2012年08月13日

昔、小学生に割り算の筆算教えてた時の教え方晒す

その内うちの子用に必要になりそうなので、備忘録的に。

昔というのは十数年前。一応このやり方で、大体の子は三桁÷二桁の割り算の筆算ができるところまでもってこれてた。教職免許もちではないので、実際の教壇でどう教えるのかは知らない。

対象者は、「割り算の筆算が分からない」という子。対象年齢は小学校高学年、場合によっては中学校低学年。三桁÷二桁なのは、二桁×二桁の掛け算が出来るかどうかもついでに確認出来るから、というのが理由。


仮に、205÷17という割り算の問題を想定する。途中の掛け算がシンプルなのと、余りが1出るので教えやすい、というのが理由。当時も大体この式を使っていた。


前提その一。教え方をステップ化して、どこでつまづくかを確認する。全部一度に理解出来る子は、少なくとも私が教えた中では滅多にいなかった。また、小4くらいで算数が苦手な子は、かなり初歩でつまづいたままなんとなく放置している場合もあるので、慎重に「つまづく場所」の発掘を行う。

前提その二。筆算というものは、幾つかのルールの集合である。ルールには、存在理由を細かく説明した方がいいものと、「そういうものなんだ」と流した方が理解が早いものがある。特に記法は殆どが後者で、桁数の概念が理解出来ないとどうしても理解出来ない場合が多い。どうしても「なんでこう書くの?」「なんでこうなるの?」と聞いてくる子には、一通り教え終わった後、はじめに戻って教えてあげる。(ただし、そういう疑問を持つ子は学習能力や学習意欲が高いので、そもそも事細かに教えなくても分かってしまう場合が多い)

以下は実際に教えるステップ。

1.「割り算という計算は、ある数の中に、別の数が何個はいるのかな?ということを当てる計算です」筆算以前の概略説明。ちなみに、「割る・割られる」という言葉は混乱の元なので、筆算の勉強中は封印していた。「割り算」という言葉自体が割り算を分かりにくくしている、と今でも思う。

2.205÷17の筆算式を板書。「205という数字に、17は何個入るのかなーということを当てます。筆算という便利なやり方があります。こんな風に書きます」記法は流した方がいい。覚えられるかどうかだけの問題。

3.「17は、「1」と「7」の二つの数字から出来ているので、まず二つの数字同士で比べます」重要なルール。桁数の考え方は、筆算の技術的には必要ないので、最後まで出来て、まだキャパシティがありそうなら後からおまけとして教える。よく出来たからご褒美に秘密を教えてあげる、として教えると食いつきがいい。

4.「20の中に17は入るかな?」数の大小の比較が出来るかどうかを確認。ここでつまづく子も、ごく少ないがいる。つまづいたら戻ってそちらの説明。

5.「17は20の中に何個入るかな?」4の延長だが、初歩の暗算が出来るかどうか一応確認。ここでつまづく子もいる。つまづいたら勿論確認。ちなみに、ここでつまづく場合二桁÷一桁の筆算に一旦切り替えた方が良い。

6.「はい、20の中に17は1個入るね。上に1と書いて、下に入った17を書きます」記法ルールなのでさらっと流す。覚えているかどうかは後から確認すればいい。

7.「20の中に17が1個入りました。けど、まだ数字が残ってるね。20の中に17を入れると、後数字がいくつ余るかな?」二桁同士の引き算が出来るかどうかの確認と、「余り」の概念の導入。割とつまづく子が多いステップ。引き算でつまづかない子については、単純に記法ルールとして流した方が覚えが早い場合が多い。

8.「3余ったね。けれど、205÷17の、残った5の数字がまだあります。これと3を合体させてやらなくてはいけないので、こうやっておろしてきます」記法ルール。つまづく子の数はそれなり、という印象。ただ、ここでつまづくと若干厄介で、「とにかく覚える」以外に解決方法があまりない。別の式で反復する。

9.「はい、35という数字が出来ました。35の中に、17はいくつ入るかな?」同じやり方で繰り返し。ここで、35÷17という、簡単だけど基本は分かっていないといけない、という計算が出てくるのが205÷17という式のメリット。

10.「35の中に、17は2つ入るね。17が2つあると幾つになるでしょう?」二桁×一桁の掛け算が出来るかどうかの確認。つまづいたら戻る。

11.「35の中に、17が2つで、34が入りました。1が残るね。1の中に17は入るかな?」余りの概念の定着。7で触れていると、ここでつまづく子は少ない。

12.「はい、数字を読んでみましょう。205の中に、17は12個入って、1余る、ということになります。確認してみようか。17×12は幾つになる?」検算のやり方と、二桁×二桁の計算が出来るか確認。出来ない場合そちらの勉強に遷移。


以上12ステップ。思い出しながら書いたら勉強になった。

今後必要になりそうな備忘録的内容に関してはまた書く。

posted by しんざき at 08:23 | Comment(5) | TrackBack(1) | 子育て・子どもたち観察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
このエントリーをはてなブックマークに追加
この記事へのコメント
○○の中に○○がいくつ入る、というのを
導き出せない場合はどうすればいいんだろう

20と17、35と17くらいならともかく、
91と17とかになった場合、大人だったら
「大体これくらい」とかであたりをつけて
計算するんだろうけど、その辺でつまずく

1から順番に掛け算してくしかないですかね?
Posted by k at 2012年08月16日 12:19
三桁割る二桁で大体の見当の付け方に時間が掛かり大泣き。
まだ、8才だが中学受験したいと言うので数をこなせとアドバイスするしかない。
簡単に見当する方法は無いものか。
Posted by at 2013年10月20日 21:56
>Posted by at 2013年10月20日 21:56

378÷18として
37はだいたい40、18はだいたい20だから最初に立てる数は2
だめなら1前後させる
こんな感じではダメ?
Posted by at 2013年10月21日 08:57
非常に合理的
Posted by PERSUN at 2017年05月03日 19:01
目からうろこです。
子育て教育だけでなく、他者を許容するってこうゆうことだよなと思います。
いつか、本出して欲しいです。
Posted by missy at 2018年11月27日 18:04
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック

前髪が伸びたね
Excerpt: 大型連休に入ると巡回先の更新も滞ることが多い、というイメージを持っていたので...
Weblog: 【小人閑居シテ駄文記ス】
Tracked: 2012-08-13 23:49