サンリオのキャラクター戦略は物凄い、と思う訳である。
まず最初に、こちらのURLをご参照頂きたい。
サンリオキャラクター
いままでサンリオが世に送りだしてきたキャラクター達を一覧出来る、サンリオの公式Webページである。
この一覧ページを見ていると、なんというかもう群雄割拠死屍累々、「ハローキティ」や「けろけろけろっぴ」「ジュエルペット」「マイメロディ」「リトルツインスターズ(キキララ)」など、世間に広く知られているキャラクター以外にも、サンリオが無数のマイナーキャラクター達を擁していることが良くわかる。
キャラクタービジネスは元来当たり外れの大きいビジネスである為、「数うちゃ当たる」が最適戦略であることは容易に想像出来る。
その上でサンリオの凄いところは、「当たりそう & 当たった」というところには徹底的にリソースを集中し、「あんま当たんなさそう」というところは速攻見切っている、あるいは見切っているように見える、ということである。(この辺り、統計が公開されている訳ではないので、基本的には主観的な話になるがご容赦いただきたい)
今更キティちゃんやジュエルペットについて言及するまでもないとは思うが、サンリオの「売れるキャラクターを徹底的にプッシュ」という姿勢はよく知られているところだ。キティちゃんなど、最近はもうすっかりマルチタレント扱いであり、いいともに出演したりご当地グッズでマリモになったりしている。
一方で、上のキャラクター一覧など見ていると、売れなかった(と思われる)キャラクターからのリソースの抜きっぷりは素晴らしい。勿論全く知名度がなかった訳ではなかろうが、年度別の売り出しキャラクター一覧などみていると、売れなかった際の見切りの早さが伺える。
例えば、1980年代。
キャラクター 1980
中でも84年、85年、86年など怒涛のキャラクターラッシュだが、さて、この3年の中でヒットしたのは何キャラか。私が印象に残している範囲では、ハンギョドンやノラネコランド、ぽこぽん日記やキャプテンウィリー辺りは当時結構見かけたように記憶しているが、現在でも最前面とはちょっと言いがたいと思われる。
87年には言わずと知れたけろけろけろっぴが控えているが、個人的にはウメ屋雑貨店のシブさが光る。見覚えもあるので、恐らくどこかでキャラクターグッズを使っていた人が身近にいると思うのだが詳しくは思い出せない。
89年のエースは恐らくポチャッコか。この子は当時、結構あちこちで見かけた記憶がある。アヒルのペックルなんかも結構いい感じのビジュアルで、売れていてもおかしくない気もするが、個人的にはあまり記憶にない。単に私の観測範囲になかっただけかも知れない。
1990年代のキャラクターについてもつらつらと見ていくと、後々まで市井に残ったキャラクターはそう多数派ではない。92年のバッドばつ丸、96年のポムポムプリンについては、恐らく一般人の視点に近いであろう私でも見覚えがあったが、後はどうだったろう。
93年のこぶたのピッポにはなんとなく覚えがあるのだが…あ、99年のディアダニエルはハローキティ枠なので除外。
若干余談になるが、あのみんなのたあ坊が実は1983年デビューだった、ということに個人的には衝撃を受けた。たあ坊、もしかすると私より年上なのではないか。今度からたあ坊ではなくたあさんとお呼びしなくてはいけない。
ことほど左様に、「売れたキャラクター」と「それ程でもないキャラクター」の落差は激しく、しかも後者の数はピラミッドの最底辺のごとく無闇に多い。キャラクタービジネスの厳しさを痛感すると共に、サンリオの戦略に感服する次第なのである。
と、上記の話には直接関係ないが、サンリオのキャラクターメイキングには
時折キャラクター造形が凄く投げやりになる
という傾向と、
時折ネーミングが物凄く投げやりになる
という特徴があるように思え、個人的に注目ポイントが高いので紹介してみたい。
例えば、ゾウジテンシャ。
「自転車に乗っている象」だからゾウジテンシャという、暴力的なまでのシンプルさ。「サイクリングも趣味の一つ」というキャラクター紹介のぶん投げ度。この投げやり感はある種の芸術ではないだろうか。
例えば、きりん。
キリンである。ただし、緑色。もはやこれ以上何を紹介する必要があるのか、と言わんばかりに、キャラクター紹介に割かれている文字はただの一文字もない。すがすがしいまでのぶん投げ度である。カモメもほぼこれに準ずると思う。
ちなみに、ネーミングのストレートさではしんかんせんも相当なものだと思うのだが、こちらは紹介サイトの存在がなげやり感を薄れさせている。恐らく電車好きな少年たちへのニーズがあるのだと思われ、ここでもリソースの集中を納得させてくれる。
そして、へーすけ。
これ本当にいいのか、という感が漂っているが、取り敢えず「ちょっとあやしいナゾベビー」「すきなこと:はだかでいること」という、マスコットキャラクターとしては極めてギリギリ感あふれるフレーズを考えた人、それにゴーサインを出した人には惜しみない賛辞を送りたい。ちなみに、ぽんぽんひえたや笑う女のセンスも相当にロックだと思う。
ということで、駆け足ではあったが、サンリオのキャラクター戦略の一隅を紹介してきた。皆様にはサンリオの恐ろしさを多少は感じて頂けたであろうか。
最後に、様々なゲームのサンリオアレンジを出していたキャラクターソフトの作品のうち、サンリオカップポンポンバレーはどうもかなりのガチゲーであったらしい、というどうでもいい話を紹介して本稿を閉じる。皆様ごきげんよう。
2012年04月17日
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