2012年12月21日

「相手に対する興味」を欠いたまま、「コミュ力」とかいうものを身に着けようとしてもあんまり意味ないんじゃないだろうか

先に言いたいことをまとめておく。


1.コミュニケーションというものは、基本的には「興味のやり取り」である、と思う。「私はあなたに/あなたのいうことに興味があるよ」という意志表示の交換が、コミュニケーションの根底にある、というのは確かだと私は考えている。

2.だから、「相手に対する興味、関心」「相手の、自分に対する興味、関心」というものを上手に扱える人程、「コミュニケーションが上手い」ということになる、と思う。

3.いわゆる「コミュニケーション術」「コミュ力の鍛え方」的なものは山のようにあるが、「相手から上手く話を引き出す」ことが重要だ、というのは割と共通しているように感じる。

4.つまり、根本的には「相手/他人に対する興味」を持っている、ということが重大な要件になる。「他人に対する興味をもっている」ないし「興味をもっている振りをすることが出来る」というのがクリティカルだ。

5.世間一般の、いわゆる「コミュニケーション術」というものは、その点が置き去りにされがちである気がする。そもそも「相手/他人に対する興味」というものを欠いたまま、「コミュニケーションが上手くなりたい」という人をたまにみかけるが、それは順番が逆というか、あんまり意味がない努力になりがちなんじゃないだろうか。



よし。言いたいことは全部言ってしまったので、後はざっくばらんに行こう。


コミュ力という言葉は、コミュ力(笑)と言われかねない程Web上に氾濫し過ぎてしまっており、その癖定義は明確ではない。私自身、コミュ力という言葉には今一つ不信感があるが、まあこの場では「円滑に意思疎通を進めることが出来る人」程度の意味で「コミュ力がある人」という言葉を使っておこう。


隣の部署に、「コミュ力あるなー」と周囲に言われている人が何人かいる。例えばエレベーター待ちの時間とか、トイレにいく途中とか、何気ないタイミングでそういう人とお話をしてみると、一点気づくことがある。


突き詰めると、この人は「自分が相手に興味を持っている」と伝えるのが上手いんだなあ、と。


例えば、何かしら種になる会話を始める。なんてことはない、天気の話でも時事の話でもゲームの話でもいい。

で、それに対して私が反応をすると、上手く「相槌以上突っ込み未満」の反応を挟んでくる。もう少しざっくりした言い方をすると、「食いついて」くる。これが、その内容をもっと知りたいですよ、その内容に興味がありますよ、という意志表示として上手いこと働いている、と感じたのだ。

「相手が自分に対して興味を持っている」ということが感じられると、話す側としても「それに答えないと」という気になる。基本的に人間は「興味をもたれる」ことに好感をもつ。これは、恐らく承認欲求を満たされる部分があるからなのだろう。

で、「自分に相手に興味を持っている」ということを上手く伝えられると、そこを入口にして相手にも自分に対する興味を持たせることが出来る。こういう、言ってみれば「興味のやり取りのコントロール」というものに長けている人が、いわゆる「コミュ力がある」と呼ばれる人なんじゃないかなあ、思う。


勿論、ただ「相手に興味を持つ」だけではダメであって、度が過ぎるとストーカーになってしまったりするんだけど、少なくとも「他人に対する興味を持つ/表明することが出来る」というのが、コミュニケーションでの基本通貨としての「興味」を扱う、言ってみれば基盤としての素養になることは確かだろう。



で。



最近、ちょっと仕事上の必要が出て、十何冊か自己啓発系の本について調べてみていた。当初、内容についてはそこまで興味がなかったのだが、「コミュ力」的なものを扱っている本の中で、「相手に興味を持て」という根っこの記載をしているものが余り見当たらない。(たかだか十数冊の観測範囲内になかっただけかも知れない、という可能性は勿論ある)


確かに、興味などというものは持とうと思って持てるものでも無し、実際には興味を持っていなくても、興味を持っているということが上手く表明出来さえすればそれでいいのかも知れない。ただ、それにしても、「相手に興味を持たないとコミュニケーションは始まらない」という感覚からすれば、相手に対する興味という根本要素が置いてけぼりにされている状況には違和感を感じる。


「相手に対する興味」を欠いたまま、「コミュ力」とかいうものを身に着けようとしてもあんまり意味ないんじゃないだろうか。



と、今日思ったことはそれくらい。
posted by しんざき at 19:37 | Comment(9) | TrackBack(2) | 雑文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
同意、最近のコミュ力ブームの中で置き去りにされてる部分な気がしました。

コミュ力もそうだけどある考え方が流行ってハウツー化されると根っこの一番大切な置き去りにされる印象があるのだけど、なんなんでしょうかね。
Posted by at 2012年12月22日 16:51
興味の無い相手と
・時間をつぶす。
・用件だけ伝える/やらせる
方法を探しているのかと。
Posted by at 2012年12月22日 22:05
> 用件だけ伝える/やらせる

相手を簡単にコントロールして「楽をしたい」ってのが根本にあるのかもしれないね。
Posted by at 2012年12月23日 00:58
興味の無い相手と
・時間をつぶす。
・用件だけ伝える/やらせる
方法を探しているのかと。

まさにこれ。
興味の無い相手と付き合わざるを得ない事情があるからこそ、コミュ力を上げる啓発本が乱発する。

興味が無い相手とうまくやりたいと思ってコミュ力啓発本を手に取る人に、「相手に興味を持たないと意味が無い」と言っても、それこそ意味が無いのかも。
Posted by at 2012年12月23日 09:53
「相手/自分共に好意悪意の先入観がない」一番扱いやすいパターンしか取り上げてない本ばかりだったのでは。
世で求められるコミュ力には「自分は相手に興味があるが相手はこっちを嫌ってる」
「お互いに嫌いな状態からのリカバリー」なども考えられますが
本当にコミュ力が高い人はそもそもそういう状態にならない、という身も蓋もない
話になるので意図的に除外されているのでは。
Posted by at 2012年12月23日 12:00
知識を財産として捉えれば知識に乏しい人に知識を分け与えることで相手の持つ情報量や知識を増やしてあげたと感じ、使命感や優越感がわいてくることでしょう。
そうして上機嫌になった人は更なる使命感や優越感を求めます。
昨今で代表的だったのが『トリビアの泉』というテレビ番組です。と言っても終わってかなり経ちますが。他人が知らない知識を持つことに快感を覚え、番組を視聴していない人に対して「テレビでは正しいとされる情報」をまるで自分が経験したかのように話す、そんな人を生み出していった番組です。

少し話がズレたので戻します。要は
『人は人を見下したい生き物』→ナニソレ?と聞かれることによって、その知識においては『知識を持たない者は立場が下、知識を持つ者は立場が上』と思い込む→上機嫌になる→関係の改善

とどのつまり、相手をおだてる能力=コミュ能力と考えられているんでしょうね
Posted by クロマル at 2012年12月23日 19:22
どこかの自己啓発的な話で「自己承認のコップが満たされていないと他人を承認するコップを満たすことはできない。」みたいなことを聞いてナルホドと思いました。
要するに自分に自信が無い人、自分を好きになれない人は他人に対しても疑心暗鬼で、好意を持てない。だからますは自分を好きになりましょう、てことです。

当たり前と言えば当たり前なのですが、これが意外と難しい。どうしても方法や手段に頼ろうとしたり、他人を分析して悟った気になったりするだけで、そこで停滞しがちになる。
そこら辺には答えは無いんですけど、なかなか自分を見つめ直すまでには至らないんですよね。

しんざきさんの以前書かれた嫁さんや子供さんに興味を持つという記事を読んでは「興味=好き」なんだなぁとつくづく思いました。
これからも楽しみにしております。
Posted by タルタル at 2012年12月25日 10:07
"聞く方が大事"っていうのとつながる話な気がした
Posted by at 2013年01月19日 17:44
英語力についても似たような物を感じますな。
Posted by at 2013年02月19日 20:33
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