2012年08月14日
レトロゲーム万里を往く その109 19XX -THE WAR AGAINST DESTINY-
俺、19XXが家庭用に移植されたら、地元に帰って小さなお店を開くんだ…(フラグ立て)
ハード買い、という言葉がある。
家庭用ゲーム機を買う時、動機や順番は勿論人それぞれだろう。そのハードのメーカーが好きだから、スペックが凄そうだから、最新の機種だから。様々な理由が考えられるが、恐らく一番多いのは、「○○というゲームが発売予定で、そのゲームをやりたいから」という、ソフト重視の考え方だと思う。
これがもうちょっと先鋭化すると、仮に他にやりたいゲームが一作も発売されていないとしても、そのタイトルさえ発売されるなら無条件でそのハードを買う、という状態になる。一種の病気といって良い。
私はその病気に罹患している。
例えば私は、「ダライアス」シリーズの新作が発売される場合には、欣喜雀躍、無条件でそのハードに飛びつく。私はそれでPSPを買った。
例えば私は、「メタルマックス」の新作ないし移植作が発売される場合には、何も考えずにそのハードの入手に走る。私はそれでPS2を買い、DSを買った。
そして、私の中では「19XX」もそれに準ずる「ハード買い対象ゲーム」であり、もし家庭用に移植されたら一言足りとも口を挟まずに家電量販店に走り、即ハードごと確保する意志がある、という話なのである。
19XX -THE WAR AGAINST DESTINY-。縦スクロールシューティングゲーム。「1942」などのいわゆる「19シリーズ」の後継として、1996年、カプコンより業務用発売。当時は既に格闘ゲーム全盛の時代ではあったが、「バトルガレッガ」のほぼ同期生として、ゲーセンの一角で高い人気を誇っていたと思う。当時、「ガレッガは敷居が高く上級者向け、19XXは敷居が低く初心者・中級者向け」というような色分けがされていたように記憶している。
カプコンというメーカーについては、1990年代以降「ベルトスクロールアクションや格ゲーを中心とした、アクションゲームのリーディングメーカー」というイメージが支配的であったろう。
しかし、それ以前、1990年代序盤まではまだ、例えばバルガスやエグゼド、ガンスモークなどの初期STGを始め、1942や1943などの19シリーズ、アレスの翼やエリア88、サイドアームやらロストワールド、チャリオットやアルティメットエコロジーのような変り種に至るまで、「STGのカプコン」という側面も強かった。
そんな様々なカプコンSTGの中でも、19XXはカプコンSTGの最高峰といっても過言ではないであろう、凄まじい完成度を誇っていた、と思う。少なくとも私に関しては、「カプコン最高のSTGは?」と言われればためらいなく19XXを挙げる。
参照URLを挙げておく。
ゲームの詳細についてはWikipediaに詳しい。
Wikipedia:19XX -THE WAR AGAINST DESTINY-
家庭用に移植されていないこともあり、動画は非常に少ないが、一応ある。youtubeを参照されるべきだろう。
19XX - The War Against Destiny
19XX Mosquito Nomiss part 1 of 2
さて、ゲームの話をしよう。
・「マーカーミサイル」というたった一つの武器が撃ちぬいたもの。
さて、19XXは縦シューである。基本的なシステムは非常にスタンダードであり、それ程の説明を要しない。主人公は、P-38ライトニング・震電・モスキートの内から一機を選び、その戦闘機を駆って敵組織「アウターリミッツ」との戦いに臨む。ステージごとに「超爆撃機「亜也虎改」」だの「超巨大戦艦「雷鳴」」だのといったかっこいい名前のボスがおり、ボスを倒すとステージクリアになる。
19XXのシステムの最大の特色、そして面白さの源泉は、たった一つの要素に集約される。それは「マーカーミサイル」である。
マーカーミサイルはいわゆる溜め撃ちである。一定時間ショットボタンを押しっぱなしにして、離すと敵に向かってマーカーが発射される。マーカーが当たると敵は一定時間ロックオンされ、通常のショットと同時に、画面のどこからでも強力な「マーカーミサイル」が発射され続ける。
この単純なシステムが、19XXというゲームを名作にした、と私は思う。
マーカーミサイルというシステムが19XXに持ち込んだ要素は、多分4つくらいある。
1.報酬効果が高いことに起因する爽快感
2.マーカーを当てている間は位置取りが自由であることによる、弾避けへの集中のし易さ
3.マーカーを当てる場所を「狙う」という要素と、パターン構築の重要性の学習
4.溜める時間と溜めない時間というゲーム的なメリハリと、攻撃のリズム感という要素
まず、その1。マーカーを当てて、敵にバリバリマーカーミサイルを撃ち込む感覚がとにかくシンプルに気持ちいい。緑色のスゴげなショットが敵に襲いかかる様は、破壊欲求を存分に満足させてくれる。
その2。マーカーを当てさえすれば、自機がどこにいても敵に攻撃が出来る。その為、敵の弾に集中し易く、特に初心者が弾避けの楽しさに気づきやすい。
その3。マーカーミサイルの報酬効果が高いことから、プレイヤーは自然と「マーカーをいかに効率よく当てるか」を考えるようになる。すぐに破壊出来る場所にマーカーを当てても大して美味しくない。となると、敵の弱点、敵の固い部分をどうやって狙うか、そこにマーカーをどうやって当てるか、ということを考えるようになる。
その4。「マーカーを溜めている時間」というのが非常に重要になるので、その間をどう凌ぐか、またどんなリズムで敵に攻撃を当てていくといいか、ということを考えるようになる。言ってみれば、シューティングを遊ぶ際の「リズム感」とでもいうべきものがあり、それが自然と身に付く。
とにかく「19XX」の敵の出現パターンは徹底的に考え抜かれており、マーカーミサイルを上手く使えば使う程楽にクリアできるように出来ている。
例えば、耐久力が高いが攻撃はヌルい敵が画面の上部を動き回る→マーカーを当てれば他の敵を巻き込んで倒しやすい、であったりとか。
例えば、左右同時に耐久力が高い敵が出てくる→片方にマーカーを当てて、もう片方を撃っていれば自然と他の敵もしのげる、であるとか。
マーカーミサイルを中心に、「プレイヤーが考えれば考える程楽に進める」ような敵の出現パターンが用意されていることにより、19XXは初心者プレイヤーがめきめき上手くなる為の絶好の「教材」になっていたと思う。少なくともこの一点において、19XXのレベルはそんじょそこらの「覚えシュー」を遥かに超えていた。
STG初心者に対して、「STGの戦略性」を教えた名作。まずは、19XXをこう評価するべきだと私は考えている。
・震電はえええ!!(ライトニング使い)
勿論他にも、19XXの一級品なところは山ほどある訳なのだが。
・三機それぞれに存在する「得意武器」と、それに起因する戦略性
・二段階で攻撃・弾消しが出来る、いわゆるボンバーである「ヴァリアブルボム」という工夫
・勲章を集めまくるごとに点数が高くなっていく得点システムと階級制
・アイレムの仕事か、と思わせる程に重厚な敵グラフィックと演出のかっこよさ
・名曲しか存在しないBGM
最初に三機を選択することの出来る自機は、それぞれ得意な武器を持っており、得意武器であれば二段階にパワーアップすることが出来る。例えばライトニングは、正面広い範囲をカバーする連射ショット。震電はいわゆる「レーザー」的なスーパーシェル。モスキートは、広い範囲をカバー出来、張り付きが暴力的に強力な3WAY。
モスキートと震電の間にはエラい速度差があることもあり、当初この二機は中級者・上級者向けとして扱われていたような記憶がある。ただ、敵全滅を絡めて稼ぐ際、一番有利な装備は「敢えてその得意武器を外すこと」。震電に3WAYを装備させるのが一番全滅を取りやすい、という結論をどこかで聞いた覚えがある。稼ぎに向いた装備、面クリアに向いた装備を様々考えるのも、19XXの面白い要素の一つだろう。
また、いわゆるボンバーが「溜めボンバー」になっているのも19XXの重要な特色の一つだ。このゲームにおいて、ボンバーは「押した瞬間弾消しが出来、押しっぱなしでゲージが溜まり、離すと溜まったゲージに応じたボンバーが炸裂」というシステムだった。単純に2回弾消しが出来ることによって初心者が有利である点もさることながら、ボスの弾をひーこら避けながらなんとかレベル2、レベル3のボンバーを炸裂させようと頑張る、というような戦術要素も重要だったと思う。
面クリア時、敵の撃墜率に応じて階級が上がる、「昇格システム」も見逃せない。階級は高ければ高い程に面クリア時のボーナスの倍率が上がっていく為、「敵を全滅させた上で勲章を集めまくる」という点稼ぎ要素も非常に熱かった。溜めこんだ勲章がボスでの被撃墜によって一瞬で消滅するのも、ある種の風物詩であるといえる。
ただ、こういった19XXの様々な要素の中で、唯一といっていい大問題が、「現在に至るまで一回も家庭用に移植されていない」ことだと私は思う。これが本当にもったいない。STG初心者にもお勧め出来る一本であるというのに、置いてあるゲーセンをチェックするだけでも一苦労である。
面白い要素を挙げれば挙げる程、一体なぜ19XXが家庭用に移植されないのか、私にはさっぱり分からない。版権の問題もなさそうだし、ファンは一定数いる筈だし、いったいなんでなんでしょう。開発元と何かあったりするのでしょうか。
正直なところ「幻の名作」に片足を突っ込みかけていると思っているので、一刻も早く移植をお願いします。是非。是非に。あ、iOS移植でも構いませんがその場合ジョイスティックもセットでお願いします。
・その素晴らし過ぎるBGMと演出の妙。
BGMが素晴らしすぎることも避けては通れない。
このゲームのBGMについて一言で評価するとしたら、「名曲しかない」というのが正しい表現になると思う。
私が考える19XXのBGMの特色は、「恐ろしい程に耳に残るパーカッション」と、「ノリがよく、それでいて重厚なメロディとゲーム本編の絶妙過ぎる融合」である。
恐らくそういうコンセプトがあったのだろうと思うのだが、とにかく19XXのBGMは、特徴的なパーカッションが全編をリードし、その上にシンプルなようで耳に残る主旋律が乗る、という作りで統一されている。
例えば夕焼けの照らす洋上。ドラムの導入に続いて耳を叩きはじめるのは、コンガのような軽快な音とリズムのパーカッション。その上で流れ始めるのは、余りにも重厚な2面BGM「The Red Naval Port」。(リンクはyoutube)。
ひたすらに縦ノリ、純度120%超ハイテンションの導入に続いて、実際に演奏したら無暗に手が疲れそうな激しいパーカッションと共に始まる3面BGM、「Dance of Green Gnome」。
突如ゲームが変わったか、と思わせる程にお洒落なJazz風導入の5面BGM、「City Light In The Black Strait」では全編を通してハイハットのような音が鳴り続けてメロディをリードするし、言わずと知れた6面BGM「Grayish Tornado」と「Outer Limits」でも終始打楽器が印象的だ。特に6面BGMの緊張感とノリは、ゲーム未経験の人でも必聴であると断言してしまおう。幸い私は所持しているが、サントラが現在入手困難であることが残念でならない。
これらBGMと素晴らしいグラフィックが絡み合い、19XXは全編が徹底的に統一された雰囲気で彩られている。ボスとの激戦に合わせてBGMが展開する7面「The Last Ditch Fight」やあまりにも悄然としたED曲に至るまで、聴き逃すべき曲は一曲もない。カプコン演出の粋である、と言っていいだろう。
・まとめ
・19XXは速やかに、一刻も早く、日本全国一億三千万の民の為に家庭用に移植されるべき
・その際、移植先がiOSであるならば同時に外付けスティックも発売されるべき
・その際、可能な限りボタンは3ボタンで、通常ショット・ボム・連射ショットの3つのボタンが割り振られるべき
・移植さえされるならXBOXだろうが3DO REALだろうがハード買いするのでカプコン様お願いします
結論は以上であり、異論は受け付けない。
非常に長文になったので今日はこの辺で。

この記事へのトラックバック
3機体すべてクリアまで頑張った記憶があります。
本文ではあまり触れられていませんがライバル機F.ブラッカーをはじめ、裏返ると赤くなる潜水艦や5ボス撃破後唐突に表れる巨大爆弾などアウターリミッツのトンデモ兵器…もといケレン味あふれる演出も魅力的なゲームでしたね。
秋葉のゲーセンならありそうだな!
この記事見てアキバで探してやってみますた
けっこう面白かったが曲が小さくて聞けなかったのが残念
どうも、はじめまして ですよね。
俺も19XXが好きで、でも、19XXの好きな人って、近くにいなくて、二人同時プレイできるゲームなのに、一人でしか遊んだこと無くて。
しかし、19XXの、大ファンなかたに、ここで出会えた。
そんなに、大好きなら、家庭で19XXを遊んだらいいのにな。
俺は、ゲーセン用の「基板」を買ったよ。
家庭用を「ハード買い」するのと
ゲーセン用基板の、CPS2という機種を「ハード買い」するのって、あんまり変らない感じがします。
ただ、、、
CPS2は、いろいろと、扱いにくい。
もし、よろしければ、メール下さい。