そういえば今日は4月1日だった。すっかり忘れていた。
4月1日というとネット界ではこぞって「閉鎖しました」ネタをやるというのが礼儀だと聞き及んでいるが、不倒城は世間一般の時流などからは置き忘れられたブログである。また「閉鎖しました」ネタなどをやっても3日くらいは誰にも気付かれず、コメント0の状態が続くことが火を見るよりも明らかである。
例年同じ様な憂き目にあったブログの管理人が、三日目くらいにあまりの反応の無さで本当にイヤになって閉鎖してしまうのがブログの風物詩だという話だ。閉鎖はまだイヤなので、いつも通り適当なことをぐだぐだと書き連ねたいと思う。
ちなみに、実に実にどうでもいいことなのだが、四月馬鹿の「四月」というのは実は旧暦の「卯月」のことだというのはご存知だろうか。つまり、ウソをついた為に鮫に皮を剥かれてしまった因幡の白兎とかけて四月なのである。始まったのは確か、鳥取の米子だかどこかで制定された「白兎の日」というイベントに端を発したもので、それを一部の新聞社が全国に広げたものだったと記憶している。何の役にも立たない知識だが、飲み会の時にでも披露されてみると良いだろう。嘘だが。
折角なのでウソにまつわるテーマということで、今回はエンディングに関する談義をちょっとお休みして、「ウソ技(ウソテクと読む)」についてのお話をしてみたい。
ウソ技というのは、かつて徳間書店が発売していた「ファミリーコンピューターマガジン」という雑誌の1コーナーである。かつてファミコン業界に大量に存在していた「裏技」というものの紹介コーナーで、各号に一つだけ実際には存在しない「ウソの技」というものを混ぜてあった。「1個だけ混じっているウソ技を見つけたら懸賞」というシステムで、当初は一回切りの企画であったらしいのだが、雑誌側としてはなかなかやりやすい企画だったらしく、ついにはSFC時代まで連綿と続いた長寿コーナーになった。
「裏技」については、細かく語ろうとすれば万里を往くを3回分くらい書ける。今回は取り敢えずウソ技というものの話に絞ろう。
この企画、特に最初の頃の力の入り様は尋常ではなかった。なにしろメーカー側の協力があったのだ。
記憶頼りなのでちょっと細かい部分が曖昧なのだが、最初期のウソテクというものは確か1986年、題材は「フラッピー」だったと記憶している。どんな内容だったかは良く覚えていないが、証拠画面とでもいうか、ウソテクが実行された時の画面写真をデービーソフトが編集するという、今から思うとすげえことをやっていた筈である。なにしろメーカーが自分でウソ画面を作っているのだから、画面写真からはウソが判明する訳がない。当時の「フラッピー」プレイヤー達はこぞってこの技を試した筈だ。勿論ウソ技な訳であるが。
ところで、この初代ウソテクには思わぬ副産物がついてきた。当時同じくファミコンコーナーを連載していた某少年漫画雑誌(どことは言わないがコロコロである)が、その「裏技」をそのまま掲載してしまうという大ポカをやらかしたのである。その他、このウソテクに「釣られた」雑誌は当時結構あったらしく、他雑誌のファミコンコーナー編集者の杜撰っぷりが期せずして暴露されてしまったという話があるのだが、個人的にはこれ、徳間の壮絶なパクリ対策だったのではないかと思う。
以後しばらく、「ファミマガ」の裏技コーナーにはなかなか気合の入った「ウソテク」が一つは必ず混じることになるのだが、おそらく当初は「他出版社が迂闊にパクれなくなる様に」という意図があった筈だ。特に初期のウソテクには非常に手順がややこしいものが多く、わざわざ検証に時間がかかる様にしてあることもその為であると思える。もっともこの意図は時代を経るに従って薄くなっていった様で、ひと目でわかるレベルのウソテクも段々と増えていく訳ではあるが。
しかし、出版社の意図などとは何の関係もなく、ウソテクにはロマンがあった。後に「読者からのウソテク公募」というものが行われていることからも分かる通り、ウソテクには「こんな技があったらいいな」という願望の様なものが込められていたのである。例えばスペランカーが無敵になったりであるとか、アルゴスの戦士に裏面があったらとか。まあ一部のアホらしい冗談技を除けば、まさに「あんなこといいな、できたらいいな」の世界である。
そういった美しい夢の結晶という側面もあったが故に、ウソテクには一抹の爽やかさが含まれていたのだろうと思う。家族の奇異の視線の中、必死こいて2コンのマイクに向かって歌を歌ってみたらウソテクでしたと、そんな状況下でも怒りきれなかったプレイヤーは、当時結構いたのではないか。某水晶の龍の「シンシアと野球拳が出来る」のウソテクや、熱血物語の「店員の女の子が裸に」のウソテクなどは幾ら何でもちょっとどうかとは思うが。いいのかよ徳間。
それはそうと、この「ウソテク」が元になって作られたゲームが幾つかある、という話はご存知だろうか。ウソから出たマコトとでも言おうか、ウソテクを実行する為に敢然と無駄な努力を続けたかつての少年達の中には、そのウソテクを原体験にもってゲーム開発業界に飛び込んだ人々もいたのである。彼らは、自らのかつての努力に捧げるゲームを作らずにはいられなかった。
最近の話だと、SNKの「キングオブファイターズ」というゲームはナムコの「ケルナグール」というゲームのウソテクに端を発するという話が有名である。ケルナグールでの戦闘画面中に、スタートとセレクトを同時押ししつつAボタンを22連打、コナミコマンドを3回連続で入力した上で月面宙返りをキメるとワルキューレとギルとベラボーマンが乱入してナムコ大格闘大会になる、というのがウソテクの内容だったと思う。今でこそ自社キャラクターのコラボというゲームは結構あるが、それを最初に思いついていたのは徳間のファミマガだった訳である。これは驚きの事実というべきだろう。嘘だが。
また、これも最近の話だが、「式神の城」というゲームは奇々怪界というゲームのウソテクが元で作られたらしい。たしかウソテクの内容は、タイトル画面でスタートボタンを押すと奇々怪界が縦スクロールシューティングになるという技だったと思うのだが、細かいところは良く覚えていない。巫女さんが主役のシューティングというアイディアは既に86年から存在したという訳で、ここでもタイトーの底知れない影響力を思わずにはいられない。タイトーと徳間の先見の明を示すエピソードだと言えるだろう。嘘だが。
2005年04月01日

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式神の城
Excerpt: 式神の城式神の城(しきがみのしろ)はアルファ・システムが製作した強制縦スクロール方式のシューティングゲームのシリーズ、またはその第1作目のタイトルである。情報元:Wikipedia...
Weblog: 【式神の城】
Tracked: 2005-05-16 19:08
あ、明日、大学で花見があるという噂です。
テーマがテーマなんで。
花見かー。例年通りの場所ですか?っつか、もう咲いてるのか。
明日は17時くらいまで拘束されてますが、もしかしたらその後顔出すかも知れず。って夜までやってるのかなあ。
Σ(・ω・ノ)ノ
おおお。そんなウソテクもありましたっけ。っていうか実際、上手い時には「なんかこれありそう」って技がウソテクとして配置されてるんですよね。いやホント、あれはなかなか良く考えられた企画でした。
>endさん
人それを書き逃げという。