2012年11月20日

レトロゲーム万里を往く その112 「忍者くん」のジャンプは何故最強なのか


「制御出来ないジャンプ」の中で最強なのは忍者くんだよなあ、とふと思った。ふと思いつく内容なのか、という点はしんざきの脳構造の問題なので気にしないで頂きたい。


ただ、自分でも何故そう思ったのかが今一つ分からなかったので、分析してみたくなった。

まず整理から始めよう。


ジャンプアクションにおけるジャンプには、大きくわけて二種類ある。「ジャンプをしてから左右の方向調節などが利く、いわゆる「制御可能ジャンプ」と、「ジャンプした後は左右の調節などが出来ない、いわゆる「制御不能ジャンプ」である。当然物理的には後者が正しい。

ジャンプという操作は勿論ジャンプアクションの中核であるので、「ジャンプがどんな操作感なのか」という問題は、「そのゲームの面白さはどこにあるのか」という話の中ですっごく重要になる。「ジャンプという操作自体が面白い」ジャンプアクションの中に、外れはほぼ存在しないと言ってしまってもいい。

「制御可能ジャンプ」のゲームには、例えばスーパーマリオがあり、パックランドがあり、アイスクライマーがあり、ロックマンがあり、バブルボブルがある。

「制御不能ジャンプ」のゲームには、例えば魔界村があり、影の伝説があり、ナッツ&ミルクがあり、イーアルカンフーがあり、スペランカーがある。

で、そんな「制御不能ジャンプ」ゲームタイトルの中でも、特に「俺ジャンプしてる感」が優れている、一つの到達点というべきタイトルが忍者くんなのではないか、と思った次第な訳である。


「忍者くん 魔城の冒険」はUPLから1984年に発売された業務用アクションゲームで、翌1985年にジャレコからファミコンに移植されている。私がやり込んでいたのがファミコン版である関係上、主にファミコン版を元に話を進めさせて頂きたい。



↑のようなゲームである。関係ないが、このブログ8年やってて、この記事で初めて記事内に動画張った。こうやるのか。

また、アーケード版忍者くんについては、「OKINIIRI」のバブシカさんが語られている以上の内容の記事を見たことがない。読みどころが多過ぎて物凄いので、是非ご参照頂ければと思う。一部を下記にリンクする。

忍者くん―魔城の冒険―
忍者くん_魔城の冒険 攻略

私が考える限り、「忍者くん」というゲームにおいて、ジャンプというアクションが特筆すべき立ち位置にある理由は幾つかある。


1.ステージ構成上、ジャンプという操作の比重が非常に大きい
2.ジャンプという行為のリスク、リターンのバランスが素晴らしい
3.操作感が非常にリアルかつ独特であり、「俺ジャンプしてる」感がとても大きい



順番にいこう。

1.ステージ構成上、ジャンプという操作の比重が非常に大きい

上記動画を見て頂ければわかる通り、忍者くんのステージ構成は縦長であり、ゲームとしては「縦スクロール横移動アクション」ということになる。

忍者くんの基本的な進行方向は、「山を登っていくこと」だ。一段一段の足場は狭く、また同じ段にとどまっているメリットが極めて小さい為、ゲームのかなりの部分を「段差の上下」が占めることになる。ゲームの構造的に、既に「ジャンプ」が非常に重要である土台が形成されている訳である。この点はアイスクライマーや、一部の固定画面型アクションなどとも同様だ。

で。

2.ジャンプという行為のリスク、リターンのバランスが素晴らしい

「忍者くん」のジャンプには、「ハラハラ感」「どきどき感」とでもいうべきものが詰まっている。(わくわく7的表現)

何のことかというと、「ジャンプによって得られるリスク・リターンが非常に大きく、またバランスがいい」ということだ。

忍者くんの基本テクニックは、「敵に体当たりして気絶させてから倒す」ことである。一対一で敵と撃ちあうと大抵の場合撃ち負ける。非常に忍者らしいバランスだと言える。

その為の基本的な方法は、上から飛び降りて敵にぶつかることか、下から飛び上がって敵にぶつかること、である。端的に言って、「ジャンプは敵を気絶させる為の最大の武器」ということになる。

「手裏剣を無駄撃ちせず、全ての敵を一撃で仕留めるとボーナス得点」といったギミックもあるので、敵を気絶させて安全に倒すことによるリターンは非常に大きい。なにより、隠密忍者っぽくて気持ちいい。「敵の位置を狙い澄ましてジャンプ」というのは、忍者くんというアクションの一つの中核になる部分だ。

一方、忍者くんというゲームにおいて、「ジャンプは大きなリスク」でもある。忍者くんは非制御型ジャンプゲームなのであって、一度ジャンプすると後戻りが効かない。そして、忍者くんの敵キャラのアルゴリズムは結構絶妙で、こちらが思いもよらない動きをすることがある。

例えば、「ジャンプして着地したところに敵が打った手裏剣が丁度飛んできた」であるとか、「体当たりをしようとしたヤツに華麗にジャンプでかわされたと思ったら、反対側から別の敵が降ってきた」であるとか。そうでなくても、違う段に行くというのは「新たな敵と戦いにいく」という行為である訳なので、ジャンプによるリスクというものは決して低くない。むしろ、「不用意なジャンプは最大の死因の一つ」というべきものである。

リスクとリターンのバランス。最大のリスクがある行為で、最大のリターンを得る。これがあるからこそ、上手く隙をついて敵を気絶させ、手裏剣の一投で仕留めた時の気持ちよさが麻薬的なものになる訳である。忍者くんのゲームバランスの見事さというべきだろう。


3.操作感が非常にリアルかつ独特であり、「俺ジャンプしてる」感がとても大きい

これには感覚的な部分もあるので、若干説明が難しいのだが。

まず、忍者くんのジャンプはとても「放物線が美しい」。

上の動画を見て頂けば分かると思うが、忍者くんのジャンプには大小二種類があり、いずれも放物線を描いて下に落ちてくるジャンプである。放物線ではきちんと頂点近くで速度がゆっくりになり、そして止まり、だんだん加速しながら下に落ちてくる。まず、この感覚が無暗に臨場感を煽る。

勿論ジャンプの感覚は、決して「リアルであればそれでいい」というものではないが、忍者くんの「ふわっとした独特な軌道、操作感」は、滅多なゲームでは味わえないものである。


また、「忍者くん」のジャンプには、操作する時独特の「タメ」がある。

忍者くんは、上の段に上る時は横にレバーを倒しながらジャンプをする必要があるのだが、その際の一瞬のタメ、タメの後のふわりと宙に舞う感覚が、「重さ」をはっきりとプレイヤーに感じさせる素晴らしい操作感を演出しているのだ。「重さに逆らって頑張ってジャンプしてる感」に溢れている。

「ふわりとしたジャンプ」「綺麗な放物線」「一瞬のタメ」といった様々な要素が、一言で言うと「きちんと重さ・重力のあるジャンプ」という、問答無用の説得力を醸し出している。 若干感覚的な部分ではあるのだが、私が忍者くんを「最強の制御不可ジャンプ」ゲームであると考える、一つの大きな要素である。


こういう場面で引き合いに出してしまうのは大変恐縮なのだが、分かりやすいカウンター的な例として、「忍者ハットリくん」のジャンプが挙げられるだろう。



忍者ハットリくんのジャンプは非常に鋭角的であり、凄い勢いで上に登って行って凄い勢いで下に落ちてくる。なにせハットリくんはハットリさんなので多少のジャンプをしても驚くにはあたらないのだが、個人的には「忍者くん」のふわりジャンプに比べて、操作した時の臨場感や重力の存在感という点で数歩を譲ると思う。というか、多分ハットリくんにはイナーシャルキャンセラーが搭載されているのではあるまいか。



ということで、随分長くなってしまった。まとめると、

・忍者くんのジャンプの凄いところは、「ジャンプの存在感が物凄く大きい」「ジャンプという操作のリスク・リターンのバランスが物凄くいい」「ジャンプという操作感の説得力が物凄く大きい」という3点の物凄さに集約されるのではないか
・忍者くんの戦いかたは清く正しい忍者道を突っ走っており、某ワーヒーのフウマとかシャドウダンサーとか忍者龍剣伝のリュウ・ハヤブサとかに見習わせたい
・服が赤い点だけはちょっとどうかと思う


といった感じの結論が導けるわけである。よかったですね。


次回になるかどうかは分からないが、「制御ありジャンプ」についてももう少し書いてみたい。また項を改める。
posted by しんざき at 12:06 | Comment(1) | TrackBack(0) | レトロゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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この記事へのコメント
オチに突っ込むのも野暮ですが。

服はもしかしたら柿(渋)色を意識していたのかも知れません。
http://www.ninja-isyo.com/archives/21/

見習わせたいのには同意します。
忍ばない忍者が多すぎる…
Posted by gunner at 2012年11月21日 12:42
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