2012年11月08日

レトロゲーム万里を往く その111 銀河英雄伝説4

現在の、移植されたらハード買いするゲームタイトルリスト:19XX、銀河英雄伝説4(EX)
現在の、ちゃんとWindowsで動く形でWindows版を再販して欲しいタイトルリスト:大航海時代II



上記リストには適宜タイトルが追加されます。


最初は、「銀河英雄伝説4(EX)は、とにかく超名作なので積極的に家庭用移植を訴えていきたい」というタイトルで書こうと思っていたのだが、いざ書いてみたら思ったより長くなったので急きょ万里を往くに編入してみた。「万里を往く」の中では初の純正パソゲーである。

移植ないしリメイクされないかなあ。多分銀英伝ものゲームの、またボーステックの最高傑作じゃないかと思うんだけどなあ。7でなんか色々トラブっちゃったみたいだから無理なのかなあ。


ということで、今日のエントリーでは、銀河英雄伝説4がいかに面白いのか、という点を解説の上、移植ないしリメイクを訴えていきたいと思う。銀河英雄伝説自体を知らない人は読んでみてください。面白いし、田中芳樹先生の作品には珍しくちゃんと完結しているので。


以下、ゲームの話。


銀河英雄伝説4。同名のSF小説の世界観を舞台にした、戦略/戦術SLG。1994年、ボーステックからPC-9801/9821向けに発売。同年に「EX」となるパワーアップキットが同じく9821向けに発売され、1997年にはWindows95/98版も発売されている。

ボーステックからは、元々「銀河英雄伝説」のゲームがシリーズで発売されており、1989年の「銀河英雄伝説」から、MMORPGとなる2004年の「7」まで続いた。ただ、ご存じの方も多いと思うが、「7」は様々な理由(サービスイン時点で5割近い機能が未実装だったりとか)からえらいトラブルが発生しまくりサービス終了。5と6は基本的に戦術モード限定のゲームであったし、3までは戦略要素がそこまでなかった為、「戦略シミュレーション」として完成していたボーステック銀英は実質この「4」のみだった、と言ってしまっていいだろう。銀英ものゲームは幾つかあるが、この「銀河英雄伝説4」があらゆる銀英ものゲームで最高傑作である、と言い切ってしまっても賛同してくださる方は多いのではないだろうか。

参照ページとして、Wikipediaにリンクしておく。


銀河英雄伝説 (ゲーム)


さて、ゲームの話をしよう。



・卿の名は?(戦略編)

銀河英雄伝説4は、言ってしまえば「銀英版三国志」である。

プレイヤーは、ゲーム開始時、「卿の名は?」の問いに答え、自分が操るキャラクターを決める。選択出来るのは少将以上のキャラクター。ヤンやラインハルトはもとより、アッテンボローやミッターマイヤー、ロイエンタールといった同盟、帝国それぞれの名だたる将たち、場合によってはパエッタやボロディンといった渋い役どころから、ブラウンシュヴァイク公やフレーゲルなどというやられ役まで選択することが出来る。

戦略マップは、同盟、帝国それぞれの星系で埋め尽くされている。アスターテやらアムリッツァ、ヴァーミリオンやエル・ファシルといった、原作でもそこかしこで名前が出てきた星系がマップ上にちりばめられているのである。そして、ヤンやラインハルト、ファーレンハイトやメルカッツといった面々には、それぞれ「統率」や「運営」「攻撃」「防御」といったステータスが設定されており、キャラクターそれぞれ得意不得意がある。ヤンは「統率」や「防御」に極めて優れているが、「運営」はからっきしである、とか。ミッターマイヤーは「機動」が最高である、とか。カールセンやモートン、グリューネマンやアルトリンゲンといった、原作ではいまいち影が薄い連中を活躍させることも可能だ。最早、これだけで原作ファンには燃えない要素があるまい。

そして、プレイヤーは、最初に選択した将官に扮して、この広大な戦略マップを、自陣営の色に染め上げる為に活躍したり活躍しなかったりするわけである。

キャラクターには階級があり、その階級次第で「出来ること」は違ってくる。たとえば少将であればまだ一個艦隊を指揮することは出来ず、自分の裁量で動かせる艦隊は限定されている。そこで、戦略的な様々な策を上官に「進言」することで舞台に介入する。例えば「○○と××でこういう艦隊を編成しましょう」とか。「○○艦隊と××艦隊でここを攻めましょう」とか。

進言は、容れられることもあれば却下されることもある。このときも原作通りの会話を垣間見ることが出来、例えばヤンに進言して断られれば「だめ!」と言われたり、シェーンコップが進言を容れられたら「あなたもなかなか物分りのよい方ですな」と上官とも思わぬ口をきくなど、原作ファン垂涎の展開がもうあちこちに埋められている。そして、自分の階級が進んでいけば自分の裁量で決められる部分もどんどん大きくなるし、宇宙艦隊司令長官のような要職につくことが出来れば、それこそ全艦隊を手足のように動かすことが出来る。

ただし、予算の範囲内で。当然のことながら、同盟・帝国いずれも「税収と予算」というものが決められており、軍を動かすには金がかかる。そして、予算がなくなると、艦隊移動ひとつ満足に出来なくなる。この辺りも、実に実に原作通りの展開であって、「補給がなければ戦えるもんも戦えない」という展開が再現されるわけである。

言ってはなんだが、CPUの首脳陣は結構おばかさんなので、放っておくと(これも原作通り)ガンガン無茶な作戦を立てる。フェザーン方面で攻められているのにそっちを放っておいてイゼルローンから逆侵攻しようとするであるとか、おいおいちょっと落ち着け、てなもんである。そこで、プレイヤーキャラクターはなるべく上手に戦略に口出しをして、状況を有利な方に有利な方に持っていかなくてはいけない。

こうして、プレイヤーは、予算や戦況とにらめっこをしながら、戦略ターンを思い通りに進めようとするわけである。例えば、原作通りに同盟側からアムリッツァに大挙進軍することも出来るし、逆にイゼルローンを盾にして専守防衛に走ることも出来る。「防御」に優れるミュラー艦隊の弱点を補うために「攻撃」がmax値であるビッテンフェルトを幕僚につけることも出来るし、フェザーンに侵攻することも当然出来る(その後補給とかにペナルティを食うが)し、場合によってはクーデターや亡命をすることすら出来る。


銀英4全体を通しての最大のキーワードが「原作再現」であることは間違いないだろう。もう、ゲームの作りから展開、コマンド、リップシュタット戦役やラインハルト暗殺未遂のような様々なイベントに至るまで、何からなにまで「原作をなぞった」ものばかりで、それでいて自由裁量は非常に大きい。原作通りの歴史を織ることも出来れば、ifを実現することも出来る。原作の味を濃厚に残しながらここまで広大な自由度を確保するというのも、これは一つの「奇跡のバランス」と言うべきなのではないか。


・卿の名は?(戦術編)

ところで、戦闘シーンもこれまた芸が細かい。

プレイヤーは、基本的に「艦隊」を率いて戦闘に臨む。艦には「戦艦」「高速戦艦」「駆逐艦」「輸送艦」といった様々な種類があり、原作と同じく、プレイヤーはそれらの艦を場面場面に沿って適切に自艦隊に配置しなくてはいけない。そして、戦闘シーンではミサイル、レーザー、近くにあっては空戦や、場合によっては要塞砲などを駆使して敵を撃破しにかかるわけである。

戦闘シーンが完全に上から見下ろしの2D場面であるのは残念とはいえる(まあこれも原作準拠といえなくもないが)が、それを含めても原作ファンの期待にこたえて余りある戦闘バランスである。例えばヤンやミュラーのように防御が高い提督は撃たれても撃たれてもなかなか致命的なダメージを受けないし、ビッテンフェルトやファーレンハイトのように攻撃の高い提督は、一戦で弱兵を壊滅してのける。敵を全滅するか、敵の士気を0にするかで戦闘に勝利することが出来、士気 = 提督の統率の値であるため、「統率」のパラメーターも極めて重要である。

戦場にはイゼルローンやガイエスブルクのような巨大要塞も存在し、これまた原作通り、要塞に正面からぶつかっては戦艦が何万隻あっても足りはせず、片っ端から要塞砲で殲滅されて終わりである。しかし、シェーンコップのような一部将兵が、行動力を溜めて使えるコマンド「占拠」を使えば、原作のように無血で要塞を占領することが出来る。恐ろしい原作再現度である。

また、戦術ターンごとに艦を修理出来る工作艦や、戦闘物資・ミサイルなどの補給が出来る補給艦が超重要なことも、原作を再現している要素の一つといえるだろう。

戦術的にも、例えば待ち伏せあり、包囲戦あり、背後からの奇襲あり、敵の分断ありと、原作でも出てきた様々な場面を再現するに足る、圧倒的な「許容量」を誇っている。その裏に流れるのは、アニメでもマッチっぷりが絶賛された、「ボレロ」など様々なクラシック音楽。これで燃えるなという方が無理な話である。

私はどちらかというと同盟スキーなのでボロディンやウランフといった面々を活躍させることが多いが、誰を使ってもゲームはクリアまでもっていける辺り、つくづくこのゲームの戦闘バランスは素晴らしいと思う。ただ、これも原作と同じく、基本的に同盟より帝国の方が優秀な提督が多いし、シナリオが先に進めば進む程帝国側にバランスが傾いていくので、そこをひっくり返すにはかなりの努力を強いられる。原作のヤンの苦労がよくわかるわけである。



ということで長々と書いてきたが、私が言いたいことは

・徳間書店でもどこでもいいから一刻も早く銀英4をリメイクするか、せめて今のWindows対応で再販すべき

ということであって、他に言いたいことは特にないことを付け加えておく。

今日はこの辺で。

posted by しんざき at 23:43 | Comment(3) | TrackBack(0) | レトロゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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この記事へのコメント
この記事を読んで久しぶりに銀英伝4を遊ぼうかと思ったところ、家を家捜ししても、銀英伝5しかなくて、ああ、そういえば昔売り払ったんだっけ、ととても悲しい思いをしたので、再販売してほしいと思いつつ、フリーゲームのアルマゲストでとりあえず盛り上がった銀英伝4熱をごまかすことにしました。イゼルローンに艦隊をあつめて、あとはひたすら帝国宰相がノコノコとやってきて戦死するまでトールハンマーを打ち続けるプレイをよくやってました。懐かしいなあ。。。
Posted by つきしま at 2012年11月14日 01:21
初めまして
この記事からこちらのサイトを知りました。

俺も銀英伝と、4EXが好きで好きで、でもゲームはフロッピー版で、今のPCではできないので、
自分で作ったれと思い、「竜星戦記」なる、戦闘部分中心のゲームを作りました。今後戦略マップとその他諸々要素を組み入れた竜星戦記4EXを作りたいと思っています。
銀英伝好きの方々に遊んでいただきたく思っています。

ゲームのマニュアルサイトは、(載せていいのかな? もしあれだったら、削除の上、ご相談させてください)
ここです。http://www.geocities.jp/raika758/ryuusei/

拙い出来で恐縮ですが、遊んでみていただけたら幸いです。

ではでは
Posted by あけら at 2013年07月10日 09:48
3年前のコメントから3年。

以前はエクセルが無いと動かせなかった竜星戦記をエクセルが無くても動くように作り直し、先日公開することができました。集中的に作業ができなかったため、なんだかんだで、な、なんと2年かかりましたが。

4EXを再現するため、戦術メインの習作ですが、大まかな作り方は理解できました。
次は星系マップで陣取り的な戦略メインのゲームを作ろうと思っています。

竜星戦記、ホームページからDL出来ますので、良かったらお越しください。

ではまた。
近い内に2の公開を報告出来るように頑張りたいと思います。
Posted by あけら at 2016年06月27日 03:09
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