2006年12月12日
今日のしんざきと最近読んだSFとか 06/12/12
わっはっはぁ。ようやくリリース日が確定した風味。人も増えたことだし、多少は手も空くか。
今日は最近の読書履歴など。当然SFばっか。
○「魂の駆動体」神林長平
前半は近未来、今は存在しなくなった「クルマ」の設計図を復活させようとする二人の老人の話。後半は遠未来、今は存在しなくなった「人間」について研究しようとする翼人の話。
面白い、んだけど、間違っても神林作品を読んだことがない人には薦められんな、と思った。
作家さんには当然のことながら個々の文法がある。そして、面白いと感じる為にその文法への理解を要求する作家さんと、それ程理解を必要としない作家さんがいる。
神林先生の作品は、その多くが「神林文法への素養」を必要とする小説の様に思う。ぶっちゃけた話、とっつきにくい。多分初心者向けと思われる「敵は海賊」すら独特な文法が山盛りである。海外作家で言うと、文法的には真逆だけど、ラグクラフトなんか読む感覚に似てる気がする。
日本のSF作家っていうと、SFに初めて入る人って誰から読むんだろ。小松左京とか?
○「今宵、銀河を杯にして」神林長平
人工知能を搭載した戦車、「マヘルシャラルハシバズ」を駆る二人の兵士と、自称天才の青年士官のトリオが異星の戦争を舞台にドタバタする話。
文法に関してはほぼ上に同じ。ただ、舞台設定やキャラの行動が序盤から派手なんで、その分入りやすいかも。ただ、終盤の展開は正直急過ぎてもう。
後半までにテーマに深く入ってないと、作品の意味がよーわからんということになりそう。キャラの掛け合いは面白いんだが。
「キャッチ・22」を意識したという話も聞いた。言われてみれば。
○「シャドウ・オブ・ヘゲモン(上)」オーソン・スコット・カード
「エンダーのゲーム」の外伝、「エンダーズ・シャドウ」の続編。バガーとの戦いを終えて地球に戻ってきた、バトルスクールの子供たちのお話。主人公はビーンとペトラか。
実はまだ途中なのだが、おもしれえ。「死者の代弁者」から続いた「ゼノサイド」系列はちょっと作品全般が暗すぎる様に思った反面、こっちはなんつーか、陽性のギスギス感が満載。
っつーかビーンにせよペトラにせよ、どれだけ高速に頭が回転すればこういう会話になるのか、という不可思議な感覚を味わわせてくれる思考と会話が読んでいて楽しい。お前ら少しは仲良くすれ、と思わせてくれる。
カードの作品はどれも読者に「深読み・先読みを要求する」というか、深読みを前提として書かれているのが特徴だと思うのだけど、それが端的に現れている様に思う。章の頭ごとに本筋の背景となるメールのやり取りの断片を載せる手法も上手い。
シスター・カーロッタもいい味出している。
今日はこれくらい。

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