2007年01月10日

レトロゲーム万里を往く その60 奇々怪界

音、なのである。

「ハイドライドスペシャル」でも同じ様なことを書いたが、「音」の話を主軸にしないといけないゲームの話は厄介だ。音声や音楽は、文章による説明を受け付けない。

奇々怪界の筐体の前に座って、コインを投入し、スタートボタンを押したことがない人に、あのオープニングの音声の展開を説明することは出来ない。

それを承知の上で、言ってしまおう。奇々怪界は音ゲーである。そして、「効果音と、BGMと、世界観との調和」という面に限って言えば、ありとあらゆる和風ゲームの中でも屈指の名作である、と。


ということで、大変ご無沙汰しておりました。

本来メインコンテンツであるところの万里がどうした具合かしばらくお休みしておりましたが、心機一転。新年なのでなんかおめでたそうなタイトルということで、奇々怪界で。(ちなみに去年は源平討魔伝だったりした)


奇々怪界。アクションシューティングゲーム。1986年3月、TAITOよりアーケード版発売。前年に発売された「影の伝説」などの流れを汲む和風ゲームであり、主人公は巫女の「小夜(さよ)」。小夜ちゃんはお払い棒を振り回しては群がるプカプカを前後左右になぎ倒し、御札を連打してはかさべーやばけうりを殲滅する。「戦場の狼」の巫女さんバージョンであると考えれば、ゲーム的にはそれ程外れない。

丁度グラフィックが美しくなってきた時代のゲームでもあり、小夜ちゃんはどっからどうみてもきちんと「巫女」であり、お払い棒を振る動きや御札を投げる動き、「たふたふ」とした巫女服の質感もきちっと作りこんであり、敵妖怪もちゃんと妖怪である。このひと昔前はサスケvsコマンダーだったのだから、ゲームの進化というのはつくづく物凄い。

巫女さんがメインとして登場するゲーム、いわゆる巫女ゲー(そんなに数あるのか知らないが)の源流として語られることも多い。

女性キャラが主人公として活躍するゲームがまだまだ少なかった時代でもあり、底堅いゲーム性もあってかなりの数のファンを獲得した。結果として「奇々怪界」は様々な家庭用機種に移植されることになる。黒歴史として語られることの多いFCディスク版「怒涛編」を皮切りに、PCエンジンやMSX。ナツメからの発売となるSFCの「謎の黒マント」や「月夜草子」辺りはまず名作といって間違いない出来だった。

果ては、今年三月にPS2でとうとう「奇々怪界2」が出るらしい。なんか随分雰囲気も変わってギャルゲーっぽくなっているが。っていうか魔奴化はどこにいった、魔奴化は。いや、文句つけても多分買うんだろうけどさ私。

余談。今では星の数程存在する「女の子が主人公のゲーム」だが、歴史的には多分1985,6年辺りが源流の筈だ。

奇々怪界に先立つ「女の子が主人公なゲーム」は多分「フェアリーランドストーリー」(1985年タイトー)や「女三四郎」(1985年タイトー)「シティコネクション(1985年ジャレコ)」辺りであり、奇々怪界に続く女の子ゲームはおそらくワルキューレの冒険(1986年8月ナムコ)、次いでワンダーモモ(1987年ナムコ)、だと思う。多分だが。初代「女の子が主人公のゲーム」が何かは知らないが、セガマークIIIで「ガールズガーデン」というゲームが1984年に出ている様だ。ちなみにバラデュークは計算に入れてない。

関連URLを挙げておこう。

奇々怪界(Wikipedia)

画面写真やインストカードなどはこちらのリンクから見ることが出来る。ご存知ない方は、まずはご参照頂きたい。

RETRO GAME GENERATION 奇々怪界


さて、ゲームの話をしよう。


・音とアクションが形作る「純和風」。

奇々怪界の真髄はオープニングにある。

コインを入れてスタートボタンを押した直後、「ぷぁ〜〜」という音感の和笛が響く中、七福神の乗った宝船の前でお払い棒を振っている小夜ちゃん。その直後、周囲から一つ目小僧が数人現われ、宝船を連れ去ってしまう。

柏木と和太鼓の音と一緒にオープニングの曲は緩やかに閉じられ、画面が切り変わると共に流れ出す、こじんまりとした、しかしいつまで聴いていても飽きを催さない、強烈に記憶に残るフレーズのメインテーマ。

書いてしまえばほんの数行だが、ここから始まる奇々怪界の「統一感」には物凄いものがある。敵のイメージ、背景のイメージ、音のイメージ、このゲームにはどこにも「とんがった」部分が存在しない。骸骨が砕ける時の「こりっ」という音も、化け提灯が現われる時の「ひゅ〜どろどろ」という音も、全ては奇々怪界の欠かすことの出来ない1ピースであり、「ほのぼのした和風」という味つけから一歩足りともはみだしていないのだ。この「統一感」こそが、私の思う奇々怪界の最大の特長である。


全体的なイメージは童謡、だと思う。


小夜ちゃんが敵にやられた時に「後ろの正面だあれ」のフレーズが流れることも影響しているかも知れないが、遊んでいて疲れることのない世界観は、同じフレーズを繰り返すわらべ歌に通じるところがある。同じ1986年に出た「源平討魔伝」は、とてつもない完成度の世界観で同じ「和風」を表現していたが、こちらは様々な部分で和風を突きぬけまくっていた。私は源平の世界観を「和風ロック」と表現しているが、この辺奇々怪界とは対照的だと思う。


ちなみに、小夜ちゃんがこの時代には考えられない程に「よく動く」ことが奇々怪界の特徴の一つであった。中でもやられパターンには妙に力が入っていたような記憶がある。敵に接触して「くるくる回って倒れて目をぱちぱち」を皮切りに、溺れる時もこなき爺に抱きつかれた時も、妙に力の入ったパターンやられパターンで動いてくれる。

この「やられパターンの伝統」はナツメもしっかり踏襲していて、黒マントや月夜草子でもやたらと小夜ちゃんが体を張ってやられパターンを表現する。

おかげで一部には小夜ちゃんのやられパターンを隅々収集していた向きもあるくらいだが、アーケード史上初の「巫女ゲー」として、コアな客層にも満足のいく出来だったということだろう。というかたふたふ感重要。最重要。


関係ないが、このゲームにおける七福神の役立たずっぷりには敢えて特筆すべきものがある。オープニングでさらわれる際も一切抵抗ぶりを示していない辺り、お前らはどんな無抵抗主義者かと思わないでもないが、並み居るボスを倒して小夜ちゃんが七福神を助け出すと、今度は「宝船を探してプリーズ」とくる。ホントに神か君らは。神皇拳の連中のアグレッシブさをちょっとは見習え。


・山婆強いんですけど。

全方向シューティングゲームとして奇々怪界を見ると、正直そこまで真新しい要素はない。遠距離での御札連打に対し、ふところに飛び込まれた時のお祓い棒の扱いがポイントになるくらいだろう。

ゲームのデザインとしては、お祓い棒のリスクをもう少し高くして、代わりに得点を高くすることによって稼ぎ要素を強くする、などというやり方にすると面白かったかも知れない。

小夜ちゃんが常に画面の真ん中に位置することによるスクロール方式に若干癖があり、難易度は「そこそこ難しい」レベルにあったとは思うが、アクションゲーム下手っぴーな私には結構厳しいレベルではあった。

特に一部のボスは何気なく厳しい攻撃をしてくることもあり、

・ボスへの打ち込みがかなり気持ちいい
・小夜ちゃんの当たり判定が結構大きい

この二要素があいまって、「ふと気付いたら当たってた」的事故死は一面ボスの豆頭辺りでも時折あった様に思う。お前が下手なだけやろ、といわれると一言もない。


さて、例によってエラく長くなったので、今回はこれくらいにしておこう。最後に、某大型掲示板で「レゲーの音楽を口ずさむスレ」を発見したので、そこでのレスを紹介してみよう。
ぷぁ〜〜〜あ〜〜〜〜ぽん、ぽん、ぽん、ぽん・・・

たたたたたららたたらららー たたたららたた
ちゃっちゃちゃーららら ちゃっちゃちゃーらららら(ててたたててたたててたたててた)
ちゃっちゃちゃーららら ちゃっちゃちゃーらららら(ててたたててたたててたたててた)

こりっ(骸骨が砕ける音)

たたたたっちゃららたたちゃちゃっ たたたららたた
だーだだーだだ だーだだだー だーだだーだだだーだーだー

音楽の共有は、斯様に難しい。

posted by しんざき at 22:23 | Comment(9) | TrackBack(0) | レトロゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
懐かしいー。
アーケードの頃にメチャクチャ面白そうだと思ったけど当時はまだアーケードステッイクを巧く使いこなせなくて巧い人のプレイをよく見ていたのを思い出すなぁ。
Posted by GOTY at 2007年01月11日 01:11
>このひと昔前はサスケvsコマンダーだったのだから

おー!懐かしい、サスケvsコマンダー。 昔、寂れたゲーセン(というか、駄菓子屋さんに設置されていた)で遊んだ記憶がよみがえりました。

奇々怪界もちょっとだけ遊んだことがあります。
でわでわ。
Posted by TAKO@ぽんす at 2007年01月11日 13:04
最初に黒歴史版ディスクでプレイして挫折
次にやったのが極悪難易度の謎の黒マントで挫折
あまり良い思い出がありません

しかし美紀ちゃん復活希望
Posted by めあ2 at 2007年01月11日 23:11
歌うゲームとして有名な「サイコソルジャー」ってのもありましたな>女の子ゲーム
Posted by GameGame at 2007年01月12日 19:09
>GOTYさん
>当時はまだアーケードステッイクを巧く使いこなせなくて

どこから入ったかによりそうですねー。私は逆で、最初の内十字キーが全く使えませんでした。
ホリ電のファミコン用スティックがほしかったんですけど、二台買うと本体と同じというお値段だったんですよね。

>TAKOさん
>昔、寂れたゲーセン(というか、駄菓子屋さんに設置されていた)

昔の駄菓子屋さんは魔境でしたね。私はゼビウスとMr.Do!に駄菓子屋さんで出会いました。

>めあさん
黒マントは攻略法がわかってくると面白いよ!面白いよ!ちなみに月夜草子は難易度も下がってだいぶ面白いので結構お勧めです。

>GameGameさん
サイコソルジャーには当時度肝を抜かれましたね。色んな意味で。
あれは87年でしたっけ。
Posted by しんざき at 2007年01月15日 15:32
初めましてー。

初代リリースと同時に生まれまして、
何気小夜ちゃんと同い年です。

筋金入りのレトロゲーマニアでして、ディスク
システム版が奇々怪界を知った最初です。
その後SFC版をプレイしてファンになりまして
(黒マントはムズ過ぎて未だ挫折中;‐;)
レッツ!TVプレイクラシックという、TVに
つなげるだけで遊べるTV玩具のシリーズで
復刻されたAC版に触れました。

バイト先の中古ゲーム屋の店長は、音楽も
グラフィックもかなり忠実だと、開発に関わった
スタッフから聞いたと言ってましたが、
どうせならアーケードオリジナルの筐体で
プレイしたいもんです。どうせ遊ぶなら当時の
オリジナルのままで、が私のポリシーなので。>‐<
Posted by はーちゃん at 2007年01月17日 01:20
>はーちゃんさん
>その後SFC版をプレイしてファンになりまして

SFC版はファンが多いですよね。黒マントは、ネットに超絶攻略をやってるサイトさんがあります。

私は月夜草子が好きだったり。
Posted by しんざき at 2007年01月21日 17:21
ちょー古いところにコメつけちゃって申し訳ないですm(_ _)m
もはやどうやってたどり着いたか覚えてませんが、
今日一日レトロゲーコーナーを堪能させていただきました!

しんざきさんの文章おもしろすぎますって!
もう私のここ2,3年何してたってくらい、
不倒城を知らなかったのが悔やまれます。
ほんとは60までそれぞれにつっこみ/コメ等入れたいくらいなんですが、
迷惑だと思うのでやめときます(´・ω・`)
また今度レトロゲー以外のTOPICも読ませていただきますね。
ではでは。
Posted by 原 at 2007年04月01日 23:47
>原さん
コメントありがとうございます。
色々脱線しまくりですが、「不倒城」は基本的にレトロゲームブログのつもりですので、レトロゲーネタをお褒め頂けると嬉しいです。

>ちょー古いところにコメつけちゃって申し訳ないですm(_ _)m

「万里を往く」自体不定期な上、扱っているのは20年くらい前のタイトルなんで全くもって気にしないで下さい。

丁度また様々なレトロ熱が盛り上がってきていたところでしたので、よろしければゆるゆるとお読み頂けると幸いです。
Posted by しんざき at 2007年04月03日 00:34
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