い方の問題、ニュースをどの程度の大きさとして捉え、表現するか、というのは確かに難しい問題だ。これはメディアの報道姿勢そのものが現れる部分でもある。報道する際の判断基準、というものは明確になっているべきだし、それがおかしければ批判されるべきだ。
そのニュースは、もしかすると一面のトップで掲載されるべきニュースなのかも知れないし、紙面の半分、4分の1を割いて広く周知しなくてはいけないニュースなのかも知れない。確かにそうだ。
ただ、勿論ここでも、立ち止まって考えなくてはいけない部分はある。
2.それは本当に「もっと大きく報道されるべき」ことなのか、
3.もしもっと大きく報道されるべきことなのであれば、どの程度大きく報道されるべきなのか。
実際のところ、どんな問題を「大きな問題」として捉えるか、という判断基準はものすごーーく人それぞれであり。あるニュースを「大問題」として捉えている人はごくごく少数派でした、というケースは割とよくある。凄くよくある。
それに、「じゃあ、どの程度の扱いで取り上げられれば良かったんでしょう?」というのも難しい問題である。レイアウトを決めるのは編集者だ。どの程度のスペースで、どの程度の装飾で告知されれば十分だったのか?これは、決して一概に「正解」を導ける問題ではない。
新聞は商品であり、民間企業による報道は商業活動である。そこから考えると、ごく少数の人にしか気にされないニュースがそれほど大きく扱われないことは、仕方ないことでもある。
勿論、「世間的には認知されておらず、気にもされていないことだけれど、だからこそ警鐘を鳴らさなくてはいけない問題」というものはある。そういう問題を掘り起こすことこそ社会の公器の役割、というのは全く正しい。
ただし、「どんな問題が「もっと認知されるべき問題」なのか」を判断する基準は人それぞれであり、
その基準は報道する側もされる側もそれぞれに持っており、
自分の基準が必ずしも妥当だとは限らない、
ということは、認識しておくべきことなのではないかと思う。
「何故もっと大きな報道にならないんだ!」と憤る、その前に、だ。
2012年04月06日

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報道もされてるし、さっき○chのニュースでやってたと書き込みがあっても
「日本のマスゴミは全然報道しない」と全く見ないフリをするんだ
マスゴミと叩きたいが為に報道されてる事実をスルーするんだよね
ヒステリックで怖かったよ
サイエンス系ニュースは大好きだけどはやぶさはネット界隈のそうした大騒ぎに完全に萎えたわ・・・
あんだけ熱狂してた連中の大半が宇宙開発自体にはさして興味がないってのが逆に悲しかった